【公演NEWS】シアタークリエ『Home,I'mDarling~愛しのマイホーム~』オフィシャルレポートが届きました



 ローレンス・オリヴィエ賞 ベスト・ニュー・コメディ賞を受賞した舞台『Home,I'mDarling~愛しのマイホーム~』が日本に初上陸。日本版初演に挑むのは、鈴木京香、高橋克実、江口のりこら豪華な面々だ。演出を手掛けるのは繊細な心理描写に定評のある白井晃。

 現在、(キャストのみなさん曰く)“すごい勢いで” お稽古進行中の稽古場より、キャストコメントとオフィシャル稽古場レポートが届きました。




【キャストコメント】

鈴木京香(1950年代のライフスタイルを愛し、追求する専業主婦ジュディ)
 すごい勢いで稽古が進んでいます!
 そして、すごい勢いで膨らんできました。
 「こう読んだら、こうなるのか!」「考えていたのと違う方向だった!」とか、落ち込んでいるシーンかと思っていたら、責めているシーンだったのか!!とか。毎日、新しい発見に満ちています。

高橋克実(ジュディを心から愛する夫ジョニー)
 ものすごいスピードで稽古していますよ!
 え!?え!?え!?え!?え!?といううちに、1幕、2幕と一回終わって、いま折り返し始めたところですけど、最後までいって、もう一回戻ると、最初にやったときと見方が全然変わるということがわかりました。最初は、ただあたふたしてしまい、プロンプターの川本さんがほとんど喋っている感じでしたけど。笑

江口のりこ(ジョニーの年下のクールな上司アレックス)
 もっともっと面白くしていくように頑張ろうと思っています!
白井さんを信頼して、頑張ります!!

青木さやか(50年代フリークの共働き夫婦の妻でジュディの友人フラン)
 こんなに台詞が多い役は初めてで色々あたふた、などと思っておりますが、ほぼ2時間喋り通しの京香さんの前では、どの口がそんなことを言うのか!と静かにしております。演出の白井さんは丁寧に1950年代の世界を目でみせてくださり耳で聴かせてくださりながら、その世界観をチームでじっくりと作り上げていると感じます。ジャイブストックを踊る京香さんに見惚れる毎日、まだまだお稽古したいです。

袴田吉彦(フランの夫マーカス)
 8年ぶりに舞台ということで不安な気持ちもありましたが、出演者、スタッフの皆さんと稽古が進めていくにつれ楽しく演じることが出来てきました。
マーカスに少しでも近付けるよう残りの稽古に取り組んでいきます。
地方公演もあるので、是非足を運んで頂ければと思います。

銀粉蝶(ジュディとは正反対の価値観をもつ母シルヴィア)
 まだ全体の通し稽古もなく、場ごとの稽古をしている日々です。正直なところ、不安でいっぱい。なにしろ、この状況ですから。無事に開幕できるかしらとドキドキしながら、それでも楽しんで稽古をしています。ご期待ください。


【稽古場オフィシャルレポート】

 取材したこの日、まず稽古にあたっていたのは鈴木京香と高橋克実。鈴木扮するジュディと高橋扮するジョニーは夫婦であり、ジュディは専業主婦、ジョニーは住宅会社の営業マン。ここは二人のマイホームだ。家の中は50年代風だが、実は舞台は現代。二人は50年代風のものに憧れ、家具のみならず、ライフスタイルさえ50年代風にしているらしい。

 そして本来はラブラブな夫婦だが、このシーンでは少々、雲行きが怪しい。禁忌であるショッピングモールのピザ店にジョニーらしき人物が女性といたという情報がジュディの耳に入ったのだ。ショッピングモールもピザ店も、50年代にはなかったのに! しかも、自分以外の女性と!? トゲトゲしい口調で、遠まわしにジョニーを問い詰めるジュディ。

 演出の白井は、ひとつひとつの台詞の裏にあるジュディの疑念、怒り、そして疑惑が解けバツが悪くなり、最後には上機嫌になる感情を膨らませ、粒立てていく。白井の細かい演出に応えていくうちにどんどんジュディがチャーミングになっていくのがわかる。




 鈴木のジュディはプリプリして拗ねる姿も、変な勘繰りをしてしまった自分に赤面する姿も可愛らしい。一方でジョニーは、妻にあまり強く出ることができなそうな男性だ。高橋のジョニーは、妻に頭が上がらないというよりは、あくまでも妻を傷つけたくないという愛情深さ、優しさを感じるのだが、浮気を疑われたことよりも、妻がこだわる“50年代風の生活”を破ってしまったことが発覚する方におびえているような……?

  どうやらこの物語、ちょっと裏がありそうだ。




 稽古は進み、次のシーンへ。ジョニーの新しい上司であるアレックスを、家に招待したジョニーとジュディ。ジュディは夫の昇進の手助けをしようと奮闘するが、アレックスはその大仰な接待に逆に少々引いてしまっているようだ。アレックスを演じるのは江口のりこ。江口の持つクールで淡々とした雰囲気がアレックスの切れ者感を際立たせる。ジュディの作り上げた甘い50年代的世界と働く現代女性アレックスとの不協和音が見てとれるが、しかしそれはピリピリしたものでは決してない。白井は江口アレックスにモデルウォークをさせたり、ポーズをとらせてみたり。ここにもクスリとするポイントが仕込まれていく。

 だがこの物語、懐古趣味の奥様の暴走っぷりが面白い……という話ではないことがだんだんわかってくる。「50年代はみんながもっと親切だった」と話すジュディから伝わる、そこはかとない闇。そしてジョニーが口にした“取り決め”という言葉。彼らはいわゆる昔の価値観の“夫は外に働きに出て、妻は家を守る”という関係性ではなく、ジュディは“家庭のプロ”であることを自ら選び、そのポジションを務めているのだ。そう気付くとこのドリーミーなレトロハウスが、一転して非常に現代的なジェンダー感覚を持つ空間として見えてくる。さて、一筋縄ではいかなそうなこの物語の行きつく先は……?

