ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』~仙名彩世さんインタビュー~

ミュージカル「ゴヤ」@日生劇場
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 今井翼さん主演、スペインの巨匠ゴヤの半生を描くオリジナルミュージカル『ゴヤ -GOYA-』、ゴヤの才能を見抜きパロトンとして彼を支えるアルバ公爵夫人役でご出演される仙名彩世さんにお話を伺いました。オリジナル作品を作る活気あふれる稽古場の様子、アルバ公爵夫人という人物について、今井翼さん演じるゴヤの魅力など『ゴヤ』の魅力に迫るインタビュースタートです!



【演じるのは生粋のスペイン女性】

──まずは、ミュージカル『ゴヤ』へのご出演が決まった時のお気持ちからお聞かせください。

 G2さん(原案・脚本・作詞)と鈴木裕美さん(演出)のタッグ、さらに初めてミュージカル音楽に挑戦される清塚信也さん書き下ろしの楽曲──、これはきっと熱量の高い作品になる!と楽しみな気持ちが大きかったです。一方で、画家のゴヤについてはあまりなじみがなかったというのが正直なところです。出演が決まってからゴヤについて自分なりに調べていきました。

──仙名さんが演じる“アルバ公爵夫人”をどのような人物ととらえていますか。

 アルバ公爵夫人は、実在したスペイン有数の資産家。いわゆる“超”大金持ちです(笑)。ゴヤのパトロンで、二人は愛人関係だったのではと言われる人物ですが、この作品では「ゴヤの才能にとことん惚れこんだパトロン」という描かれ方をしています。生まれ育った環境もあり、芸術に関しても“本物”に触れる機会も多かったでしょうし、教養や知性も持ち合わせた女性。裕美さんからも「アルバは本人が思う以上に先見の明、人を見抜く力がある人物」というヒントをいただきました。彼女は、聴力を失い、絵を描かなくなったゴヤに対しても、「あの画家は終わった」と見放すのではなく、「その才能を腐らせてはいけない」と乗り込んでいく。その辺りがほかの人とちょっと違うところであり、それゆえゴヤの人生にも大きな影響を与えた存在となりえたのだと思います。

 この作品の中での描かれ方は“生粋のスペイン女性”。史実にも、キムラ緑子さんが演じられるスペイン王妃のマリアと張り合っていたことが残っているのですが、この作品でも小競り合いをするシーンがあります(笑)。マリア王妃はフランス人の血を継いでいる(母親がフランス王ルイ15世の娘)、それに対して「私こそがスペインの女!」というところで譲れないものがあったのでしょう。



──小競り合いというのがなんだか可愛らしいですね。

 ゴヤの作品のひとつ「裸のマハ」の“マハ”というのは、スペインの小粋な町娘という意味があります。それを体現するように町娘の格好をして「これがスペインの流行りよ!」と見せつけるようなシーンがコミカルに描かれます。“生粋のスペイン女性”の魅力を凝縮したキャラクターとして、お客様に強烈な印象を残せるようにしっかりと作り上げたいと思います。

 また、絵のモデルになったというところでは、お客様にも「ワッ、そうくるか!」と思っていただけるような舞台表現になっているかと思いますので、お楽しみに!


──ちなみにメインビジュアルが発表された際は、その現代的なテイストに驚きました。劇中は時代物のコスチュームになるとのことですが、ビジュアルイメージについてはどのような印象をお持ちになりましたか。



 実は、このビジュアルは一人ずつ撮ったものを合成したのではなく、みんな揃って、実際にスモークを焚いて撮影しました。まず、そこが好きです。いわゆる生(なま)の良さが出ているので。

 衣裳については驚かれた方も多いと思いますが、それぞれの登場人物の根底にあるキャラクターを表しているところもあります。みんなちょい悪でカッコイイところが(笑)。

──現代に蘇ったなら、このようなイメージという感じでしょうか。色気もあり、どこか挑発的でもある。仙名さんもかなり攻めた、ゴージャスな衣裳やポージング。それでも決して上品さを失わないのがさすがです!

