『大貫祐一郎 CD発売記念 1stソロライブ』ピアニスト大貫祐一郎さんインタビュー♪

 今年5月にCDアルバム『夜想曲~ねむれぬ夜に~』をリリース、11月5日には『大貫祐一郎 CD発売記念 1stソロライブ』開催が決まったピアニストの大貫祐一郎さんにお話を伺いました。



──まずはCD『夜想曲~ねむれぬ夜に~』制作の経緯からお聞かせください。

 僕が長年お世話になっている歌手の菅原洋一さんの奥様から、ピアノソロのCDを作りませんかとお声がけいただいたことがきっかけです。ここ6,7年の間に3枚ほど菅原さんのCD制作にピアノで参加してはいましたが、僕のソロCDと言われても、最初はピンときませんでした。果たして、それを買ってくださるような奇特な方はいらっしゃるのだろうかと(笑)。でも、奥様の本気の言葉に力をいただき、挑戦してみようと決心しました。

──『夜想曲~ねむれぬ夜に~』というテーマ、収録曲はどのように決まりましたか。

 制作にあたってのコンセプトはクラシック曲と映画音楽曲を入れようというのが第一にありました。そこで奥様の方から、「シェルブールの雨傘」「ロシアより愛をこめて」「ひまわり」はどうかとご提案をいただきました。その3曲は、過去に菅原さんが歌われ、僕が伴奏する形でやったことのある曲でした。それをピアノソロで弾いてみてはどうかと。ほかにも何曲かリクエストをいただいたものに加えて、僕が弾きたい曲をリストアップしました。

 迎えたレコーディング日。実は録れるだけ録ってみようと、朝10時ごろから、夜の11時ごろまで一日で17曲録音しました(笑)。そして、後から聴いてどの曲を収めるか選ぼうかと思ったのですが、結局全部収録しましょうということになりました。

── 一日でそんなに?!ちなみにそれだけ弾くと、翌日、「腕が重い……」となるのでしょうか?

 それはなかったですね。イレギュラーと言えるほど長時間弾いたことにはなりますが、ひとりで心のおもむくままに弾いていた。無理をしていなかったからでしょうね。
 そして、お気づきかもしれませんが、この時点では、まだ『夜想曲』というアルバムタイトルは決まっていなかったんです(笑)。

 実際に録音した音源を聴いていくとピアノ一本でしっとりしているから夜“ねむる”のにいいね……なんて話していたら、『夜想曲』があるじゃないかと!そして副題も自然に決まり『夜想曲~ねむれぬ夜に~』となりました。その『夜想曲』ですが、実はこの曲だけクラシックの譜面そのままに弾いています。その曲がタイトル曲というものなかなか面白いのではと思いまして。


──それぞれの曲に思い入れがあると思いますが、中でもこだわりの一曲は?

 『交響曲2番 第3楽章』(ラフマニノフ)です。もともとは“交響曲”とあるとおり、ピアノ曲ではないのですが、僕自身この曲が大好きなんです。10分以上ある楽曲を6分ほどにアレンジして弾きました。有名な曲なので、ご存知の方も多いと思いますが、ピアノ一本でこの曲というのも新鮮にお聴きいただけるんじゃないかな。

──オーケストラのための曲をピアノで弾く際の準備は。



 正規(既存)の譜面を見て弾くのですが、収録のために譜面を書くことはしません。元の譜面を前に、その中から音を選んで自分なりにアレンジしながら弾いていきました。そうやって弾いたところ、そのままだととてもねむれる曲とは言い難いですが、心地よくねむれる感じに仕上がりました。

──ある意味、即興と言えるのでしょうか。

 その要素もあります。

──そうして完成したCDがみなさまの元へ届いているのですね。反響は?

 『愛の夢』(リスト)のように、途中ガシガシ弾いているところもあって、「ねむれないんだけと……」ということを何人かの方から言われましたが……(笑)。お手にしてくださった方に安眠をもたらすことを祈ります。


──そして、11月にはCD発売を記念したソロコンサートの開催が決定しました。

 今、セットリストなど構成を考えているところですが、CD収録曲17曲すべてを弾くと、お客様がねむってしまう恐れがありますので(笑)、CDの曲とほかにも……と思っています。

──“1st”ソロコンサートです。

 ライブステージの経験はありますが、これまでは歌手の方のサポートの仕事をやってまいりましたので、お客様は常にその歌手の方をご覧になる。僕は、その方が輝くように一生懸命仕事をするというスタンスでした。今回は、お客様が僕を観にいらっしゃる……そこには不安を禁じ得ないですね(笑)。
 もちろん楽しみでもあるんです。皆様の前でピアノを弾くということについてはなんら問題ないと思います。ただ、MCとか、お客様は楽しんでくれているのだろうかとか、「弾く」こと以外が心配です。おそらく、精神的には、ピアノを弾いている間は安定、MCで不安定となることでしょう。生まれたての仔鹿のように震えているかもしれません(笑)。


──お話という点では、井上芳雄さんとのラジオ『井上芳雄 by MYSELF』(TBSラジオ)で毎週鍛えられているかと思いますが(笑)。



 あの方のMCは天才的ですから。ラジオの様子は、おそらく僕とディレクターが一番近くで見ていますが、本当に勉強になります。MC師匠とお呼びしたい(笑)。

──そんな狙いもあっての大貫さんの番組への起用だった可能性も!?

 いやいや(笑)。最初はピアノを弾くだけですからと言われて始まりましたから。ただ、番組が始まればブースの中にはディレクターを除くと、僕と芳雄さんしかいませんからね。芳雄さんに話しかけられ、相槌を打ったりしていたのが、やがてひと言、ふた言話すようになった。そうすると、ある日、僕の横にマイクがセットされていた。そうして1年半経った今では普通にしゃべっている。それには僕もびっくりです。それは芳雄さんの腕と、回を重ねていくなかで築いた二人の距離感、時間をかけた賜物です。


──そしていよいよMCもソロデビュー!井上さんからは?

