感動という言葉では表すことのできない、
なにか、もの凄いものを観てしまった…。
観劇後、真っ先にそう感じました。
女優・大竹しのぶと、歌手・エディットピアフの魂が重なる瞬間が幾度も訪れます。
病と薬物に身体を蝕まれ、愛を求め続け、それでも歌い続けるピアフの姿…、これまでの人生をその身体から絞り出すように歌い上げる「愛の讃歌」「水に流して」は、客席全体が息を呑むほどのもの凄い雰囲気に包まれるのを体感!
ピアフを取り巻く人々を演じるキャストのみなさんも素晴らしい!
若き日のイブモンタンを演じる田代万里生さん。垢抜けない青年が大スターになっていく様も見事で、歌だけでなく演技も細やか。「帰れソレントへ」を朗々と歌い上げ、その素晴らしい歌唱力に客席は拍手喝采!
KENTAROさん演じるシャルルアズナブールは、大ヒット曲「忘れじの面影(she~♪)」をあま~く歌いあげ、ピアフへの切ない想いをたっぷりとみせてくれます。
最年少(19歳!)キャスト碓井将大さんも、晩年のピアフを支え愛するテオ役が切なく愛おしい!
大竹さん以外のキャストの皆さんは場面ごとに、町の人々から、チンピラ、軍人、看護師、映画スターに至るまで、複数の役を(7~8役!)を演じているのも、見所の一つ。
ボクシングチャンピオンのマルセル役・山口馬木也さんも、物語の序盤で思わぬ姿を披露してくれます♪
そして!
マレーネ・ディートリッヒを演じる彩輝なおさん、かっこよすぎる美しさ!
後半に演じる役との演じ分けもさすが!
このほか辻萬長さん、梅沢昌代さん、高橋和也さん、山路和弘さんと、ベテラン実力派がゴージャスに脇を固めます。
音楽はアコーディオン、ピアノ、チェロ、ベースのカルテットの生演奏♪
「演劇」そして「音楽」をたっぷりと味わえる満足感!
冴えわたる手腕の栗山民也さん、魔法ともいえる演出で鮮やかに描かれる、まさに大人が楽しめる本物の演劇です。
ピアフの歌声はなぜ人を惹きつけるのか。
そしてピアフはなぜこんなにもたくさんの男たちに愛されたのか。
大竹しのぶさんが演じる「ピアフ」を観ればその答えを見つけることができると思います。