映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年公開)から30余年、2021年3月、日比谷シアタークリエにてミュージカル『GHOST』再演の幕が開く!
本作は2018年にダレン・ヤップ演出で上演された日本オリジナル演出版の再演。イリュージョンやハイテク装置などショーアップされた印象のミュージカル版から、人と人との繋がり、人を思う気持ちなど人間ドラマをぐっと深めた日本版は新たな感動を呼びました。初演から続投のキャストに加え、新たに桜井玲香さん、水田航生さんを迎えての待望の再演となります。
もちろん主人公サムが暴漢に襲われて突然命を落とし、“ゴースト”となってしまう瞬間や“ゴースト”として街をさまよう、ほかのさまよえるゴーストたちとの交流など「こう見せるか!」という演劇の魔法もふんだんに盛り込まれたエンターテイメント性も健在!ゴーストとなったサムが恋人のモリーに伝えたかったこと、サムとインチキ霊媒師オダ・メイの奇妙なバディ関係、そんな3人に訪れる奇跡のようなクライマックスシーン。映画に胸をときめかせた方にも新たに出会う方にもおすすめの作品です。
ミュージカル作品としての魅力、そのひとつは楽曲。新たな生活を始めようと引っ越してきたサムとモリーの新居、ブルックリンのアパートのロフトで二人が歌う♪今ここで に始まり、二人の関係を象徴し、物語のカギも握る♪聞かせて 愛の言葉を、オダ・メイとそのアシスタントのルイーズとクララが歌うパワフルソング♪信じる準備は?、サム、モリー、友人のカールの思いが錯綜する♪今は信じてみよう/俺の人生 などなど多彩なナンバーがテンポよく展開する物語をけん引します。
初演よりサムを演じるのは浦井健治さん。穏やかで真面目、はにかんだ笑顔が素敵な銀行員サムを自然体で演じます。なにかというとはぐらかし、ふんわりした印象だったサムが突然訪れた人生の終わりに見せる慟哭。モリーへの愛に突き動かされ、奇跡を起こしていくサムの強さ。多くのキャラクターと関わりながら、舞台を引っ張る、物語の主人公たる圧倒的な存在感を見せます。
恋人のモリーは芸術家で自らの意思をしっかりと表明する女性。しなやかな強さを見せる咲妃みゆさんのモリー(桜井玲香さんとのWキャスト)はセリフを歌い、歌詞を語る、芝居と歌がボーダレス!深い悲しみの中でも勇気を振り絞って一歩を踏み出す、自然と共感を呼ぶ芝居は咲妃みゆここにありという、まさに真骨頂を発揮! こうなると気になるのが桜井さんのモリー。会見などで見せる真っ直ぐな視線とキュートな笑顔、作品に向き合う真摯な姿勢がまた新たなモリー像を作り上げることでしょう。楽しみ!
インテリアの趣味も全く違う二人ながら、不思議と惹かれ合う。二人のイチャイチャぶりには、引っ越しの手伝いで新居を訪れたサムの同僚で友人のカールも──思わず退散(笑)するほど。 都会の軋轢の中でも野心を抱いて生きるカールを演じるのは、スーツ姿も麗しい新キャストの水田航生さん。
サムとの出会いでまさかの能力開花!霊媒師のオダ・メイを演じるのは森公美子さん。再演ではダンスの分量も増えて…と会見で仰っていましたが、それもあってかなりパワーアップ! 登場シーンから忘れられないインパクト。さらにショーアップされコミカルなシーンが多いオダ・メイですが、「情」とか「愛」とか、人間味あふれるキャラクターを森さんが体当たりで演じます。舞台に広がる大きな大きな人間力、それはオダ・メイがなせるワザなのか、モリクミさんだからこそなせるワザなのか。これぞ当たり役!
浦井さん曰く「みんなが主役」の本作。その言葉にも納得! 地下鉄の乗客、銀行の職員、死後もさまようグレイゴーストなど大活躍のアンサンブルキャストもみどころいっぱい。オダ・メイのアシスタントの松原凜子さん、栗山絵美さんは歌って踊って華やか~! 依頼者のミセス・サンティアゴの湊陽奈さんのパンチのきいた最高の歌声がさく裂するからこそ生まれる面白さ!!
ラブストーリー、サスペンス、コメディ、ファンタジーなどお楽しみ要素満載のミュージカル『GHOST』、日比谷シアタークリエで3月23日まで、その後、愛知公演、大阪公演!
理不尽な最期を迎えたサムの愛、全てを受け入れて生きるモリー、二人を見守るオダ・メイ、そこにあるのはキラッキラの宝物のような人を思う心。やっぱりよくできた作品です!

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おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人