南座『初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演』渋谷天外さん、藤山扇治郎さん、久本雅美さん取材会レポ


写真左から:藤山扇治郎さん(祝♪ご結婚!)、劇団代表の渋谷天外さん、7度目のゲスト出演となる久本雅美さん

 大規模改修工事を終え11月に新開場した南座で、来年1月1日から『初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演』が上演されます。

 公演を前に、渋谷天外さん、藤山扇治郎さん、久本雅美さんが、見どころや南座への思いなどを語りました。



天外さん:「私も64歳。『お祭り提灯』でいつまで走れるかが課題です。劇団の若い世代も育ってきてますから彼らに期待も込めつつ、この役はまだしばらく頑張らせていただければと」

 新開場となった南座での元旦からの公演に「ありがたく、光栄なこと」という天外さん。

 先日発表された「今年の漢字」が「災」だったことに触れ「ほんとうに災害が多く大変な1年だった」と振り返りながら、「来年の干支はイノシシ。亥年というのは無病息災の年だそうです。お正月から八坂神社にお参りして“災”を振り払い、帰りに南座で初笑い。笑うと免疫力が上がって健康になると言います。笑う門には福来たる、年のはじめに大いに笑っていただきたい」と呼びかけました。

 今回上演されるのは、天外さんが「いまの言葉で言うなら“鉄板”」と自信を見せる松竹新喜劇の傑作二作。

 大金を目の前にして、ふと気が迷ってしまった善人と、強欲な金貸し、そして町内の人々が、金の隠された提灯をめぐり劇場中を走り回る『お祭り提灯』は、天外さんが「今後、全公演でやってもいいのではと提案している」という松竹新喜劇の代表作の一つです。

 「以前観たことがあり“ネタ”も“オチ”もわかっていても、やっぱり笑っていただける。演じる私らも何度やってもおもしろい。劇場中がひとつになって楽しめる芝居です」



久本さん:「『裏町の友情』は笑って泣いて感動する芝居。『お祭り提灯』は笑って笑ってスカッとして終わります。2つの違いを楽しんでいただける贅沢な笑いです」

 もう一本の『裏町の友情』「大好きなお芝居」というのは久本さん。

 「初めて松竹新喜劇に出させていただいたとき、WAHAHA本舗で下ネタを担当している私が松竹さんのような品のあるところに行って大丈夫か、いじめられてるんちゃうかと、うちの劇団の柴田理恵がえらい心配しまして。それがこの『裏町の友情』を観て大感動して「あんたこの作品に出させてもらって良かったな!!」と号泣しながら楽屋に来ました(笑)。そのくらい名作だと思います」
 
 3年前の新橋演舞場公演に続き、金貸しおぎんを演じる『お祭り提灯』についても、「走り回ってスコーンと終わる、あの気持ちよさが大好き。小学生くらいのお子さんでも、この芝居が大好きで、“お祭り提灯”と聞いただけでテンションが上がってしまう子がいる(笑)。前回も、最後のオチがついたところでスタンディングオベーションになりお客様がなかなか帰らなかったことがあった。今回も初笑いしていただけること、間違いなしです」と太鼓判を押しました。



3年前と同じく『お祭り提灯』の丁稚役で走り回る扇治郎さん。
「入団したときは体重が50kgちょっとしかなくてガリガリだった。いまはすこし体格も良くなりました。同じ役での成長を見ていただきたい」

 新しくなった南座で一番嬉しいのは「エレベーターがついたこと」という扇治郎さん。「これでお年を召したお客さんでも、2階席や3階席に楽に上がれます」

 また、歌舞伎以外のお芝居での初舞台が南座で縁を感じるとのことで「直美のおばさん(藤山直美さん)が出ていた『夫婦善哉』というお芝居に小学3年生のときに出させていただきました。おばさんと手をつないで劇場に行って、楽屋ではチョロチョロ走り回ってよく叱られました(笑)。前々回の改修工事が昭和4年で、祖父の藤山寛美が生まれた年。その後、前回の改修工事が始まる前の平成2年に亡くなっているんです。ですからおばも南座にくると祖父のことを思い出すようで“大好きな劇場やねん”と申しておりました」と思い出を語ってくれました。


扇治郎さん:「ほかに南座の思い出といえば…劇場の向かいにあるレストラン菊水さん。僕は公演がないときにも通っていますが、新喜劇の公演中はレストランもさらに盛り上がるのでは。それから劇場の隣の松葉さんのにしんそばに…」
天外さん「もう、ええわ(笑)!」


