「舞台で光浴びる者を 闇に紛れて守る」(劇中ナンバーより)
舞台を支える誇り高きプロフェッショナルたちが大奮闘!!目の前で展開するのは、(素舞台→)仕込み→本番→バラシ(→素舞台)…前代未聞の
舞台メイキングミュージカル『HEADS UP !』が帰ってきます。
時間がない、予算がない、セットがない!!新米舞台監督のデビュー作は問題山積!果たして無事に幕は開けられるのか…!?
ベテランと新人、ふたりの舞台監督を軸に進むバックステージもの。舞台を支える各セクションのスタッフワークに拍手喝采。2015年11月の初演を拝見しましたが、ドタバタコメディに笑って、ひとりひとりのバックグラウンドに心動かされ、最後はミュージカルナンバーを口ずさみながら清々しい気持ちで劇場を後にしました。
最初と最後、同じようにがらんとした素舞台ですが、観ている者の心の中にはしっかりと“思い”が残る。そんな舞台の魅力の詰まった作品です。
再演に向けての想いが溢れた製作発表会見の様子をレポートいたします。
【楽曲披露】
劇中ナンバー♪劇場で起こること、♪HEADS UP 、♪チケットは売れている、♪古い劇場 のスペシャルメドレーが披露されました。耳馴染みが良く、歌詞がストレートに伝わる素敵なナンバーたちとの再会は幸せなひとときでした。そしてみなさんノリノリ!
【キャスト&役どころ】
<哀川翔さん>ベテラン舞台監督:加賀美賢治役「加賀美という男の人間的な魅力は頑固さの中にある。そこを深めてさらに魅力的なキャラクターにしたい。素敵な作品なので、たくさんの方にご覧いただきたいです」
<相葉裕樹さん>舞台監督:新藤祐介役「舞台監督デビューで周りのみなさんに支えてもらうという立ち位置。そこではキャラクターとしての愛嬌が大事だと思っています」
<中川晃教さん>劇場付雑用係:熊川義男役「初演で本作が立ち上がるまでの興奮を体験できたことは、僕の財産です。役者だけでなく、お客さまも含めたすべての人の心が作品を作りあげることを実感しました。2年間、それぞれが培ったものが再演の進化に繋がるでしょう。進化し続けるのが僕たちの仕事です」
<大空ゆうひさん>女優:真昼野ひかる役「(役について)世間で言われる女優のイメージってこうなのかなと思いました。新人の子がくると怖いとか…(笑)、でも、人の“気”を集める仕事ですので、そこにはチャーミングさが必要ですよね」
<橋本じゅんさん>演出部:久米長一郎役「舞台の内幕を見ていただく機会は貴重です。それはだれが見ても興味深く、3世代でお楽しみいただける作品です。メンバーが変わってもこの作品は残るべき。笑いあり涙ありのバックステージの世界を旅してください。劇場で体感してほしい作品です」
<青木さやかさん>制作:本庄まさこ役「この役を演じてから、制作の立場としてモノを見るようになってしまって。制作さんはとりわけお客様のためというところが大きく、チケットのこととか、現実的なことも含めて舞台を成功させることを考えてくださっているんです」
<池田純矢さん>アルバイトくん:佐野慎也役(もともと舞台に何も思入れのない…)
「初演はいち観客として観ていました。あのとき客席で受け取った想いを、今度は出演者としてお客様に届けたいと思います」
<今拓哉さん>老俳優:小山田丈太郎役(劇中劇『ドルガンチェの馬』主演!)
「相手役の女優とは必ず深い関係になる艶っぽい78歳。本番ではちょっと不思議なキャラクターになりました(笑)。この作品が日本のスタンダードになっていくことを祈っています。僕も78歳までやり続ける?!まずは再演を頑張ります」
<芋洗坂係長さん>演出部:滝 幸男役「ラサールさんの舞台愛がとにかく深い!舞台関係に携わったことのある方は涙なしには観られない。裏を知らない方はアルアルをお楽しみいただける作品です」
<オレノグラフィティさん>演出部:九条六平役「劇団でもスタッフのすごさを間近で見ているだけに、何もない素舞台から舞台を立ち上げることをエンターテインメントにしてしまうことに度肝を抜かれました」
<陰山泰さん>高所恐怖症の照明係:飯塚浩二役「舞台づくりの真っ只中にいる人しか書けない本、実際に現場で感じたことが描かれています。だから歌っていても台詞を言っていても素直に熱くなれるんです。そこがこの作品にしかない魅力になっています」
<外岡えりかさん>衣裳助手:朝倉まき役(女優を目指す)
「初演を劇場で観て、心だけでなく全身で感動しました。愛が詰まった作品なので、その一員としてしっかりと立てるように頑張ります」
岡田誠さん(音響/児玉哲也役)、福永吉洋さん(トランポ運転手/四条あつし役)
井上珠美さん(演出助手/立川エリカ役)、河本章宏さん(演出家/海老名克美役)、新良エツ子さん(小道具/池田桃子役)
【クリエイターのみなさん】
倉持裕さん、ラサール石井さん、玉麻尚一さん
<倉持裕さん>脚本「ラサールさんから「1幕は舞台を立て込んでいく」と伺い、これは盛り上がるエンターテインメントになると思いました。が、続く2幕では「そのセットをバラし最終的に素舞台にしたい」と…。それはずいぶん物悲しい展開になっていくと心配しました。
でも、初演の初日を観たとき、ひとつの劇場でセットを立ててはバラし、立ててはバラし続けていくことが、演劇の永遠性を感じさせる、とても希望のあるエンディングになっていました。こういうことだったのかと膝を打つ思いでした」
<玉麻尚一さん>作曲・音楽監督「30年くらいこの業界にいて「いい作品」だったといわれる作品が何本あったかというとすごく少ない。この作品を一緒にできてうれしく思います」
<ラサール石井さん>原案・作詞・演出「作品の構想をたくさんの方に話しました。「1幕が仕込みで2幕がばらしなんだよ、すごいでしょ」と言うと、ほとんどの人が「どこが面白いの?」という反応。やりましょうと言ってくださったのがKAATさんだけでした(笑)」
そのKAATさんを代表して!
眞野純さん(KAAT神奈川芸術劇場 館長)
「本作初演は劇場始まって以来の観客動員を記録しました。上演後も「もう一度観たい」の声を多方面からいただき、この度の各地での上演が実現しました。公共劇場発として、おそらく今までにない大きな作品になります」
演劇や劇場、そして仕事への誇りと愛がいっぱいの
ミュージカル『HEADS UP !』は2017年12月にKAAT 神奈川芸術劇場にて開幕、その後、富山、長野、大阪、名古屋を経て、2018年3月にTBS 赤坂ACTシアターにて上演です。