南座「九月花形歌舞伎」愛之助さん、七之助さん、中車さんが意気込みを語りました 

現在上演中

鶴屋南北の最高傑作ともいわれる『東海道四谷怪談』が関西で26年ぶりに上演!


 南座新開場記念「九月花形歌舞伎」が9月2日から26日まで上演されます。演目は昼夜とも、通し狂言『東海道四谷怪談』(監修:坂東玉三郎さん)。関西では26年ぶりの上演です。

 色悪の典型ともいえる民谷伊右衛門役を演じる片岡愛之助さん、恐ろしくも哀しい悲劇のヒロイン・お岩役のほか、佐藤与茂七、小仏小平役の3役とつとめる中村七之助さん、そしてお岩の妹・お袖に横恋慕する直助権兵衛役の市川中車さん。それぞれ初役に挑むお三方が公演にかける意気込みを語りました。



写真左から:市川中車さん、片岡愛之助さん、中村七之助さん





愛之助さん:
 幼い頃に中座で『東海道四谷怪談』を拝見しまして、子ども心に「怖い!」と思った記憶がございます。その民谷伊右衛門役をまさか自分がつとめるとは夢にも思っておりませんでした。(伊右衛門は)色悪の代表のような役。芝翫のお兄さんに教わります。派手な立ち廻りや見せ場があるわけではなく、意外にしどころのない役でもあるのですが、非常に生々しい人間の思いが描かれている役です。南北独特のキャラクターを楽しんで演じたいと思います。見た目の恐ろしさだけではなく、人間の精神的な怖さを感じていただければ嬉しいです。

七之助さん:
 中村屋にとって大切なお岩さん役を、新開場の南座で初役でつとめさせていただくことが嬉しく、同時にプレッシャーも感じています。素晴らしい作品を汚さぬように精一杯に演じます。
 お岩さんは、父(十八世中村勘三郎)の大好きな役でした。父から教わったことはたくさんありすぎて、今ここで全てをお話しすることはできませんが、お岩さんが薬を飲む場面は「薬がキラキラ光ってきれい」と思ってやりなさいと言われたことが印象に残っています。素晴らしい薬のように見えなくてはいけないよ、と。それから「お岩さんは怖い人ではないんだ」ともよく言っていましたね。歌舞伎のケレンもあるけれど、驚かす芝居ではないと。前半、中盤にかけての芝居をしっかり見せなくてはいけないとよく言っていました。僕自身、父と芝翫のおじがこの芝居を作り上げるのを間近で見てきましたので、その思いは体に、細胞に、染み込んでいると思います。

中車さん:
 南座に出演するのは襲名披露公演以来5年半ぶり。前回はただ夢中で過ごした記憶しかありません。あの頃に比べればすこしは板の上で息ができるようになったかなと思っています。
 『東海道四谷怪談』と聞いて、怖い思いをするのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、僕が一番見ていただきたいのは、歌舞伎ならではの力。みんながバラバラのことをやっているように見えて、実はお互いに息を合わせてひとつのことを見せようとしている、それが歌舞伎の醍醐味だと思っています。仕掛けも含めて、すぱっと決まる歌舞伎ならではの爽快さ。舞台上の全員が息を合わせて出す力をご覧いただければと思います。



【演じる役について】

愛之助さん:
 まずは色悪の雰囲気を感じていただきたい。そして伊右衛門がどんな思いで生きているのか、傘張りをしながらどんなことを考えて、感じているかということを見ていただきたいですね。あまり型にはめて演じる役ではないのかなと考えていますが、大和屋のお兄さん(玉三郎さん)が監修で入ってくださいますので、よく教わりながらしっかりつとめたいと思います。

七之助さん:
 いろいろなやり方があると思いますが、武士の娘であるというプライドを大切に演じたいと思います。
 四谷怪談の根本にあるのは忠臣蔵のお話です。上層部が起こした事件が、下の人たちにどのような悲劇となってあらわれてくるのか。塩冶判官が刀を抜いていなかったら、伊右衛門とお岩さんも幸せな家庭を築いていたかもしれません。少しずつ歯車が狂って、お岩さんも妹も身をやつし、卑しい仕事をして、それでも子供のために生きていかなくてはならない。その悲しさ、つらさ、葛藤をお見せできたらと思います。
 小平役については主人を思う一途さを大切に、与茂七役は今回「深川三角屋敷」の場面はありませんが、とにかくかっこよく、すっきりと演じたいと思います。