 ゲスト出演7回目、もはや準劇団員の雰囲気も漂う久本さんは、若い頃から憧れていた南座の舞台にお正月から立てることを「女優冥利に尽きる」と真摯な表情で言い切ります。所属するWAHAHA本舗の観客の中には久本さんが出演することで初めて松竹新喜劇を観て、すっかりファンになった方もいるそうで「私、そうとう貢献していると思います(笑)」と会場を笑わせました。

 さらに、3年前の松竹新喜劇公演で初めて南座に出演したときに、友人がたまたま乗ったタクシーの運転手から「南座に久本さんが出はるんですよ。きっとお正月から笑かしてくれますわ!」と嬉しそうに言われたというエピソードを明かし、「今この話をしながら、私もまた泣きそう。感動しました」と感慨深げな様子でした。



久本さん「松竹新喜劇はとにかく“本”が素晴らしい。現代風の笑いのアレンジをしても根底にぶれない土台がある。伝統と新しいもののバランスが絶妙」
天外さん「彼女の笑いは、われわれとは違うアプローチですが、でも芝居の枠から決してぶれない。懐にドカンと入ってきてくれる。七転八倒…ではなくて八面六臂の活躍です!」

 と、ここで…先日、元宝塚歌劇団星組トップスターの北翔海莉さんとの結婚を発表した扇治郎さんに質問が飛びます。
 
久本さん:
 記者のみなさん、今日の目的はやっぱりそれですよね。(扇治郎さんに)はよ喋れ!(笑)

天外さん:
 もう完全に顔、ゆるんでしまってるやん。


 さあ、ここからは取材陣からだけでなく、共演者からも容赦なく質問やつっこみが続く、扇治郎さん結婚秘話をどうぞ♪

記者:
 ご結婚されてなにか変わったことは?

扇治郎さん:
 いやあ、ひとりのときとそんなに変わらないですよ。でも環境が変わると人間も変わると言いますから、自然に私生活がお芝居に反映されたりすることもあるかもしれませんね。離れているときでも「いまどうしてるかな」なんて考えたりもしますし。とはいえ、なにより自分自身の頑張りが一番大事ですので、結婚しても変わらず一生懸命に芝居に取り組んでいきたいと思います。

天外さん:
 奥さまは元旦の初日から楽日までずっと南座に来はるそうです。これ、ご本人(北翔海莉さん)からお聞きしました。毎日楽屋で彼の芝居を見るそうで…(扇治郎さんに)ほんま、幸せやなあ。(久本さんに)私もあんたもいま独身やのに(笑)。

久本さん:
 ふたりが出会った舞台(『蘭~緒方洪庵 浪華の事件帳』)に私も出ていたんです。それなのに、なーんにも教えてもらっていなかった。それが舞台が終わってある日突然、扇ちゃんから電話がかかってきて「ねえさん、私ごとですが…」って。もうそれ聞いただけで「結婚やろ!」とピーンと来ました。「相手はどなた?」「北翔海莉さんです」って、もう「ええええーーーっ!」ですよ。もうね『蘭』やなくて『乱』や。私の心が乱れました(笑)。そのあと話のついでに「僕いま朝ドラ出てます」と言われて、「お前の人生“まんぷく”やな!」と電話を切らせていただきました(笑)。
 お相手の北翔さんは芝居も素晴らしいし、舞台以外のこともなんでもできるしっかりした方。稽古中もずっと北翔さんが彼の横についてくれはって、のど飴くれたり、次の出番を教えてくれたりと、なんやかんやと世話を焼いてくれはって、まるで保護者のように面倒を見ていたんです。舞台化粧からなにからきっちり教えてもらって、道具の片付けまで…ほんとうに母親のようでしたよ。それが、なにがどないなってこんなことに(笑)。私は北翔さんのファンでもありますので「結婚してもぜったいに舞台を続けてくださいね」とお願いしました。ご本人は「落ち着くまでは扇治郎さんを支えたい」とおっしゃっていましたけど。

