新生MAついに開幕! ミュージカル『マリー・アントワネット』博多座公演 観劇レポート

 なにもかも新しい新生MA、ついに博多座から始動!

 これはもはや新作? そう思ってしまうほど、新たな魅力に満ちたミュージカル『マリー・アントワネット』博多座公演ダブルキャスト両初日観劇レポートをお届けいたします!!


豪華なドレスで登場するマリー・アントワネット。初演版、韓国版ともまた違う“よりリアル”な生澤美子さんによる衣裳の数々。ヘアスタイルやアクセサリーも見逃せません!(マリー・アントワネット役/ダブルキャスト・花總まりさん、フェルセン伯爵役/ダブルキャスト・田代万里生さん)

演じる俳優によって、役柄の関係性も異なって見える…ダブルキャスト公演の醍醐味を大いに味わえる配役に拍手! (マリー・アントワネット役/ダブルキャスト・笹本玲奈さん、フェルセン伯爵役/ダブルキャスト・古川雄大さん)

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 初演を観た方には、もはや別バージョンといってもいいくらいに生まれ変わった新演出版。楽曲や衣裳、セットもそうですが、なにより役柄がぐっと絞られたことで、ふたりの“MA”の対比がより鮮やかになっているのが一番のポイントです!


王妃としての存在感、高貴さ、説得力抜群! 無邪気な笑顔と立ち居振る舞いひとつひとつから目が離せなくなる【花總まりさん】。王妃と民衆、それぞれがお互いのことを知らない悲劇が際立って見える花總マリー。『ベルサイユのばら』『1789』で演じたマリーよりさらに深く鮮やかにその“目覚め”を表現しています。

母、妻、そしてなによりも恋する女性として等身大のマリーを熱演する【笹本玲奈さん】。彼女もまたひとりの女性として必死に生きた…そんな思いが押し寄せます。物語が進むにつれ迫力を増す歌声の変化も素晴らしい! “MA”ふたりがはじめて心から対峙する場面、マリーとマルグリットのぶつかり合いの迫力も、ひとりの人間同士だからこそ!

パワフルかつ繊細なパフォーマンスで時代を動かす【ソニンさん】マルグリット! 『1789』のソレーヌ役とも重なりますが、革命に熱狂する民衆の姿をさらに一歩踏み込んで描く本作。似ているようで全く違う役柄をソニンさんがどう演じているのか乞うご期待!

時代に翻弄されながら、自分をしっかりと見つめる冷静さを持つ【昆夏美さん】マルグリット。物語序盤から民衆の熱狂の中に感じる小さな違和感、気持ちの揺れを丁寧に見せる演技。難曲揃いのナンバーの歌いあげもお見事! 「ミュージカルを見た!」という満足感を大いに感じさせてくれる存在になりました。

 ときに上下の関係のように見えたり、向かい合わせた鏡のように見えたり…と、組み合わせによって異なる関係性が見えてくる4人のMA。

 両初日の組み合わせは、決定的に異なる立場にうまれたふたりの対比が見事だった【花總マリー×ソニンマルグリット】と、等身大の女性として「ひょっとしたら彼女が私だったかもしれない」というテーマが浮かび上がってくる【笹本マリー×昆マルグリット】でした。

 別組み合わせで生まれるであろう化学反応、同じくダブルキャストのフェルセン伯爵やルイ16世も加わればその魅力はいったい何種類に…? これは何度でも劇場に通いたくなる誘惑にかられますね♪


10/13(土)17時@帝国劇場 おけぴ観劇会のダブルキャスト組み合わせは笹本x昆x田代x吉原x佐藤!


 シルヴェスター・リーヴァイさんによる美しく厚く迫力がある音楽の魅力はそのままに、楽曲・歌詞も大幅にリニューアル。

 迫りくる危機について忠告するフェルセンのナンバー「♪遠い稲妻」、マリーがひとりの女性として生きられたらと歌う「♪孤独のドレス」など新曲が追加され、初演から引き継いだナンバーも、歌われるシチュエーションや歌い手が変わるなど大胆な変更が。楽曲の魅力がさらに引き立つ演出にもご注目ください。

 一幕のオープニングは、フェルセン伯爵がマリーとの出会いと彼女への思いを歌う壮大なナンバーから。田代万里生さん、古川雄大さんとこちらも異なる魅力を持つおふたりのダブルキャストです。


恋人である前に王妃の立場を守る存在として、つねに毅然とした態度でマリーに接する田代フェルセン。花總マリーとの組み合わせはロイヤル感満載♪ 手に優しくキスする仕草がジェントル♪ 自制心の裏側にちらりと見える情熱的な表情もたまりません。もちろんその歌唱力は折り紙つき! 

