舞台『千と千尋の神隠し』製作発表レポート



 2001年の封切以来、その壮大かつ独創的な世界観で日本のみならず世界中で愛されている、宮﨑駿監督の不朽の名作『千と千尋の神隠し』が世界初の舞台化! 2022年3月4月の帝国劇場を皮切りに、梅田芸術劇場、博多座、札幌文化芸術劇場hitaru、御園座にて上演されます。

 あらゆる方面から関心と期待の高い大注目作品! 舞台『千と千尋の神隠し』世界初演の製作発表が行われました。



 はじめにスタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーより、この日登壇したみなさんへ「がんばってください!」とエールが送られました。続いて鈴木さんへのミニインタビュー。

──舞台化について宮﨑監督とはどのような話をされましたか。

鈴木敏夫プロデューサー)
 舞台化について、宮﨑が最初に言ったのは「いいよ」という簡単なひと言。それは「『千と千尋~』はあれだけ多くの人に支持されたのだから、もう俺のものではなく、みなさんのもの」だからだそうです。

──舞台化で、楽しみなシーンは。

鈴木敏夫プロデューサー)
 湯婆婆が千尋の名前を奪うところですかね。隣に夏木さんがいるので、ふとそれを思い出しました。


【会見レポート】

<翻案・演出:ジョン・ケアード>
 宮﨑作品の素晴らしさは、ストーリーの中に環境問題、ジェンダー平等、人間と動物の平等、子どもの未来など、知的で気高いテーマを内包していること。そしてそれを子どもの立場で語るということ。子どもの心理に入り込むことができる才能がなにより素晴らしい。それはチャールズ・ディケンズ、アンデルセン、ルイス・キャロルのそれに匹敵すると思っています。また、宮﨑作品を語るうえで欠かせないのは、久石譲さんの音楽です。音楽の使用を快諾してくださったことに感謝しています。

 最初のミーティングでいただいた鈴木さんの「いい感じにやって!」、宮﨑さんの「楽しんで!」という言葉。前者については今の段階では全力を尽くすと申し上げることしかできませんが、楽しむことには自信を持っています。だって、今日集まったキャストの面々を見てください、こんなにもカラフルなのですから!

<共同翻案:今井麻緒子>
 私やジョンはもとより、イギリスで育った子どもたち、ジョンの子どもたちも、皆、宮﨑作品に魅了され、強い影響を受けています。東宝さんのご尽力、スタジオジブリさんのご快諾があり、今日、この日を迎えられたことに感謝申し上げます。素敵なキャスト、素晴らしいスタッフとともに、頑張っていこうと思います。


【千尋役】本作の主人公、10歳の少女。(Wキャスト)


橋本環奈
 世界中で愛されるこの作品で千尋役を務められることを大変光栄に思います。だからこそ、演じるという気持ちではなく、舞台上で千尋に息を吹き込み、千尋として生きたいと思います。私にとって、初舞台となる本作、右も左もわからない状態ですが、演出のジョン・ケアードさん、そしてキャストのみなさんの助けを借りながら、なんでも吸収し、真っ直ぐにぶつかっていければと思います。私は、自分で緊張しない性格だと思っていましたが、今、ここに立ち、はじめて緊張しています。こんなにたくさんの方が目の前にいらっしゃる、それだけ注目されている作品だと改めて感じています。生の舞台で、千尋としてみなさんに思いを届けたいと思います。

上白石萌音
 子どもの頃、おいおい泣きながらも最後までこの映画を見たそうです。恐ろしさとともに何か引き込まれるものを感じていたのでしょう。そんな心に刻まれている作品に出演できること、そのめぐり合わせを嬉しく思っています。たくさんの方に注目されている作品、プレッシャーを拭うことはできませんが、それを味方にし、心地よく、リスペクトと覚悟、責任をもってしっかりと演じたいと思います。どうやって舞台化するのだろう、たくさんの「?」が浮かびますが、きっとジョンの頭の中には素敵なアイデアがいっぱいあると思います。それをしっかりと体現できるように、千尋のように勇敢に挑みたいと思います。


【ハク】湯屋で湯婆婆の下で働いている謎の少年。千尋を陰ながら支える。(Wキャスト)


