彩吹真央25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」レポート~挑戦は続く~

 4月19日~21日、丸の内コットンクラブにて、彩吹真央25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」(ルプランタン)が開催されました。ゆかりのあるゲストとお客様と共に作り上げられる心地よい空間。「おめでとう」「ありがとう」の温かい気持ちで満たされた会場の空気はまさに春爛漫。ポカポカとあたたかい気持ちになりました。

 おけぴスタッフが鑑賞した鈴木壮麻さんゲスト回を中心に、自然体とドラマティックが共存する心地よいライブの模様をレポートいたします。


【はじまりはフレンチ】


M1:すみれの花咲く頃
M2:宝塚シャンソンメドレー(ラ・メール~枯葉~パリに帰りて~ヌ・ム・キテ・パ~Les Comediens)




 ミュージカル『マリー・アントワネット』、『Red Hot and COLE』などフランスを舞台にした作品への出演が続いている彩吹さん。本ライブのタイトル「Le Printemps -春-」(ルプランタン)もフランス語ですね。そんなフランスの風、春の息吹を感じるオープニングは「春 すみれ咲き 春を告げる~」宝塚と言えば!の一曲♪すみれの花咲く頃(フランス語バージョン)です。ちなみにフランス語指導は同じ事務所のフィリップ・エマールさん!この日、会場に駆けつけていたフィリップさんに「来てくれてありがとう!フィリップにフランス語での歌唱初披露を聞かれるのはちょっと緊張しました(笑)」と言う彩吹さんですが、フィリップさんからは「完璧」のお墨付きをいただいていましたね。会場にも『春』来ました~!!
 この日の装いも春を感じさせるやわらかなピンクのパンツスーツ。そして、隠しきれないスタイルの良さ!

 そして、シャンソンメドレーへ。♪Les Comediensでは歌詞に合わせポケットから華麗にお花を出すなどマジック(的な・笑)も披露!「緊張していますね、みなさん」そんな彩吹さんの言葉通り、序盤はわくわくと緊張の入り交じる会場でしたが、コミカルでノリの良いナンバーでお客さんも巻き込んでいき、空気をほぐす。エンターテイナー彩吹真央を感じました。


M3(日替わり):この世にただひとつ(『心中・恋の大和路』より)/Oh クラウディア
M4:Night and day


 宝塚歌劇団時代の曲をもう一曲♪この世にただひとつ、こちらは直近の2作で共演し、この日客席にいらした彩乃かなみさんの「ゆみこさん(彩吹さん)のこの曲が好き!」のひと言がきっかけになったとか。なるほど!素敵です。言葉の説得力がすごい。彩吹さんは歌に乗せて言葉を届けることに長けていることをこの一曲で痛感しました。
 続いては♪Night and day、インタビューでも“愛”を熱く語られていたコール・ポーターの名曲です。彩乃さんとも共演された、コールの人生を描いた『Red Hot and COLE』も記憶に新しいですよね。それだけでなく宝塚時代はもちろん、これまでのライブなどでも数々のコール・ポーターナンバーを歌われている、彩吹さんを語るにおいて欠かせないクリエイターのお一人です。


【退団後の足跡】


M5:それでも私はバラを愛した(『Indigo Tomato』より)
M6(日替わり):彼こそ奇跡(『シラノ』より)/Jo soy maria(『ロコヘのバラード』より)
M7:Come Rain Or Come Shine(『End of the RAINBOW』より)




 続いては宝塚を退団されてからの出演作より4曲。お芝居のシーンが蘇るようでもあり、今の彩吹さんの表現でより一層楽曲の魅力が増しているようでもある。最近、特に思うことですが、彩吹さん、歌唱力にもともと定評がありましたが、ここにきて歌唱力&表現力の進化がすごくないですか!

