『十二夜』稽古場レポート~青木豪さん演出、オールメール キャストでお届け~



 2013年にDステで上演された青木豪さん演出の『十二夜』。「こんなに笑えるシェイクスピアは初めて」と人気を博した傑作喜劇が、キャストをほぼ一新し、パワーアップして上演!今回、枠組を超えて集いしキャストは新劇、ミュージカル、小劇場、お笑い、2.5次元…ジャンルという概念も吹っ飛ばしたオールメールで個性豊かな面々。



前山剛久さん、新納慎也さん


納谷健さん

 双子の兄妹の乗った船が難破することから始まる物語。
 妹のヴァイオラ(のちに身を守るために男装しシザーリオと名乗る)には前山剛久さん、シザーリオが仕える公爵オーシーノには新納慎也さん、オーシーノが恋する伯爵家の女主人オリヴィアには納谷健さん、ヴァイオラの生き別れの兄セバスチャンには三好大貴さん!(公式サイトの丸わかりイラストもポップ!)


 青木版シェイクスピアの魅力はなんといっても肩ひじ張らずに楽しめるわかりやすさ!海の嵐から恋の嵐に~人間関係が入り乱れつつも一人ひとりのキャラクターがしっかりと確立されているのでその世界に身を委ねればオッケー。また、翻訳の松岡和子さん、音楽の笠松泰洋さん、そして青木豪さんといえば、本作初演はもちろん2018年の劇団四季『恋におちたシェイクスピア』も大評判でしたね!スタッフワークも盤石の布陣でお届けする『十二夜』なのです!


 ここからは活気あふれる稽古場の様子をレポートいたします。

 まずは生き別れになった双子の兄妹ヴァイオラとセバスチャンのシーンです。互いの消息を知らない二人は別々の空間にいるのですが、何かに導かれるように自然と動きがシンクロする。それによって“離れていてもひとつ”、互いを思う二人の繋がりが視覚的に表現されます。そんな兄妹の根底にある愛しい人を失った(と思い込んでいる)悲しみを表現するのは芝居・動き・そして音楽。ギターとアコーディオンの調べがなんともいえないもの悲しさ、郷愁を感じさせるのです。まさに芝居する音楽!この日の稽古場では音源でお稽古していますが、本番では楽隊、助川太郎さん(ギター)と佐藤芳明さん(アコーディオン)による生演奏です。




 こちらはシザーリオに恋するオリヴィアのシーン。場面転換の確認でほんの一瞬でしたが、オリヴィアを演じる納谷さんが登場した瞬間にパッとその場が華やぎました。恋するパワーがそうさせるのでしょう。思わずこちらも笑顔になってしまうキラッキラのオリヴィア。




 続いて公爵オーシーノとヴァイオラの登場です。小姓シザーリオとして仕えつつもオーシーノに恋心を抱くヴァイオラの一方通行の恋のほほえましさが溢れるシーンです。



オーシーノを見つめるヴァイオラ(シザーリオ)のまなざしにキュン

 <ヴァイオラ→オーシーノ→オリヴィア→シザーリオ(つまりヴァイオラ)>という究極の恋の一方通行大渋滞!この場面のやり取りでも、すべてを知っている観客は「オーシーノ!なぜ気づかない!」と思うのですがそこが面白いところでもあります。ただ全く気付かないようでいてもふとした「ん?!」という瞬間もちりばめられているところがこの芝居のツボ。



 前山さんは指の先までヴァイオラ!『お気に召すまま』でもその美しさに息を飲みましたが、さらにパワーアップし纏う空気まで変えてくる!前回のロザリンドとギャニミードのように、ヴァイオラ(女性)が身を守るために男装しシザーリオを名乗り男性としてふるまうという面白さもきっとバージョンアップすることでしょう!楽しみ~!



 そして、新納さんのオーシーノ!ガッツリ二枚目だけど、突っ込みどころも満載なオーシーノというキャラクターを変幻自在に魅せます。たとえば──。



道化のフェステに対しこんな怪訝な表情を浮かべていたかと思ったら……



いつの間にか


一緒に熱唱!


