こまつ座第118回公演『イヌの仇討』開幕レポート



ちまたでは…吉良さまファン急増中とか?!
 絶賛上演中のこまつ座『イヌの仇討』、感想と舞台写真で綴る開幕レポート公開です!

 井上ひさしさんが愛情を込めて描いた上野介が暴く討ち入りの真実。おなじみの『忠臣蔵』のもうひとつの姿に感激観劇の声が寄せられています!



久保酎吉さん、木村靖司さん、加治将樹さん、三田和代さん、植本純米さん、大谷亮介さん

◆2時間半、ほぼリアルタイムで物語が進むので、時代劇ながら臨場感がありました。
突然の討ち入りに右往左往する吉良家の人々は滑稽ですが、上野介がある決断をするまでの過程では空気が引き締まり、大作を見た気分でした。「新しい『忠臣蔵』」くらいのインパクトです。

◆「イヌ」とは誰のことなのか、誰に対する仇討ちなのか、炭焼き小屋の狭い空間で老殿様が覚醒していく様がドラマチックで、歴史に詳しくない自分でも楽しめました。29年ぶりの再演とはもったいない!
 また観たい演目です。

◆場面転換の全くない、物置の中で繰り広げられるこの芝居は、宙吊りも電飾も、派手な大立ち回りさえ無い静かな狭い空間ながら、時代を生きた大勢の人間各々の壮大なドラマを抱く、大衆向け娯楽作品。
 登場人物一人ひとりの、或いは登場しないながら語られる人物それぞれの立ち場と心の揺れ、人情の機微が交雑する秀逸な舞台。『赤穂浪士』に描かれる吉良上野介の人物観を変える。必見。



大谷亮介さん、尾身美詞さん、加治将樹さん、三田和代さん、大手忍さん、彩吹真央さん

◆なぜ29年も再演されなかったのが不思議な名作ですね。
 赤穂浪士の討ち入りを、世間の常識通りに解釈していたが、歴史の真実は全くわからない。先の都議会選挙のように、世論によって政治、政府が狼狽、豹変するのは、現代も変わらない。
 大谷亮介、三田和代をはじめ俳優陣の熱演が光ります。
 井上ひさし氏の真実を見る目と、セリフ(言葉)の冴えには脱帽です。暗闇に目が慣れていく出だしの演出,照明もいい。

◆赤穂浪士の討ち入りから二時間。炭焼き小屋に隠れた吉良上野介とその忠臣達が繰り広げる人間ドラマ。
 現代にも通じる感性と台詞で描かれる濃密な時間は圧巻でした。
 歴史上も有名な「赤穂浪士の討ち入り」。大石内蔵助をヒーローとして称えるか、それとも吉良上野介に同情するか…という二極的な視点を遥かに超えて、幕府とは何か、世間とは何かという大きな視点を観客に提示する舞台です。
 吉良上野介の視点で社会を俯瞰し、討ち入りの真相を推理小説さながらに暴く筋書きでありながら、登場人物ひとりひとりを丹念に繊細に描きあげる素晴らしい脚本。必見です。



木村靖司さん、三田和代さん、加治将樹さん、植本純米さん、尾身美詞さん、大谷亮介さん、久保酎吉さん、大手忍さん、彩吹真央さん

◆はじまるなり蔵に隠れる緊迫した状況に引き込まれて、台詞の声が大きいと観ているこちらまでハラハラ。そんな生きるか死ぬかの中、時にコミカルで、テンポも間も、さすが上手い役者さん揃いの会話劇!
 「大石はなぜ儂(わし)を討とうとするのだ?」と何度も繰り返し思案する殿の姿が、印象的でした。威厳ある三田さんも、ひたすらカッコいいです。
 そして、意表を突く結末。知に優れた二人の武士の生きざまに、最後はうるっとさせられました。

◆大谷亮介さん演じる吉良上野介が、非常に魅力的。人間味溢れ、思慮深く、チャーミングでもある。家臣に感情移入して観ていました。死を覚悟して、隠れ場所を出て行く後ろ姿には、目頭が熱くなりました。

