今年、芸能生活25周年を迎える彩吹真央さん!1994年に宝塚歌劇団入団、2010年の退団まで、男役スターとして活躍。退団後はミュージカルやショー、さらにストレートプレイと幅広く活動されています。年明けまで上演されていたミュージカル『マリー・アントワネット』の華やかで、ちょっと毒のあるローズ・ベルタンも新鮮でした!
4月に開催される、丸の内・コットンクラブにて
彩吹真央25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」(ルプランタン)、3月に開幕する次回ご出演作ミュージカル『Red Hot and COLE』についてお話をうかがいながら、“表現者・彩吹真央”の魅力に迫りました。
【25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」開催】
まずは4月開催のライブから。彩吹さんの25周年記念!ゲストのみなさんも、ご出演順に鈴木壮麻さん(19日1st)、鳳蘭さん(19日2nd)、篠井英介さん(20日1st)、小松亮太さん(20日2nd)、田代万里生さん(21日1st&2nd)と多彩です!
──芸能生活25周年、そして、彩吹真央25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」(ルプランタン)開催もおめでとうございます。ゲストの顔ぶれもとっても豪華です。 まずこうして25周年を迎え、ライブを開催できることをとても嬉しく思います。そして出演をご快諾してくださった、錚々たるゲストのみなさんにも感謝申し上げます。
──大変魅力的なみなさんですが、まずはこの方から、鳳蘭さんです。 恐れ多くも鳳蘭さんといえば、宝塚の大先輩です。鳳さんは、私が宝塚を退団してから、初めて舞台作品でご一緒した宝塚の先輩。共演が決まり、ご挨拶に楽屋にうかがったとき、廊下の向こうから歩いて近づいて来られる鳳さんを見て、「オーラって本当にあるんだ。目に見えるんだ!」と思ったことを、今でも鮮明に覚えています。そして初共演の『COCO』に続き、『ラブ・ネバー・ダイ』初演でもご一緒する機会に恵まれ、プライベートでも親しくお付き合いさせていただいています。私が悩んでいると、いつも勇気づけてくださるんです。お互い関西出身なので、普段は関西弁でとても気さくに接してくださいます。
その『COCO』でも、今(『Red Hot and COLE』)も、ほかにも『シラノ』『エンド・オブ・ザ・レインボー』『サンセット大通り』と、本当にたくさんの作品でご一緒しているのが鈴木壮麻さん。とくに『エンド・オブ・・・』は、私にとっても挑戦の作品でした。そこで役柄上も親密な関係を築いた大変お世話になっている先輩です。篠井英介さんには『グローリアス!』で、たくさんのことを学ばせていただきました。バンドネオンの小松亮太さんとは、こちらも思い出深いTango Musical『ロコへのバラード』でご一緒しました。田代万里生さんも、『シラノ』『サンセット大通り』『ラブ・ネバー・ダイ』『マリー・アントワネット』と共演機会がとても多い俳優さんです。
──そして、共演だけでなく意外な共通点も! ミュージカル『エリザベート』のルドルフ(田代さん)やフランツ(壮麻さん、田代さん)、『ファントム』のキャリエール(篠井さん)など、同じ役演じたことがあるというのも、男役出身ならではですよね(笑)。
──こうしてお話をうかがっていると、まさに彩吹さんの宝塚退団後の歩みをひも解いていくような顔ぶれです。女優人生、もうすぐ10年が経とうとしています。 本当に私にとって大切なみなさんです。退団後、最初の1,2年くらいは、「まだ女優としては新人です」という感じで、初めてのことばかりで少し身構えていたところがありました。でも、3年目を過ぎると、そうも言っていられず。たくさんの作品に出会い、経験を重ねながら、あっという間に9年経ちました。その積み重ねが自信に繋がるところもあるのですが、やはり技術面も精神面もまだまだ。共演するみなさんに刺激をいただく日々です。
今回、ゲストとしてお迎えするのは、年下の万里生くんも含め、経験豊富で尊敬する方々です。これから、この方々を目指して挑戦していきたいという、私自身の決意も込め、みなさんにゲスト出演をお願いしました。25周年は一つの区切りですが、“これから”へのスタートでもあります。
【ライブは100%彩吹真央!】