 激励とかですか。特にはないですね(笑)。「あ、やるんですか。頑張ってくださいね」というくらい。結構さっぱりした方なんです(笑)。

──わからないですよ。MC師匠として内心ドキドキされているかも(笑)。一方で?!彩吹真央さんと木村花代さんが応援に駆け付けてくださることも発表されました。

 ふと思ったのは、それまでは孤独との闘いで、お二人が登場した瞬間に「誰かとしゃべりたかった感」が溢れだすんじゃないかな。それを心の支えに頑張ります。

──CDアルバム発売、ソロコンサート開催(祝完売!)ときて、これからの展望は。

 せっかくこのような機会をいただいたので、これからもソロでどこまで出来るかという道も模索していきたいと思います。

──今回は既存曲を集めています。オリジナル曲の作曲というのは。

 実は、僕はピアノ曲の作曲はしていないんです。それは、自分はサポートミュージシャンだと思っていたので、作曲という概念がなかったから。裏を返せば、伴奏譜はクラシックの譜面のようにすべての音が書かれているわけではなく、歌のメロディとコードしか書いてないんです。つまり、伴奏譜を見ながら、僕は常に作曲しているともいえるんです。
 ですので、人生初の作曲は井上芳雄さんへ提供曲です。詞を先にいただいて、創りましたが、作曲も楽しいなとそのときに感じました。機会があったらこれからもやっていきたいと思います。


── 少し話題を変えて、大貫さんがピアニストを目指したのはいつ頃ですか?



 ピアノで生きていこうと思ったのは中学生の頃です。高校生になると、それまで教わっていた先生のさらに先生(大学教授)を紹介していただき、3年間個人レッスンを受けるようになりました。そして、その教授のいる音楽大学に進学したという王道です。
 何か大きなきっかけがあったというわけではないのですが、きっとピアノが性分に合っていたのでしょうね。

──努力と才能があって、こうして夢をかなえられたのですね!

 そう言っていただけると言葉はいいのですが、単に人との出会いの運がよかったんです。
それだけですよ。師匠に出会い、菅原さんをはじめとする歌手の方に引っ張り上げていただき、縁がどんどん広がって、今に至る。うまく言えませんが、みなさん良くしてくださって。

──ご本人を前に言うのも失礼かもしれませんが、もしや「人たらし」的な……?

 確かに、仕事に関してはそういうところがあるのかもしれません(笑)。そうやってみなさんに甘えながら、助けられながら、今の僕がいます。これまで支えてくださった方にも、これからの活動を通して恩返しをしていければと思います。


──最後に、ソロコンサートへ向けての意気込みを!



 なにせ初めてのことなので、僕自身も不安ですが、きっとお客様もどうなるのだろうかと思われているでしょう。今回は、そのドキドキもみなさんと共有できればと思っています。本番ではきちんと皆様をアテンドできるように……MC、頑張ります!一緒に楽しい時間を過ごしましょう。

──後にも先にも“初”は一度きり!思い出深い、素敵なコンサートになることを楽しみにしています。


大貫祐一郎【作曲・編曲/音楽監督/ピアニスト】

1976年東京生まれ。7歳からピアノを始め、三澤慶子氏、深井克則氏に師事。
洗足学園大学音楽学部ピアノ科卒業。在学中にNHK公開生放送、NHKホールにて前川清、田代ユリらと共演。卒業後もペギー葉山、菅原洋一、雪村いづみ、天童よしみ、五木ひろし、叶正子、サーカス、クミコ、大橋純子、布施明、渡辺真知子ら多数のアーティストと共演している。シャンソン、ジャズ、ポップス、演歌と様々なジャンルで編曲依頼を受け、スタジオワークやライブ、大型コンサートにもピアニストとして参加。近年では井上芳雄、彩吹真央、フィリップ・エマールとの共演をきっかけにミュージカルや舞台、さらにテレビ、ラジオにも活躍の場を拡げている。

≪公演情報≫
「大貫祐一郎 CD発売記念 1stソロライブ」<SOLD OUT>
【出演】Pf. 大貫 祐一郎 / [バンド]Ba. 村上 聖、Dr. 堀越 彰 / [友情出演]彩吹 真央、木村 花代
【日時】2018年11月5日(月) Open 18:30 / Start 19:30
【会場】eplus LIVING ROOM CAFE & DINING(渋谷区道玄坂2-29-5 渋谷プライム5F)

【チケット】センター席 6,000円、サイド席 5,500円(全席指定・税込・飲食代1フード1ドリンク別途)
【一般発売】10月7日(日)10:00~

【主催】グランアーツ / 【共催】イープラス・ライブ・ワークス
【問い合わせ】イープラス・ライブ・ワークス TEL:03-6452-5650(平日11:00~18:00)

公演詳細ページはこちらから


≪CD情報≫

『夜想曲~ねむれぬ夜に~』 大貫祐一郎のリリカルなソロピアノで聞くクラシックと映画音楽の名曲達。
【価格】2,000円(税込) / 【発売日】 2018年5月 【発売元】 スガワラ企画
グランアーツオンラインショップ http://shop.grand-arts.com/shopdetail/000000000100


≪会場限定企画≫

当日、物販コーナーにて『夜想曲~ねむれぬ夜に~』をご購入いただいた方を対象に、ライブ終了後に大貫祐一郎のサイン会を開催予定です。詳細は後日グランアーツのホームページ等でお知らせいたします。

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人

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