2006年の日本初演以来、5度目の上演となるミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』が開幕!一度観たらやめられない、クセになるミュージカルとしておなじみの人気作が舞台美術、照明を一新し帝国劇城に帰ってきた!!
永遠の命を持つヴァンパイアのクロロック伯爵にはもちろん山口祐一郎さん、ヴァンパイア研究に生涯をささげるアブロンシウス教授に石川禅さん。ヒロインの宿屋の娘には前回から引き続いてご出演の神田沙也加さんと初出演の桜井玲香さん。サラに心を奪われる教授の助手アルフレートに相葉裕樹さんと東啓介さん。
ほかにもサラの父シャガールにコング桑田さん、母レベッカに阿知波悟美さん、宿屋で働くセクシーなマグダに大塚千弘さん(初代サラ!)、伯爵の息子ヘルベルトに植原卓也さん、伯爵に使えるクコールに駒田一さんと個性豊かなキャラクター、それを表現する才能豊かなキャスト、スタッフが一丸となってお届する陶酔と熱狂のミュージカル、それが『ダンス オブ ヴァンパイア』!
ワクワクの初日を前に行われた会見&ゲネプロの様子をレポートいたします。
まず、舞台衣装に身を包んだキャストのみなさんが登場!
──みなさんよりひと言。山口祐一郎さん:クロロック伯爵
みなさんに愛されて、楽しんでいただいた作品。今回のメンバーとともにお届けする『ダンス オブ ヴァンパイア』(以後、TdV)は今まで以上にエネルギッシュでとってもチャーミングな作品になると思います。ぜひ劇城に足をお運びください。お待ちしています。
神田沙也加さん:サラ(ダブルキャスト)
私は2回目の参加となります。お客さんとして観ているときから大好きだった作品に、念願かなって前回出演することができました。そこからさまざま勉強・経験をし、こうして再びTdVの世界に戻ってくることができたことを光栄に思います。経験がもたらす音楽面などでの発見、スタッフとの再会の懐かしさや喜び、前回出演時からの(自身の中での)時の経過も感じながら取り組んでまいりました。大好きな世界、素敵な秋にピッタリな作品、お客様にも楽しんでいただけると思います!
桜井玲香さん:サラ(ダブルキャスト)
明日からついに始まると、今、ワクワクしています。5度目の上演、TdVを待ちわびていたお客様もたくさんいらっしゃると思うので、そんな客席のみなさんと一緒に楽しめたらと思います。
相葉裕樹さん:アルフレート(ダブルキャスト)
長く愛され続けている作品に、アルフレートとして初めて参加させていただきます。明日どのような形になるのかワクワク、ドキドキしています。実際には幕が開いてみないとわからないのですが、先輩方に支えていただきながら、大真面目にバカをやってお客様と楽しめたらいいなと思っています。
東啓介さん:アルフレート(ダブルキャスト)
今回、出演することになり、最初は「アルフレートがこんなに背の高い僕でいいのだろうか」と思いました。でも、そのギャップを活かそうと気持ちを切り替えて、アルフレートという役に向き合い、稽古に励み、みんなと一緒にTdVを作ってきました。2019年版からの新しい試みを楽しみにしていただきたいのと、歌の力でこのTdV世界観を改めて感じていただきけるように僕も精進してまいります。ツアー公演も含めると来年の1月20日まで、皆怪我なく乗り越えていきたいと思います!
