夏休み、少年2人は車で旅に出る。
思春期特有の疾走感と切なさがつまった、ひと夏の冒険譚。
『チック』 公演詳細決定!2017年に日本初演を飾り、その年の数々の賞を受賞した、
ドイツ発少年二人の瑞々しい冒険譚、待望の再演!
柄本時生/篠山輝信
土井ケイト/那須佐代子/大鷹明良
演出:小山ゆうな今年7月、シアタートラムに、あの“チックとマイク”が帰って来る! 世界中で愛されている児童文学書「Tschick」(邦題「14歳、ぼくらの疾走:チックとマイク」作:ヴォルフガング・ヘルンドルフ)を舞台化した『チック』は、14歳の冴えない少年マイクとロシア移民の転校生チックの2人の少年が、無断で借りた車で夏休みに旅をするというロード・ムービーさながらの物語です。
2011年にドイツで初演、翌シーズンではドイツ国内で最も上演された舞台作品となり、現在でもなお上演の度にチケット完売が続くなど、大成功を収めています。初演同様に、翻訳・演出を手掛けるのはドイツ出身の演出家・小山ゆうな。2017年にはその功績が評価され、数々の賞を受賞しました。
チックとマイクを演じるのは、ピュアでありながら“出口のない”思春期まっただ中の少年を演じ、等身大の演技で評価を得た、初演と同じ柄本時生と篠山輝信の二人。さらに、チックとマイクの前に現れるゴミの山に一人住む不思議な少女イザには土井ケイト、マイクの父親や彼らが旅先で出会う強烈な個性の複数の登場人物を演じる大鷹明良らが初演に引き続き出演、そしてマイクの良き理解者でありながらお酒の力を借りられないと生きていけない母親役や、旅先で出会う世話好きな女性たち等の複数の役に、新たに那須佐代子を迎えます。
思春期特有の胸の痛みや、ピュアでストレートな感情表現、大人になればなるほど生きることが下手になっていく辛さが、あらゆる年齢層のお客様の心に響く作品となり、初演をご観劇されたお客様から再演を希望する声が多く寄せられました。
彼らの背景にある複雑な家庭環境、そして世界が抱える移民問題をも映し出す、普遍的でありながらも同時代作品ならではの刺激に満ちている『チック』。
世界中で愛される本作の再演にどうぞご期待ください!
【ストーリー】
マイク(篠山輝信)は14歳、ベルリンのギムナジウムに通う8年生。アルコール依存症の母(那須佐代子)と、その母と喧嘩ばかりで家庭を顧みない父(大鷹明良)、そして気になる女の子だけでなく誰からも見向きもされない、あだ名もつけられない退屈な学校生活……“出口なし”の日常に嫌気がさしている。
ある日そんな生活に大きな風穴をあける、転校生チック(柄本時生)がやってくる。彼はロシアからの移民らしく、風変りで得体のしれない雰囲気をかもしだしている。夏休みが始まり、いつにも増して最悪な気分のマイクの元に、チックは突然車を乗りつけてきた。
―どっか連れて行こうか?乗れよ―
チックが無断で借りてきたオンボロ車、ラダ・ニーヴァ(ロシアのSUV)に乗り込み、チックのおじいさんが住んでいるというワラキア(ルーマニアの地方、またはドイツ語で「僻地」という意味)を目指し、2人だけの旅が始まる。
見知らぬ大家族の家で味わう見たことも聞いたこともないけど“めちゃめちゃ美味い”料理、ゴミ山で出会う格好は汚いけど利発な少女イザ(土井ケイト)、いきなり銃撃してきたあとに昔話をするフリッケじいさん……旅先で出会う、一癖も二癖もある人たち。
チックとマイクは、旅の中で、これまで見えていた世界とは違う新しい景色と出会っていく。
【小山ゆうなさんからのコメントが届きました】
小山ゆうなさん(演出)
自分の演出作品が再演されるというのは初めての経験で、とてもうれしいです。この『チック』という戯曲はすごく自由度が高くて、初演時は信頼できる俳優陣や舞台美術の乘峯雅寛さんをはじめスタッフの方々からもたくさんの素敵なアイディアをもらいましたが、今回も新たに那須佐代子さんをお迎えすることで、より作品世界が広がるんじゃないかと楽しみにしています。
また登場人物たちも、変り者の転校生・チックが全世界的な問題になっている「移民」であるという背景や、まさに彼女を主人公とした昨年12月公演の戯曲リーディング『イザ』で語られた少女・イザの過去と内面の葛藤などの設定を踏まえて、キャラクターひとりひとりをさらに掘り下げて、初演をご覧いただいた皆さんにもより楽しんでいただけるよう、ブラッシュアップしていきたいと思います。
主人公は感性のビビッドな14歳の少年たちですが、当たり前に存在する普遍的なマイノリティの疎外感や思春期特有の複雑な心境が繊細に描かれているので、同年代の学生さんはもちろん、その年齢を通り過ぎ、日々の仕事や生活に悩みを抱えている大人の皆さんがご覧になっても、しみじみと共感でき爽やかな気持ちでお帰り頂ける作品により一層進化させていけるのではないかと思っています。是非たくさんの方にご覧頂き、その度に新たな反応や発見のある、風通しのよい舞台を創っていきたいと思っています。(談)
【受賞歴】
第25回読売演劇大賞優秀演出家賞
第10回小田島雄志・翻訳戯曲賞(小山ゆうな)
第25回読売演劇大賞優秀スタッフ賞(乘峯雅寛)
この記事は公演主催者からの情報提供によりおけぴネットが作成しました