KERA CROSS第一弾『フローズン・ビーチ』公開稽古レポート



 1998年、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さんによる作・演出で劇団「ナイロン100℃」公演として初演された密室劇の傑作『フローズン・ビーチ』(第43回岸田國士戯曲賞受賞)が鈴木裕美さんの演出で2019年に立ちあがる!



「とにかくこの4人の女優が楽しい!」後列:鈴木裕美さん(演出)
前列:鈴木杏さん、ブルゾンちえみさん、花乃まりあさん、シルビア・グラブさん


 本作は、数々のKERA作品から選りすぐりの名作を才気あふれる演出家が新たに創り上げるシアタークリエ連続上演シリーズKERA CROSSの第一弾!

 16年にわたる女性同士の心の機微を描いた本作がどう立ち上がるのか、7月12日のプレビュー公演を前に取材会が行われました。


【描かれるのは1987年、1995年、2003年の ある夏の日】


「(初演)当時はまだ未来だった“2003年”をとっくに超えてしまっている今、時間が作る視点の変化というものを、どういう風に調理するのか、それが楽しみですね」(公演チラシより)とKERAさんご自身が語るように、バブル景気の頃からはじまる16年にわたる女たちの複雑に絡み合った運命を描くミステリー・コメディが現代にどう映るのか、とても興味深いのです。

 この日公開されたのは、1場、1987年の場面。



1987年夏のある日深夜。
物語の舞台は大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランド。
双子の姉妹、愛と萌(花乃まりあ二役)の父親が所有する別荘の一室にいるのは、愛の幼馴染の千津(鈴木杏)と彼女の親友の市子(ブルゾンちえみ)。
千津と市子、そして愛、それぞれにある計画を実行しようとしている最中、愛と萌の盲目の継母咲恵(シルビア・グラブ)が、旅行先から予定よりも早く帰ってきてしまい……。




千津役:鈴木杏さん
「千津はひと言で表すと“小者”。若いということもあると思いますが、自分の器に収まり切らないほどの思いが溢れてどんどん空回りしていきます。もうちょっと器が大きければいいのにとも思うのですが、でも、そこがいじらしくもあります」





市子役:ブルゾンちえみさん
「最初に台本を読んだときは“この人わけわからない!”と思いました。論理的でなく、本能で動いているタイプの人。でも、稽古をしているとちょっと憎めないヤツなのかなと思い始め、日増しに(この人物に)愛着が湧いています。お客様にもちょっとかわいいなと思っていただけるように、この役の魅力を活かしきれるように頑張りたいと思います」




 不機嫌そうな愛。彼女には見た目はそっくりの一卵性双生児の姉・萌がいるが、二人は性格や行動は正反対。病弱ゆえに父の愛を独占する萌を疎ましく思っている。


双子の姉妹 愛と萌の2役:花乃まりあさん
「2役を演じますが、病弱な萌には開き直りの生きていく強さとかわいらしさが備わっていると思います。愛はすべての登場人物に対して自分が優位に立とうと必死になるけれど、周りのほうが強烈すぎてうまく運ばないという惜しい人(笑)。そこを“やれやれ、惜しい人だな”と楽しんでいただければ」




双子の義理の母、自動車事故で盲目となる。それがもとで愛たちの父親と結婚することになったのだが、それによって双子の母は……。


咲恵役:シルビア・グラブさん
「咲恵さんは楽観主義者です。常に笑って楽しく生きたいから、ちょっとでも空気が悪くなるとボケてその場を明るくしようとする。そんな終始おとぼけキャラの咲恵さんなのですが、それはもしかしたら目が見えないことによってそう振る舞えるのかもしれません。演じる上では、そこが難しさでもあります」



【鈴木裕美さんが語る見どころ】



「私自身、もともとこの作品のファンでした。最近、ようやくオリジナルの呪縛から解き放たれ、私たちの『フローズン・ビーチ』になってきていると感じています。
 本作はミステリー・コメディ、きな臭いところもありますが、同時に彼女たちは救ったり救われたりされています。そんなとても不思議な戯曲。時代性、バブルという時代がどうだったのかということも含め、いろんなことが書かれています」



 憎しみと赦し、拒絶と理解、偶然と因縁に翻弄される女性たちを描いたミステリー・コメディの結末はいかに!!公演は7月12日より杜のホールはしもとにてプレビュー公演を行い、そこから新潟、福島、東京(シアタークリエ)大阪、静岡、愛知、高知、高松へと公演は続きます。


【公演情報】
KERA CROSS『フローズン・ビーチ』
2019年7月31日(水)~8月11日(日)@東京・シアタークリエ

7/12(金)~7/14(日)@神奈川・杜のホールはしもと・ホール(プレビュー公演)
7/25(木)@新潟・長岡市立劇場・大ホール
7/28(日)@福島・いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
8/16(金)~8/18(日)@大阪・サンケイホールブリーゼ
8/21(水)@静岡・静岡市清水文化会館マリナート
8/23(金)@愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
8/28(水)@高知・須崎市立市民文化会館
8/31(土)@香川・レクザムホール(香川県県民ホール)小ホール

<スタッフ>
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出:鈴木裕美

<出演>
鈴木杏/ブルゾンちえみ/花乃まりあ/シルビア・グラブ

公演HPはこちらから

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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