CYANOTYPE(シアノタイプ)ファーストアルバム「MONTAGE」発売記念ロングインタビュー~まるでモンタージュのように浮かび上がる物語~

 先月、ミュージカル『レ・ミゼラブル』公演を終え、12月には『ロカビリー☆ジャック』、来年は『アナスタシア』『ミス・サイゴン』ご出演が控える海宝直人さん。そんな海宝さんのもうひとつの顔が“CYANOTYPE(シアノタイプ)”のヴォーカリスト。海宝さんの歌、小山将平さんのギター、作詞作曲も手掛ける西間木陽さんのベースが紡ぐ物語性のある音楽が人気の3人組バンド・シアノタイプのみなさんに2012年の結成から、待望のアルバム「MONTAGE」制作秘話までじっくりとお話をうかがいました。



シアノタイプ
小山将平さん(ギター)、海宝直人さん(ヴォーカル)、西間木陽さん(ベース)


【纏っている空気が違う?!】


──ファーストアルバム「MONTAGE」発売おめでとうございます。まずはシアノタイプ結成までのお話をうかがいます。みなさんの音楽的バックグラウンドからお聞かせください。



小山さん)
 僕はベンチャーズに始まり、寺内タケシさん、加山雄三さんに憧れてギターを始めたので、入口は1960年代の音楽です。


──1987年生まれの小山さんが60年代の音楽に親しむ、そのきっかけは。

小山さん)
 まず、僕の父がベーシストなので家に楽器がある環境で育ちました。ベンチャーズに出会ったのは、母が見ていたTV番組「LOVE LOVE あいしてる」です(笑)。吉田拓郎さんがKinKi Kidsのお二人にギターを教えるというコーナーで「PIPELINE」を聴いたのがきっかけ。そこから自分もギターを始めようと思ったんです。




西間木さん)
 私はクラシックピアノからスタートしました。ベースは、中学時代に友人にバンドに誘ってもらったのをきっかけに始めました。最初はキーボードで参加しようと思っていたのですが、ベース担当がなかなか見つからなくて。キーボードを弾ける人はほかにもいたので、「じゃあ僕がベースを弾く」となりました。ですので、ルーツはクラシック。あとは父がジャズを好きでよく聞いていたので、私の音楽的素地にはジャズもあると思います。


──そして、西間木さんと小山さんが出会い、共にエレキインストをフィーチャーしたバンド「B.C.V.」に参加(2007年結成、名前の由来はこぼれ話1にて)。一緒に音楽活動をされていたお二人がスタジオでレコーディングしているところを見学に訪れたのが海宝さんということですね。海宝さんはみなさんご存知の通り、子役時代からミュージカルでご活躍され、ミュージカル音楽やディズニー音楽が子供の頃から身近にあった環境で音楽性を育まれてきました。

海宝さん)
 一度レコーディング風景を見学してみませんかという提案を受け、あくまでもただの見学者という立場でスタジオを訪れました。あの時はB.C.V.ともまた別のバンドのレコーディングだったよね。それがシアノタイプ結成の1年程前、2011年のことです。


──その頃の海宝さんはミュージカル作品へのご出演など俳優活動をされていましたが、音楽活動はされていたのですか。

海宝さん)
 音楽活動はしていませんでした。でも、学生時代に軽音楽部でバンドをやっていたので、またバンドをやりたいという思いは持っていました。


──第一印象は。



海宝さん)
 スタジオに漂う雰囲気がバンドっぽいなと(笑)。ロン毛の人もいたし。


小山さん)
 それは誰のことかな(笑)。まぁ、あまりいないか。このご時世にロン毛。


海宝さん)
 ディレクターさんのキャラクターもいわゆる“業界人”っぽくて、レコーディングの進め方もノリのいい感じでした。やっぱりバンドってこういう感じなんだという印象でした。


西間木さん)
 僕らはあらかじめ海宝くんがどのような活動(ミュージカルなど)をしている人か聞いていたので、やっぱり若くて空気感が違うなと思いました。


──違う空気感を纏った同士が意気投合。

西間木さん)
 空気感が違うのは現在進行形でも……。


小山さん)
 なんでそんなメンバーを疎外するようなことを言うの、一緒だよ。


海宝さん)
 そうだそうだ(笑)!


