【「八月南座超歌舞伎」出演】中村獅童さん、澤村國矢さんが意気込みを語りました【後編・國矢さん取材会&インタビュー】

 「八月南座超歌舞伎」に向けて、中村獅童さん取材会の模様をレポした【前編】に続き、【後編】では、本公演で青龍役、リミテッドバージョンで忠信役をつとめる澤村國矢さん取材会レポを、おけぴ単独インタビューと併せてお届けいたします!


「たくさんの方に「超歌舞伎ってなんなの?」と聞かれますが、言葉ではなかなか説明できないので、ぜひ劇場に実際に観にきて、体験していただきたいですね」という澤村國矢さん。

【超歌舞伎は“参加型”。“生(なま)”の舞台を楽しんでほしい】


國矢さん:
 南座公演では、はじめて超歌舞伎をご覧になる方のために「超歌舞伎のみかた」という一幕が加わります。そもそも初音ミクさんとはどういう存在なのかということから、超歌舞伎ならではの楽しみ方を僕と(中村)蝶紫さんがご説明いたします。超歌舞伎といえば客席参加型ですから、実際にお客さまに舞台の上に上がっていただく可能性も(笑)。とにかく幕張と同じように楽しんでいただきたい、それが願いです。本編は基本的には着席してご覧いただきますが、最後のクライマックスはミクさんの曲も流れて非常に盛り上がりますので、立ち上がりたい方は自由にお立ちいただき、ぜひ幕張(「ニコニコ超会議」会場の幕張メッセ)と同じように参加型スタイルで楽しんでいただければと思います。

 そして超歌舞伎といえばやはり、みなさまから自由にかけていただくかけ声、大向うです。幕張では5000人のお客さまからの「萬屋!」「初音屋!」「紀伊国屋!」というかけ声がとても新鮮でした。南座でも自由に大向うをかけて参加する楽しみがあると思います。ほかにもサイリウムの振り方ですとか、そのあたりも含めて「超歌舞伎のみかた」でレクチャーしますので、はじめての方も楽しんでいただけるはずです。

 幕張での第一回公演では、やはりミクさんが登場したときの歓声がすごかったですね。それが回を重ねるごとに、ミクさんへの情熱が僕たち生身の役者にも分散してきまして、客席からの応援の力を強く感じるようになりました。ミクさんもすごい、電話屋さん(NTT)の技術もすごい、そして歌舞伎のダイナミックな立廻りもすごいと。幕張のお客さまのほとんどが、インターネット上の映像などで新しいものに触れることが当たり前になっている方々でした。と同時に、演者の間近で、臨場感を感じながら舞台を観る機会はすごく少なくなってきているそうです。だからこそ生の舞台を新鮮な気持ちで楽しんでいただけたのだと思います。その気持ちが客席からダイレクトに伝わってきて、演じる側にも大きな自信になりましたね。


「南座は歌舞伎上演劇場ですから、花道、すっぽんといった舞台機構をフル活用できる。特にすっぽんは“人でないもの”が出入りする場所。超歌舞伎にはほぼ“人でないもの”しか登場しませんので、すっぽんの取り合いになるかもしれませんね(笑)」(國矢さん)


【南座の真ん中に立つプレッシャー、そして“希望”】


國矢さん:
 超歌舞伎をきっかけに、“澤村國矢”という役者をたくさんの方に知っていただきました。獅童さんからも「超歌舞伎のお客さまが國矢くんのことを応援しているから、遠慮しないで思いきりやりなさい」と言われています。獅童さんと同じ役をつとめさせていただくことについては、特にアドバイスはもらっていませんが、客席の煽(あお)り方についてはいつでも聞きにきていいよと(笑)。超歌舞伎にも古典歌舞伎と共通するものがたくさんございます。古典を意識しつつ、獅童さんから学んだ情熱、姿勢といったものをプラスしていければと思っております。

 忠信役を演じるのはこれがはじめて。勉強会などでも経験がありません。吉野山の踊りが好きで、いつか演じてみたいと願っていましたので、超歌舞伎で夢が叶いました。ぶっ返りで引っ込む狐六方も未経験。獅童さんに教えていただきます。超歌舞伎に古典の技法がどう活かされるか、みなさまに観ていただきたいポイントですね。それから梯子(はしご)を使った大立廻りにもぜひご注目ください。(中村)勘三郎さんとご一緒した平成中村座「夏祭浪花鑑」では梯子の下で盛り上げていましたが、いつかは梯子の上で見得をしてみたいと思っておりましたので、このお話をいただいて本当に幸せです。自分のできる限り、最大限の力で暴れたい。師匠(澤村藤十郎さん)からも「存分にやってきなさい」と。新しい歌舞伎ファンを作るためにいろいろとやってこられた方ですから、この新たな試みについても喜んでくれていると思います。

