日本青年館ホールにて上演中のミュージカル『タイタニック』、観客が乗客になっていくさまを体感するオープニングから、一幕では、まるで世界の縮図のような3つの階級に分けられた豪華客船の乗客たちや、そこで働く人々の背景が描かれます。
そして、誰もが知るタイタニック号が辿る運命を印象付ける一幕ラスト。
二幕は氷山に衝突してからの数時間がギュギュっと濃縮され、ありとあらゆる「人間の顔」が現れます。なかには目を背けたくなるような顔も……。一人ひとりが生と死の狭間に立ち、そこで何を思い、何を選択していくのか。
みなさまから寄せられた感想をフォトコールのお写真を交えてご紹介いたします。
開幕レポ第一弾~トム・サザーランドの言葉~はこちらから「派手な舞台装置や、舞台換えは無かったのですが、身分の違いや、その時のそれぞれの想いなどがよく分かり、じわじわと感動が押し寄せました。タイタニック号が氷山にぶつかってからは、人の心の醜い部分も見えてきて、辛くなりましたが、一等客ストラウス夫妻が船に残り最期のデュエットを歌った場面では、涙が止まりませんでした。楽曲が素晴らしかった事もあり、余韻の残るミュージカルでした」
「二幕の緊迫した場面で『誰のせいだ!』とスミス船長・鈴木壮麻、アンドリュー設計士・加藤和樹、オーナーのイスメイ・石川禅の力強い三重唱のなか、通信士のブライド・上口耕平が極限の中で、SOSを打ち続ける場面が印象的。その後のアンドリューのソロも胸を打つ」船主イスメイはタイタニック事故の責任を問う裁判の席で、夢にあふれた出航の日へ思いを馳せる……
イスメイを責め立てる人々の向こうには、アンドリュー設計士とスミス船長の姿が。
こうして観客は“あの日”へ誘われるのです。
「有名な映画とは違ってセットはシンプルですが、それぞれの人間模様が、美しい旋律とともに歌い上げられます。よく観るとキャストが一人何役もやっていて、色々な階級の登場人物を次から次へと演じています。あれ、ついさっきこの人出ていたのに、裏で早替え大変だろうなあ……なんて見るのも面白いかも」
「夢や希望を乗せたはずのタイタニックが沈没するとき、極限の中で見える深い愛情、おろかさ、悲哀など、人間の生きざまが見える、群像劇としての力を感じました」ボイラーマンのバレットと通信士のブライド、職種も性格も真逆ともいえる二人の心の交流は名シーンの1つ!
「藤岡さんの歌声がホール全体に広がって素敵でした。人間の嫌な部分、でもそれ以上に素晴らしい部分が見られて感動しました」
「あまりにも有名な事故で、結末がわかっているので、一つ一つの台詞が、終末に向かって進んでいることをひしひしと感じながら観劇しました。
主役が誰とかではなく、一人一人に人生があり、それぞれの夢や生活や思いがあり、一人一人が生きたいと願い、自分以外の誰かのことを気にかけ、その人を思う。まさに群像劇だと思いました。そんな中でも、老夫婦の毅然とした最期や、乗組員の責任感、優しさ等に心を揺さぶられました。また、今回、嫌な役ですが、石川禅さん船主が、冒頭、目に涙をいっぱいにためて歌うシーン、ラストのシーン、助かった彼は一生、重い後悔の中で生きていくことを実感させられました。
キャストの皆、歌が上手く、声も素晴らしいので、そんなところもこの作品を素晴らしくしているのだと思います」
「バレットとブライドが歌う♪プロポーズは本当に名曲!内向的で頭脳派のブライドが見せる茶目っ気、肉体派のバレットが恋人へ伝える優しく甘い言葉。それが美しいメロディに乗せられて。またこのコンビで見られて幸せです」若きクルーたち!
船員たちの夢と誇りを乗せて船は出航!