小山さん)
 シアノタイプという空気感は一緒です。


海宝さん)
 その後、彼らのバンドにもいろいろあり(笑)、ボーカルをやってみないかということになり一緒に活動するようになりました。



【「鐘」がリード曲になるまでの物語】


──そして出会いから1年後に結成されたのが“シアノタイプ”。西間木さんがシアノタイプのために書き下ろした1作目であり、海宝さんの歌声を初めて聴いたときの衝撃を歌に込めた「鐘」が今回のアルバムのリード曲です。「鐘」で描かれている海宝さんとの出会いが西間木さんの音楽活動、もっと言えば人生を大きく動かし始めたということは、楽曲誕生のときから海宝さんにも伝えられていたのですか。



海宝さん)
 そのことを知ったのは最近です。出来上がったときは言われていないよね。


西間木さん)
 はい。結構ストレートに書いているので、照れくさくてそんなことは絶対言えませんでした。君のことを書いたんだなんて(笑)。


海宝さん)
 恋人か(笑)。


──そうして生まれた「鐘」。その前にも一緒に音楽活動をされてきた小山さんから見て、それまでの西間木さんの音楽性との違いなどは感じましたか。

小山さん)
 こんな世界を描き出すんだとは思いました。「鐘」から西間木くんが曲を書くようになったので、実はこの曲がほぼ処女作とも言えるんだよね。


西間木さん)
 そうですね。




小山さん)
 「鐘」の印象は海宝くんの歌声の魅力も相まってすごく爽やか。そして、この曲ができた後で劇団四季のミュージカル『ノートルダムの鐘』に海宝くんが出ることになったんだよね。


海宝さん)
 あの頃は日本で上演されることすら知らないような時期でした。


小山さん)
 だから僕らの中には、海宝くんが『ノートルダムの鐘』に出演する前の「鐘」も出演後の「鐘」もある。作られたときには予想もしなかった意味を持つようになるというのも面白いですよね。




海宝さん)
 予言の曲だったのかな(笑)。


──シアノタイプの活動、個人の活動、みなさんが時を重ねることで曲が帯びるドラマ性も膨らんでいくのですね。

小山さん)
 そうそう、西間木くんのほぼ処女作である「鐘」。今回のアルバムで歌詞に英語が使われているのも、この曲ぐらいだよね。


西間木さん)
 英語を使いたいとは思っているのですが。でも、今回のアルバムには収録されていませんが、もう一曲英語を使った曲はあるんです。


小山さん)
 どの曲?


西間木さん)
 「Sing a Song」。


海宝さん)
 あれは……、英語を使っていると言えるの?




西間木さん)
 「Let's sing a song」、英語でしょ!!


小山さん)
 そうしたらハッピーエンドも……。


西間木さん)
 それは違う(笑)!


小山さん)
 僕は英詞を歌う海宝くんも好きだから、もっと英詞を混ぜた曲も聞いてみたいな。


西間木さん)
 私もそうなんだけど、「鐘」の英語も正しいのかひやひやしながら書きましたから。あれは合っているの?




海宝さん)
 あれは雰囲気ですね(ビシッ)。


西間木さん)
(爆笑!!)雰囲気!すみません。


海宝さん)
 いやいや、雰囲気だからあれでいいんです!!



──今は主に西間木さんが作詞・作曲を手掛けていらっしゃいますが、詞と曲はどちらが先ですか。

西間木さん)
 ほぼ全曲、詞が先です。ときどき同時だったりはしますが、曲が先ということはないですね。「鐘」を書いていた頃は、まだ自分なりの作詞のスタイルもできていなかったので、すごく悩みましたし時間もかかりました。だから、この曲は海宝くんの歌声を初めて聴いたときの体験、体感をもとにしていますが、それを曲に落とし込めたのはそれからしばらくしてからのことです。今でも歌詞には悩まされますが……。


──そうやって産声を上げた楽曲「鐘」、その後は西間木さんからみなさんに披露されたという流れでしょうか。

西間木さん)
 スタジオで練習するときに「曲を書いたんだけど」と歌詞と譜面を渡しました。当時はデモテープは作っていたかな。歌は入れずに、ピアノでメロディを弾いていた気がします。


海宝さん)
 そうそう、すごく聞きにくいメロディが入ったデモテープをいただきました(笑)。




全員)
 笑!!