醍醐虎汰朗
 日本のみならず、世界から愛される作品に参加できることを誇りに、幸せに思います。昨日、お家のお風呂で、今日話すことを考えていたのですが、いざこの場に立つと……全部忘れちゃいました(笑)。プレッシャーも感じていますし、緊張していますが、それ以上にこんなに素晴らしい方々に囲まれているので、みなさんの胸を借りて、僕にできることを精一杯やって、千尋の一番の味方になれるように頑張ります。

三浦宏規
 この素晴らしい作品の初の舞台化にハク役で携われることを、嬉しく光栄に思っております。龍はどのように表現するのか、果たして僕が龍になるのか、龍が出てくるのか、僕自身どうなるのかワクワクしています。


【カオナシ】黒い影のような体に白いお面をつけたような姿、千尋に強い執着心をもつ。(Wキャスト)

菅原小春
 出演が発表された時、「小春がカオナシなの?カオナシ、(動きが)キレキレなの?」と、たくさんの人に言われました(笑)。いっぱい動くのか……な、ジョンさんどうなの⁉って。まだなにもわかっていないのですが、とっても神秘的な存在の人物なのか、動物なのか、宇宙なのか、世界なのかわからない生き物。ただ、生きているということは確かだと思うから、その生き物を人間の最大限の身体表現を使って演じ、毎日一人でも多くの人の輝きになる“生もの”をお届けできればいいなと思っております。

辻󠄀本知彦
 僕も昨日寝る前に、今日何をしゃべろうか考えたのですが……、全部覚えています(笑)。ワークショップで、舞台美術、衣裳の構想、井手(茂太)さんの振付を見て、知恵が詰まっていると感じました。そして、ジョンの演出に自分自身が子ども心に戻ったようにワクワクしたんです。宮﨑駿さんに関しては、僕が5歳の時にはじめて見た映画が『風の谷のナウシカ』。それが僕の人生の一部になっています。この作品を通して、観ていただける方の人生の一部になれたらいいなと思っています。

 それともうひとつ。カオナシを演じる上で、踊りは僕、とても上手いんですね。全然プレッシャーもなくて(笑)。でも、上手さで語ると良くないんだろうなと思っていて。そこに哀愁と言うか、ダンスの上手さではない、カオナシという存在で哀しみを表現できたときに何か違う身体表現ができるのかな。

 今日、会見に来ていただいたみなさんの人生の一部になってもらおうと思って、ちょっと踊ってもイイですか。



(とパフォーマンスが始まる!)

ジョン・ケアード
 カオナシをどうやるか、今までわかっていなかったけど、今わかった! ヒントになったよ!


【リン】湯屋で働く娘。口調は荒っぽいが面倒見がよく、姉のように千尋を見守る。(千尋の母も演じられます)(Wキャスト)

咲妃みゆ
 幼少期からスタジオジブリ作品の大大大ファンですべての作品を拝見してきました。オーディションへは、どうしてもこの作品に携わりたい、その一心で挑みました。今こうしてこの場に立たせていただいていることを、本当に夢のように幸せに感じます。この興奮を抑え、しっかり地に足をつけて、現実世界を生きる千尋の母、そして千尋をしっかりと後押しできる心強い存在であるリンを演じられるよう、心を整えてお稽古、本番に挑みたいと思います。

妃海風
 なんといいますか、キャストの皆様も先ほどジョンさんがおっしゃったようにカラフル、そしてそのカラフルさに圧倒され続けている私。こんなにたくさんの方に撮影されている私。もう少し賢い文章を考えてきたのですが、感動が優先してしまっています。(咲妃さんのように)あまり可愛く表現できないのですが、同じように興奮しています(笑)。リン役として湯婆婆の、夏木マリさんと朴璐美さんの下で働く、千尋の、橋本環奈さんと上白井萌音さんの面倒をみる。そんな経験は実人生ではないことなので、今、幸せを感じております(笑)。


【釜爺】湯屋のボイラーを取り仕切っている黒眼鏡をかけた老人。伸縮する6本の腕を操る蜘蛛のような姿。厳しくも優しく千尋を助ける。(Wキャスト)