石川禅さん:アブロンシウス教授
愛されてきましたこの作品、もう足掛け11年。長いですね。そして今回、11年目にして舞台装置が一新しました。重厚感のある芸術作品へ、素晴らしい装置に変わりました。新たな感動を味わえると思います。わたくしも体力的には相当のアップダウンがあり大変ですが……それは見てのお楽しみ!劇城でお待ちしております。
──本作に登場するナンバー「抑えがたい欲望」にちなみ、みなさんがこれだけは理性で抑えきれないことは。 東さん)
これだけは……、歌うことですね。プライベートでもカラオケで歌ったりするのも楽しいですし、歌で何かを表現することが好きなので、そこは抑えきれないです。
桜井さん)
私は食べることです(笑)。お稽古でもエネルギーを使う作品なので食欲が本当に抑えられなくて。遅くまで稽古をした帰り道、「絶対今日は食べない」と思うのですが、帰宅後に気づいたら一人鍋を始めていたり(笑)。本当にずっと食べています。でも、食べないと(体力も)持たないと思うので美味しいものをいっぱい食べて公演を頑張りたいと思います。
石川さん)
25年、ずっとやめられなかった喫煙を15年前に止められたんです。そうなると、今、やめられないものは……お芝居でしょうか。あ、普通に答えちゃった(笑)。
山口さん)
本作中に神田さんと桜井さんが生まれたままの姿でお風呂に入るシーンがあるのですが、スタンバイするべきタイミングより早くスタンバイして後ろで覗くのをどうしても我慢できません。ごめんなさい。
神田さん)
光栄です。
神田さん)
これしか浮かびません、チョコレートです。私、ミュージカルナンバー中でチョコレートを食べがちだと言われるんです。本当にチョコレートが好きな役も多いですし、自分自身も好きなんです。朝起きたら水分よりも先にチョコレートを口に入れないと起きられないくらい(笑)。寝る前も、歯を磨いてチョコレートを食べてまた歯を磨いて寝るというくらいやめられなくて。自分の生活と密接なチョコレートは元気が出ます。
相葉さん)
抑えようとも思っていないのですが(笑)、ペットと戯れることです。疲れた時に癒されるので、ついつい時を忘れて戯れてしまいます。
──山口さんにとって5度目のTdV、今回の仕上がりのほどは。 山口さん)
キャストのみなさんのエネルギーと、見かけによらない舞台に対する真摯な態度(笑)、本当に真面目なんです。稽古場でも、どうしてそんなに一生懸命お稽古するんだろうと思うくらい、本当に見かけによりません(2回目)。そんな若人たちと一緒にお届けする魅力的な作品になっています。
──続いて石川禅さんに伺います。2009年の再演からご出演されていますが、これだけ再演を重ねるTdVの魅力は。石川さん)
芸術座の創立者・島村抱月さんの言葉に「二元の道」というものがあります。「二元」とは芸術性と大衆性、そしてその両方を持ちあわせている作品は名作となる。TdVはそんな作品だからこそ、お客様に愛されているのではないでしょうか。
至って真面目にお話しする石川さんの背後に……
応戦?!
──では、山口さん、最後に締めの言葉をお願いいたします。山口さん)
それではどうしましょうか……。
山口さん)じゃあ、「ミュージカル~」
ダブルサラの手を取って!
山口さん)次は「劇場で」
アルフレートズ)「僕ら?」
練習!
あれ?
え?
紆余曲折を経て(上記の写真によりご想像にお任せします)、伯爵ディレクションの締めの言葉が!
サラズ)「ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』」
アルフレートズ)「劇場で」
全員「お待ちしています!」
決まった!
すでにいろいろと面白すぎて(これも作品の影響?!)このボリューム!!思わず、「今日のハイライトはここなのか!」とすら感じたのですが、その後に行われた公開ゲネプロを見たら……さらなる熱狂のヴァンパイアワールドが!!やっぱりこれだよね~と、伯爵さまの帰還に心躍らせるおけぴスタッフなのでした。
続いてはゲネプロレポート!