LOVE♪


さらに生き別れになった双子の兄セバスチャン(当然ヴァイオラと瓜二つ)もあらわれて──

 このように思い切り恋をして、思い切りカン違いもする、そんな本気な人々が本当に愛おしい!もちろん恋物語と並行して進む、オリヴィアの侍女で策士のマライア主導の伯爵家の執事マルヴォーリオ懲らしめ作戦も痛快なこと間違いなし。というのも、このキャスティングをご覧あれ!サー・トービーに文学座の小林勝也さん、サー・アンドルーに舞台・映像で大活躍の春海四方さん、マライアの阿南健治さん、マルヴォーリオには初演から引き続き坪倉由幸さん(我が家)ら、本当に芸達者揃い。


 また初演同様に、再演今回の『十二夜』も二礼二拍手一礼に始まります。これは天災を経た社会における演劇を「人々が集まる日本の祭り」「そこに役者がいれば芝居は生まれる」(青木豪さん)と捉えたことから生まれた仕掛けです。



演出:青木豪さん


【カンパニーとしての強さの秘密】


 ここからは本編を少し離れて、カンパニーとしての強さに迫ります!この日の稽古前半は振付の広崎うらんさんのワークショップ形式のアイスブレイク&ウォーミングアップからスタート。そこに舞台俳優の凄さ、力の裏付けを見たのです!

 一見楽しそうなゲームにみえるのですが、頭も身体もフル稼働!それによって発想力、瞬発力、集中力、チームワークが磨き上げられていきます。たとえばみんなで円を作りお互いをニックネームで呼び合う、まずは右回り、左回り、続いてアトランダムに指名・呼びかけをしていく……。次第にスピードアップしていき見ているだけでもなかなかの緊張感!さらに同じような動作を送るシーケンス、実際に動くシーケンスなどを組み合わせていくから驚きです。





真剣!

 はじめは戸惑っていたみなさんも何度か繰り返すうちにスムーズに流れるようになっていく。言語と運動、自分の中でそれぞれの情報処理をしながらも周囲を気に掛け、反応していく。俳優としてのアンテナの張り方、感度の上げ方の素晴らしさにちょっと感動、かなり尊敬!



広崎さんもゲームに参加!

 ほかにも、ある枠組みの中で各々がポージングをしてオモシロ静止画をつくるなど次々に題材が与えられていきます。そこで浮き彫りになるのはオモシロを貪欲に求めるみなさんの姿勢。ただし広崎さんの指示は「考えすぎずに、直感で」ということ。それによって生まれる偶然の産物も面白い!




文学座の小林勝也さんもオモシロに参戦!



ふと素敵な表情が生まれる!


 こうして身体も心もほぐれたところで、レポ冒頭のシーンごとのお稽古となったのです。いろんなタイプのゲームをしながら広崎さんはそれぞれの個性を観察し、その後、物語の流れに沿ってその個性が最大限に活きるように的確に動きをつけていらしたのですね。そんなスタッフワークにも感動!



 お稽古を拝見し、素敵なキャスト・スタッフで作り上げられる『十二夜』への期待がますます高まりました。1600年代はじめに生まれた愛おしき人間たちを描いた傑作喜劇が今もなお上演され続けるには理由がある!不安が尽きない世の中、いっぱい笑うことで癒され心のコリがほぐれるような観劇体験はいかがですか?




【公演情報】
『十二夜』
2020年3月6日(金)~22日(日) 東京・本多劇場
2020年3月29日(日)~31日(火) 大阪・近鉄アート館

作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
上演台本・演出:青木豪
音楽:笠松泰洋

出演:前山剛久 新納慎也 納谷健 三好大貴/坪倉由幸 清水宏/木場允視 根本大介 宮澤和之/
阿南健治 春海四方 小林勝也  
楽隊:ギター 助川太郎/アコーディオン 佐藤芳明

<あらすじ>
双子の兄妹セバスチャン(三好大貴)とヴァイオラ(前山剛久)の乗った船が難破し二人は生き別れる。
兄が死んだと思ったヴァイオラは身を守るため男装し、シザーリオと名乗り公爵オ―シーノ(新納慎也)の小姓となる。
ヴァイオラはオ―シーノに恋心を抱くが、伯爵家の女主人オリヴィア(納谷健)に恋するオ―シーノは想いを伝えるためヴァイオラにを使いに出す。
複雑な気持ちでヴァイオラはオリヴィアに会うが、女とは知らずオリヴィアはヴァイオラに一目惚れ。
オリヴィアの屋敷では、伯父のサー・トービー・ベルチ(小林勝也)、オリヴィアに求婚するサー・アンドルー・エイギュチーク(春海四方)が道化のフェステ(清水宏)と共に、毎晩飲んだくれていた。
堅物の執事マルヴォーリオ(坪倉由幸)は彼らを強く叱責する。
普段からマルヴォーリオを嫌っていた彼らは侍女のマライア(阿南健治)も引き入れ仕返しを計画。
その結果マルヴォーリオは幽閉されることに。一方ヴァイオラの兄セバスチャンも生きていた。
瓜二つの兄妹を巡って周囲は大混乱。それぞれの恋の行方は?!

公演HPはこちら


おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人
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