2020年1月24日から2月4日まで南座で上演される
イマーシブシアター『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~の製作発表が行われ、出演者が公演への思いを語りました。
【“イマーシブシアター”とは?】
「イマーシブ(immersive)=没入する、没頭する」の意味のとおり、その世界観に引き込まれるような体験型の演劇・パフォーマンス作品。観客は会場を回遊したり、見るものを自ら選択したりしながら、作品を“体感”することができる。ニューヨークでは、ホテルとして作られた建物を一棟まるごと使い上演されている『Sleep No More』が人気を集めロングラン公演中。日本でもダンスカンパニー「DAZZLE」が 2017年に『Touch the Dark』を上演。東京ワンピースタワー×DAZZLE「イマーシブシアター『時の箱が開く時』」をプロデュースするなど、最新型の演劇スタイルを提示、牽引している。◆ 歌舞伎発祥の地に建ち、昨年末に新開場した南座。日本最古の歴史を持つ劇場が、1階客席部分を全面フラット化可能など、最新の設備を持つ劇場に生まれ変わりました。
その南座が新たに取り組む
イマーシブシアター『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~は、観劇するエリアによってさまざまな体験が待つ参加型演劇。
1階席の観客は
都人(みやこびと)となり、演者と客席の境目がないフラットな空間を回遊しながら、自ら見たいものを選択し、物語の世界に没入する参加型スタイル。
2、3階の上階席の観客は
雲上人(うんじょうびと)となり、舞台進行を俯瞰しながら鑑賞。物語のクライマックスでは、5人の男のうち誰がサクラヒメの相手としてふさわしいかを決める裁決(投票)に参加します。裁決の結果によって、物語の進行がかわるマルチエンディングも魅力のひとつです。
前世の記憶をもとに、ヒロイン“サクラヒメ”が運命の相手を探し求める物語は、歌舞伎の演目として知られる「桜姫東文章」に題材を取っていますが、ストーリーやキャラクターはオリジナルですので、歌舞伎の知識が全くなくても大丈夫。目の前で繰り広げられる臨場感ある場面、出演者のパフォーマンスを楽しめるステージになりそうです。
サクラヒメ役:純矢ちとせさん
前世の記憶をもとに運命の相手を探し求める サクラヒメ役を演じるのは、元宝塚歌劇団宙組の娘役で、退団後これが初の舞台出演となる
純矢ちとせさん。宝塚在籍中から得意としていた日本舞踊に加え、三味線、唄、ダンスなど多彩な見せ場があるとのこと。
「5人の男性の想いを寄せていただく幸せな役。みなさまの投票で毎回結末が変わりますので、何度でも楽しんでいただける作品になるのでは。サクラヒメの衣裳は上半身は着物風ですが、下はマーメイドスタイルのドレスになっています。作品の内容も日本舞踊だけでなく、洋舞やお三味線など、和と洋の融合が魅力的だと思いました。マルチエンディングについては私よりも、共演者の皆さまのほうが大変。私は毎回、結果を楽しみに待ちたいと思います(笑)」陰陽師役:川原一馬さん
サクラヒメと出会う5人の男性のうちのひとり。神秘的な陰陽師役の
川原一馬さん。上階(2.3階)席でのパフォーマンス(タップダンス)宣言も!?
「1階席はお客様との距離が近いので、僕らから(観客に)アプローチする場面もあるかもしれません。また、上階でのパフォーマンスではタップダンスをお見せできればと。サクラヒメの相手として選ばれるかどうかドキドキもありますが、選んでいただけるよう全力でパフォーマンスしたいと思います」浪人役:荒木健太朗さん
孤高の気高さを持つ浪人役は
荒木健太朗さん。剣術に秀でた役どころということで、得意の殺陣を間近で見られる場面も…!?
「今日、純矢さんとお会いして、“ああ、もう僕しか選ばれないな!”と思いました(笑)。日本独特の刀という武器の美しさ、色気を、京都を訪れる海外の方にもアピールできれば。実は今年の春に祇園白川で花見をしたあと、南座を見て“いつかこの場所に立てたら最高だな!”と思ったんです。それがこのような形で叶うとは…みなさん、夢は叶います!」義賊役:世界さん(EXILE、FANTASTICS from EXILE TRIBE)
ユーモアと自由を愛し、弱者を助ける義賊役は、「
EXILE」「
FANTASTICS from EXILE TRIBE」のメンバーとして活躍する
世界さん。ストリートダンスだけではないダンス力、役者としての顔まで、後日おけぴインタビューでもご紹介予定です!
