ミュージカル『僕とナターシャと白いロバ』観劇レポート&感想ご紹介

★ライブ配信情報★
2月13日(土)18:00※ジャヤ役=AKANE LIV
2月20日(土)18:00※ジャヤ役=月影瞳
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儚く美しいラブストーリー、ミュージカル『僕とナターシャと白いロバ』が浅草九劇にて上演中です。50年前に別れた恋人・ペクソクを思い続ける女性ジャヤのもとへ突然姿を現した昔の姿のままのペクソク。二人は記憶の旅路を巡る──実在の詩人と妓生(キーセン)の恋人の悲恋をもとにしながら、どこかファンタジックな物語を多彩な音楽で綴る韓国創作ミュージカルの日本版初演となります。演出は荻田浩一さん、出演は東山光明さんAKANE LIVさん月影瞳さん伊藤裕一さんです。(AKANE LIVさんと月影瞳さんはWキャスト)



【お寄せいただいた感想をご紹介】



♪3人の出演者とピアノの演奏だけのシンプルな舞台でしたが、儚くて美しい素敵な作品でした。沢山のナンバーを見事に歌いあげる東山さん、芝居心のある月影さん、マルチに複数の役をこなす伊藤さん、3人の方の力量に大拍手です。

♪コロナ禍で疲れていた心にじんわり沁みました。とにかく主演の東山さん、お相手のAKANEさんの歌声がピュアで心地よかったです。物語のキャラにピタリとはまっていて、優しく温かいお2人のやり取りに、気付くと泣いていました。今、観たいのは、こういう舞台だなと思いました。



♪月影さんのジャヤが役柄にぴったりでした。凛とした美しさ、薄幸だけど運命を切り拓く力強さが伝わってきました。裾捌きの美しさはさすがです! 3人だけの濃密な舞台でした。舞台と客席の間がビニールシートで仕切られていましたが、幻想的な感じで気になりませんでした。

♪韓国小劇場らしい作品でした。楽曲もよかったです。飛沫防止のビニールが、照明によっては物語を幻想的な雰囲気にしていました。

♪幸せだった時代が永遠に詩の中で生き続けるように、観終わった後に残るのは出演者の皆さんの笑顔でした。過去と現在と現実と想い出と幻が音楽と共に流れていく感じがとてもステキでした。



♪過去を振り返る形で物語が展開されていき、どの場面もペクソクとジャヤの愛情あるやりとりが心に染みます。シンプルなセットとピアノが、美しいお芝居や歌声をより引き立てているようで、作品に浸ることができました。AKANEさんのあたたかいお芝居と伸びやかな歌がとても素敵でした。

♪3人のお芝居も勿論のこと、ストーリー・音楽・照明・美術・演出どれをとっても「美しい」と感じたのが一番の感想です。ファンタジーでありながらもラブストーリーで、時にはコミカルなシーンや対照的にシリアスなシーンが程良いテンポ感で進んで行きとても観やすかったです。3人とピアノ1人という少人数での作品でしたが、皆さんの力強い表現力が余すところなく発揮され、作品の世界観に引き込まれた90分でした。

♪歌がすばらしい!CDあったらほしいです。白ごはんと~、なんだか可愛らしいフレーズを口ずさんでしまいます。時代背景等はノー知識で行きましたので気になった部分は調べたくなりました。




♪実力のある俳優さんによる良質な3人芝居でした。マルチマンの伊藤さんが素晴らしく、とても印象に残りました。

♪ペクソクの美しい詩が散りばめられた楽曲と、ピアノ1台でこの世界観を表現されていて、引き込まれました。ジャヤの「1000億ウォンなんて、あの方の詩の一行にも及ばない」という言葉が、ペクソクへの尊敬と愛の深さを感じました。是非、劇場で体感して欲しいです。

♪とても面白く観ました。現在と過去、今はどこ?とちょっと迷子になったけど、頭の整理をしながら、観ました。ジャヤのセリフがとてもかわいい!言い方がかわいいのか?ペクソクのダメ男ぷりがなかなかでした。



♪キャストの息の合ったアンサンブルが見事。東山光明さんは初座長と思えぬほど堂々とされており、月影瞳さんは表情豊かで丁寧な役づくり。指先まで神経を行き渡らせた舞姿は美しく眼をみはりました。伊藤裕一さんは何役もこなされ、楽しませてくださいました。新型コロナウイルス感染予防対策として、透明なビニールシートで舞台と客席を隔ててあるのが最初は気になりましたが、かえって幻想的な効果に感じました。

♪韓国でも見ていて好きな作品だったので今回日本で公演するのを楽しみに待っていました。ジャヤのペクソクへの気持ちがあふれていて胸が苦しく涙が流れました。曲も素晴らしいし、日本語歌詞も合っていてとてもよかったです。

♪冒頭の韓国語の詩の美しさとマルチマンの重なり合う朗読で一気に引き込まれました。ふたりの可愛らしいやりとりや、ペクソクの今にも踊り出しそうな軽やかな姿、その後待ち受けている運命の対比を、自然と導き、空間を支配するお三方、ピアノのいざないがとても心地よかったです。愛する人を永遠に想い続ける女性と誰よりも愛する女性を詩で永遠に残るようにした深く美しい言葉の数々にはっとさせられシンプルな景色にさえ新鮮に感じる素敵なお芝居でした。