古川フェルセンは逃れられない悲劇へと進む運命の恋人! 隠しきれないマリーへの想いが魅力的です。麗しいビジュアルだけでなく、ひとりで舞台の空気をつかむ“まんなか力”もさらにパワーアップ! オープニングナンバーも堂々と。もうひとりのMA、マルグリットとの関係性にもご注目を。…マルグリット、切ない…
フェルセンの存在感がぐぐぐっと増しているのも新生MAの大きな特徴です。


「王ではなく、平凡な鍛冶屋になりたかった」と歌うナンバーが素晴らしいルイ16世役は、佐藤隆紀さん・原田優一さんの歌ウマダブルキャスト。


歌唱はもちろん、その演技にも心を掴まれました! 王としての説得力、恋人とは違うマリーとの絆を感じさせる佐藤隆紀さんルイ。一家が幽閉されたあとに歌う「♪もしも鍛冶屋なら」で涙腺が…。

こちらはどこか飄々とした原田優一さんルイ。趣味に没頭する姿がなんともかわいい♪ それだけに彼の運命が重く切ないのです…。ヴァレンヌ事件でフェルセンの同行を断る短い演技、両ルイの違いも見どころです。


 このほか、マリーを陥れるオルレアン公爵役をロックテイストで迫力たっぷりに演じる吉原光夫さん、民衆を扇動するエベール役の坂元健児さん、マリーのヘアスタイリスト&衣裳デザイナーコンビを息ぴったりに演じる駒田一さん&彩吹真央さん、慈愛に満ちた歌声に癒やされるランバル公爵夫人役の彩乃かなみさん…と、日本のミュージカル界の実力派スターたちが集結している充実のキャスト陣。


吉原光夫さん演じるオルレアン公爵(写真中央)は野心に燃え、マリー失脚のために陰謀を企てます。初演版でカリオストロが歌ったナンバーは、オルレアンが「モラルなどいらない!」と歌う「♪世論を支配しろ」に。ど迫力の歌唱はエンタテイメントとしての魅力もたっぷり。自覚的な悪を体現する役をオルレアン公爵ひとりに集約させたことで、物語の構造がすっきりと整理され、作品のテーマがくっきりと浮かび上がります。

坂元健児さん演じるエベールは自称・詩人でジャーナリスト。マルグリットへのデレっとした態度が憎めない♪ と思っていたのも束の間。民衆を扇動する姿に恐怖すら感じる、革命の醜悪さを象徴する存在へ変貌します。

作品に軽味を与えてくれるのがマリーのファッション担当レオナール(駒田一さん)とローズ・ベルタン(彩吹真央さん)。息ぴったりのパフォーマンスが最高♪ 奇抜な衣裳と革命勃発後の変わり身&逃げ足のはやさにも注目(アデュー♪)。
写真中央は宝石商べメール役の中西勝之さん(美声もたっぷり!)、右端は慈愛に満ちた歌声のランバル公爵夫人役・彩乃かなみさん。

『1789』『ベルサイユのばら』など、フランス革命を描いた作品はたくさんありますが、本作は革命を多面的に捉えているのが大きな特徴。どの登場人物の視点から見るかによって、作品から受ける印象も変わってくるかもしれません。
(写真上部中央はロベスピエール役の青山航士さん、左はダントン役の杉山有大さん、右はマラー役の谷口浩久さん)


 同じイニシャルを持つふたりの“MA” ──フランス王妃マリー・アントワネットと、革命に生きる娘マルグリット・アルノー。激動の時代を、まったく違う立場で生きるふたりの運命が重なり合うとき、見えてくるものとは…?

 悲劇的なマリー・アントワネットの人生を、ひとつの立場からではなく、さまざまな視点から描くドラマティックなストーリーと演出は、この夏博多座でも上演されたミュージカル『1789』や、宝塚歌劇の『ベルサイユのばら』などをご覧になったことのある方にも新鮮な衝撃を感じさせるものになるはず。

 マリーの半生はほぼ史実のとおりに描かれますが、本作でおそらく唯一の創作された人物・マルグリットとマリーの重大な関係性を示唆する場面もあり(その鍵となるマリーとマルグリットのナンバー「♪明日は幸せ」に胸が震えます!)、演劇ならでは、フィクションならではの楽しみも大いに味わえる作品です。