「映画とはひと味違う、群像劇でした。タイタニック号の乗組員側、乗客の一等客から三等客、オーナーとそれぞれにスポットがあたり息つくひまなく一幕が終わり、二幕は沈没までの緊迫した人間模様が繰り広げられラストの大合唱では涙が溢れました。
加藤和樹さんの、一幕での押さえた演技から、最後の爆発までの演じ分けが素晴らしいと思いました。霧矢大夢さんがいい味を出されていました。シンプルな装置なのに豪華客船に見えてしまうのがスゴイ!と思いました」
「タイタニック号の悲しい航海のお話ではありますが、この航海の中に人生がぎゅっと詰め込まれた素晴らしいミュージカルです。
『この時ああすれば良かった』『お前が悪い』『貴方に一生添い続ける』など、様々な人間の感情、命を乗せて船(話)は進んでいきます。ちょっと人生考えさせられちゃいます」三等客の3人のケイト。
二等客乗船!好奇心旺盛で有名人大好き!上昇志向の新しい女性像を象徴するアリスと実直な夫。
幸せな結婚を夢見る二人には秘密が……
「正直、テニミュのキャストさんが多数ご出演されているからという軽い気持ちで見に行きました。
たとえ私のように軽い気持ちで観てもそれを凌駕するミュージカルでした。
キャストさんお一人お一人のスキルが高く、全員がこんなに歌が上手なミュージカルは初めてかもしれないと思いました。シンプルなセットの狙いはここかもしれませんね(笑)。
ちょっとだけネタバレですが、開演前から加藤さんが舞台に登場されている演出にびっくりしました。それに付随して、開演アナウンスや公式ツイッターの客もタイタニック号の乗客として扱っていただいている所に感激しました」
「一幕は、この新しい船のお客様や関わる人たちの、立場や心情を、台詞よりも歌で、表現されている群像劇。歌うまの役者さんばかりだったので、耳福でした。二幕になると、氷山にぶつかったことで、沈没していく船のなかで、描かれる、人間の愛とエゴ。一幕とは、がらりと雰囲気が変わり、緊張感が漂い、この先の結末を知っていても、グッと引き付けられました。設計士を演じる、加藤さんの力強い演技が素晴らしかったです」
「相葉さん演じるチャールズの印象が、血気盛んな若者(もうちょっと冷静になればいいのに)から、覚悟を決めた男のたくましさに鮮やかに変化!それがキラキラとした軽やかな声から、肝の座った太い声での呼びかけ(歌)という声の変化で表現されていて、グッときました。沈没までの数時間で、人間として成長した若者もいたのだなと……涙」一等のなかの一等!ストラウス夫妻、ご到着!
一等客にもいろいろなタイプの人が、どうやらこの男はあまり好感度が高くないらしい……アリス的に(笑)。
「演者ひとりひとりがそれぞれ引き立っていて、とても良かったです。
ただし、結末を知っている有名なお話だからこそ、随所で涙を誘われます。特に二幕!涙なしには観られません。また、加藤さん鈴木さん石川さん3人のシーンは圧巻でした」
「映画「タイタニック」といえば、スペクタクル超大作。その題材を舞台でどう表現するのだろう、と楽しみに観劇。舞台セットは超シンプル。あとは照明と音響だけで、迫り来る恐怖と絶望、凍えるほどの寒さを見事に表現していました。
演者の皆様の歌唱も素晴らしく、今回初めて注目した役者さんもたくさんいらして、これからの観劇の楽しみになりました」いざ出航!
観劇後、オープニングの写真を眺めると、その一枚一枚から無限のドラマがよみがえります。この出会いが……、この笑顔が……、この船が……。一人ひとりの人生が愛おしくなるのです。そして、イスメイを見つめる彼らが言わんとしていたことも、また、明確に観客に突き刺さるのです。
生死の境で彼らが見たものは、そして観客である私たちに受け渡されたものは。
ミュージカル『タイタニック』は、10月13日まで日本青年館ホールで、10月17日~22日は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演です。
感想寄稿:おけぴ会員の皆様
おけぴ取材班:chiaki(編集・撮影) 監修:おけぴ管理人