【観劇レポート】

はじまりは舞台上に男が一人、一編の詩を読み始める。
一節一節を丁寧に読み観客を作品世界へ導くのは“マルチマン”、伊藤裕一さんが演じます。“マルチマン”はその名の通り、その後、ペクソクとジャヤの出会いのきっかけとなるペクソクの親友や、ジャヤとの交際に反対するペクソクの父、弟、郵便配達員など、二人に関わるいくつもの役を務めます。黒のスーツをまとって、変幻自在に二人の物語を進める黒衣のようであり、物語の目撃者でもある。小説ならば地の文であり、読み手であるようなとても興味深い存在です。伊藤さんの芝居巧者ぶり、とりわけ声の魅力が際立ちます。




そこにやってくる年老いたジャヤ。若き日に愛したペクソクへの思いを貫き、生涯独身を通した、そんなジャヤの目の前に現れる青年ペクソク。旅に行こうと提案するペクソクに戸惑いながらも──重い腰上げると、その瞬間に若き日のジャヤに戻ります。まとっていた年輪をふっと脱ぎ捨てるように身軽になる瞬間が見事で、観客も一緒に“演劇で時を超える”ワクワクがあります。



演じるAKANE LIVさんと月影瞳さん、ジャヤの心象風景とも言える本作ですので、ふたりのジャヤがそれぞれの世界を作り出します。AKANEさんの包み込むような温かさ、月影さんの儚くもたくましい強さ、それは表情、たたずまい、歌声……それぞれに輝き、その光に照らされて浮かび上がる東山ペクソクも変化していく。そんなWキャストの面白さも!そして、チマチョゴリを着たジャヤの「舞」も作品の大切な要素であり、みどころ(振付は港ゆりかさん)。また、ジャヤのキャラクターを象徴するもののひとつとして、台詞回しにそこはかとなく表れるお国訛り。その塩梅も年齢設定によって、演者によって微妙に異なるのも鑑賞のポイント。



詩人ペクソクの東山光明さん、こちらは対照的に真っ白なスーツ。50年の月日を超えて、若き日のモダンボーイ姿で現れても嫌味がない!! とてもチャーミングな東山ペクソクです。途中、「ペクソクったら、もうっ!」と思うような場面もあるのですが、それでも憎めない魅力がしっかりあります。軽快なリズムに合わせてダンスも披露するポップなナンバーから葛藤する芝居要素の強いナンバーまで、確かな技術で聴かせます!


荻田さんの演出によって、作品本来が持つ美しさに加えて、俳優それぞれの個性や魅力が最大限に活かされているという印象を受けました。持ち味を生かすからこそ、無理がなく、Wキャストそれぞれの色が生まれる。そして生身の人間が、劇場という空間で登場人物に命を吹き込むからこそ生まれる温度。日本版初演ならではの『僕とナターシャと白いロバ』になっているのではないでしょうか。

2021年ならではと言えば、劇場の感染対策も挙げられます。客席同士はパーテーションで区切られ、舞台と客席の間にはビニールシートで隔たれています。「シート越しに見るお芝居ってどうなのだろうか」、始まるまではそんなことも思ったのですが、この作品が持つ柔らかさと直視しない美しさが新たな演出効果を生んでいました。そっと心にしまっておきたくなるような“秘めごと感”とでも申しましょうか。また、情景や心情を膨らませる音楽も印象的な本作、音楽監督は福井小百合さん、ピアノ生演奏は安齋麗奈さんです。



韓国では冬に上演されるという本作、そのタイトルはペクソクの代表的な詩のタイトルです。そこで描かれる雪降る冬の情景、まさにそのような景色が目の前に広がるラスト。悲恋ものと聞くと、どれだけ泣かせに来るかなんて邪推してしまいがちですが、そっと優しく届けられる物語。観劇後に心に残るのは陽だまりのようなあたたかな余韻です。

ジャヤの中で生き続けたペクソクと彼の詩、ペクソクの詩の中で生き続けたジャヤ──別れの後、二度と会うことはなかったけれど詩を介して共に生きた恋人たちの物語です。


【公演情報】
ミュージカル『僕とナターシャと白いロバ』
2021年2月3日(水)~28日(日)@浅草九劇

<出演(役柄)>
東山光明(白石[ペクソク]役)
AKANE LIV・月影瞳(Wキャスト/ジャヤ役)
伊藤裕一(マルチマン)

ピアノ:安齋麗奈

<スタッフ>
脚本:Park Hae Rim
音楽:Chae Han wool
上演台本・訳詞・演出:荻田浩一
音楽監督・歌唱指導:福井小百合
振付:港ゆりか

<あらすじ>
一時、熱く愛したある詩人・ペクソクを忘れられず、一生恋しく思いながら独身を貫いた妓生のジャヤ。
50年前に別れを経験し、その時間の中に閉じ込められてしまった女性に、ある日突然若々しい彼が尋ねてきて、一緒に旅行に行こうと提案する。
この物語は、「私のように卑しい女性を一人の詩人が愛し、ナターシャにしてくれたのだから、自分は喜んでそのように生きる」と、彼と彼の詩に一生を捧げたジャヤの物語であり、その女性の記憶の中に溶け込んでいる詩人・ペクソクについての物語である。

公演HPはこちらから

感想寄稿:おけぴ会員の皆様
おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人

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