橋本さとし
 この作品を生身の人間が立体化するところに高いハードルを感じますが、ジョン・ケアードという演出家は、その期待に応えるでしょう。ジョンはいつも稽古のはじめに「Let’s play」と言います。そして、役者を遊ばせる庭を作るのが本当に上手い。宮﨑駿さんが生み出した作品の力を信じ、ジョンを信じ、責任をもって取り組みます。僕はどちらかというと憑依型の役者なので(笑)、本番までに必ず何か生えてくると思います。そこも期待して待っていてください。
※橋本さとしさんは舞台出演のため、会見冒頭にご挨拶されました

田口トモロヲ
 非常に歴史のある帝劇に出演する緊張、そして世界中にファンを持つ演劇作品に出演する緊張、ここまででダブル緊張。さらにそこにジョン・ケアードさんという素晴らしい演出家の演出を受ける、これでトリプル緊張。三つ巴の緊張があるんですね。それを良き緊張に変えて、自分の味方にしたいと思います。舞台の初日には釜爺の6本腕、生えているかどうかぜひご覧いただきたいと思います。


【兄役/千尋の父】

大澄賢也
 ジョンの演出で素晴らしいキャストの皆様と一緒に舞台を作ることに興奮しています。今、萌音ちゃんと一緒にジョン演出の『ナイツテイル』に出演していますが、ジョンはいつもユーモアを忘れず、どんなことがあっても穏やかで、年齢やキャリアに関係なく誰に対しても平等に接し、僕たちを導いてくれます。本作でも一緒にクリエイトするのを楽しみにしています。



【湯婆婆・銭婆】(Wキャスト)
湯婆婆:湯屋を経営する魔女。強欲で老獪だが一人息子を溺愛している。相手の名前を奪うことで支配し、千尋のことも「千」として湯屋に雇い入れる。
銭婆:湯婆婆の双子の姉。二人は瓜二つだが、正確は正反対で心穏やかで思慮深い。


夏木マリ
 『レ・ミゼラブル』以来の再会となるジョンが、この世界をどのように作ってくれるか、とても楽しみにしています。(映画版で)声を務めたのが20年前。20年後に実演、この言い方も昭和的ですが、それが叶うとは思ってもみませんでした。声の演技とは別物として、フレッシュな気持ちで取り組ませていただきたいと思います。

朴璐美
 オーディションでジョンに「璐美のすべてを出して、いろんな矛盾を抱えた存在だろうけどいろんなものを出してみて」、そう言われました。その時、ジョンの目の奥にだったら飛び込んでいけると思い、精一杯演じました。ジョンの演出を楽しみにしています。共演者のみなさん燃えていると思います。わたしもその熱さに負けずに、帝劇を油屋に変えていきたいと思います。


【質疑】

──千尋のお二人に。映画の印象と、今の時点でどのような気持ちを込めて演じたいとお考えですか。

橋本環奈)
 子どもの頃に映画を見た後は、家族でドライブしている時も、トンネルがあると、これをくぐると『千と千尋~』の世界に入ってしまうのではと思うほど心に残りました。怖さも感じつつ、リアルに体験してみたいと思うようなワクワクした空間に圧倒されたんです。大人になって改めて見ても、あの時の圧倒された気持ちや面白さは全く廃れない。世代を超えて惹きつけられるものがあります。どう演じるのかはまだわかりませんが、はじめてのことばかりというのは千尋と似ています。この舞台を通して、千尋と心を通わせて私自身も成長できたらいいなと思います。

上白石萌音)
 一度見たら忘れられない夢のような世界観。壮大なスケールなのですが、そこにいるキャラクター、油屋で働いている人たちは淡々と、あっさり生きている。何度も見ているうちにそのギャップが面白いと感じるようになりました。千尋も、どこかあっさりさっぱりしているところがあり、それが子供の潔さでもあるのかなと思っています。あの世界観の一つひとつに驚き、一つひとつを信じて、真っ直ぐに演じたいと思います。


──ジョン・ケアード氏へ。クリエイティブスタッフのワークショップを通じて新発見はありましたか。

ジョン・ケアード)
 スタッフワークの一部についてお話しますが、イメージが大切な本作においてはデザイナー選びが重要でした。お一人紹介すると、パペットデザイン・ディレクションのトビー・オリエ氏。舞台『ウォー・ホース~戦火の馬~』のパペット操演・パペット演出補を務めた、大きなスケールのパペットを作るのが得意な方です。おっと、これ以上はネタバレになりそうなので。

 またワークショップでは、先ほど辻󠄀本さんがしてくれたように、2次元をステージ上でどう表現するかのヒントを得ています。映画の真似をしただけでは、ただの3次元バージョンを作っただけになってしまいます。同時進行で作品を観客とシェアする、劇場ならではの表現。すでに大人である二人が10歳の子どもを演じる、それを信じられるのが舞台なのです。ですので釜爺も腕を生やす必要はないんです(笑)。大丈夫、それは僕がちゃんと考えているから!


