7年前の初演から、いつか沖縄でこの作品を!『木の上の軍隊』、ついに悲願の沖縄公演実現!

 井上ひさしさんが病床でも最期まで取り組んでいたテーマが「オキナワ」。この二人の兵士の逸話『木の上の軍隊』は、井上さんの原案、その思いを蓬莱竜太さんが引継ぎ、2013年、2016年、そして今年と上演が重ねられてきました。上演を重ねるごとに作品は磨き上げられ、分断はより鋭利に突き刺さり、肌で島の風を感じる…リアリティを増す深化に、後ほどご紹介するおけぴ会員のみなさんから寄せられた感想も熱を帯びています。



 そんな『木の上の軍隊』が6月26日に沖縄で上演されます。目の前に広がる野営地が大きくなり、やがて基地となる。そして、今もなおそこにある。「オキナワ」まさにその地で上演されるこの演劇が何を生みだすのか。

 本土出身の上官を演じる山西惇さん、島の青年・新兵を演じる松下洸平さん、お二人それぞれに背負うものも計り知れないものがあり、大きな挑戦になると思います。ガジュマルの精を演じる沖縄出身の普天間かおりさん、ヴィオラ演奏の有働皆美さんが奏でる歌、音楽もまた違った響きがあるかもしれません。

 東京での公演よりキャパシティもだいぶ大きくなった劇場での公演も予定枚数完売との報も届くほどに、たくさんの方の思いが結実した『木の上の軍隊』沖縄公演。この公演を支援するクラウドファンディングはこちらから。6月16日(日)23:59まで受付中(チケットのリターンも!)

 公演をご覧になった方も、そうでない方も、演劇力を信じるこの挑戦へご興味がありましたら上記サイトをご覧ください。


 東京での公演をご覧になったおけぴ会員の皆様からの感想、舞台写真をご紹介いたします。



◆初演、再演、再再演と観てきました。どんどん進化し、山西さんの上官はまさに上官、松下さんの新兵は第一声を聴いただけでそのアクセントが沖縄そのもの。演技も素晴らしく、素朴で純な沖縄の新兵そのものでした。普天間さんの木の精、有働さんのヴィオラと4人で素晴らしい舞台を創り上げていました。どっぷり木の上の軍隊の世界にいた2時間でした。

◆沖縄へはリゾートでしか訪れたことはなく、青い海 白い砂浜 広い空の印象ばかりですが、ビーチでのんびりしていても米軍機の轟音は響いてきます。「木の上の軍隊」はそんな私に当事者意識の有無を突きつけてくるので、観劇後はミュージカルを見た後のようなスッキリとした解放感はありませんが忘れてはいけないことを再確認させられます。沖縄公演が成功しますように。沖縄の方々の感想が楽しみです。

◆期待通り、いや期待以上。そう簡単には要約できそうもない深く重いテーマをわかりやすく面白く伝えてくれるという、こまつ座の真骨頂を素晴らしい美術やキャストと共に堪能できました。苛酷な現実が滑稽なドラマに結晶する瞬間の切り取りが見事です。ラストの轟音がいまだに頭に残ります。山西惇さんと松下洸平さん、なんという魅力的な凡人を描き出してくれたことか。普天間かおりさんの歌も心に刺さりました。




◆松下洸平さん演じる島出身の新兵の「無垢」さに胸を打たれました。新兵が、山西惇さん演じる本土出身の上官に対して「結局この島の人間じゃないあなたは島の姿が変わってしまっても悲しくないんだ」と責めるシーンは印象的です。歴史上の戦争の話ではなく、今現在も続いている問題であることを強く考えさせられました。決して重すぎず、笑えるところもたくさんあり、とても楽しかったです。

◆沖縄戦を舞台に終戦後も巨大なガジュマルの木の上で2年間戦い続けた上官と新兵。二人の関係性は個人のものとしても痛みがありますが、そのまま「内地」と沖縄の関係をも表わしています。今も戦後が終息していない沖縄の現状を思う時とても息苦しいですがその傷と痛みを今全ての日本人が共有するべきというメッセージを受け取りました。

◆初演、再演と観てきましたが、今回、この状況下でぜったい上演せねば!という意気込みがひしひしと感じられる、迫力ある舞台です。メッセージ性がより直截的に、鋭くなっていて、もどかしくも「よそ者」であることを否めない自らに痛く突き付けられます。「島」がこんな有り様にされていることが(島の人ほどは)「悲しくない」ことを正直に自覚しつつ、でもその悲しみを何とか共有しようとすることから始めよう!




◆戦争状態の闘争と生存本能がむき出しになった人間の自然状態、敗戦に向けた沖縄の問題、占領と忘却の問題、敗兵となった兵士のアイデンティティクライシス、あらゆるテーマが重層的に語られ、そして生存し記憶を受け継ぐという結論に向かっていく、本当に素晴らしい演劇だった

◆物語の舞台は第二次大戦末期の沖縄でありながら、問われていることは現代の沖縄をめぐる問題となんら変わりがないということ。日本人であれば、だれもが自分事として向き合わなければいけない問題だと言うことを肌で感じる作品。あらゆる年代の方にお勧めしたいです。

◆登場人物の上官と新兵という関係性にいくつもの意味が込められ、話を追ううちに決して他人事ではないと戒められて胸が痛みました。だからといって全編通してシリアスな雰囲気かと言えば違い、むしろ笑いを誘う場面もあり少し救われました。二人それぞれのセリフがとても印象深く舞台の世界に自然と入り込めたのはよかったです。語る女、ヴィオラのおふたりや舞台美術、照明もすごく効果的でした。

◆客席に入場した途端、舞台上のガジュマルの木に「これだな!」と期待大です。演者の台詞が一つ一つ沁みてきます。更に普天間さんの琉歌が良いです!