ふたりのMA、それぞれの生き様から浮かび上がってくるテーマとは。物語のラストに舞台から問いかけられるもの。それは今を生きる私たちへのメッセージなのかもしれません。 

 ちなみに…おけぴスタッフの小さなツボは、一幕オープニングすぐにちらっと出てくるステファン人形♪ 『1789』で青春群像劇的に描かれていた新聞出版のくだりの描写はショッキング…でも目を背けてはいけない、今の私たちにも通じるひとつの真実だと感じました。

 おけぴ管理人のおすすめは、まずはなんといっても楽曲! 観劇後数日たっても鳴りやまない脳内再生♪ そして照明や衣裳の色がとっても美しいプチ・トリアノンのお庭の場面! ずーっと浸っていたい、動く絵画鑑賞のようなひととき♪ 初日を1階席、2日目を2階席で観劇したのですが、大画面映像を背景にさまざまに表情をかえる八百屋回転舞台上でのステージングは、1階席と2階席では見えてくるものががらっと違ってきておもしろいです! 宝石商べメール役の中西勝之さん(オペラ出身の美声♪)、ダントン役の杉山有大さん(革命裁判シーンで美声もたっぷり)のシーンも個人的にとてもお気に入り!
 
 ほかにも、革命と洗濯や編みものが同じ次元で存在する女性たち(ベルサイユへの行進の描かれ方に込められた皮肉…!)、場面や心情に合わせたマリーの衣裳やヘアスタイル、『レ・ミゼラブル』『1789』などを見た方には、役柄と演じるキャストのシンクロ・組み合わせの興味深さ! オーケストラの音の厚み(指揮は塩田明弘さん♪ パーカッションは長谷川友紀さん♪♪)などなど…語りポイント多数! のミュージカル『マリー・アントワネット』は、9月30日(日)まで博多座にて上演中。その後、10月8日(月)から11月25日(日)まで帝国劇場、12月10日(月)から12月21日(金)まで御園座、そして年明け 2019年1月1日(火祝)から1月15日(火)まで梅田芸術劇場 メインホールにて上演されます。



新生MAの新しい旅の始まりをぜひその目で耳で! 劇場でお確かめくださいませ!!





【新演出版の日本初演となる博多座公演。スペシャル企画が実施されています!】
▽【新演出版日本初演記念スペシャル企画①】限定オリジナルステッカープレゼント
※終了しました

▽【新演出版日本初演記念スペシャル企画②】イニシャル「M.A」さん 博多座へようこそ!
9月14日から30日までの博多座公演期間中を通して、イニシャル「M.A」の方とそのお連れ様(2名様まで)に上記オリジナルステッカー7種類セットをプレゼント!
スペシャル企画詳細はこちら


【博多座公演ダイジェスト映像も公開されました♪】
ミュージカル『マリー・アントワネット』おけぴ観劇会は、
10月13日(土)17時 帝国劇場にて開催!




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【公演情報】
ミュージカル『マリー・アントワネット』
2018年10月8日(月)~11月25日(日)@帝国劇場

[福岡公演]2018年9月14日(金)~30日(日)@博多座
[愛知公演]2018年12月10日(月)~12月21日(金)@御園座
[大阪公演]2019年1月1日(火祝)~1月15日(火)@梅田芸術劇場 メインホール

<スタッフ>
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:ロバート・ヨハンソン
   遠藤周作原作「王妃マリー・アントワネット」より

<キャスト>
マリー・アントワネット:花總まり、笹本玲奈
マルグリット・アルノ-:ソニン、昆夏美
フェルセン伯爵:田代万里生(福岡、東京のみ出演)、古川雄大

ルイ16世:佐藤隆紀、原田優一
レオナール:駒田一
ローズ・ベルタン:彩吹真央
ジャック・エベール:坂元健児
ランバル公爵夫人:彩乃かなみ

オルレアン公:吉原光夫

ロアン大司教:中山昇
ギヨタン博士:松澤重雄
ロベスピエール:青山航士
ラ・モット夫人:真記子

荒田至法/石川剛/榎本成志/小原和彦/川口大地/杉山有大/谷口浩久/中西勝之/山本大貴/横沢健司
天野朋子/石原絵理/今込楓/岩﨑亜希子/首藤萌美/堤梨菜/遠山さやか/原広実/舩山智香子/山中美奈/吉田萌美

マリー・テレーズ:叶英奈、髙畠美野、吉田 空
ルイ・シャルル:陣慶昭、寺崎柚空、長堀海琉

公演HPはこちらから

舞台写真提供:東宝演劇部
おけぴ取材班:おけぴ管理人、mamiko

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