『PHOTOGRAPH 51(フォトグラフ 51)』開幕レポート



 ウエストエンドにて、ニコール・キッドマン主演で上演された話題作が本邦初上演!板谷由夏さん主演『PHOTOGRAPH 51(フォトグラフ 51)』が東京芸術劇場シアターウエストにて開幕しました。




 1950年代、女性科学者がほとんどいなかった時代、DNA二重らせん構造を巡る史実をもとに描かれた、ある女性科学者と、彼女を取り巻く5人の男性の物語。

 自然科学の世紀の発見をめぐるスリリングな展開もさることながら、決して交わることのない二重らせんのような人間関係の描写も見どころです。登場人物それぞれのモノローグ(回想録)とダイアローグを巧みに織り交ぜながら進む劇構造、スタイリッシュな舞台美術と照明効果なども、作品が持つ美しさを際立たせます。シアターウエストの空間で一瞬も目が離せない観劇体験。上演は、休憩なしで1時間45分です。




 「DNAの二重らせん構造」という世紀の大発見に情熱を傾けた女性科学者、ロザリンド・フランクリンを演じるのは初舞台出演となる板谷由夏さん

 純粋さゆえの頑固さのあるロザリンド。女性、ユダヤ系、科学者として平たんではない道を歩んできた彼女が生涯をかけて挑んだ研究は結晶学、そして遺伝学。研究室にこもりきりでなく、山へも足を運ぶ、そこで培った自然科学者としての哲学は彼女の仕事ぶりの美しさに現れています。初舞台ながら、揺るぎない主張、佇まいで知的なロザリンドの真の美しさを体現する板谷さんです。



 研究パートナーのモーリス・ウィルキンズには神尾佑さん、ロザリンドの指導学生で助手を務めるレイ・ゴスリングに矢崎広さん

 神尾さんが演じるウィルキンズの堅物というか古臭さ、劇中で見ると「変なプライドはさっさと捨ててしまえばいいのに」と微笑ましいのですが、ロザリンドには…。



  終始ぎくしゃくするロザリンドとモーリスの間で右往左往するゴスリングにちょっと同情(笑)


 資料のやり取りを通じて交流を深め、やがて彼女の理解者となるアメリカ人科学者のドン・キャスパーに橋本淳さん


 研究への熱、ロザリンドへの憧れ、まっすぐな青年キャスパーをさわやかに演じる橋本さん。研究上の硬い内容なのですがロザリンドとの書簡のやり取りの場面など、内面が表れる語り口なので心情が手に取るようにわかります。



 ライバル関係となるアメリカの若手科学者ジェームス・ワトソンに宮崎秋人さん


 ウィルキンズの友人でありワトソンの同僚のフランシス・クリックに中村亀鶴さん

 次世代の勢いを感じさせるワトソンを演じる宮崎さんの存在感が絶妙。髪型も(笑)。いろいろな意味でロザリンドとは対照的なキャラクターを対比鮮やかに演じます。彼を見ていると、このくらいの人でなければ世紀の発見はできないのかなと思わせる説得力!亀鶴さんのクリックは、油断ができないくせ者感が半端ないです。圧がスゴイ!!出てくる度に強烈な印象を残すので、クリックのストーリーの面白さも作品の魅力に。




 史実をもとにしたフィクションですが、創作ゆえに女性・男性というだけでなく、ユダヤ系イギリス人・イギリス人・アメリカ人・ユダヤ系アメリカ人などの対比もわかりやすく(良くも悪くも一般的に思い描く像に近いです・笑)描かれています。ほかにも理論と実験、写真と模型、自然と科学など多くの対比をもとに考察したくなる作品です。

 世紀の発見において重要な鍵を握ったX線回析写真“フォトグラフ51”。この1枚の写真が導く科学と愛。その真実の物語とは…。



 時折、自虐的になるゴスリングのモノローグ。矢崎さんの“間”がイイ!



【あらすじ】

世紀の大発見をしたのは彼女。ノーベル賞をもらったのは彼ら。

 女性科学者が殆どいなかった1950年代。ユダヤ系イギリス人女性科学者ロザリンド・フランクリン(板谷由夏さん)は、遺伝学の最先端を誇るロンドンのキングスカレッジに結晶学のスペシャリストとして特別研究員の座を得る。

 当初、彼女は独自の研究を行う予定でキングスのポストを引き受けたのだが、同僚ウィルキンズ(神尾佑さん)は、彼女を助手として扱う。そんなちぐはぐな出会いが、その後彼女たちの共同研究のチームワークの歪みを作るきっかけとなる。

 形式上は共同研究者となったロザリンドとウィルキンズだが、二人は常に衝突を繰り返す。助手で指導学生ゴスリング(矢崎広さん)がおどけた調子で2人の橋渡しを図るも、一向に効果はない。対立とは裏腹にウィルキンズはロザリンドに密かな恋心を抱くようになり、幾度も関係の改善を試みるが、敢えなく失敗。

 ロザリンドが唯一心を許すのは、彼女に憧れを抱く若きユダヤ系アメリカ人科学者キャスパー(橋本淳さん)。それもウィルキンズにとっては面白くない。子供じみた嫉妬をあらわにするが、ロザリンドにはウィルキンズの秘めた思いは全く通じていない。こんな調子であるから、当然研究も上手く運ぶはずがない。ロザリンドが特殊カメラを駆使して撮影するX線画像は明らかにDNA構造の謎解きの鍵を映し出しているのだが、協力体制の取れていないロザリンド&ウィルキンズチームはその謎の解明に到達できない。

 一方、野心家のアメリカ人若手科学者ワトソン(宮崎秋人さん)とウィルキンズの旧友クリック(中村亀鶴さん)がチームを組み、彼らもまたDNAの謎の解明を試みる。ウィルキンズを通じて、ロザリンドのX線画像の情報を入手したワトソン&クリックチームは、彼女の写真と論文を元に、ついにDNA二重らせん構造の発見に至るのだった…


【公演情報】
『PHOTOGRAPH 51(フォトグラフ 51)』
<東京公演>2018年4月6日(金) ~ 22日(日)@東京芸術劇場シアターウエスト
<大阪公演>2018年4月25日(水) ~ 26日(木)@梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

<スタッフ>
作:アナ・ジーグラ
演出:サラナ・ラパイン

<キャスト>
板谷由夏 神尾佑 矢崎広 宮崎秋人 橋本淳 中村亀鶴

作品特設ページはこちらから

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人

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