──女優としての活動に加え、ライブ活動も積み重ねていらっしゃいます。 鳳蘭さんにいただいた「歌は歌っていきなさい。財産になるから」という言葉。それが私の中にずっとあり、歌で表現する場を持ち続けようという思いに繋がっています。今は2年に一度くらいのペースで、周りのサポートを受けながら、私自身でテーマや構成を考えたライブを開催しています。「こんなことがやりたい」、それをただの自己満足にならないように、お客様に楽しんでいただけるエンターテイメント性も持ち合わせたものにしなくてはならない。そうやって自分自身を見つめ直し、どんな切り口があるかと考えることで得られるものは、女優としての自分を成長させる要素の一つでもあります。と言いつつ、私自身が一番楽しんでいるということも否めませんが(笑)。
──役を纏わない、その時の“彩吹真央”さんが投影されているとも言えます。 100%、私ですからね。たとえば4年前に初めてコットンクラブで開催したライブは、「私、女優です!がんばります!」の塊でした(笑)。今思うと、すごく背伸びをしていたなと。でも、それが、あのときの私の意気込みだったんですよね。
──今回のライブについて、少し具体的に。昨年の大貫祐一郎さんの1stライブにゲスト出演されたときに聴いた、彩吹さんのシャンソンがとても素敵でした。今回も期待してよろしいでしょうか! ふふ、タイトルもフランス語ですしね(笑)。これまでのライブでも少し歌ったことはありますが、今回は、シャンソンに造詣が深い音楽監督の大貫さんご指導のもと、本格的に挑戦してみようと思っています。年明けまで出演していた『マリー・アントワネット』、そして『Red Hot and COLE』などパリを舞台にする作品に関わることも多くて。そんなご縁も感じながらフランスにフォーカスを当ててみようと思いました。
【色彩豊かな表現者】
──タイトルはフランス語で「春」。 私がこの時期にライブを開催したいと思ったのは、“彩吹真央”が生まれた、つまり宝塚歌劇団に入団したのも春、そして巣立ったのも春だから。私にとって大きな節目になることが多い春に、新たな一歩を踏み出すライブを開催したいと思い、タイトルも春にしました。
──25周年を経た、これからについて。 この25年、私が一貫して行っていることは、舞台に立つということ。それはこれからも、私の根底にあって、決して揺るがないものです。ただ、それを当たり前にせず、目標や夢を明確にしながら取り組んでいきたいと思っています。私は、平坦な道を歩くのではなく、一段でも上がりたい、もっと言うならば山を登っていきたいんです。
そのひとつには、演じたことのない役を演じたいという思いがあります。25年という舞台人としての人生、そこに私自身の人生を重ね合わせた、今の私だからできる役に出会っていきたいと思います。同時に、もうできない役もあります。でも、それはネガティブにはとらえていなくて、心からありがとうと言いたいんです。これまで演じてきた全ての役は私の中に、経験、思い出として蓄積されているのです。それを感じられるからこそ、過去を振り返ることなく、新しい役との出会いにワクワクするのです。
──どんな役との出会いが待っているのか、私たちも楽しみです。 欲を言うと(笑)。どの役でも「彩吹さんにピッタリですね」と言ってもらいたいけど、もうひとつ先の、「この役は彩吹さんじゃなきゃ!」と言ってもらえるくらいの、決定版みたいな役に出会いたいという思いも持っています。
──私の中で、ジュディ・ガーランドは彩吹さんじゃなきゃ!です。(『エンド・オブ・ザ・レインボー』) ありがとうございます!私にとっても大切な役の1つです。まだ彼女が亡くなった年に達していないので、また演じることが出来たらいいなと思います。
── 一方で、『グローリアス!』や、今回の『Red Hot and COLE』のように、1つの作品で複数の役を演じることもあります。そういった作品との出会いがもたらすものは。 役者として試されていると、大きなやりがいを感じます。役者にとって、いろんな色を出せるのは強みであり、必要なことでもあります。私の中で、それが顕著に表れるのが歌。この曲を歌っても、あの曲を歌っても、全部同じように聴こえると思われたくありません。そこでは単に声色を変えるだけでなく、その役、その曲の心情になり、その結果として声がこう変わるよねという、根底のところから役を演じ分け、歌い分けたいと思っています。
そのためには私自身の内面が豊かでないといけない。ひとりの人間として、いいことだけでなく、ネガティブな感情も含め、もっともっと自分自身を耕したいと思っています。
──彩吹さんは、その名のとおり色彩豊かな表現者です。 “彩吹真央”という芸名は自分でつけました。そのとき、真っ先に「彩」という漢字が思い浮かびました。色とりどりな表現をしたいという、自分の願望がそこに表れていたのでしょう。そしてそれは、願望であるとともに、自分に課していたことでもあります。今、お話していて、そのことを思い出しました。