海宝さん)
 最初にもらったのは消え入りそうな音でメロディが完全に埋もれていました。それを伝えたら、今度はトランペットみたいなパーパーパーパーという音色のメロディが……。曲の雰囲気が全然わからなくて(笑)。極端過ぎ!!


小山さん)
 それはいいエピソードだね。今度、使わせてもらいます(笑)。


西間木さん)
 君にデモは聞かせないから!!




──そんなこんな、紆余曲折を経て「鐘」がみなさんに共有されて完成に近づくのですね。

西間木さん)
 実はそうでもなくて。作ったときは反応がイマイチだったというか。当時の実質的なリーダーだったドラムの方に「この曲は、今やる曲じゃないかも」と言われてしまって……。同時期に2曲作ったのですが、私としては気に入っているほうの曲だったので結構ショックでした。そうなんだ……って。


海宝さん)
 確かにライブでもすぐにはやらなかったね。


西間木さん)
 もう1曲のほうは、すぐにライブで披露できたのですが。


海宝さん)
 でも、今となってはよかったんじゃない。世に出るタイミングってきっとあると思うから。


小山さん)
 時代を先取りしすぎていたのかな。


西間木さん)
 そう思うようにします(笑)。


──結果として、その「鐘」がアルバムの一曲目に収録されることになったのですから、その通りなのでしょう。続いては「鐘」の楽曲としての印象について。ほぼ処女作ながら楽曲の展開は集大成かなと思うほどドラマティックです。出だしがアカペラですし。

西間木さん)
 もともとはイントロから入る形でした。でも、ライブで1曲目のド頭がアカペラだったら絶対面白いと思いアカペラアレンジをしたら、それがハマったんです。アルバムに収録するにあたってもこのほうがいいとそれを採用しました。バンドのアルバムなのにいきなりアカペラって、ちょっとしたサプライズでしょう。そして抑え目の1番、激しくなる2番へ、その流れは変えていません。


──その辺りがシアノタイプの音楽が“シアトリカル”と形容される理由でしょうか。小山さんにとってシアノタイプのサウンドとしてのこだわりは。

小山さん)
 シアノタイプのサウンドは西間木くんが作り出す曲と海宝くんの歌がリードします。僕はその中でいかに自分の個性を出していくか。そのせめぎ合いを楽しんでいます。インストバンドではリードギターなので、言ってみれば僕が歌っているような状態。一方でシアノタイプではアンサンブルに溶け込みつつ、ギターソロではしっかりと前に出る。それぞれ全く違う役割を担うことがメチャクチャ楽しいんです。


──様々な音楽活動が互いに影響し合っているんですね。



小山さん)
 いい相乗効果が生まれていると思います。だからこそシアノタイプでも僕の個性であるカントリーやジプシー・ジャズ、つまり加山さんっぽいところも若干出したくなるんです。すごくマニアックな方が聴いたら気づくかもしれない。それぐらい微妙に自分の色を入れています(笑)。


──お三方のそれぞれの色が絶妙に混じりあってのシアノタイプ、細かなツボに気づいたらますます楽しそうです(気づける自信は……ないのですが)。


【3人で作りあげるシアノタイプのサウンド】


──今回はアルバムのための書き下ろし(新曲)が2曲、他の8曲はこれまでにライブなどで歌ってきた曲です。レコーディング過程でアレンジの変更などはされましたか。

西間木さん)
 半分くらいは何らかの形で変えています。中でも大きく変わったのは今回アレンジャーさんに入っていただいた「闘争心という名の本能」です。その方と相談しながら進めていったのでライブでの演奏とはちょっと違った仕上がりになっています。


──そうやって西間木さんが作られた曲がアレンジや演奏でシアノタイプのサウンドになっていくのですね。

西間木さん)
 バンドって個々の意志が入ってくるので、どの曲もみんなでアレンジしているというイメージなんです。まず海宝くんに投げて、歌い方をどうするか話をして、それに合わせた演奏という流れで作っていく。合作です。


