渡辺えりさん&キムラ緑子さんコンビの“有頂天シリーズ”第2弾!
女剣劇一座の座長と新人女優が、意地でも負けられないガチンコ勝負に挑みます!
女剣劇一座の座長と新人女優が繰り広げる“女いくさ”は、劇中劇あり、殺陣あり、タップダンスにタカラヅカレビューあり!?
渡辺えりさんとキムラ緑子さんがタッグを組む“有頂天シリーズ”の第2弾『喜劇 有頂天一座』が、2月東京・大阪にて上演されます。
『王将』で知られる、昭和を代表する劇作家のひとり北條秀司が昭和34年に『女剣劇朝霧一座』として発表。初代水谷八重子と市川翠扇のコンビで初演された傑作喜劇が、息ピッタリのコンビを迎え、齋藤雅文さんの演出により新たに生まれ変わります!
女剣劇一座の座長とその弟子の新人女優を演じる、渡辺えりさん、キムラ緑子さんのおふたりが、大阪にて取材会に出席。公演に向けて意気込みを語ってくれました。
【かつて全盛をきわめた女座長と、新人女優がガチンコバトル!?】
女剣劇一座の座長を演じる【渡辺えりさん】。
「こういう立場の役を演じる年齢になったんだなと複雑な気持ちです(笑)」
渡辺)
新人女優に追い上げられて、すべてをかっさらわれる座長の役。まだまだ若いつもりで、頭のなかは18歳のままだと思っていますから、こういう大御所の役を演じる年齢になったのかと複雑な気持ちです(笑)。昨年の暮れに手相を見てもらったら「16歳ですね」と言われました。手相だけは16歳! 老けも落ちぶれも全部、演技で見せたいと思います。緑子ちゃんも27歳になったつもりでがんばってね。
キムラ)
あの…27歳とおっしゃいましたけど、私の役は19歳の設定ですよ。
渡辺)
え? 27歳じゃないの?
キムラ)
実際には台本に19歳とあるんですが、稽古しながら「やっぱり成人にしておきましょうか」となって、いま冒頭は22歳くらいの設定になっています。…いいじゃないですか、細かいことは(笑)! こういう役をさせていただく機会もこれが最初で最後だと思いますので、気持ちを大事に、心の底から19歳になれるように、がんばります。
「19歳のつもりですが、何か…?」(キムラ緑子さん)
すでに息ピッタリのおふたり。舞台での丁々発止のやりとりに期待です!
【立ち廻りに、タップダンス、タカラヅカレビューまで!?】
座長に取って代わろうと野心を燃やす新人女優役の【キムラ緑子さん】。
「タップダンスがあると聞いて思わず「…えっ?」と声が出ました」
渡辺)
劇中には『国定忠治』などのお芝居が登場します。私の役は座長ですから、基本がきちっとできていなくてはいけない。セリフもみなさんよくご存知のものばかりですから、間違えたらすぐにわかってしまいますよね。さらに喜劇ですから、その基本を崩して笑っていただく。これが大変なんです!
キムラ)
『瞼の母』『国定忠治』など、どなたも知っているお芝居を劇中劇として演じるのがすごくむずかしい。女剣劇なので殺陣もあります。振袖姿での立ち廻り、見得(みえ)の切り方など覚えることが多すぎて、今はまだ目の前が真っ暗な状態。でもそうも言っていられない。共演する劇団新派のみなさんが、ああでもないこうでもないとアドバイスをくださり支えてくださるので、なんとか初日までにものにしたいなと思っています。
渡辺)
フィナーレにはタカラヅカレビュー風の場面もあるんです。実際に女剣劇一座のスターだった大江美智子さんという方が宝塚歌劇団の出身で、一座の舞台でも洋風のショーを取り入れていたんですって。それで私たちふたりが白いタキシードに羽を背負って踊る場面が増えました。劇中劇に、立ち廻りに、ダンスの振付も覚えなくちゃならない(笑)。さらにタップダンスもあるんです!
