2018年夏、team SEAに続いてteam SKYの『宝塚BOYS』が始まる! 1945年から9年間、宝塚歌劇団に男子部が特設された、という史実を元に描かれた本作。2007年の初舞台化から数えて5度目の夏を迎えます。初演から演出を手掛けるのは鈴木裕美さん。
戦後まもなく、帰還兵の上原金蔵は宝塚歌劇団の創始者小林一三に宛て「宝塚歌劇団に男性の登用を」と手紙をしたためた。その手紙を発端に、劇団内、観客などの大半が反対のなか宝塚男子部が始動。そうして、上原を筆頭に集められた個性豊かな青年たちの奮闘の日々がはじまる。
「いつか大劇場に舞台に立ちたい!」、そんなBOYSたちの青春物語。
奇しくも8月15日、終戦の日に初日を迎えるのは、次世代を担う若手俳優たちで結成されたteam SKY。先日、感動のうちに幕を下ろした、本作経験者が多く集まった手練れのteam SEAとは、また別の等身大の魅力あふれる6代目となる『宝塚BOYS』ゲネプロの様子をレポートします。
team SEAの開幕ニュースはこちらから男子部一期生の上原金蔵(永田崇人さん)、歌劇団の男子部担当者の池田和也(山西惇さん)
幕開き、そこは宝塚歌劇団・稽古場。見上げるとそこには「清く正しく美しく」宝塚のモットー!稽古場へ、まず足を踏み入れたのは、永田崇人さん演じる上原金蔵。幼い頃から宝塚に憧れていたものの、召集令状に青春を奪われた上原。一通の手紙に夢を託し、ようやくここまでたどり着いた!その緊張とはちきれんばかりの胸の高まりを、身体全体で表現するハツラツとした永田さんの芝居。真面目で、あんまり器用なほうではないけれど(笑)、責任感は人一倍!そんな上原です。山西さん演じる池田さんもいいんです!人生も半ばに差しかかった男の葛藤と秘めたる情熱、グッときます。
それぞれの思いを胸に、男子部の門を叩いた青年たち
写真右より)長谷川好弥(富田健太郎さん)、太田川剛(塩田康平さん)、竹内重雄(溝口琢矢さん)
続いてやってきたのは電気屋さんで、歌うことが大好きな竹内重雄と宝塚歌劇団のオーケストラメンバーだった太田川剛、旅芸人の息子・長谷川好弥の3人。挨拶を交わし、にぎやかになった稽古場に緊張が走る!こわもてで、堅気ではない雰囲気満載の山田浩二の登場です。
写真左端)闇市の愚連隊だった山田浩二(山口大地さん)が登場
それまでの経歴も、着ているものも、手の出し方も?!、全く違う個性豊かなメンバーたち。
そして第一期生、最後にやって来たのは唯一のプロ、現役ダンサーの星野丈治。エンターテイメントの世界を知るものとしての厳しい目、“みなさんとは違います”オーラ全開の星野を演じるのは中塚皓平さん。グループのリーダーである東山義久さんから同役を引継ぎ、「そうそう!星野って、この感じ」と「オリジナリティ」の両方を持ちあわせています。
星野丈治(中塚皓平さん)
芸事に対する高い高いプライドと君原さんとのやりとりのギャップ!
こうして大劇場を夢見る青年たちのレッスンに明け暮れる日々が始まるのです。
竹内さ~ん!!
こちらは彼らが暮らす寮でのひとこま。
いつも穏やかな竹内が……なにやら思いつめたような表情。
「美しいものは美しいと、僕は思いたい」、いつも朗らかできちっとした印象の竹内、男子部の精神的支柱の彼が語気を強める瞬間が幾度かあります。その根底にある、それはエンターテイメントのあり方にいたるまでの深い思考をしっかりと伝える溝口さんの声。竹内という人物の造形が鮮やかです!
ほかにも塩田さん演じる茶目っ気たっぷりの太田川、富田さん演じる長谷川の「芝居がしたい!」、まさに人生、泣き笑い。客席ももらい泣き&笑いです。
いつでも良い報せと悪い報せが対になってやってくる。それに喜んだり、嘆いたり、衝突したり、結束したり……、月日はあっという間に経ちます。途中、男子部に新しいメンバーの竹田が加わるのですが、どうやら彼は山田と旧知の仲?!
山田(右、山口大地さん)と竹田(左、川原一馬さん)の自主練!@寮
物語がだいぶ進み男子部を取り巻く状況も行き詰まってきたところに登場する竹田。その存在が芝居のギアを1つ上げ、終盤に向かって勢いをつけていきます。竹田の出現によってもたらされる、山田の告白、それぞれにドラマを抱えた難役に真正面からぶつかる山口さん、川原さんです!
山西惇さん演じる池田とともに、男子部に寄り添ってくれる寮のおばちゃん君原佳枝。演じるのは宝塚歌劇団出身の愛華みれさん。温かく、チャーミングな君原さんです!
team SKYのメンバーは歴代キャストの中でも平均年齢が一番若いとのこと、あどけなさの残る方もいらっしゃいます。実際のBOYSも、きっと抱えきれないほどの重荷を背負わされながら自立することを余儀なくされた同世代の青年たちだったのでしょう。個の表現とチームとしての表現の両立が必要とされる本作で役を生きることに必死で食らいつく俳優たちの姿と、あの時代を懸命に生き、夢をつかもうともがいた宝塚BOYSの姿が重なります。劇中、胸が押しつぶされそうになることもありますが、いつの世も変わらぬ「男子~」なやり取りには大いに笑い、最後は晴れやかな気持ちになります。
ここで、上原役の永田崇人さんと竹内役の溝口琢矢さんからのコメントをご紹介!
【この作品に出会えた人は幸せだ】
「僕ら六期目のBOYSは、平均年齢が今までで一番若く、その分戦争から最もかけ離れている人間たちの集まりです。ですが稽古場では、皆で”苦い飯を食う”というような経験もして、それが舞台に表現されているんじゃないかとも思います。僕らにしかできない『宝塚BOYS』があると改めて感じましたし、team SEAのお兄さん達とは違う僕らのBOYS、それを発見する楽しさもあると思います。「この作品に出会えた人は幸せだ」と仰った方がいるのですが、それはご覧になる方も、そして、僕らのように関わることが出来た人間もそうだと思います。
本当に幸せだなと思える、大好きな作品です。
是非、劇場に足を運んで、一緒に青春をして頂きたいと思います」【舞台で盛大に発揮される若さとエネルギー】
「こんにちは、溝口琢矢です。『宝塚BOYS』、今回2チームあり、僕たちは“6th BOYS(ろくボーイズ)”となるのですが、とにかく緊張しております。チームでは僕と富田が最年少なんですが、メンバーはみんな凄く優しくて、崇人君含め皆で支えて下さっていて、本当にいいチームが出来上がっているんじゃないかと思っています。この若さとエネルギーは、舞台で盛大に発揮される筈ですので、是非皆様楽しみに、そしてワクワクしながらお越し頂ければと思います。
よろしくお願いします」 たくさんの死をみてきた彼らが選んだ「どう生きるか」の物語。BOYSはもちろん、池田さん、君原さんへも心を寄せたくなります。本当にこの作品に出会えて幸せです!!これからもバトンを繋いでいってほしいですね。今年の公演は19日まで東京芸術劇場にて上演、その後、名古屋、久留米、大阪へと続きます!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人