──夏木マリさんに。宮﨑作品に取り組むうえで、キャストのみなさんの参考になるような映画制作時のエピソードなどありましたらお聞かせください。

夏木マリ)
 最初のアフレコでは、湯婆婆というキャラクターをステレオタイプの悪役だと解釈してABC、3つくらいのプランを準備していきました。悪役を演じると俳優は興奮して楽しいからだいぶ張り切って。すると宮﨑さんがいらして、「あのね、スタジオジブリには鈴木敏夫という人間がいるんだけど、彼は悪い人間ではない。一生懸命仕事をしている人、お金勘定をしている人なんだ。だから時々、ある人に対しては悪い人に見えるんだ」と仰いました。「だからこの湯婆婆も悪者ととらえず、一生懸命に油屋を守っているおばちゃんだと思ってやってください」とオーダーをいただき、なるほどと思いました。

 アフレコは一人で行い、ちょっと抑え目に演じたことに不安もありつつ終えたのですが、試写を見ると周りとのバランスがちょうどいい塩梅。宮﨑さんというディレクターは素晴らしいなと、出来上がった作品を見て改めて感動したことを覚えています。こんな感じで、なにかヒントになるかしら。


──世界での上演について。

池田篤郎(東宝常務執行役員演劇担当))
 世界各地の『千と千尋~』ファンの方に届けるべく、作品サイトを日本語以外にも、中国語、韓国語、英語、フランス語で立ち上げました。また、実に多くの海外のプロデューサーからご照会もいただいています。映画が世界を席巻したように、演劇も世界に向けて、いずれかはどこかの国で上演されることを願っております。

ジョン・ケアード)
 実現すれば素晴らしいと思いますが、重要なのはまずは日本で上演するということ。本作は宮﨑作品の中でも非常に日本的なものです。日本文化への敬意があってこそ、海外での成功があると思っています。しっかりと日本を理解した上で楽しめるものとして、海外に行けたら、それはなによりの喜びです。



 会見のオープニングは、千尋役のお二人によるヴィジュアル看板のアンベールが行われました。


 3月20日夜公演では舞台『千と千尋の神隠し』おけぴ観劇会開催! この日のキャストやおけぴ観劇会って?…こちらの観劇会ご案内ページをご覧ください。


【公演情報】
ー東宝創立90周年記念作品ー
舞台『千と千尋の神隠し』
2022年3月2日(水)~29日(火)@帝国劇場
(2022年2月28日(月)・3月1日(火)※プレビュー公演)
2022年4月13日(水)~24日(日)@梅田芸術劇場 メインホール
2022年5月1日(日)~28日(土)@博多座
2022年6月6日(月)~12日(日)@札幌文化芸術劇場 hitaru
2022年6月22日(水)~7月4日(月)@御園座

<スタッフ>
原作:宮﨑 駿
翻案・演出:ジョン・ケアード
共同翻案:今井麻緒子
オリジナルスコア:久石譲
音楽スーパーヴァイザー・編曲:ブラッド・ハーク

<キャスト>
千尋:橋本環奈、上白石萌音
ハク:醍醐虎汰朗、三浦宏規
カオナシ:菅原小春、辻󠄀本知彦
リン・千尋の母:咲妃みゆ、妃海風
釜爺:田口トモロヲ、橋本さとし
湯婆婆・銭婆:夏木マリ、朴璐美
(上記すべてWキャスト)

兄役 / 千尋の父:大澄賢也
父役:吉村直
青蛙:おばたのお兄さん

阿部真理亜、新井海人、五十嵐結也、桜雪陽子、大重わたる、折井理子、可知寛子、香月彩里、城俊彦、末冨真由、田川景一、竹廣隼人、知念紗耶、手代木花野、中上綾女、花島令、松之木天辺、水野栄治、武者真由、保野優奈、八尋雪綺、YAMATO、山野光

公式サイト:https://www.tohostage.com/spirited_away/

おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人

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