 南座の真ん中に立たせていただくことについてのプレッシャーはものすごくあります。若い世代の歌舞伎俳優の活躍が増えてきたとはいえ、獅童さんの役を南座でさせていただけるなんて、これまで前例があるのかないのかわからないくらいのすごいこと。僕たち脇をやってきた者にとっての“希望”を背負うことだと思います。機会をいただくだけでもすごいことですが、それが本当の意味での“希望”になるかは、このチャンスを全うして成功させられるかにかかっている。自分のなかでもひとつの節目、非常に大きな機会と自覚し、大切に挑みたいと思います。





 続いてさらに詳しく、超歌舞伎について、そしてリミテッドバージョンについて、國矢さんにお訊きしました!


本公演、リミテッドバージョンともに激しい立廻りのある役。「夏が終わる頃にはげっそり痩せて人相がかわってしまうかも。隈取が顔に乗らなくなるんじゃないかと心配しています(笑)」(國矢さん)

──歴史の深い南座で超歌舞伎を上演、しかもその真ん中で忠信役を、と聞いたときの率直な感想から教えてください。

 「ありえない!」と思いました。超歌舞伎の主演をつとめられるのは中村獅童さんしかいないと考えていましたから。芝居もそうですが、クライマックスであれだけお客さまを盛り上げる能力を秘めた、ロックンローラーのような歌舞伎俳優は獅童さんのほかに思いつきません。とにかく獅童さんあってこその超歌舞伎、自分には無理ではないかと思いました。でも「みんな応援しているし、喜ぶと思うからやってみなよ」と獅童さんが背中を押してくださって。「超歌舞伎の第一回公演から立派につとめて、紀伊国屋の名前をみなさんに覚えてもらえたじゃないか」「超歌舞伎のお客さまで、主演が獅童じゃないから観ないなんていう人は誰もいないから」と。それで、スタッフやお客さま、みなさんのお力を借りて頑張ってみようと、覚悟を決めました。とはいえ、やはり歌舞伎にとって大切な劇場である南座の真ん中ですから、はたして自分につとまるのかどうかプレッシャーは感じます。6月の「NARUTO」(南座新開場記念 新作歌舞伎 『NARUTO -ナルト-』)でも演出のG2さんから「8月はここ(南座)で主演だね」なんて耳元で囁かれてプレッシャーをかけられました…(笑)。


──「ニコニコ超会議」での公演を配信で拝見しましたが、國矢さん演じる青龍の登場場面ではひときわ多くのコメントが流れ、会場のかけ声も大きくて、超歌舞伎のお客さまから“澤村國矢”という俳優が愛されていることを感じました。

 いやあ、あれは演出もいいんです(照笑)。ここぞ! というところで登場しますからね。しかも客席から。獅童さんからも冗談で「國矢くんへの大向うのほうが俺より多い」とからかわれます。


──「紀伊国屋さん(國矢さん)イケボ」なんていうコメントや、鉄杖を「自撮り棒!」という書き込みなどもありましたが、実際にリアルタイムでお客さまからの気持ちが伝わる経験をされていかがでしたか?

 最初はなにが起きているのかわかりませんでした。青龍のような「藍隈(あいぐま)」の化粧をする役柄も初めてで、まずはそれを全うするだけでも必死。それがだんだん周りが見えるようになってくると、会場のお客さまだけでなく、画面の向こうの大勢の人に見守られながら演じていることを実感するようになりました。通常の歌舞伎公演ですと、その月の終わりに劇評が出ますが、超歌舞伎では毎回、リアルタイムで反応がある。良い意味での緊張感を感じましたし、みなさんに喜んでもらえると、演じる側としても非常に嬉しかったですね。


──初音ミクさんはセリフや動きのタイミングが完璧なので、そこに合わせていくご苦労もあったようですが、そういった制約のある舞台から役者として学んだことはなにかありますか?

 われわれ生身の役者は、セリフの強弱や尺の長さなどその時々によって変えられます。でもミクさんはどんなセリフでも、たとえば10秒といったら10秒。正確なんです。セリフとセリフのあいだもきっちり何秒と決まっていますから、そこに自分のセリフをいかにピタリとはめていくか。これは自宅でタイマーを使って時間を計りながら稽古しました。舞台上ではミクさんの姿はよく見えませんので、心の中で秒数をカウントして、時間内に収めつつ、いかに役を表現するか。ちょっと気持ちよく抑揚をつけるとすぐに時間オーバーです(笑)。感情を込めながら、決まった秒数に収めるにはどういった言い方があるのか研究しました。そのおかげでセリフの言い方のバリエーション、テクニックが増えましたね。ばっちりのタイミングで「ミクさん、次どうぞ!」とセリフを言い渡せたときは、なんともいえない気持ちよさがあります。