──歌うときは先に歌詞の解釈を西間木さん尋ねるのですか。

海宝さん)
 多少話すこともありますが、それほど細かくは訊かずに自分なりに捉えて歌います。


──ご自身で受け止めたときに、インパクトが強かった曲は。



海宝さん)
 どの曲もそうですが、今回「ナルコレプシーの創造論」を受け取ったときはちょっと面食らったというか(笑)。


──西間木さんの実体験に基づいて作られた歌だということは。

海宝さん)
 それは知っていました。ナルコレプシーの話は以前から聞いていたので、あの体験が曲になったんだ……と。デモには西間木くんの仮歌が入っていたのですが、これを僕はどうやって歌おうかと。


西間木さん)
 それは歌がイマイチだったということで……(笑)。本音を言うと、海宝くんにデモを聞かせるのはすごく嫌なんです。歌が上手い人に自分が歌っているのを聞かれるって、みなさんもちょっと想像してみてください。きっと嫌だと思うんです。


小山さん)
 じゃあ僕に聞かせてよ。




西間木さん)
 君はこの世で一番聞かせたくない人。怖いんですよこの人、平気で拡散するから(笑)。「小山くんには絶対渡さない」というのはバンド内の最重要申し送り事項です。


小山さん)
 バンドなのにおかしくないですか、僕一人だけ聞かせてもらえないって(笑)。でも、そのお影(?!)か、最初から海宝くんが歌ったもの、とても洗練されたものを聞いています。いつかその前の、消え入りそうな音かトランペットか西間木くんの仮歌のデモも聞いてみたいな。


西間木さん)
 もう、やめてよ(笑)!!


──お話を「ナルコレプシーの創造論」に戻しますと(笑)。ナルコレプシー(睡眠障害のひとつ)という言葉自体を知らなかったので、こんな世界があるんだと。

海宝さん)
 普通、知らないですよね。


西間木さん)
 金縛り体験は、私は割と早くて高校生になったころから──


海宝さん)
 ちょっと待って!「私は早くて」というのが引っかかったんだけど。みんな遅かれ早かれなるみたいな言い方(笑)!




西間木さん)
 いやいや私の発症がということ!もともと霊的な現象はあまり信じていなかったのですが、かなり怖い思いをしていて。夢なのか、それとも本当に幽霊が……いや、そんなわけないと悩んでいたんです。解消したのはここ2年くらいですね。その体験を曲にしたのがこの曲になります。


──克服、解消したきっかけは。

西間木さん)
 きっかけは自分がナルコレプシーだと認識したこと。いろいろと調べることで金縛りという現象から明晰夢に移行しやすいということを知りました。


海宝さん)
 つまり夢と現実の間の状態ということですね。


西間木さん)
 金縛りが起きたらそこから明晰夢に移行することに一度チャレンジしたらうまくいった。そこからは金縛り=マイナスイメージを自分の好きなように夢を見られる明晰夢=プラスイメージに変えることができるようになりました。金縛りもそんなに悪いものじゃない。そんな曲です。




海宝さん)
 僕も最初こそどうしようかと思ったのですが、実際に歌ってみるとこういう世界、ナルコレプシーとか、結構興味深をもっている世界だと。


西間木さん)
 海宝くんがその分野に詳しくてビックリしました。あの知識はどこから。


海宝さん)
 心理学とか好きで関連する本もよく読むんです。もともとそういった世界に馴染みはあったので歌ったらしっくりきたのかもしれません。


──また歌詞に注目してみると、最後の「ソウゾウ」という音で表現されるところが「そう想像して創造して双増して想像して」という漢字表記、異なる3つの意味合いを持っています。

西間木さん)
 「君の居る正にこの世界も誰かの【創造】で作られたもの」というようなすごい妄想の世界を広げる歌詞なんです。それこそ【想像】の中のこと。そう考えていたら、私が作る歌の世界と今生きている現実の世界も大差ないような気がしてきて。ちょっとヤバイやつに見えるかもしれないのですが、それを自覚しながら「ソウゾウして」を同じ音でも異なる意味をもたせたりしながらバンドで曲として表現したら面白いかなと思ったんです。


──歌うときにはどう表現されますか。

海宝さん)
 その違いを思い描きながら歌うようにしています。


西間木さん)
 すごい!