記者:
 お付き合いが始まったのは…

扇治郎さん:
 (即答で)6月3日からです。『蘭』が終わったのが5月20日。翌日が祖父の命日でお墓参りに行き、そこでいろいろ考えまして、意を決して「お会いしてお話したいことがあります」と電話しました。それで6月3日に新幹線で東京に行き「僕と結婚を前提にお付き合いしていただけないでしょうか」と伝えたんです。びっくりしていましたが、すぐに「はい。いいですよ」とお返事をいただいて。

久本さん:
 即答してくれはったん? …それは稽古中からお互い好意を持っていたということやな。

扇治郎さん:
 いや、ぼくは最初はあくまでも尊敬の念、ということで…

久本さん:
 いや、だっておかしいやろ? きっと向こうも待ってはったんやわ。あんた鈍感すぎるわ。

扇治郎さん:
 公演中は本当になにも…

久本さん:
 確かに、扇ちゃんが北翔さんになついて可愛がってもらってるなと思っていましたけど、身長差もあるし、弟がお姉さんに甘えてるという感じ。それになんといっても宝塚のトップスターさんですから、このちびっこ(笑)がいくらなついたところで相手にされないだろうと。それがまあ、うまいこと噛みつきよって(笑)。北翔さんにしてみたら、沼に入ったら知らない間にヒルに血ぃ吸われてたみたいなもんや。

扇治郎さん:
 彼女はほんとうに仏さまみたいな人。僕は犬みたいなもんなので、犬が仏さまになついて真剣になってしまったということで…

久本さん:
 あんた、その例え、めっちゃへたくそ(笑)。でもね、この人はほんとうに素直でかわいいんです。母性をくすぐるんやと思います。北翔さんはしっかり者の姉さん女房。扇治郎さんの芸も結婚を機にますます磨かれていくと思います。

司会:劇団創立70周年、南座新開場、そして元旦からのこの公演が、また新たなおめでたい話題となりますよう…

天外さん:
 もしかしたら来年は「渋谷天外・久本雅美、結婚!」となるかも…?

久本さん:
 ぜったい、あらへんわ(笑)!
 



 『初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演』は、南座で2019年1月1日から8日まで上演。初日には出演者による館前ご挨拶、元旦から3日までの午前の部開演前には藤山扇治郎さんほか若手劇団員による「しころ太鼓」も披露されます。

 初詣とあわせて京都で初笑い! 公演詳細はこちらをご覧ください。

 ♪さらに詳しい作品の見どころ、創立70周年を迎えた劇団への思いなどをお聞きした渋谷天外さんインタビューも近日掲載予定です。

【公演情報】
南座新開場記念
劇団創立70周年
初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演

2019年1月1日(元日)~8日(火) 南座

【演目】
一、裏町の友情
とある裏町にある隣どうしのクリーニング屋と炭屋の店主達は、親の代からの喧嘩友達。クリーニング屋は忙しく繁盛していますが、炭屋の経営は時代の流れに飲まれ、火の車。息子の急逝や嫁いだ娘の出戻り、借金も重なり、ついに住み慣れた自宅を手放す決意をします。人づてにこの話を聞いたクリーニング屋の店主は、そっと金の工面を試みますが、ここは狭い世間。この「そっと」が上手くいかず、またいつものように喧嘩が始まることに。さて、二人の結末やいかに・・・。

現代では希薄になってきたご近所付き合い。近所の教室から聞こえる民謡にのせて人情溢れる一作をお楽しみ下さい!

二、お祭り提灯 劇中 新年ご挨拶申し上げ候
お祭りの日、提灯屋の徳兵衛は、寄付集めにきた世話人が落とした財布を拾います。それを偶然見かけた高利貸しのおぎんは、横取りしようと言葉巧みに徳兵衛に詰め寄るものの追い返されてしまいます。財布の置き場に困った徳兵衛は店先の提灯に隠しますが、女房がへそくりと勘違いして腹いせに場所を移してしまい、そのせいで、人々が振り回される羽目になり・・・。

人の心にある我欲ゆえにお金に翻弄されてしまう様子を描いた、松竹新喜劇屈指の爆笑喜劇の代表作。財布の行方を追って花道を何度も往復する様はまさに必見!


【出演】
渋谷天外
藤山扇治郎

曽我廼家八十吉
江口直彌
川奈美弥生
曽我廼家玉太呂

髙田次郎
井上惠美子
小島慶四郎
 
久本雅美
大津嶺子
曽我廼家文童

公演詳細
松竹新喜劇公式サイト

おけぴ取材班(mamiko)  監修:おけぴ管理人

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