──ちなみに初舞台のことは覚えていますか。 もちろん!宝塚に入ることだけを夢見た少女でしたので、初舞台は「夢が叶った瞬間」。その前に、音楽学校合格がありましたが、その次といえば、やはり大劇場の舞台に立った初舞台の初日。とてもしあわせな瞬間でした。
それと同時に、音楽学校に入るときには、自分の後ろに多くの涙を飲んだ少女たちがいた。彼女たちの思いとともに、自分がこうして舞台に立ち、照明を当ててもらい、お客様に拍手をいただいている。私が二度受験に失敗していたということもあるのかもしれませんが、それまでの苦労とともに、涙と汗を流した友達のことをすごく思い出しました。その気持ちは大事にしなくてはいけないと、今でも思っています。そして、その頃から母が常々言っている「周りの人を大切にしなさい」という言葉。それは肝に銘じています。
──素敵なお話をありがとうございます。これからの彩吹さんが見せてくださる“色彩”も楽しみにしています。【『Red Hot and COLE』】
──次回出演作『Red Hot and COLE』はアメリカの作詞・作曲家コール・ポーターの人生を描いたミュージカルです。 私、ライブでは、毎回必ず彼の楽曲を歌うほどコール・ポーターが好きなんです。
出会いは、宝塚の大浦みずきさん主演の『キス・ミー・ケイト』観劇。なんて素敵なミュージカル、音楽なんだろう!と思い、調べたところ、コール・ポーターという人物にたどり着きました。同じ6月9日生まれということにも、勝手に(笑)運命を感じて、ますます好きになりました。そこから、舞台や映像でコール・ポーター作品を観たり、レコードを聴いたり。宝塚に入る前から好きだったんです。ミュージカルだけでなく、映画音楽でも名曲を残したコール、スタンダードナンバーとなったものも数多くあります。そうやって音楽が生き続けているというのはすごいことですよね。私としては、常にコールの音楽が流れる現場というだけでウキウキしますね。
本作は、そんなコールの音楽で彼の人生を描く作品。出演者の多くはコールにまつわる人物を複数役演じますが、私が演じる役のひとつがブリックトップ。彼女は歌手であり、ボードビリアンであり、ナイトクラブの所有者です。彼女の店に芸術家たちが集い、パーティーを繰り広げる。コールと同じ時代を生きた女性アーティストです。
──舞台となるのは、いわゆるロストジェネレーション、独特の美学のある時代です。 コールの半生を描いた映画『五線譜のラブレター』も好きで何度も観ていますが、アメリカの芸術家たちがパリへ行き社交界を賑わし、現代へと繋がる芸術の転換期となった、あの時代独特の活気が好きなんです。とくに象徴的なのは、女性のファッション。時代を物語るファッションですよね。一方で、社会全体は戦争へと向かっていく。彼らも、ただ楽しくピアノを弾き踊っていたわけではない。人間の光と影が色濃く表れる時代。そこに魅力を感じています。
──(ちょうど取材時は歌稽古中、「キス・ミー・ケイト」のコーラスに入れるだけで幸せ!と瞳を輝かせる彩吹さん)本作音楽監督の岩崎廉さんとも音楽の魅力について語り合ったとか。 一度聴いただけで忘れられないコールの楽曲。歌稽古をしながら廉さんがお話してくださったのは「歌詞とメロディが同時に生み出されていたんじゃないか」ということ。そう思えるほど、歌詞とメロディの一体感があり、だからこそ聴いているだけで幸せになるのかな。ドラマ性はもちろん、素敵な音楽に満ちたとっても贅沢な舞台になりそうです!
──楽しみですね!コール・ポーターの人生ドラマが彼の楽曲で綴られるというのはワクワクします。
ミュージカルやストレイトプレイなどの舞台を中心に、歌手や声優としても人気を集める彩吹真央が芸歴25周年記念公演を3日連続で開催する。彩吹真央と縁のあるスペシャル・ゲストをショウごとに迎えた、文字通りのスペシャル・ライブ。華やかな音楽と軽快なトークによる、極上のひとときに浸りたい。(HPより抜粋)

『Red Hot and COLE』は、ポーターが愛したパーティーを舞台に、彼と愛妻リンダの不思議な関係や、その数奇な人生が描かれる。もちろん全編を彩るのが、優雅かつ艶やかな名曲の数々だ。
そしてこれを歌い踊るのが、8名の素晴らしいパフォーマーたち。それぞれの個性と実力を生かして、豪奢なパーティーを存分に盛り上げてくれるだろう。 (HPより抜粋)
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おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人