中車さん:
 直助がかっとなって身分を超えた行動に出ることで物語が動き、悲劇が始まる。その人間の行動のはかなさを、一瞬の動きで出すことができればと思っています。前半はとにかく一直線にお袖さんが好きだという思いを大切に、後半は「深川三角屋敷」がありませんので、そこで回収される伏線や感情をどう納得していただくかが問題です。とはいえ大和屋さん(玉三郎さん)にはいつも「普通におやんなさい」と言われますので(笑)、僕がいまあれこれ考えていることがどうなるかはまだわかりません。もうちょっとつっこみたいところで引っ込んでいく役ですので、舞台から失われているものをどう見せるかという難しさがあると思います。


【座組、演目について】



七之助さん:愛之助さんは先輩ですが、浅草歌舞伎の頃から勝手に同志、戦友だと思っています。ともに戦ってきた仲間と再会して伊右衛門とお岩を作り上げることができて幸せです。中車さんとは最近ずっとセット売りされていて(笑)、女房役か恋人役ばかり。キャッチボールの球を見なくても捕れるくらいの仲です。それぞれ共演はしていますが、3人揃っての出演は初めて。なにがおきるのか楽しみです!

愛之助さん:
 「この3人で南座の花形歌舞伎を」と決まり本当に嬉しく幸せいっぱいです。演目的には幸せいっぱいの結末ではありませんが、それも南北の良さ。南北作品には言葉の不思議さがあります。七五調だときれいすぎて意味が流れてしまいそうになるところが、南北のセリフだと言葉の真意が伝わってくることがある。
 映画やテレビとはまた違う、どこを切り取っても絵になる、歌舞伎ならではの四谷怪談を見ていただければと思います。

七之助さん:
 通し狂言ですので初めて歌舞伎をご覧になる方にもぴったりだと思います。忠臣蔵との結びつきは、初めて見た方にはわからないかもしれませんが、四谷怪談のエピソードだけでも現代に通じる部分がたくさんあります。視覚的に楽しめる仕掛けや、早替わりもあり、歌舞伎の魅力がぎっしりと詰まった作品です。あまり難しいことを考えずに楽しんでください。

中車さん:
 気心のしれたおふたりとの共演で心強いです。年齢は私のほうが上ですが後輩ですのでおふたりの言うことをよく聞いて(笑)、がんばりたいと思います。
 南北作品には答えのないセリフなどの不思議さがある。「整然とさせない」という思いが頭の中にうごめいていた人だったのではないかと思います。それこそ七五調で言えば明快なことも、敢えてそこに行きたがらない。正しいもの、きれいなものにたどりつけない南北の“血”があるように感じます。






 「髪梳き(かみすき)」や「戸板返し」「提灯抜け」など“歌舞伎の怪談”ならではの見せ場、仕掛けも大きな見どころとなる『東海道四谷怪談』。出演はこのほか後家お弓を演じる片岡萬次郎さん、お岩の妹・お袖を演じる中村壱太郎さんなど。南座新開場記念「九月花形歌舞伎」はいよいよ9月2日に初日を迎えます。



【監修・坂東玉三郎さんコメント】

この度、『東海道四谷怪談』の監修をつとめさせていただくことになりました。
わたくしは、昭和58年6月に歌舞伎座にてお岩を勤めました。
当時の初代辰之助(三世尾上松緑)さん、そして孝夫(元・片岡仁左衛門)さんとご一緒させていただき、思い入れの深い作品でございます。

この作品は、鶴屋南北の最高傑作であり、怪談物の代表作でもあります。
歌舞伎特有の様式美で描いた恐ろしい場面が多くございますが、愛憎の葛藤の物語でもあると思います。

また、今回は、片岡愛之助さん、中村七之助さん、市川中車さんといった皆さまのご出演でございます。
皆さま初役で勤められますが、お三人はもとより、一座の皆さまと力を合わせて、良い歌舞伎作品となりますことを期待しております。
七之助さんには昔から是非ともお岩をやっていただきたいと思っておりましたので、この度の四谷怪談の上演が叶いましたことを嬉しく思っております。

精一杯お岩様のお役のことをお伝えして、良い四谷様を演じていただけることを楽しみにしております。微力ながら皆さまのご期待にこたえられますよう、精一杯 監修として勤めます。
この作品が南座新開場記念にふさわしい公演になることを期待しております。


【公演情報】
南座新開場記念「九月花形歌舞伎」
2019年9月2日(月)~26日(木) 南座

公演詳細情報

おけぴ取材班:mamiko 監修:おけぴ管理人

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