◆戦争ものということで「重い舞台なのかな」と不安に思っていましたが、そこはベテラン山西さんと松下君の掛け合いでクスリと笑える所もありほっとしました。リアルな木のセットは圧巻ですね。 山西さんの演技は素晴らしく日本国軍人としてのプライドやどんどん堕落していく様は可笑しくもあり哀しさも感じました。人間らしかった。松下君は沖縄の子にしか見えず、まっすぐな瞳や言葉が心に刺さりました。観ている時よりも後々じわじわ考えさせられています。観て良かった舞台でした。

◆まず、舞台中央にそびえ立つガジュマルの樹に圧倒された。その樹を中心に縦横無尽に、時に熱く、時に静かに、時にユーモラスに、動き語る2人の凄烈としか言いようのない演技。そして語り部の美しく切ない歌と七変化。素晴らしかった。我々は選択出来ない、そして押し付けられたものに依存し、憎みながら信じるという台詞には沖縄の問題を改めて考えさせられると共に、今だからこそ、この舞台が発信することの意味を感じた。




◆戦争の悲惨さを感じ、平和が一番!って感想になるのかと想像していたが、まったく違った。現代に生きる自分自身が感じる漠然とした不安(上手く言えないが社会のおける個人の弱さ、価値観の不安定さ)とシンクロして、なんだか怖かった。最後の爆音はとても印象的。キャストと演技も素晴らしく、ぜひ一人でも多くの方に観て頂きたい作品です。

◆前回の公演よりもより分かりやすくなっていた気がします。高校生の息子を連れて行きました。自分では教えてあげられない事をこの公演から何か感じてもらえたら、と思います。最後の暗転での爆音、あれを聴くだけでもハッと心にくるものがあります。

◆凄い。何だか分からない不安を感じる今だからこそ観て欲しい、観ないといけない舞台だとヒシヒシと感じた。若い人に観て感じて考えて欲しい。

◆2016年にも見ましたが、改めて心にグサッとくる台詞がたくさんありました。新兵が上官に言う、2人の決定的な違い「最後は悲しくない」沖縄の抱える状況に思いを馳せるけど、
結局当事者でない自分に言われているようで、ハッとしました。松下さんの新兵は、前回も思いましたがハマリ役!無垢で真っ直ぐな中に、強さがプラスされたように感じました。

◆張り詰めるような緊張感、しかし真剣な中に生まれる笑いもあり、緊張と安心の繰り返し。生演奏の効果も抜群で、いわれもない恐怖感と何に対してなのかわからない不安を役者さんともに感じ続ける2時間。




◆木の上の二人を通して、我々日本人を見、今なお続く日本の問題を提起させる作品です。作者の痛切な思いをひしひしと感じました。役者さんの熱演と、どこかもの哀しい島の巨木とヴィオラの音に彩られた光景は、日本人としての苦い思いとともに胸を突いてきます。

◆沖縄の今を、平和を、痛いくらいの実感をもって、考えさせられるお芝居。上官役の山西さんの代表作ということだけでも見逃せないですし、新兵の松下さんのより深まった演技に魂を揺さぶられました。

◆開演前に劇場に入ったら目に飛び込んでくる大きな木、そこで繰り広げられるシリアスなテーマなのに笑ってしまう会話、沖縄の熱、風、匂いも感じられる音楽と唄。井上ひさし原案が引き継がれている次世代、蓬莱竜太の脚本。必見舞台だと思います。

◆役者、スタッフ共にハイレベルな作品。痺れました。ヴィオラの生演奏も素敵。反戦、沖縄問題などを考えつつ、現代社会への色んな警告とも取れるようなメッセージも含まれていると感じました。沖縄公演、素晴らしいです!!

◆観劇後、ラストシーンで全身を駆け巡った虚無感に打ちのめされ、暫く言葉が出ませんでした。戦場の狂気、命の危機が薄れていく中での葛藤など、様々な感情が交差する展開に観客側も感情を揺さぶられ続けます。終戦後も木の上に潜み続けた日本兵二人の物語の着地点はどこになるのだろうと考えながら観劇に臨みましたが、想像を遥かに越える演出で幕を下ろしました。上官と新兵の内心が直截的に描かれる場面が限られているので、ラストのやり取りを踏まえてもう一度観劇すると新たな発見があるのではと感じました。




こちらは『木の上の軍隊』稽古場レポート

【公演情報】

日  時:2019年6月26日(水)午後7時開演(午後6時開場)
場  所:沖縄市民会館大ホール(沖縄市八重島1-1-1)

主  催:こまつ座
共  催:琉球新報社、沖縄市まちづくり文化コンソーシアム
特別協賛:第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団
協  力:琉球海運
お問い合わせ:琉球新報社営業局098-865-5200(平日午前10時~午後5時)

「オキナワの出来事を基にした本作、より良い状態で沖縄にお届けするためにも、是非みなさまのご支援をお願い申し上げます」(クラウドファンディングページよりこまつ座さんコメント抜粋)

感想寄稿:おけぴ会員の皆様 舞台写真提供:こまつ座
おけぴ取材班:chiaki(編集・文)監修:おけぴ管理人

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