 特に印象的だったのが、♪それでも私はバラを愛した です。この曲は、昨年上演されたミュージカル『Indigo Tomato』で、女性の心を持って生まれた男性、ローズさんが自らの生き方を歌う壮大なナンバーです。親の望む通りには生きられなかった悲しみを抱いて強く生きていくローズさんの思いが胸を打ちます。そして、彩吹さんの代表作とも言える、ジュディ・ガーランドの人生を描いた『End of the RAINBOW』からの楽曲も!


【ゲストコーナー】


M8:Point of no Return(『オペラ座の怪人』より)
M9:出待ち入り待ち


 『End of the RAINBOW』の流れから登場したのは、この回のゲスト鈴木壮麻さんです。壮麻さんは同作で、ジュディに寄り添い、支えるアンソニーを演じました。「ジュディ~」という呼びかけに、彩吹さんは「壮麻さんにそう呼ばれると涙が出てきちゃう」と。初演、再演と名コンビを組んできたお二人の並びに、ジュディの苦悩やアンソニーの優しさを思い出し、こちらも泣きそうでした。

 というのも束の間。あっという間に彩吹さんと壮麻さんの「爆笑!二人のビッグショー(仮)」の始まりです!

 ひとつの話題が予想を超える広がりを見せるお二人のトークは爆笑に次ぐ爆笑。今回、ゲスト出演をご快諾してくださった壮麻さんとデュエットでどの曲を歌うか、ソロでは何を歌っていただくかという相談を兼ねたお食事でのエピソードをご紹介。音源を持参してくださった壮麻さん。用意したソロ曲を聞いてもらおうと、お店にわざわざプレイヤーを持ってきてくださった。というお話から……壮麻さんによる会場アンケートが始まりました。「ダウンロードとかできなくて。みなさんもCD、MD世代でしょ!それともカセット派?!」、会場全体が笑いに包まれるも迫り来るタイムリミット。お話の面白さもさることながら、楽しくお話される壮麻さんと、「あ、そのお話はまたの機会にゆっくりと!」と進行しようとする彩吹さんのやり取りが楽しい!そして、お互いに信頼関係があるからこその丁々発止のやりとりを笑顔で見守るお客様。なんて素敵な空間なのでしょう。

 そんな?!お二人なのですが、いざ歌唱タイムとなると場の空気は一転!デュエット曲は『オペラ座の怪人』より♪Point of no Return。




 ちょっと意外と思われた方も多いのではないでしょうか。ご存知の通り、壮麻さんはかつて怪人役を演じられましたが、彩吹さんのクリスティーヌ!それもこの曲でくるとは!!彩吹さんは初めて歌われたとのことですが、お二人の声の相性はもちろん醸し出す雰囲気がイイ。ピンと張り詰めた緊張と官能を併せ持つ、いろんな意味でドキドキするひと時でした。

 そして、ソロ曲は壮麻さん自作の♪出待ち入り待ち。

 「彩吹真央さん、25周年おめでとうございます。そして、そんな彼女を見守ってきたファンのみなさんへ、この曲を」だなんて。もう、その言葉で涙腺が……という方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。あなたを見送り席につく、あなたを見送り家路につく。宝塚在団中から、ともに歩んできた25年。それぞれにファン歴というものはあると思いますが、応援してくださるみなさんと共に重ねた年月、素敵ですね。


【これからの彩吹真央】


M10:生命(『SMOKE』より)
M11:ビアン・ダンセ
M12:黒い鷲
アンコール:愛の旅立ち


 ゲストコーナーが終わると、黒のドレスを纏った彩吹さんが登場。ナチュラルな前半からガラリと雰囲気が変わり、思わず息を飲む美しさです。



 ここからは彩吹さんのこれからが詰まった3曲。次回出演作『SMOKE』より♪生命。そのタイトル通り、生命の源たる大きな包容力を感じさせる歌唱に『SMOKE』への期待高まる高まる!そして、♪ビアン・ダンセ、♪黒い鷲、そしてアンコールの♪愛の旅立ち まで音楽監督・ピアノの大貫祐一郎さん率いるバントのみなさんと奏でるシャンソンの世界。