小山さん)
 3つの「ソウゾウ」があって、最後は戻るんだ。


西間木さん)
 最後に戻るのはループしていくイメージです。




海宝さん)
 西間木くんの歌詞は音で聞くのと歌詞カードで見るのとで違うことが多いんです。ダブルミーニングだったり。こうしてCDになることでそれがみなさんとも共有できる。これまで聴き馴染んでいた曲も、こういう意味もあったんだという発見が結構あると思います。
 新曲「花色」の「アイノイロ」という歌詞、みなさんは何を想像しますか。ここでは「哀の色」なんですけど、「愛の色」かもしれないし、シンプルに「藍の色」かもしれない。西間木くんが描く世界とみなさんの想像の世界、どちらもあっていいし、それが面白いと思うんです。



【新曲「花色」は、実はあの曲の前日譚】


──今、お話に出た新曲「花色」は晩夏のさみしさを感じさせる曲です。

海宝さん)
 フラットなところがそう感じさせるのかもしれません。アレンジャーさんと西間木くんとどのように歌うかを話し合いながらこの感じになりました。


──ミュージカルとは違い声を張らない歌い方というのが新鮮です。

海宝さん)
 バンドでもミュージカルでも歌の表現は幅広いので、どんな曲でも特殊だと構えることはありません。常にその曲の世界を表現するにはどんな歌い方がいいかを選択していくということなので。


──西間木さんが曲を書くにあたって歌声、声色というのはどのくらい意識されますか。



西間木さん)
 まず、私の中でもミュージカルの海宝くんとそうじゃない海宝くんの歌声を分けて考えることはありません。ただ、どの曲を作るときにも海宝くんが歌う声を想像しながら書いています。「花色」も、もともとこのトーンで歌ってもらうことを前提にして作ったので、周りからは「こんな海宝くんの歌声、意外!」と言われるのですが、私の中ではすごく自然。二人で観に行く花火大会、一緒に居ることの楽しさの中にある哀しさ。実は「花色」はそれに続く「送る声」の前日譚、同じ二人の物語なんです。遠距離恋愛になることがわかっている二人が観に行った花火大会。その哀しさや無力感を声で表現して欲しかったんです。私が思い描いた通りの世界を歌ってくれています。


──物語をしっかりと歌声で紡いでくれる、素敵なことですね。


【タイトルに込められた意味】


──続いては、アルバムタイトルの「MONTAGE」について。

西間木さん)
 私は曲名やアルバムタイトルを決めるのが苦手なんです。自分でも考えつつ、最終的には海宝くんに相談しました。




海宝さん)
 最初、西間木くんから「モノローグ」という言葉が届きました。雰囲気はいいと思ったのですが、西間木くんの作る楽曲、アルバムの構成を考えた時、何かが違うと。そこを表現できる言葉を考え、「MONTAGE」という言葉が浮かびました。シアノタイプ(青写真)というバンド名も写真にまつわる言葉ですし、モンタージュもそう。先ほどの「花色」と「送る声」のように1つ1つの曲は独立したものでありながら、実はあの曲とこの曲が繋がっていることもあります。そうやってそれぞれの曲が組み合わさった時に大きな物語、世界を作っている。そんな西間木くんの作り出す世界を言い当てているのが「MONTAGE」なんです。


──ちなみに繋がりで言うと、「鐘」と対になると言われる「新しいとき」は海宝さんの作詞・作曲で、「歌う」ことへの決意表明のように受け取れます。

海宝さん)
 やはり僕が最初に曲を書くなら、歌うことについてだろうということで「歌」への思いを曲にしました。


小山さん)
 海宝くんらしい爽やかな曲ですよね。あの曲はピアノで作ったの?


海宝さん)
 はい。




小山さん)
 ギタリストの僕にはとても新鮮。コード進行がギターっぽくなくて、転調の仕方もすごいなと思いました。初めて作曲した人が作るような展開とは思えない、すごい才能だと感じました。


西間木さん)
 「新しいとき」はアルバムの中でとてもいいアクセントになっています。私もこの曲は絶対に入れたいと思いました。


小山さん)
 西間木くんの曲の世界とも馴染みつつアクセントにもなっているよね。




西間木さん)
 だから、海宝くんにももっと書いて欲しいんです(笑)。



海宝さん)
 頑張りたいと思います(笑)。


──アルバム「MONTAGE」制作を経て、シアノタイプは変わりましたか。

海宝さん)
 シアノタイプとしての方向性やサウンド感など、制作を通して見えたものはあります。


西間木さん)
 その通りですね。僕らのフォーカスが定まりました。


小山さん)
 それがこのアルバムに集約されています。


──最後に、いよいよアルバム発売!ここから始まるレコ発ライブへの意気込みも含めてひと言ずついただけますか!

