現在、帝国劇場にて上演中のミュージカル『ビューティフル』にご出演中の
中川晃教さん 。9月からは、コンサート活動がスタート!その中でもスペシャルなLIVE ACT、明治座にて開催される
『中川晃教コンサート2017~Seasons of love~』 についてお話をうかがいました。
【34歳の今、主役と今回のように脇を固める役割、 その両方を経験させてもらえていることはすごく恵まれていると思う】
──8月1日にデビュー記念日を迎え、また新しい一年がはじまりました。今の心境からお聞かせください。 中川晃教さん
17年目に入って、改めて大切にしたいことは“ブレナイ”ということ。そのためにバランスをとるようになりました。
まずは自分をしっかりと持ち続けるためにひとつひとつの出来事にちゃんと向き合う、そこにしっかりとエネルギーを費やすということ。そうやって結果を出す、そうするとその経験が裏付けとなって自信に結びつくんです。でも、それだけだとどこにも隙間がないくらいギチギチになってしまうよね。だから、適度に抜くことも大事。流れや風、そのときの空気に身を委ね自然体でいるようにも心がけています。そうやって揺らぎながらも軸はブレナイ、自分の中でバランスを保つことで新しいことへチャレンジし続けることができていると思います。
ちなみに10代から20代前半までは抗うことが大好きだったんだよね。誰かが右と言ったら、僕は左!みたいに、わかりやすく(笑)。まぁ、今でも、ときにはそうやって抗ってみるのもいいことだとは思っています。
こんな風に言うとすごくしっかりした人みたいだけど、抜け過ぎだろ!という声もあるんだよね(笑)。この間(『ビューティフル』平原綾香さん初日)もカーテンコールで僕だけ出なかったし…。最悪。
──ちゃんと最後にジャケットを振りながら登場されましたよね!そんなところも人間味というか…。 そう言っていただけるうちはいいんですけどね(笑)。ダメだ…反省しています。
──では、その『ビューティフル』についてうかがいます。この作品では、中川さんがこれまでとはちょっと違うポジションを任されているように思いますが。 そうですよね。プロデューサーからも『モーツァルト!』だったら市村正親さんや山口祐一郎さんのポジションだよねと言われたんです。それは支えるという意味だというのはわかるのですが、実名が出ると「恐れ多いです…」と思ってしまう自分がいます。
今回つくづく思うのは、あの頃に大先輩方がしてくださっていたことの大きさです。芝居や歌への取り組み方や見せ方だけでなく、カンパニーを盛り上げて、そして守ってくださっていたということ。そうやってカンパニーとしての一体感が生まれ、感動を呼び、作品がお客様に愛されることに繋がっていたんだな。そんな風に、自分が経験してきた道を振り返ることができています。こうして34歳の今、主役と今回のように脇を固める役割、その両方を経験させてもらえていることは、すごく恵まれていると感じています。
──同じ帝劇の舞台でも見える景色は…。 全然違いますね。
【奥が深いバリーとシンシアの関係】
──演じているバリー・マンはキャロル・キングと同時期に活躍した職業作曲家。作品ではバリーとパートナーの作詞家シンシア・ワイル、キャロル(作曲)と夫のジェリー・ゴフィン(作詞)の2組のカップルの対比も描かれています。バリーとシンシアの関係、可愛らしくて大評判です。 最初にこの作品の脚本を読んだとき、二人が結婚にたどり着くというのがすごく意外だったんです。衝撃!たとえば僕が誰か同業者と結婚するって全く考えられないから。家の中で、「あそこの何小節目の何とかが…」なんて言われた日には、もう鼻血が出るね!それくらいありえないんです。山下達郎さんと竹内まりやさんが家でどんな会話をしているかはわかりませんが(笑)。
一方で、僕自身はシンガーソングライター。このシンガーソングライターっていうのがすごく好きなんです。自分が思うすべてを歌に詰め込めるから。その瞬間の衝動や想い、パッションを封じ込める、そのエネルギーはものすごく大きい。でも、それって瞬間的なものでもある。そこから長く愛される曲にするためには、別の自分が必要なんです。それがこの作品でいうところの、職業作曲家、職業作詞家という存在、視点。今も曲作り中ですが、実際に詞を書く脳と曲を作る脳は全然違って、それぞれの専門性が必要だし突き詰めたいと思っています。その上で、自分の中の2つの感性が化学反応を起こしてオリジナリティが生まれていくんです。だから曲作りって終わらないんですよ(笑)。作っては壊し、また作り直し…と。