 出演はほかに青木さやか、袴田吉彦、銀粉蝶。青木&袴田が扮する友人夫婦は想像するだけで賑やかに、何かしらのトラブルの火種を持ち込んできそうだし、銀粉蝶扮するジュディの母が現実的でシビアな意見をピシリと言う姿も目に浮かぶ。ピンクで可愛らしい宣伝ビジュアルに騙されることなかれ、イギリス産らしい皮肉と社会風刺と現代的テーマが根底に流れる一流のコメディ。これを、一流の俳優陣がおしゃれに愛らしく紡ぎ出す。見ごたえのある舞台になりそうだ。

 公演は10月20日(水)から11月7日(日)まで、東京・シアタークリエにて。



【あらすじ】

 舞台は現代のロンドン近郊。専業主婦のジュディ(鈴木京香)と夫のジョニー(高橋克実)は、自分たちが愛する1950年代のインテリアやファッションに囲まれた生活を満喫している。同じく50年代のライフスタイルを愛好するフラン(青木さやか)とマーカス(袴田吉彦)の夫婦とは仲良し。共働きのフランは家事をしない夫に不満だ。

 実際に1950年代を生きてきたジュディの母シルヴィア(銀粉蝶)からすれば、女性が生きにくかった時代を愛し、仕事もしない娘を理解できない。ジュディは3年前に職を失って以来、心機一転、愛する夫のため50年代の完璧な主婦になることを決意。その生活を維持するために、実は出費がかさみ、家計は火の車であることをジョニーはまったく知らない。

 ジュディは夫の新しい上司に着任したアレックス(江口のりこ)を自宅に招き、得意の50年代風のもてなしで、ジョニーの昇進の手助けをしようとする。しかしパリッとスーツを着こなす若いアレックスと、レトロファッション全開のジュディの話は全くかみ合わない。接待は実らず、ジョニーの昇進は若い社員に奪われてしまう。ある日、ジョニーは家のキッチンの奥に隠されている請求書の束を発見する。妻の隠し事にショックを受けるジョニーだが、一方でジュディは以前フランから告げ口されたのをきっかけに、ジョニーがアレックスと浮気をしていると疑っていた。
夫婦間の積もり積もった隠し事や、心に秘めていたことがあらわになり、幸せな家庭は崩壊の危機に直面する──。

 この試練をジュディとジョニーは乗り越えられるのか……。


【公演情報】
『Home,I'mDarling~愛しのマイホーム~』
2021年10月20日~11月7日@シアタークリエ
11月12日~14日@兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール
11月17日@枚方市総合文化芸術センター関西医大大ホール
11月23日@山形市民会館
11月25日@岩手県民会館
11月27日28日@宮城公演

作:ローラ・ウェイド
演出:白井晃

キャスト:(全6名)
ジュディ……鈴木京香
ジョニー(ジュディの夫)……高橋克実
アレックス(ジョニーの上司)……江口のりこ
フラン(ジュディの友人)……青木さやか
マーカス(フランの夫)……袴田吉彦
シルヴィア(ジュディの母親)……銀粉蝶

公式HP https://www.tohostage.com/homeimdarling/

この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました(取材・文:平野祥恵)

おすすめ PICK UP

新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』ニキヤ役:廣川みくりさん、ガムザッティ役:直塚美穂さん対談

【井上ひさし生誕90年 第1弾】こまつ座 第149回公演『夢の泪』観劇レポート~2024年に響く!~

【公演NEWS】『デカローグ 1~4』開幕!各話の舞台写真&ノゾエ征爾・高橋惠子、千葉哲也・小島聖、前田亜季・益岡徹、近藤芳正・夏子からのコメントが届きました。

“明太コーチ”が“メンタルコーチ”に!?『新生!熱血ブラバン少女。』囲み取材&公開ゲネプロレポート

JBB 中川晃教さんインタビュー~『JBB Concert Tour 2024』、ライブCD、JBB 1st デジタルSGを語る~

【2024年の旅が始まる】ミュージカル『VIOLET』GPレポート~行こう、マイ ウェイ~

ミュージカル『VIOLET』演出:藤田俊太郎さんインタビュー

新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』速水渉悟さんインタビュー

ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』中川晃教さん×相葉裕樹さん×木内健人さん鼎談

【おけぴ観劇会】『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』おけぴ観劇会開催決定!

【おけぴ観劇会】ミュージカル『ナビレラ』おけぴ観劇会6/1(土)昼シアタークリエにて開催決定

【おけぴ観劇会】ミュージカル「この世界の片隅に」おけぴ観劇会 5/19(日)昼開催決定@日生劇場

おけぴスタッフTwitter

おけぴネット チケット掲示板

おけぴネット 託しますサービス

ページトップへ