 中でも♪黒い鷲 は圧巻でした。まるで演劇を観ているような感覚。大きなものに挑む強さ。起承転結が語られる曲ではないのですが、その人の人生ドラマに惹きつけられるような。よく言われることですが、その人の来し方が表れるのがシャンソンだなと感じました。これからも行くわよ!という覚悟のようなものを感じました。彩吹真央の♪黒い鷲、その初演を見たという感じ。これからもこの曲を歌い続けていきたいと話す彩吹さん、5年後、10年後にどんな♪黒い鷲 を魅せてくれるのか。楽しみです!

 25年というのは、長い年月。それでも、まだまだ歩みを止めることなく挑戦し続ける表現者彩吹真央さんの来し方と行く末、その両方を感じることのできる25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」でした。


【ゲストコーナー】


 初日2ndステージのゲストは宝塚の大先輩でもあり、『COCO』『ラブ・ネバー・ダイ』で共演された鳳蘭さん。シャンソンの名曲 ♪歌い続けて をソロで、デュエットは ♪愛あればこそ(『ベルサイユのばら』より)。おおお!!





 2日目1stステージのゲストは篠井英介さんです。
 デュエットは♪You Are My Own(『ファントム』より)、お二人は『Glorious!』で共演されていますが、実はもう一つ共通点があり『ファントム』のキャリエール役を務められたということ。篠井さんのソロはエディット・ピアフの♪ミロール。鳳さんに続き、彩吹さんがこれから挑戦していきたいとお話されているシャンソンの名曲です。素敵な先輩がたからの贈り物のようにも思える選曲です!





 2日目2ndステージゲストは『ロコへのバラード』でご一緒されたバンドネオン奏者、小松亮太さん。ソロは♪リベルタンゴ(すごい好き!)、競演はもちろん♪ロコへのバラード。





 3日目は田代万里生さん!『シラノ』『ラブ・ネバー・ダイ』、最近では『マリー・アントワネット』など数多くの作品で共演されたお二人がデュエット曲に選んだのは。♪世界が終わる夜のように(『ミス・サイゴン』より)というのもある意味サプライズ!一方で田代さんのソロは♪マリー・アントワネット(『マリー・アントワネット』より)と待ってましたの一曲。





 こうして宝塚退団後の作品でご一緒された方をゲストに迎えた25周年ライブ。改めて多彩・多才な顔ぶれがそろいましたね。そして客席はどの回もファンのみなさん、宝塚時代の仲間をはじめとする俳優・スタッフでいっぱい。これも彩吹さんのお人柄ゆえですね。

 改めまして、25周年、おめでとうございます!


彩吹真央さんロングインタビュー~25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」&『Red Hot and COLE』~
【公演情報】
彩吹真央25th Anniversary Live 「Le Printemps -春-」(ルプランタン)
2019年4月19日(金)~21日(日)全6公演@丸の内コットンクラブ

<出演>
彩吹真央

4月19日(金)
[1st.show] open 5:00pm / start 6:00pm ゲスト:鈴木壮麻
[2nd.show] open 7:30pm / start 8:30pm ゲスト:鳳蘭
4月20日(土)
[1st.show] open 3:00pm / start 4:00pm ゲスト:篠井英介
[2nd.show] open 5:30pm / start 7:00pm ゲスト:小松亮太
4月21日(日)
[1st.show] open 3:00pm / start 4:00pm  ゲスト:田代万里生
[2nd.show] open 5:30pm / start 7:00pm  ゲスト:田代万里生

バンド:大貫祐一郎(音楽監督/p)
坂上領 (fl,EWI) 齋藤隆広 (g) 村上聖 (b) 足立浩 (ds)

写真提供:グランアーツ
おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人

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