METライブビューイング2017-18『トスカ』新演出 石丸幹二さんスペシャルトークイベントレポート

美貌の歌姫と青年画家の恋を阻む苛酷な運命!
名アリアが彩るスリリングな歴史サスペンスドラマ!


 METライブビューイング、今シーズン第4作目となるプッチーニ《トスカ》新演出が2月23日までの1週間限定で全国公開!(※東劇のみ3月2日(金)までの2週上映)それを記念して、公開初日に石丸幹二さんによる上映前トークイベントが行われました。
 あなたも《トスカ》を観たくなる!白熱のトークの様子をレポートいたします。ラストには3月3日開幕のミュージカル『ジキル&ハイド』への意気込みも。



石丸幹二さん


石丸:みなさま、本日は朝早くからありがとうございます。これからご覧いただく《トスカ》、何がスゴイかって、まだMET(NYメトロポリタン歌劇場)での上演から一か月経っていないんですよ。(METにて上演されたのが2018年1月27日!)
 こんなにすぐに、日本に居ながらにして素晴らしいオペラを大スクリーンで観ることができる。幸せなことです!

朝岡(MC):さらにMETライブビューイングの特長は、高音質・高画質で、しかもたくさんのカメラで収録しているので、歌っている俳優さんの表情をさまざまな角度からお楽しみいただけるところです。

石丸:つまり、特等席よりイイ!


<作品について>


~冷酷な警視総監に狙われた歌姫と画家の運命はいかに?1800年のローマを舞台にした愛と欲望のサスペンスドラマ《トスカ》~



石丸:プッチーニのオペラはより現実に近いドラマを扱い、悲劇が多いので泣かせますよね。大好きなんですよ。中でも、《トスカ》は一番ドラマチックだと思います。


~見どころのひとつは「歌に生き、恋に生き」「星は光りぬ」などの名アリア!~

朝岡:石丸さんのアルバム「石丸幹二のクラシックへようこそ」にも、青年画家カヴァラドッシが歌う「星は光りぬ」という、テノール屈指の名アリアが収録されています。

石丸:アルバムを作る際、この作品からは欠かせないなと思いまして。ドミンゴの「星は光りぬ」のピアニッシモの感じが好きなのですが、今回のカヴァラドッシ役のグリゴーロの歌声も素晴らしい。彼が歌う「星は光りぬ」、心がギュギュッとなりますよ。みなさんハンカチを忘れないでください。
 そしてオペラ歌手が主役のオペラは少ないので、その意味でもトスカ歌いはものすごく高度な技術を要求されます。聴きどころですね!
 

~ローマの名所を忠実に再現したD・マクヴィカーの美しい舞台も必見。
 そこで流麗で歌心あふれる指揮で歌手からの信頼も厚いE・ヴィヨームの指揮のもと、濃密な声と美貌のS・ヨンチェヴァ(トスカ役)、人気沸騰のイタリアンテノールV・グリゴーロ(カヴァラドッシ役)、劇的な美声と抜群の演技力を誇るZ・ルチッチ(警視総監スカルピア男爵役)が手に汗握るドラマを繰り広げる!~



公式HPのフォト&ムービーコーナーにて舞台の様子をご覧いただけます!


朝岡:物語の舞台となるのは実在する建物。第1幕は、聖アンドレア・デラ・ヴァレ教会です。そこで絵を描いているカヴァラドッシ。彼が監獄から脱走してきた友人を匿うところから物語が始まります。

石丸:非常にドラマチックな始まりです。セットの柱も教会にあるものを模したもので、現地の人には“あの教会ね”と分かるそうです。

朝岡:第2幕はスカルピアがいるファルネーゼ宮殿(現在は在伊フランス大使館)。壮麗な宮殿で、その壁画や天井画はまるで美術館。そこで悪いスカルピアがトスカに肉体関係を迫るんです。それも拷問にかけられたカヴァラドッシの命と引き換えに…。

石丸:そんなふたりの後ろには暖炉。火がちかちか燃えている様(さま)もリアルです。そして、その火に煽られるかのように、やりとりをする男と女。もう手に汗握りますよ、これは!
 スカルピアは卑劣で、最悪ですよね。でも、そのスカルピアの攻め方というのが憎々しいけれど、セクシーなんです。



写真左)朝岡聡さん(MC)


