『ORCHARD LIVE 2019 HEARTFUL MUSICAL SONGS』レポート<後編>

　27名のアーティストが奏でるミュージカルの魅力『ORCHARD LIVE 2019 HEARTFUL MUSICAL SONGS』、後半戦一曲目は♪Can't Take My Eyes Off you（『ジャージー・ボーイズ』より）！歌うのは上原理生さん、山田元さん、木暮真一郎さんによるユニットAdam'sです。（前編はこちら）

【Adam'sの幅の広さに唸る】

　ひと言ひと言、語るような歌い出しは大人風味。そこから曲調はアップテンポに変化し踊るAdam'sも！



　しっとり色っぽい上原さんの声、張りのある山田さんの声、軽やかで朗らかな木暮さんの声、個性の違う3人の化学反応も大きな魅力です。



　続いてのクラシカルなナンバー。♪The Music Of The Night（『オペラ座の怪人』より）は観客をオペラ座に誘ってくれるゴージャスな響き。まったく印象の異なる2曲を披露してくれたAdam'sのこれからの活動も楽しみです！

【いずれも長く愛されるミュージカル作品】

　まだまだ続くビッグナンバー！！『ミス・サイゴン』から♪Movie In My Mind～I Still Believe、♪ブイ・ドイです。



　♪Movie In My Mindは立体的な印象を受けましたが、それは一人ひとりがドラマを背負ってそこに立ち歌っていたからでしょう。




　男性コーラスとともに上原ジョンが聴衆に訴えかける♪ブイ・ドイ、2020年の『ミス・サイゴン』公演がさらに楽しみに！！

　続いては『ウィキッド』の世界へ！軽やかなナンバー♪人生を踊り明かせ、メッセージ性の強い♪For Good。どちらもキャッチーな曲ながら、芝居でもある。これぞミュージカル！




　ダンスが印象的な小南さんですが伸びやかな歌声もとても魅力的、もっと聴きたいと思わせます！そして美しいソプラノを響かせるグリンダは笘篠さん。思い切り陽気に歌い上げつつキャラクターもしっかりと表現されていて、そこはエメラルドシティ！



　こちらは中西さんのネッサローズと木暮さんのボック。初デートにときめくネッサのキラメキと彼女を気遣うボックの優しさがとても素敵。



　伊藤広祥さんと門田奈菜さん、男女のデュエットでの♪For Goodも新鮮でした。メロディアスな曲ながら会話のように聞こえてくる序盤から、終盤の歌い上げへ！丁寧に紡がれる心の交流、ハーモニーが胸を打ちます。ずっと聴いていたい！



　湊さんのパワフルボイスがリードする♪Spread The Love Around（『天使にラブ・ソングを～シスター・アクト～』より）で盛り上がりはさらに加速！愛、広がりました！荒田さん、伊宮さん、元榮さんは間もなく始まる今年の『天使～』にもご出演ですね！！



　こちらの美しいデュエットは山田さんのヴォルフガング、美羽さんのコンスタンツェ♪愛していればわかり合える（『モーツァルト！』より）。見つめ合うおふたりにドキドキ。

【圧巻のステージ】

　ライブもいよいよ大詰め！ここでソロのビッグナンバーが2曲登場！上原さんの♪Anthem（『CHESS』より）とジェニファーさんの♪I Have Nothing（『ボディガード』より）です。



　取材メモには「すごい」のひと言。素晴らしい楽曲を素晴らしい歌声で聴ける幸せに包まれました。歌詞に込められた意味を紡ぐ、熱唱であると同時にとても“言葉”を大切にされた歌唱です。



　こちらも大ホールの空間を完全に掌握しているパフォーマンスでした！

　「普段、仲間のパフォーマンスを目の当たりにする機会は少ないけれど、今回、ライブのリハーサル・本番を通して間近に見ることができ大きな刺激を受けた」と、MCコーナーでの伊藤広祥さんの言葉の通り、若手のみなさんのきらりと光る個性と才能は“競演”することによって切磋琢磨され、より輝きを増すでしょう。同時に、確かな実力と豊かな経験に裏付けされた圧巻の表現力で観客を魅了する上原さんやジェニファーさんのような先輩の存在もまた目指すべき道を示してくれることでしょう。そんな同じ事務所に所属する仲間、ホームの存在は心強いだろうなと感じるライブでした。と、まるで終わったかのような言葉を記してしまいましたが、ライブはここからさらにクライマックスを迎えるのです！！


　最後のコーナーは『レ・ミゼラブル』、♪夢やぶれて～カフェ・ソング～オン・マイ・オウンのメドレーと♪星よ、そして♪ワン・デイ・モア！！



　華花さんのファンテーヌ、横田さんのマリウス、伊宮さんのエポニーヌ、レミゼも名曲揃いだということを改めて実感させるメドレーでした。



　♪星よ、今年、初役で挑んだ上原さんのジャベールの生き様、あの感動がよみがえります。




　みなさんでの♪ワン・デイ・モア、その歌声の厚みたるや！ジェニファーさんのエポニーヌも懐かしいですね。



　こうしてミュージカルの魅力を堪能した（実にここまでで29曲！）ライブのアンコールは『ダンス オブ ヴァンパイア』より♪フィナーレ！！最後は祭りです！







　改めてライブの様子を振り返ってみると、歌（芝居）にダンスにアクロバットとミュージカルの舞台に立つアーティストに求められるスキルの実に多様なことに驚かされます。それぞれが強みを持ち、さらに技術を磨き上げ、それを武器にオーディションに挑み役をつかみ取る。そんな世界に生きる頼もしくたくましいオーチャードの仲間たちからはこれからも目が離せません。そして、みなさんの次回出演作のみならず、次のオーチャードライブはいったいどんな規模でどんなショーが繰り広げられるのか！（勝手に）期待に胸を膨らませるおけぴスタッフなのでした。そして、最後にひと言で締めるなら「ミュージカル最高！」。

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写真提供：ORCHARD
おけぴ取材班：chiaki（取材・文）監修：おけぴ管理人