新国立劇場『白鳥の湖』<新制作> 米沢唯さん、福岡雄大さんインタビュー

 本日、10月23日に開幕する新国立劇場バレエ団2021/2022シーズンの開幕作品、ピーター・ライト版『白鳥の湖』にてオデット/オディール役を演じる米沢唯さんとジークフリード王子役の福岡雄大さんにお話を伺いました。10月30日昼公演にて開催の『白鳥の湖』おけぴ観劇会にもご出演のお二人。お互いの印象やバレエ哲学から、いまさら聞けない素朴な疑問まで、観劇会特製マップに収まりきらなかったお話を先行公開!



米沢唯さん 福岡雄大さん

【スペシャル対談】

──昨シーズンの『ライモンダ』に続いて相手役となる、お互いの印象は。

福岡さん)
 いつも高水準の踊りを舞台でみせてくれるダンサーです。唯ちゃんは、持っていきたいポイントを外さない。

米沢さん)
 雄大さんとは、こうしてお話をするときには普通なんですけど、踊るとなるとすごく緊張します。尊敬の念がそうさせるのです。ただ、緊張感を持つことは良い面もありますが、『白鳥~』で二人で“オデットと王子の愛”をお客様に伝えるためには、この壁を突破しなくてはならないということもわかっていました。最近ようやく、“スター福岡雄大が隣にいる”のではなく、一緒にドラマを作っている王子として見られるようになり、私もオデットとして踊れるようになりました。

──それほどまでの尊敬の念の源は。

米沢さん)
 雄大さんと踊っていると、ご本人がいつも「本能で踊っている」と仰っている意味がわかります。本能というのは、ただ気の向くままに踊るというわけではなく、頭で考えるより身体で感じて踊っているということ。だから、ほんの少しの呼吸の違いも敏感に感じ取ってくださるのです。横で見ている時より、一緒に踊っている時の方が、より一層スゴさがわかります。

──お二人の紹介には「卓越した技術をもつダンサー」という言葉がよく用いられます。確かにその通りなのですが、舞台上では、その技術から解き放たれ自由に役を生きているように見えます。もちろんスゴイことをされているのですが、難しいことをただ難しいと感じさせない。だからこそ観ていて楽しいんです。




福岡さん)
 いかに優雅にみせるか、それがダンサーの本分なのではないでしょうか。また、技術というのは、ある時を境に少なからず落ちていくものなんです。すぐに身体も痛くなるし(笑)。そこをどうするかは精神力。僕は舞台のために生きているようなところがあるので、本番では常に“背水の陣”の覚悟で臨みます。退路を断って攻めるというのはリスクの高いことですが、その分楽しい。でも、本能だけで突っ走ると失敗してしまうので、それを未然に防ぐために練習があると思っています。そして、高い技術に裏打ちされた演技によって、何か起きた時の対応が自然にできるようになる。将棋じゃないですが、二手、三手先を考え、状況に応じて自分の中にいくつかのプランを準備しています。だから、一緒に踊る唯ちゃんにも守りに入ることなく、攻めて欲しいんです。

──深いです!

米沢さん)
 それが雄大さんの“技術に裏打ちされた本能”です。
 私は、自分自身に技術があると思ったことはありません。技術と言っても色々あるので。上手くバランスをとれるとか、回れるというだけではなく、それこそ気持ちを伝える技術、音を表現する技術……、全く追いつきません。そして私は、それらのバレエに必要な技術の全てを習得したい! 欲張りなんです(笑)。


──これまでに何度も『白鳥の湖』を踊られてきたお二人、バージョンが変わることでのご苦労は。

米沢さん)
 身体になじんだ振りを一度忘れなくてはならず、慣れるまで大変でした。

福岡さん)
 僕も『白鳥の湖』は別バージョンで10公演くらいやっているので、逆回りだったり、逆の音取りとか、稽古初期はついつい前の振りが出てしまって。身体に染みついた振りは、そう簡単に抜けるものではなかったです。

米沢さん)
 私たちだけでなく、4羽の白鳥は、足はほぼ一緒で顔の向きが逆だったりするんです! 最初の頃はみんな苦労していました。

福岡さん)
 でも、「なぜ、そういう振りなのか」、「なぜ、そう動くのか」をしっかりと教えていただいていますし、そういう構成、振付になっています。それがお客様にとっての「わかりやすい」に繋がるのではないかと思っています。