小山さん)
 こうしてアルバムが発売されることで、これまではライブとライブの間は前のライブを思い出しながら……だったみなさんも予習・復習がたくさんできます。「あ、あの曲だ!」となるとライブもより一層楽しめると思います。また、僕らの特徴としては音楽半分/トーク半分なので、ライブではそこも楽しんでください。


西間木さん)
 CDとライブ、どちらの良さもあると思うんです。手元に置いておける、持ち帰ることのできるCD。思い出しか持って帰れないけれど、ライブでしか味わえない興奮。これからもその両方をみなさんと共有していければと思います。


海宝さん)
 先ほどもお話ししましたが、CDについている歌詞カードを見ると新たな発見がたくさんあると思います。アルバムでじっくりと曲を味わっていただき歌詞を知った上でライブを見ていただくと、それまでと違う感覚が生まれるかもしれません。そしてシアノタイプはそれぞれのパフォーマンスも魅力です。小山くんはピックを蹴り、ギターを振り回しますし、西間木くんは凄まじい演奏と普段のギャップがすごい(笑)。ライブやイベントでしか見ることのできないシアノタイプの顔もありますので、ぜひそちらにも足をお運びください。



【取材こぼれ話1】


──西間木さん、小山さんが参加されている「B.C.V.」の由来は。

小山さん)
 最後のVはもちろんベンチャーズです。ベンチャーズの中でも僕が一番好きな「65年の夏のライブ」という伝説のライブがあり、その司会を務めていたのがBing Conceptionさん。つまり僕らがカバーしているのはその頃、Bing Conception with The Venturesだよという意味です。だから何なんだと言われるとそれまでですが(笑)



【取材こぼれ話2】


──MVを撮影されたのは今では営業されていない店舗。いわば廃墟。そこから実は海宝さんが大の廃墟好きということが判明。

海宝さん)
 好きですね、廃墟。MVを撮影したのもそんな廃墟とも言える場所でしたが、映像スタッフの方が教会のようなイメージで素敵な照明を作ってくださったので、ただの廃墟ではありません。あの空間がこうなるんだ!と、とてもいい経験になりました。


──ちなみに廃墟の魅力とは。

海宝さん)
 それはロマンですね。閉園後の遊園地などもそうですが、かつて活気にあふれていた場所、人の息づいていた空気の名残にノスタルジーを感じ心揺さぶられるんです。





 音楽のバックグランドも個性もバラバラな3人。でも、お話されている空間の空気もほっこりしていて、なによりみなさん自然体。その音楽を紹介する際に欠かせない「物語性」という言葉。それはサウンドやパフォーマンスだけでなく、クリエイトの過程から紡がれている物語が表出しているのだと改めて感じるインタビューでした。普段はばらばらに活動されることもあるそれぞれが人生の物語を重ね、それを持ち寄ってシアノタイプとなる。2019年現在のシアノタイプの足跡、「MONTAGE」ぜひみなさんも聴いてくださいね。


★CYANOTYPEライブスケジュール★
東京公演:2019年10月28日(月)@shimokitazawaGARDEN(下北沢)
大阪公演:2019年10月29日(火)@Music Club JANUS(心斎橋)
福岡公演:2019年10月30日(水)@Gate’s7(博多)


CYANOTYPE 1st.アルバム「MONTAGE」
2019年10月9日 キングレコードより発売!

【初回限定盤】CD+特典DVD 3,800円+税(KICS-93847)
【通常盤】CD 3,000円+税(KICS-3847)

収録楽曲
01. 鐘(西間木 陽:詞・曲)
02. 時の不平等(西間木 陽:詞・曲)
03. 将棋の神様(西間木 陽:詞・曲)
04. 花色(西間木 陽:詞・曲)
05. 送る声(西間木 陽:詞・曲)
06. 闘争心という名の本能(西間木 陽:詞・曲)
07. ナルコレプシーの創造論(西間木 陽:詞・曲)
08. 最終電車(西間木 陽:詞・曲)
09. 新しいとき(海宝直人:詞・曲)
10. ハッピーエンド(キビラCMソング)(西間木 陽:詞・曲)

CYANOTYPEホームページ


おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) おけぴ管理人(撮影)

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