◆権力者の胸三寸と世間の気ままな風評で色々な人の運命が変わっていくことは、現在も全く変わってないとふと思わせる作品です。



加治将樹さん、石原由宇さん、久保酎吉さん、大谷亮介さん、木村靖司さん、植本純米さん、彩吹真央さん

◆舞台に作り込まれた吉良家の物置のセットが細かくて、近くで見てみたかったですが時間がなくて残念でした。そこで繰り広げられる物語はろうそくの灯りで始まりました。
 同じ物語のはずなのに誰の側から語られるかで印象がこうも変わってしまうのかと思うと怖いものがあります。
 悲しい結末を迎えますが、吉良さんと家来や側室、居合わせてしまった盗人との関わりが、笑えたり、暖かいものを感じたりして良かったです。

◆イヌの仇討というタイトル通り、「お犬様」がかなり大事な部分を占めています。
 そして、お犬様の演技が達者でした。びっくり。双眼鏡はしばしばお犬様をロックオン。こんな舞台初めてです。

◆井上作品が好きで観劇しましたが、やっぱり間違いない面白さでした。
 日本人なら誰でも知っている忠臣蔵の結末に向かっていくハズなのに、何故こんなに笑えるのか…!そうこうするうち物語は仇討ちの真相にたどり着き、最後は涙がぽろり。是非たくさんの方に観て欲しい作品です。



大谷亮介さん、彩吹真央さん

◆討入りの赤穂浪士達に見つからぬ様に身を潜めているはずなのに、動揺、不安、怒りからか、つい大きな声を出してしまう。
 そんなことで見つかりはしないかと、引きつけられ、出来れば生き延びて!と集中してしまう二時間です。

◆井上ひさしさんは、物事を一つの視点だけから見ずに、多面から解ろうとするということを、面白おかしく伝えてくれると思いました。笑ってほろりとして、幕が下りるころには、吉良ファンになってしまっている。
 セリフ(声)だけではなく、光の使い方で、敵陣、戦い、赤穂侍の存在、時間の経過、心の動きまで表す舞台が見事でした。
 これから、ドラマでも映画でも、芝居でも、忠臣蔵を観るときは、全く違うことを思いながら観ることになりそうです。

◆新解釈の忠臣蔵で、思わず、うーんそうだったかもしれないと、納得させられました。大谷亮介さんの吉良上野介が、なかなか爽やかで、最後はかっこよくて、ほろりとしました。三田和代さんがさすがの貫禄のうまさ、面白さ!彩吹真央さんが、おめかけさん役?とおもいましたが、お殿様のおめかけさんなので、キリッとして品があって、可愛くて良いキャスティングだとおもいました。爽やかな後味の作品でした!



大手忍さん、三田和代さん、彩吹真央さん、尾身美詞さん

◆今考えなきゃいけない事。井上ひさしは古く無い!政治に世界に目を背けてはいけないと諭されました。流されないように、問題意識を持って行きなさいって諭されました。

◆皆さん熱演!吉良上野介を演じられた方がもうピッタリでした。
見終わってみて、「イヌの仇討」ってそういうことか!と。見応えがありました。

◆「イヌ」の示す意味と役割に目から鱗。役者さんたちの熱演もあって、あっという間の2時間半でした。植木さん、純米さんになって初めての舞台、おめでとうございます!

◆適材適所に選び抜かれたキャストが配置され、ほぼ全員が出ずっぱり。三田和代さん、誰よりも群を抜いたキレの素晴らしさ。
 照明も小道具も良かったが、東憲司の演出は役者だけでなく、本そのものを生き生きとさせていた。ラストシーンも視覚効果を伴い、見ている側が舞台の中に引っ張り込まれるようだった。中身が濃く、深く、見応えのある舞台だった。

【耳より情報】


★スペシャルトークショー開催★

アフタートークも残すところあと2回!!

7月16日(日)13:30公演後 キャストトーク(大谷亮介、彩吹真央、植本潤、木村靖司、三田和代)
7月17日(月・祝)13:30公演後 ゲストトーク(精神科医 名越康文 -「殿、ご乱心」は本当か-)

※アフタートークショーは、開催日以外の「イヌの仇討」のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。
ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせて頂くことがございます。
※出演者は都合により変更の可能性がございます。



【公演概要】
こまつ座第118回公演
『イヌの仇討』

作:井上ひさし
演出:東 憲司
出演:大谷亮介、彩吹真央、久保酎吉、植本 潤、加治将樹、
石原由宇、大手 忍、尾身美詞、木村靖司、三田和代

劇場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
公演日程:2017年7月5日(水)~23日(日)

公演HPはこちらから


舞台写真提供:こまつ座 感想:おけぴ会員のみなさま
おけぴ取材班:chiaki(編集) 監修:おけぴ管理人

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