そんな風に僕が一人でやっていることをバリーとシンシアは二人の結果として生み出した。溢れる若さとバイタリティで曲作りを始めて、成功し、そこから不動の地位を築いていく。そうやって出してきた結果の1つとして一緒に暮らす、結婚をするというものがある。結婚したら新鮮な気持ちを失い詞や曲が書けなくなるかもという不安も分かち合ってね。そう思うと、同業者同士の結婚も悪くないかな…なんて。バリーを演じることで、山下家の生活も見てみたいなと感じるようになったんです(笑)。
──そして、バリーとシンシアのいい関係は今も続いているという。 奥が深いよねー(笑)。
──作品の中でもポップなアクセントになる二人のシーン本当に素敵です。 【め、め、明治座さんで、コ、コ、コンサート!!!】
──では、ここからはコンサートのお話を。こうして明治座さんで中川さんにインタビューというのは新鮮というか。 すごいよね!俺も最初ちょっとびっくりしました。「め、め、明治座さんでコ、コ、コンサート!!!」って。びっくりマーク3つくらいでお願いします(笑)。
──このコンサート開催のきっかけは? まず、今回ご一緒する篠笛の佐藤和哉さんとの出会いがありました。通常のコンサートとは違うシアトリカルな空間で、篠笛の魅力も伝えられるコラボレーションができたらいいなという中で、和の劇場、名古屋・中日劇場さん、大阪・新歌舞伎座さん、そして東京では明治座さんでというお話が進みました。これは僕にとってもチャレンジです。
──明治座さんにはどのような印象を持っていますか。 日本でいうカーネギーホール、『ビューティフル』にも出てくるよね。ほかにもアメリカではラジオシティホールもそうだけど、代々選ばれし人が立ってきたステージがあるんです。同じように明治座さんは日本での老舗劇場のひとつ、そこでコンサートをしたのは北島三郎さんや五木ひろしさん、森進一さん、そして若手では氷川きよしさんと大スターばかり。氷川さんとは交流があるのですが、演歌界に氷川さんがもたらしたものすごく大きいですよね。刺激を受けます。そんな風に誰もが立てる場所ではないという緊張感を持っています。同時に、劇場との接点という意味では、僕が音楽とミュージカルをやっているからこそいただけた機会だとも思うんです。そこには大きな喜びを感じています。
だからこそ出演作である、『ジャージー・ボーイズ』
※ から
♪君の瞳に恋してる と最後に歌う
♪Who Loves You (愛はまぼろし)、『ビューティフル』から、
♪Walking in the Rain と
♪On Broadway を歌います。
※中川さんは『ジャージー・ボーイズ』初演のフランキー・ヴァリ役で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を受賞 ──♪On Broadway! (その場にいる全員が沸く!)
そう、歌うんです!僕が一番歌いたかった歌を!
舞台本番中は、「歌いたい!でも、僕たちは作った側だから歌っちゃだめだよね」といつもシンシア役のソニンちゃんと言っています(笑)。
──ほかには、どのような演出をイメージしていますか。 今考えているのは、幕開けは若手の杉浦ゆらさんのダンスと和哉さんの篠笛、そこにシンセサイザーの音が入ってくる和の世界をイメージしています。そんな風に、通常のコンサートよりは演劇的な演出のあるものにしたいな。もちろん楽しんでもらうことも大事なので、エンターテインメント性も大切にしたいですね。
ほかにも、歌手の伊礼亮さんとの朗読や歌でのコラボレーションも考えています。伊礼君は昨年 Victor Entertainment からデビューした若手シンガーです。
──さまざまなチャレンジが見られますね! そう、ちょっと特別なコンサートにしたいんです。これまで僕のコンサートに足を運んでくれていた方にも新しい提案ができ、ミュージカルで僕を知ってくれたかたにも楽しんでいただけるような時間にします。ひと言でいうと、絶対に見ていただきたい(笑)!
──力強いひと言、ありがとうございます。楽しみにしています! VIDEO
噂の?!カーテンコール映像はこちら(9:00ごろ元気いっぱいに登場!)
VIDEO
おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) 撮影:おけぴ管理人