舞台『絢爛とか爛漫とか』観劇レポート

 1993年、今はなきシアタートップスにて初演。その後、数多のカンパニーによって上演されてきた昭和のはじめの若き文士たちの青春群像劇、舞台『絢爛とか爛漫とか』が初演演出の鈴木裕美さんによって令和の時代に上演!





この物語の登場人物、4人の若き文士は、
処女作以降、2作目が書けずに思い悩む新人小説家・古賀(安西慎太郎さん)、
批評家志望のモダンボーイ・泉(鈴木勝大さん)、
自称耽美小説家・加藤(川原一馬さん)、
非凡な才能を持ち、破天荒で自由に生きる諸岡(加治将樹さん)。

 若き実力派たちが見せる昭和の文士の夢と葛藤、人生の物語。堅苦しいのかな、それともちょっと浮世離れした人々のお話なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこにあるのは率直すぎる若者たちの会話劇。ことあるごとに古賀の部屋に集って、ああだこうだとそれぞれの心情をぶつけ合う。場所や時代を超えて、そこかしこで繰り広げられているような景色なのです。ましてや恋の話ともなればいわゆる男子のわちゃわちゃ感、満載です。ただし、そこはかとなく奥ゆかしく、上品さ溢れる様子はやっぱり“昭和の文士”。




 そして、まぁ4人が4人ともよくしゃべる(笑)。それぞれの“言葉”をまくしたてるのですが、それが台詞を超えて、今、そこにいる古賀から、泉から、加藤から、諸岡から生まれた言葉になっている。真情の発露以外の何物でもないのです。台詞の裏にある心情や事情、登場人物の中にある何がこの言葉を生みだしているのかがしっかりと俳優の中に落とし込まれているからこそ、そう感じることができるのでしょう。素晴らしい4人が揃いました!言い換えれば、鈴木裕美演出ここにあり!

 だからこそ観ている側もそれぞれの言葉に心がビビットに動くのです。ギュッと胸が締め付けられたり、「えっ」と驚いたり、ときには面倒くさい人だなと思ったり(笑)。自然に心が参加してしまうような感覚で、観劇後には心地よい疲れが残る演劇です。

 そしてもう一つ観劇中に感じたことは客席の空気、高い集中力があります。それは決して緊張を強いるような空気ではなく、登場人物たちを愛おしく思い、彼らの言葉に耳を傾けたくなる、彼らの人生に寄り添いたくなる気持ちから生まれる心の集中力です。そんな客席に生まれる笑いや涙、それは笑わせよう泣かせようというシーンを見てではなく(あ、一部微笑ましいドタバタもありますが・笑)、見る人それぞれの記憶や経験が刺激されて生まれる笑いであり涙であることが多々あるのです。演劇の醍醐味だなぁと、そんなことを感じました。

 才能、夢、執着するか手放すか……。才能があるからといってその道での成功が約束されるわけではなく、それぞれが事情・現実を抱えているのです。才能がある友人への憧れと嫉妬、焦り、葛藤を経てやがて一歩を歩みだす過程が描かれる本作。



 駄々っ子のようなところから次第に力を漲らせる古賀を芝居のうねりと佇まいで見せる安西さん、周りを冷静に見つめる泉の奥にある感情を丁寧に積み上げる鈴木さん、しなやかに繊細に、そして大胆に加藤を演じる川原さん、諸岡という豪快な人物をチャーミングで忘れがたい人物に作り上げた加治さん。本当に適材適所なキャスティングです。



 最後に舞台セットについて、古賀の部屋は細部に至るまでこだわりを感じさせる設え。ちょっと懐かしさすら感じる日本家屋です。そして4人の物語が4つの季節に乗せて描かれますが、舞台後方の庭の景色や差しこむ日差し(照明)が春夏秋冬、季節の移ろいを見せてくれます。音楽もイイ! ラスト、冬の場面では窓からピリッと冷たい風が吹き込むような気がしますが、冬が終わればまた春が来る。巡る季節、自然の営みの中で、もがきながら生きていく人間讃歌の作品です。青春と呼べる日々は過ぎ去ってみるとあっという間。ちょっと青臭いなと思いつつ、彼らの姿はキラキラまぶしく映りました。



【初日コメント】


◆安西慎太郎/古賀大介 役
ついに幕が開きます。正直、胸の高鳴りが凄いです。ドキドキ、ワクワクしています。カンパニー全員で過ごしてきた時間を信じ、手を取り合いとにかく楽しんでやっていきたいと思っています。ご観劇頂けるお客様楽しみにしていて下さいませ。