囲み取材に続いて行われたミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』ゲネプロ(サラ:神田沙也加さん、アルフレート:相葉裕樹さん、ヴァンパイア・ダンサー:森山開次さん)をレポートいたします。
荘厳なオーヴァーチュアに誘われて、そこは極寒のトランシルヴァニア。吹雪の中、命からがら宿にたどり着いたのはヴァンパイア研究に没頭するアブロンシウス教授(石川禅さん)と助手のアルフレート(相葉裕樹さん)。
宿には「ガーリック、ガーリック」と歌う村人たち、宿の主シャガール(コング桑田さん)、妻のレベッカ(阿知波悟美さん)、女中のマグダ(大塚千弘さん)らに介抱されたふたりは、この宿に滞在することになる。そして教授は宿に、村に漂う「何かを隠している空気」「壁に吊るされた数多のガーリック」からヴァンパイアの影を感じるのです。
一方で、真面目で気が弱いアルフレートは宿屋の娘サラに一目ぼれ!!しかし、お風呂につかりながら自由を夢見るサラのもとにヴァンパイアのクロロック伯爵の甘い誘いが──。
会見でも話題になったように宿屋のセットも一新!人間関係のドキドキを立体的に見せます。あの人がこちらへ、この人はあちらへ……恋心、親心、下心が錯綜する様子がコミカルに展開。あ!教授のあくなき探求心も加えておきましょう。
そんなちいさな欲望に突き動かされる人間たちのもとに強烈なインパクトで登場するのがクロロック伯爵(山口祐一郎さん)!正直に申しましょう。ロバートもマキシムもとても素敵でした。でもやっぱり、「そうそう、これよこれ!!これが見たかった!」と、この時点ですでに心の中は頭を傾げて「どうぞ!」状態(笑)。囁き声からハイトーン、一幕ラストのロングトーンまでクロロック伯爵ご降臨でございます。
そんな客席の興奮はちょっと置いておき、物語へ話を戻しますと。城での舞踏会へ招待されたサラは、まだ見ぬ世界への憧れを抑えきれずに──。
神田さんはロマンティックな雰囲気のなかに意志の強さ、激しさを持ったサラを体現。無邪気にあるアルフレートを翻弄していくところは神田さんのコメディセンスが炸裂です。対する相葉さんは実直さが裏目に出てしまうヘタレっぷりを見せつつ憎めないアルフレートです。おけぴスタッフ的ハイライトは「脚力!」と言いたいところですが、やはり「サラへ」です。(
相葉裕樹さん デビュー15周年ロングインタビュー)ついに相葉さんがアルフレートとして「サラへ」を真っ直ぐに歌い上げる!対教授、対サラ、対ヘルベルト……いろんな表情を見せるアルフレートです。そんなサラとアルフレートの噛みあっているようないないようなデュエットなど、あらためて名曲揃いであることも再認識♪
石川さんのアブロンシウス教授は絶好調!変わりモノではあるのですが、これまでより“居そうな”人物という印象。そして相変わらずナイティ姿もチャーミングです。そして確かに運動量がすごい!!
シャガール、レベッカ、マグダの宿屋の三角関係もある出来事を境に奇妙な展開に。それを演じるお三方も息ピッタリ(というのも変な話ですが・笑)。新キャストの大塚さんの毒っ気もいい!
そして本作、“ダンス オブ”というタイトルからも、妖艶で力強いヴァンパイア・ダンサーをはじめとするダンスチームの作り出す世界も大きな見どころ。この日のヴァンパイア・ダンサーは森山開次さんでしたが、クロロック伯爵の化身として、その内なる思いを吐露する歌唱に合わせたダンスに魅了されました。もう、目が離せない!!(そこからカーテンコールのギャップも!)ヴァンパイア・ダンサーズ&ヴァンパイア・シンガーズのシーンもゾクゾクしますよ。
おっと、忘れてはならない人気キャラクター、クコちゃんにヘルちゃんこと、駒田一さんのクコール(幕間のあのコーナーも)、植原卓也さんのヘルベルト(初登場シーンのインパクト!この親にしてこの子あり感?!)も確かな存在感を示します。
衝撃の結末のあとはカーテンコールでキャストも観客も踊るというお楽しみが待っている本作。
さあ、勝つのは理性か欲望か!↑このような、まるでお祭りのような高揚感溢れるカーテンコールですが、楽しい中に哲学的なメッセージも潜んでいるのがヴァンパイア伝説という古典がもつ力。永遠の命を持つヴァンパイアの苦悩、欲望、理性、自由。
自分を縛るものから解き放たれる快感、それこそがクセに理由なのかもしれませんね。
舞台写真提供:東宝演劇部
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人