朝岡:オペラ史上でも1、2を争う悪役、こういったキャラクターというのは、ただ悪いだけなら誰でもできる。そこに魅力を加えるというのが、役者さんとしての…。

石丸:(腕の)見せどころですね。あ、盗もうと思いました(笑)。

朝岡:そして3幕はサンタンジェロ城の屋上にある牢屋と処刑場。

石丸:あのセット、よく見ると傾斜しているんです。その傾斜が絶妙な遠近感を生み、舞台の奥から囚人が上がってくるときの影がまさしくリアル。そこでの演出が…ゾクゾクします。
 演出という点では、今回のMET新演出版はこれまで観てきた《トスカ》の中でも一番演劇的。歌がなければ、まるで演劇を見ているようです。俳優たちがその登場人物として自然にそこにいるのです。

朝岡:オペラ通、《トスカ》ファンの方も、今回の演出は「おお!そう来たか」というところがいっぱいです。なにより主要登場人物の3人が役にハマっていますね。

石丸:3人とも歌はもちろん、演技が素晴らしい。どこの学校で勉強したんでしょうねと思うくらい(笑)。登場人物の心の中が手に取るようにわかります。そしてトスカが今までのトスカ像と違うんです。ただわがままなだけでない、そこにもご注目ください。




<METライブビューイングのお楽しみ、特典映像>


~主要3役の俳優、MET合唱指揮のD・パランボ、MET美術・衣装デザインのJ・マクファーレンのインタビューやなかなか観る機会のない舞台転換映像、幕間の客席映像など特典映像も盛りだくさん~

朝岡:特別映像ではゴージャスな客席も映りますし、幕間には、ついさっきまで歌っていた主役が「Hi~」というノリでインタビューに答えてくれています。

石丸:私、同じ俳優として勉強になりました。ああいうときにマイクを向けられてもちゃんと答えないといけないんだと(笑)。みなさん高ぶる気持ちの中でも、理路整然とお答えになる。インタビュアーもオペラ歌手なので、同じ感覚をもつ人間同士だからこその交流が見える。しかも時間ぎりぎりまでしゃべっているんですよね。次のシーン、どうするんだろうなんてちょっと心配になりました。そのくらいに臨場感のある生の声を聞けるのはとても貴重なことです。


<ミュージカルとオペラ>


朝岡:METがある街NYはブロードウェイもあるエンターテイメントの聖地です。

石丸:おそらく世界で一番賑やかで、最高が集まるエリアですね。クラシックもオペラもミュージカルも!

朝岡:ミュージカル作品へ出演する際に、オペラから学ぶところもあるとおっしゃっていましたが。

石丸:どちらも歌を介してお客様に物語を伝える。その意味では全く同じだと思います。ミュージカルは現代のオペラかな。とくにプッチーニのような感情表出の多いヴェリズモ・オペラにはそれを感じます。

朝岡:もうすぐ『ジキル&ハイド』も始まります。



石丸:はい。3月3日、雛祭りから東京国際フォーラム ホールCにて、もはやクラシック・ミュージカルになってきた『ジキル&ハイド』が始まります。みなさんご存知の小説『ジキル博士とハイド氏』がミュージカル化されたものです。ブロードウェイ・ミュージカルですが、日本でも長く愛されている作品です。(日本初演2001年)
 初演の鹿賀丈史さんからタイトルロールを私が引き継いで3回目の上演。今回、このオペラを観たことによって、より悪く、より怪(妖)しく演じてみようと思っています。


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<オペラは一度ハマると虜になる>


朝岡:オペラは主に愛の物語、悲しい結末も多いです。人はどこかで愛のために死ねたらいいな…と思っているところがある。でも、実際にはなかなかそうはいかない。だけど…

おふたり:オペラの中だったら愛のために死ねるかも…!

朝岡:ハモりましたね(笑)。

石丸:そこに大人の夢物語があるんでしょうね。


こちらも「大人の愛の物語」、石丸さんご出演のミュージカル『シークレット・ガーデン』おけぴ観劇会などの情報はこちらから




<こぼれ話>


 カヴァラドッシ役のV・グリゴーロは物語の舞台となるローマ出身。13歳の時に、ルチアーノ・パヴァロッティが同役を演じたときに、3幕冒頭に出てくる羊飼いの少年役で出演しました。パヴァロッティに「がんばれよ」と言われた少年が、今、こうしてカヴァラドッシを演じる。そこにもドラマがあります。特典映像ではその頃の写真も紹介されているとのことですよ。
METライブビューイング2017-18『トスカ』新演出
上映期間:2018年2月17日(土)~2月23日(金)
※東劇のみ3月2日(金)までの2週上映

指揮:エマニュエル・ヴィヨーム
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:ソニア・ヨンチェヴァ、ヴィットーリオ・グリゴーロ、ジェリコ・ルチッチ、パトリック・カルフィッツィ
上映時間:3時間(休憩2回)
MET上演日:2018年1月27日
言語:イタリア語

詳細はこちらから

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人

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