【素朴な質問コーナー】




★踊っているときに感極まって涙がこぼれることは?★

米沢さん)
 感情が高ぶり身体が震えることはありますが、私は、舞台上ですべてを投げ出しながらも、自分を俯瞰することも必要だと思っています。そうやってどこかで抑制している分、幕が下りた瞬間に止めどもなく涙があふれることがあります。

福岡さん)
 僕の場合は、役を演じるというより、自分がその人物の立場、状況だったらと置き換える感覚。自分の心と役の感情を重ねてリハーサルしていくことで、気が付くと涙が出ていることがあります。役を生きるというとカッコよすぎるかもしれませんが、そうしないと気恥ずかしくなってしまうんです。


★本番前は緊張しますか?★

福岡さん)
 はい。僕はオーケストラのチューニングが始まると緊張してきます。それは自分の中のスイッチがONになる、好きな瞬間でもあります。

米沢さん)
 私もすごく緊張します。そんな時は、自分より前に出番を迎えた人が舞台上で楽しそうに踊っているのを見て、自分がそこに立っていることを想像します。「楽しそうだな、あそこに行ったら自由になれる!」と思うと気持ちが落ち着く。私が発見した緊張をほぐす方法です。


★女性はトゥシューズをはいて踊りますが、男性は?★

福岡さん)
 バレエシューズです(笑)。トゥシューズのように先が硬くない柔らかいシューズです。よく「男性もつま先立ちをするか?」と訊かれますが、男性はしないんです。ざっくり言うと、僕たちの主な役割は踊ることと支えること。踊りについては、回るときなどはトゥシューズを履いているほうが回りやすいし、バランスを取りやすいと聞いたことがあります。

米沢さん)
 接地面が少ないので抵抗も少なくなりますからね。

福岡さん)
 そこを男性は自分の足だけでバランスを取るので、足への負担はかなりあります。でも、女性ダンサーは基本的にずっとつま先立ちなので、足の皮がめくれたり、足の負担も違うので大変なことです。ちなみに今回の王子の衣裳は、ブーツのように見えるバレエシューズです。

──男性ダンサーの足元にも注目して観てみますね!


<撮影こぼれ話>




福岡さん:こういうポーズも、リハーサルではオデットと王子として普通にやっているんですよ。でも、米沢唯と福岡雄大になると途端に……
米沢さん:「恥ずかしい、無理!」となりますね(笑)。 


 初歩的な質問にも、優しく丁寧に答えてくださったお二人。バレエに向き合う姿勢、舞台上でのお二人の踊りはまさにプロフェッショナル。そして、「名は体を表す」。雄大なスケール感と繊細な心理描写を見せる福岡さん、唯一無二、余計なものをそぎ落とした美しさ、ただ、その人物としてそこに存在する米沢さん。お二人が織りなす“愛の物語”、『白鳥の湖』開幕です。



初のバレエ公演でのおけぴ観劇会開催!
お二人にもミニのぼりを持っていただきました♪
決めカットは……マップをお楽しみに~

【公演情報】
新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』<新制作>
2021年10月23日(土)~11月3日(水・祝)@新国立劇場 オペラパレス
2021年11月17日(日)@上田市交流文化芸術センター サントミューゼ 大ホール(長野)

予定上演時間:約2時間50分予定

【振付】マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ/ピーター・ライト
【演出】ピーター・ライト
【共同演出】ガリーナ・サムソワ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

【指揮】ポール・マーフィー
(10月23日、24日、26日、30日13:00、30日18:30、11月2日)
冨田実里(10月31日、11月3日 )
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【出演者】出演日はwebサイトにてご確認ください。
オデット/オディール:米沢唯、小野絢子、柴山紗帆、木村優里
ジークフリード王子:福岡雄大、奥村康祐、井澤駿、渡邊峻郁

王妃:本島美和、盤若真美*
ロットバルト男爵:貝川鐵夫、中家正博、中島駿野
ベンノ:速水渉悟、福田圭吾、木下嘉人
クルティザンヌ(パ・ド・カトル):池田理沙子、柴山紗帆/飯野萌子、廣川みくり/奥田花純、広瀬碧
ハンガリー王女:廣田奈々、細田千晶、中島春菜
ポーランド王女:飯野萌子、池田理沙子、根岸祐衣
イタリア王女:奥田花純、五月女遥、赤井綾乃

*ゲストダンサー(元 新国立劇場バレエ団 登録ソリスト)
やむを得ない事情により出演者等が変更になる場合がございます。


webサイト:https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/swanlake/


おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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