 ちょっとバブリーな感じ、アルバ公爵夫人の気質としてあると思います。彼女は正真正銘のお金持ちですが、間違いなく派手な人物でしたし(笑)、生き方がアーティスティック。あれがだめなら、こうしたらいいじゃない──と、目的のためにはエネルギーを惜しみなく注ぐ人。撮影時は、そこまで深く理解できていなかったのですが、その人物像と向き合っている、今、改めて見るとそんなことを感じます。


【オリジナルミュージカル創作の楽しさ】



──オリジナルミュージカルの創作現場はいかがですか。

 再演が繰り返される作品の良さもありますが、自分たちがオリジナルとなる“ゼロから創り上げるミュージカル”に出られることは、役者としてとてもうれしいことです。自由に作れるからこその難しさと楽しさの両方を日々味わっていますが、想像を働かせ、いろんなところからヒントを得て、それを集約させて作品が形作られていく。その作業はやはり“楽しい”が勝ります。

──お稽古の様子はいかがですか。

 まずはアイデアを出したもの勝ちみたいなところがあります(笑)。アンサンブルも含め、実力のあるみなさんなので、エチュード(即興)で作って、そこから生まれシーンが出来上がる様子を目の当たりにして、感動してしまいました。そして、私も負けていられない!と自分なりの芝居のアイデアをどんどん出すようにしています。私はコミカルパートを担っているところもあるので、稽古場でみなさんが笑ってくれるとうれしくて!そこにはみなさんの優しさもあるのでしょうが(笑)。そして、誰よりも笑ってくださるのが裕美さん。役者の発想を、まず肯定してくださる。その後で、もう少しこうしてみましょうと修正をしながら芝居を深めていける稽古場です。


【音楽とダンスが届けるスペインの風】

──今井翼さんのゴヤ像はいかがですか。

 まず、本読みのときに感じたのは、とても丁寧に作っていかれる方だということです。台詞の一つひとつをかみしめるように読まれている姿から、ゴヤという人物を理解しようという前向きなエネルギーがあふれていて素晴らしいと思いました。そして、作品全体を貫くゴヤの“怒り”の感情、そこでの今井さんの表現にも惹きつけられます。もちろんフラメンコのシーンも素敵です。フラメンコやカンテ、生で見る迫力も大きな見どころになると思います! この作品には、スペインに造詣の深い今井さんに加え、フラメンコのエキスパートである佐藤(浩希)先生もいらっしゃいますので、きっとお客様も本場スペインの空気・風を感じていただけるでしょう! 私も、アルバ公爵夫人としてスペインの血が騒ぎます(笑)。ダンスに関して言うと、フラメンコだけでなく上島(雪夫)先生による、お芝居と非常にマッチしているとても素敵な振付にもご期待ください。



──ミュージカル初挑戦となる清塚さんの音楽の印象は。

 「とても面白い」というのが初めに抱いた率直な感想です。苦悩する場面を美しいバラードで表現したり、あえてジャズアレンジを加えたり、場面によっては現代的な楽曲もあります。「そうくるんだ!」という驚きもあるのですが、その一つひとつに清塚さんの明確な意図があり、それがピタリとはまる。その上で、それぞれの役者に合うようにさらにアレンジしてくださるという贅沢な作品です。そして、稽古場にはピアノに加えてカホンも入っています。それによってイメージがさらに膨らみ、芝居を助けてくれています。

──本当にこれまで見たことのないものが立ち上がりそうですね。人間ゴヤを描いた作品ということですが、彼が残した絵画も登場するとか。

 私の中で印象的なのは、冒頭のゴヤの《黒い絵》をモチーフにしたシーンです。戦争の惨禍のような、ある種グロテスクな絵そのものという楽曲と振付に鳥肌が立ちます。絵画と物語・音楽のリンクというのも新鮮な印象を与えるでしょう。劇中には、ほかにもゴヤの絵が登場します。作品のタッチや描く対象の変遷、それをドラマとともに味わうとより面白いと思います。

(おけぴ注:《黒い絵》ゴヤが晩年に自身の家の壁に描いた一連の絵画。ナポレオン戦争やスペイン内戦を経たゴヤの悲観的な内面が投影された14点からなる)


【表現者としての現在地】



──宝塚歌劇団を卒業され、2年。作品ごとに俳優・スタッフが集まるプロデュース公演には慣れましたか。

 歌劇団には同じメンバーで作ることによる信頼関係の深まりという良さがあり、今は、作品ごとに新しい方々と一から関係を築き、作品を作っていく楽しさを感じています。舞台人として作品をお客様にお届けすることに加えて、誰かに会いたい、人を深く知っていきたい。そこへの興味と喜びも仕事をする上でのモチベーションになっています。