──やりとりがぴったりはまったときは思わず舞台に向かって声をかけたくなります。誰もが自由に大向うをかけられるというのも超歌舞伎の魅力のひとつですよね。

 幕張の5000人のお客さんから一斉に声がかかる。これはもうものすごい“圧”です。その勢いに圧倒されて一度セリフを飛ばしてしまったこともありました。すごい圧力で声が聞こえてきて、それに応えようとしたら「セリフなんだっけ…」と。ミクさんはそんなことお構いなしに正確な間で追い込んできますし…(苦笑)。でもそんなアクシデントも含めて超歌舞伎なのかもしれません。南座は幕張と比べてコンパクトな劇場ですから、あの空間で、客席から一斉に声がかかったらいったいどんなことになるのか、とても楽しみですね。みなさまからのかけ声がなければ超歌舞伎ではありませんので、ぜひ自由に声をかけてみてください。我々も受け入れ態勢を整えておきますので。


──幕張での第一回公演ではミクさんの登場にひときわ大きな歓声があがり、それが徐々に生身の俳優のみなさんへと派生していったとおっしゃっていましたが、観客にそうさせた“歌舞伎の力”とはなんだと思われますか?

 まずは耳から入る音楽の力。附けや三味線、太鼓…日本人だったら、きっとどこかで聞いたことのある音、リズムだと思います。それから目に入る色彩。普通の現代劇ですと奇抜すぎると言われてしまう配色でも、歌舞伎だと素晴らしいセンスの色合いになる。たとえば定式幕の三色もほんとうに素敵な配色だと思うんです。そういった潜在的な日本の心に訴えかけてくるものが、ミクさんを応援する方々の感性にもマッチしたのではないかなと思いますね。「千本桜」の和楽器アレンジも新鮮でしたし、お客さまからも「よくぞミクさんをこんなにもかっこよく、美しくしてくれた!」という反応を感じました。歌舞伎とミクさんの世界との一体感、共感し合う心が、超歌舞伎のキャラクターそれぞれを成立させた。それが『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』の世界を生み出したと感じています。


──本公演で演じる青龍の精、そしてリミテッドバージョンで挑戦する忠信役については。

 歌舞伎は勧善懲悪の世界。最後にヒーローが勝ってめでたしめでたし、となるわけです。そこに至るまでに主人公を苦しめる青龍役は、古典の手法にのっとって、いかにそのダークヒーローぶりを見せるかが使命ですね。一方、リミテッドバージョンの忠信役では、古典の力を借りて僕がスーパーヒーローになるわけで…。獅童さん、スタッフのみなさん、そしてお客さまの力が、僕をその場所に引っ張り上げてくださった。その力を信じて、忠信という役の性根を演じれば、スーパーヒーローになれるのではないかと思っています。とはいえ初体験ですので…みなさまに甘えながら、でもしっかりとこの機会に乗って、スーパーヒーローを演じたいと思います。


──獅童さんの取材会では「國矢くんのブレイクが嬉しい」という発言もありました。ご自身としては“ブレイク”の実感は?

 そう言っていただくと大変ありがたいのですが…確かに幕張では毎年「待ってたよ」「おかえり!」というお客さまの盛り上がりを感じました。ですが、歌舞伎俳優としての真の意味でのブレイクは、やはり歌舞伎の公演でいかに澤村國矢という役者の需要を高めていけるかということ。そのためには今回の南座公演もそうですが、いただいた機会をしっかりと掴んで、これからもっと精進していかなければと。
 …とはいえ、超歌舞伎をきっかけに歌舞伎公演に足を運んでくださったお客さまもいらっしゃいますし、応援してくださる方が増えた実感はあります。ブレイク…しているかもしれません!(笑)




8月南座でのさらなるブレイク! 楽しみにしています♪



 國矢さんが主演するリミテッドバージョンでは、青龍役を超歌舞伎の立廻りの演出も手がける中村獅一さんがつとめます。さらに中村獅童さんも口上で登場! 通常公演、リミテッドバージョンともに見逃せない「八月南座超歌舞伎」は、8月2日から26日まで、京都 南座にて上演されます。

 中村獅童さん取材会レポ【前編】はこちら


超歌舞伎とは?(公演公式サイト)
公演告知PV



【公演情報】
「八月南座超歌舞伎」
2019年8月2日(金)-26日(月) 京都・南座

本公演 一部 午前11時~
    二部 午後3時30分~
リミテッドバージョン デイ 午後3時30分~/ナイト 午後6時~
※リミテッドバージョンは上演内容、料金等、本公演とは異なります

公式サイト

おけぴ取材班:mamiko 監修:おけぴ管理人

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