「最新の演劇システムに参加できて光栄です。お客様も含め、その空間にいる全員で作り上げる“サクラヒメ”。毎回違うものになるはずです。表情、指先、細かい所作を隅々まで見ていただけます。僕らとお客様がからむ場面もあると思いますのでお楽しみに。上階のお客様にアピールするパフォーマンスはいま考え中です。「Choo Choo TRAIN」を踊るわけにもいかないし…でも、もしかしたらそんな演出もあるかもしれませんね」鳶役:平野泰新さん(MAG!C☆PRINCE)
一本気で仲間思い、男気あふれる鳶を演じるのは、これが初めての舞台出演となる
平野泰新さん(MAG!C☆PRINCE)。元男子新体操選手の経歴を活かしたアクロバットで上階へのアピールにも自信を見せてくれました。
「初めての舞台出演で、由緒ある南座に立てることが嬉しいです。人生の半分以上続けてきた新体操で培った表現力、アクロバットの技、僕にしかできないものをしっかりお見せして、最後のひとりに選んでいただけるようにがんばります。上階のお客様にもアピールできるよう、できるだけ高くジャンプして、皆さまの目線に近づきたいと思います!」町医者役:Toyotakaさん(Beat Buddy Boi)
貧しい人々を無料で診察する心優しい町医者役は、HIPHOPクリエイティブ集団「Beat Buddy Boi」として海外で賞を受け、植木豪さん率いる「BREAK FREE」のメンバーとしても活躍する
Toyotakaさん。
「アメリカのHIPHOPカルチャーに影響を受けてきましたが、(義賊役の)世界と三味線の音をサンプリングした楽曲で踊ったり、日本人としての表現も模索してきました。そんな自分が歴史ある南座の舞台にストリートダンサーとして立てることがすごく誇らしいです。こんな町医者だったら毎日診察してもらいたいと思ってもらえるようなダンスをお見せしたい。でも僕は「Choo Choo TRAIN」を踊るわけにもいかないので…(笑)、ダンススタジオの鏡の前ではなく、道端で踊ってきた経験を生かして、1階も上階も、全方向にダンスを大爆発させたいと思います」盗賊役:高田秀文さん(DAZZLE)
5人の男性に“試練”を与える盗賊役は、「DAZZLE」メンバーとしてこれまでに数多くのイマーシブシアターを体験してきた
高田秀文さん。不可解な行動をとる盗賊の“前世の秘密”とは…?
「日本のイマーシブシアターといえば「DAZZLE」、僕自身もこのなかでは一番経験がありますので、皆さんを引っ張っていきたいと思います。(サクラヒメに)選ばれるのは、5人の中の誰かなのですが、それでも自分が選ばれるようにがんばりたい(笑)。皆さんから色々なものを盗みたいと思います」雲上の導者役:新里宏太さん
雲上の導者として、上階席の雲上人と人間の橋渡しをするのは
新里宏太さん。アニメ『ONE PIECE』の主題歌「HANDS UP!」や、ミュージカル『スタミュ』などでご存じの方も多いはず。
「雲上ですので、2・3階のお客様と過ごす時間が多いと思います。普段は歌手として活動しているので歌唱披露にも注目していただければ。僕も選ばれる権限はないのですが、何かの間違いで選ばれるように(笑)、がんばります!」前列左より:三宅康之さん(TSプロモート株式会社)、飯塚浩一郎さん(DAZZLE)、純矢ちとせさん、安孫子正さん(松竹株式会社)
製作発表には、脚本・演出をつとめる「DAZZLE」の代表・飯塚浩一郎さん、公演を主催するTSプロモート株式会社 取締役の三宅康之さん、松竹株式会社 代表取締役副社長 演劇本部長の安孫子正さんも登壇。
松竹と寺田倉庫の2社によって設立されたTSプロモートのコンセプトを
「文化を継承し、さらに次世代に続く新たな文化を作っていく」(三宅さん)とし、
「日本最古の劇場から新しい文化を発信する、新しい芝居を続けることが南座の使命。400年前に歌舞伎が発生したのも出雲阿国の踊りから。ストリートダンスは現代の阿国踊りだと思う。この試みが新たな出発点になれば」(安孫子さん)と製作側の熱い思いを語りました。
飯塚さんによれば、上演予定時間は70分前後。1階の都人(みやこびと)エリアに座席はなく、観客は演者に導かれながら自分の見たいものを追いかける形になるとのこと。上階(2・3階)は雲上人(うんじょうびと)エリアとなり、全体を俯瞰するように作品を鑑賞することがきるほか、ストーリーのクライマックス前には、5人の候補からサクラヒメの相手役を選ぶ裁決(投票)に参加可能。また5人のキャストは必ず1度は上階に現れパフォーマンスする場面があるとの嬉しい情報も。
イマーシブシアター『サクラヒメ』~『桜姫東文章』より~は京都四條南座で1月24日に初日を迎えます。
日本最古の劇場で楽しむ、最新型の演劇体験!
【義賊役・世界さん(EXILE)おけぴインタビューも近日公開予定!】
おけぴ取材班:mamiko(文/撮影) 監修:おけぴ管理人