 今回も個性的で、キャリアもある素晴らしいみなさんとご一緒し、たくさんの刺激をいただいています。みなさん、常にニュートラルなんです。舞台以外のお話をする時間も楽しく、お互いに刺激を与えながらそれが共鳴し合っているカンパニーです。

──今年は、仙名さんの故郷も大きな被害を受けた東日本大震災から10年目となります。

 震災から10年──経ったのですね。毎年、3月11日を迎えるたびにあの日のことを思い出します。そして、いろんな人、いろんなことへ思いを馳せます。"時間"が癒やしてくれるものもありますが、復興への課題はまだ沢山あります。ただ、あの日を境にみなさんの生活が大きく変わった中で、私はこうして生きている、舞台に立ち続けることができている。それを思うと、感謝の気持ちでいっぱいになると同時に頑張らなければと思います。

 私のキャリアの中では、歌劇団を卒業したことにより活動の自由度が増した反面、自分で考えて行動していくという局面がより一層多くなりました。一つひとつの作品を通しての出会い、そこで生まれる交流を大切に、その時にしか作れないものだということを忘れずにいたいと思います。いつどうなるかわからない人生、それを儚いと悲しむだけでなく、その一瞬一瞬を楽しむ。本当に面白いと思うもの、やりたいと思うもの、自分の心に正直に取り組んでいきたいと思っています。その意味でも、今、とても充実しています!

──お話を伺っていても、充実されている様子がひしひしと伝わってきます!情熱的で、ちょっと可愛らしくて、知的な女性。仙名さんのアルバ公爵夫人の多面的な魅力に期待しています


ヘアメイク/小泉千帆(éclat)
スタイリスト/津野真吾(impiger)
衣装クレジット/Antoinette


ミュージカル「ゴヤ」@日生劇場
おけぴ会員限定チケット 申込受付中!

【公演情報】
ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』
2021年4月8日(木)~29日(木・祝)@日生劇場
★ 東京公演:夜の部の開演時間が全て【夜の部 18:00 開演 → 17:45開演 】となりましたのでご注意ください(3/31現在)
詳細は公式サイトをご確認ください
2021年5月7日(金)~9日(日)@御園座

<スタッフ>
原案・脚本・作詞:G2
演出:鈴木裕美 
作曲・音楽監督:清塚信也

<出演>
今井翼 小西遼生 清水くるみ 山路和弘
仙名彩世 塩田康平 天宮良 キムラ緑子

藤浦功一 岡田誠 辰巳智秋
加賀谷一肇 柴一平 宮河愛一郎

岡崎大樹 白山博基 高瀬育海 中野亮輔 夏目卓実
石井咲 碓井菜央 小倉優佳 可知寛子 須藤香菜 伯鞘麗名 福麻むつ美

<あらすじ>
封建的なスペイン社会において、破天荒かつ進歩的な考えをもっていたフランシスコ・デ・ゴヤ(今井翼)。
ひときわ野心の強いゴヤは、保守的なアカデミー会員である義兄バイユー(天宮良)とことごとく対立するが、宮廷画家になるために王妃マリア(キムラ緑子)やその側近のテバ伯爵(山路和弘)に近づき権力を利用するなど、あの手この手で出世を目論んでいた。
そんな彼を心配し支えるのは、妻のホセーファ(清水くるみ)や同郷の親友であるサパテール(小西遼生)。
だが、その助言には耳を傾けず、ゴヤは自分の信じた道を突き進んでいく・・・。

そして写実的なヌードである「裸のマハ」を描いたことで、保守的なスペイン画壇でスキャンダルを巻き起こし、さらに革命軍との接触を画策する宰相ゴドイ(塩田康平)の命により、使者としてフランスに向かう途中、何者かに毒を盛られ、聴力を失ってしまう・・・。
自暴自棄となり絵が描けなくなるゴヤだったが、資産家・アルバ公爵夫人(仙名彩世)との再会により、絵を描くことへの衝動を取り戻すきっかけを掴む・・・。

公演HPはこちらから

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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