◆鈴木勝大/泉謙一郎 役 
今回の作品では、1ケ月稽古を経た今でも芝居中に新たに見つけることが多くあります。なので、これから始まる本番の期間のなかでも、舞台上の古賀・諸岡・加藤を見て想定していなかったような感情も抱くのかもしれないなとワクワクしております。観劇にいらしてくださる皆様にも舞台上の四人と過去の自分が結び付くような素敵な瞬間がきっとあると思います。是非、楽しみにいらしてください。

◆川原一馬/加藤常吉 役
いよいよ初日です。ドキドキします。この作品は、上質な芝居というものを意識して稽古させてもらってきた作品なので、部屋に置いてあるものから細かい動作、4人の中で繰り広げられる会話一つ一つを楽しんでいただけたらと思います。作品の中で4人それぞれが、その時に起こった事を受けていけるよう、ギリギリまで僕たち4人も挑戦したいと思います。

◆加治将樹/諸岡一馬 役
いよいよ本日より「絢爛とか爛漫とか」幕が上がります。今日までキャストスタッフ一丸となり、濃密な稽古をしてまいりました。昭和初期の日本、四季折々の音や匂いと共に今を懸命に生きる若者を姿をご覧いただき、今作が皆様の明日への活力となれば、この上ない幸せでございます。これを書いてるのは初日の幾日か前。きっと我々初日は心臓バックバクのドッキドキの事と存じます。皆様の笑顔がそれを救う唯一の方法です。
ぜひお楽しみにください。そしてご来場心よりお待ち申し上げます。

◆鈴木裕美/演出
この度、21年ぶりにこの戯曲を演出するという機会を得、まず感じたことは「ああ、またあの4人に会えるんだな」という喜びでした。演劇と小説で住む世界は多少違いますが、同じく創作に携わる同志として、かけがえのない友人として、彼らは常に私の中に居ました。現代の青年たちを通して、まだ会ったことのない古賀、師岡、泉、加藤に出会えたことは望外の喜びです。彼らの息遣いや体温まで感じていただけるような親密な劇場です。私の古くて新しい友人たちにどうぞ会いに来てください。



【「絢爛とか爛漫とか」アフターイベント】

◆8月27日(火)19:00 古賀会
登壇:安西慎太郎×加治将樹×ゲスト 土屋佑壱
2007年に上演された本作で古賀大介役を演じた土屋氏をお招きし、ダブル古賀と諸岡の3人で古賀談義を繰り広げます!
◆8月29日(木)13:00 『絢爛とか爛漫とか』誕生秘話
登壇:飯島早苗×鈴木裕美
繰り返し上演されつづける本作の戯曲について、この物語を生み出したおふたりに語っていただきます。
◆8月29日(木)19:00 演劇人生26年の歩み
登壇:鈴木裕美×ゲスト 山西 惇
26年前に初演された本作。その時何を想い、何をしていたのか…。劇団活動から始め、今や演劇界に欠かせない存在であるおふたりに、演劇人生を語っていただきます。
◆9月2日(月)19:00 男子会 part.1
登壇:安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹
1ヵ月の稽古、そして本番をともに過ごしてきたキャスト4人によるトークショー第一弾。
◆9月4日(水)13:00 男子会 part.2
登壇:安西慎太郎、鈴木勝大、川原一馬、加治将樹
1ヵ月の稽古、そして本番をともに過ごしてきたキャスト4人によるトークショー第二弾。

追加企画!!『絢爛とか爛漫とか』創作ノート
◆8月28日(水)19:00
登壇:鈴木裕美
本作への理解が深まること間違いなし。演出家・鈴木裕美氏に、本作の舞台美術や演出効果について解説いただきます!

追加企画!!この“才能”に惚れている!
物語中、登場人物たちが悩み葛藤する“才能”。
キャストそれぞれが「この才能に惚れている!」というゲストをお招きしてお贈りするトークショー!
◆8月21日(水)19:00(終了)
安西慎太郎×ゲスト 宮崎秋人(俳優)
◆8月22日(木)19:00(終了)
鈴木勝大×ゲスト 小野田龍之介(俳優)
◆8月30日(金)19:00
川原一馬×ゲスト 須賀健太(俳優)
◆9月5日(木)19:00
川原一馬×ゲスト 永田崇人(俳優)
◆9月11日(水)19:00
鈴木勝大×ゲスト TAKAHIRO(プロダンサー・振付師)
※追加ゲスト予定あり。続報をお待ちください。

【公演情報】
『絢爛とか爛漫とか』
2019年8月20日(火)~9月13日(金)@DDD青山クロスシアター

作:飯島早苗
演出:鈴木裕美
出演:安西慎太郎 鈴木勝大 川原一馬 加治将樹

公式ホームページ  

舞台写真提供:ワタナベエンターテインメント
おけぴ取材班:chiaki(文) 監修:おけぴ管理人

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