キムラ)
タップがあると聞いた瞬間に「…えっ?」となりまして、慌てて習い始めました。まだ数ヶ月ですけど少しでも形にしようとがんばっております。
渡辺)
私はレッスンの予約だけした(笑)。でも時間がなくて「明日からやります!」と言ったまま、結局やらずに稽古場に入りました。映画『シャル・ウィ・ダンス』の社交ダンスも一生懸命やってなんとかなったので、「やればできる!」と奮闘しています。
【演劇に命をかける人々の物語。チェーホフよりもおもしろい】
渡辺)
私たち世代の役者が一生懸命やっている姿というのも見ていただきたい。出演者のなかには70代の方もいて、一歩間違えれば老人ホーム(笑)。でもみなさん若く見えます。78歳の役者さんも立ち廻りをするんですよ。私たちと同じ世代のお客さまにその姿を見ていただいて、ひととき日常を忘れて楽しんでいただければと思います。
劇中で、私が演じる座長が「日常の生活に追われて喜怒哀楽を封印している人たちに、笑っていいんだよ、泣いていいんだよと伝えるのが芝居なんだ」と若い役者たちを諭す場面があるんです。お仕事や介護などみなさん日々の生活でいろいろなご苦労があると思いますが、それをひととき忘れて劇場で楽しんでいただきたい。そのために私たちは命がけで演劇をやっているんだという演出の齋藤雅文さんの思いが込められています。
キムラ)
もとの台本では、最後が「めでたし、めでたし」にならない。喜劇だから笑いはあるんですが、最後にチクっとくるんです。ふたりは仲が悪いままだし、社会風刺のような要素もある。でも今回の台本ではすごくいい話、人情噺のようになっていますよね。
渡辺)
北條秀司さんが書く本には残酷さがある。そこに小気味の良いおもしろさがあるんです。人間をよく観察している、人間同士の複雑な関係がとてもよく書けているんです。最初読んだだけではそのおもしろさがわからないこともあるんですが、実際に演じてみるとこれがおもしろい。世の中の縮図がとてもうまく描かれていて、劇中で切り取られた部分以外の登場人物の生活全てが見えるような戯曲。チェーホフとかよりもおもしろいんじゃないかなと思いますね。
若い頃は、日本の戯曲よりもテネシー・ウィリアムズやシェイクスピアのほうがおもしろいと思っていたんです。でも北條戯曲には昔の日本人ならぜったいに理解できる心の機微が描かれている。それがわかる年齢になった、私も大人になったのかなと。北條秀司さんにしても、長谷川伸さんにしても、すごく深くておもしろい日本の戯曲がいっぱいあるんだと気がつきました。そういった作品をこれからもっと掘り起こしていかなくてはならない。アメリカにはトランプ政権が生まれ、貧困や格差、いろいろな問題がある時代だからこそ、日本の先達がのこしてくれた戯曲を大切にしていかなくてはとあらためて感じています。
◆かつてのスターとその地位を狙う新人女優という設定。さらにレビュー風の場面もありと聞いておけぴスタッフが思い浮かべたのは…ミュージカル『CHICAGO』でした♪
ヴェルマ&ロキシーならぬ、えりさん&緑子さんのバトルが楽しみです!
自身でも作家・演出家としてオフィス3○○を率いる渡辺えりさんと、劇団M.O.P.の看板女優をつとめてきたキムラ緑子さん。稽古場でも「つい全体を見てしまって、ト書きを無視している人が気になる」(渡辺えりさん)、「(役作りが)できあがるのが遅い。何をしたらいいのかわからないままぱっと飛び込む」(キムラ緑子さん)と個性の違いを感じているとのこと。そんなおふたりが舞台の上でどんなぶつかりあいを見せてくれるのか、楽しみですね。
出演はほかに座長のかつての恋人である映画スター役に段田安則さん、パトロン興行師役に村田雄浩さんに加え、広岡由里子さん、林翔太さん(宇宙Six/ジャニーズJr.)など。
熾烈な女の戦いのなかにも、ほろりとくる人間の愛おしさ、哀しみ、おかしみを感じさせてくれそうな『喜劇 有頂天一座』は、2月1日(木)から12日(月)まで新橋演舞場にて、2月16日(金)から23日(金)まで大阪松竹座にて上演されます!
おけぴ取材班:mamiko 監修:おけぴ管理人