【公演NEWS】新国立劇場の演劇<未来につなぐもの>第二弾『夜明けの寄り鯨』開幕!



【感想ご紹介 12/6追記】

◆ここ何年か劇作の横山拓也さんのお芝居を観る機会が何度かあり、気になっている作家さんです。劇場に入ると一風変わった舞台美術が目を引きます。誰かの当たり前が、別の誰かにとってはそうではない。若さや時代ゆえに、想像が及ばず、自身の「常識」や「正義」で他者を傷つけてしまう事がある。他者を「理解する」というのはどういうことなのか、考えさせられるお芝居でした。

◆悪意はなくとも、人は何気なく口にした言葉やそれを契機に交わした会話によつて、いくらでも人を傷つける可能性があることを、静かな展開の中から突きつけられました。信じるものや主張するものが異なる人間が、相手の立場は思考を想像し共有できる部分を探し当てながら生きていく...決して大上段に構えることなく、そんなことを自然に考えさせる秀作でした。上方に映し出される鏡の中の姿から、さらに想像を膨らませられます。

◆脚本、演出とも新しい出会いでした。今後もお二人の関わる公演、追いかけてしまいそうです。役者の方々も含めて、新国立劇場での出会いで、自分の観劇の幅が広がることが多く、感謝しています。

◆斬新で大胆な美術が素晴らしかったです。脚本はこれまでの横山さんらしさがありつつも新しさもありました。相野の存在が効果的だと思いました。知らない人になら身の上話をできる…ということはあると思うので。現在と過去が交錯するストーリーに一捻りあって楽しめました。

◆まず、美術と照明がユニークで美しい。これは、開幕前からオープンで、見て、目に楽しいしかけに思わず上下何度も見渡した事だった。過去現在を行き来する舞台はいくらでもあるけれど、過去へ旅する主人公とその旅の励まし役(一人コロス?)の演出が、スイッチを切り替えずに観られる、に繋がり、これも趣向だなと思った次第。横山節は、過度にセンチメンタルを助長しない演出でないと少し嫌みになる可能性があるように思うが、登場人物がバラエティに富んだキャラクターなこともあり、ウルウルや謎解きだけに帰着しないところも好ましかった。

◆大道具の使い方がとても素敵で、後方席だと大道具の良さも楽しめると思います。25年前の価値観と今の価値観の違い、変わらないところそれぞれに思いを馳せながら観劇しました。曖昧なままゆるく繋がりを保つことの心許なさ、心地よさ、色んな感情に答えを出さないまま幕が閉じるところが素敵でした

◆とても面白かったです。行方不明になった同級生を思う旅に出た女性のノスタルジックな話なのかと思っていたのですが、衝撃的な展開にすっかり引き込まれました。天井の鏡に舞台を映すというのが独特な空間の演出になっていて画期的な気がしました。

◆いろんな社会問題が織り込まれていて、ともすれば悲愴な気持ちになりそうな内容の舞台なのですが、折々にクスッと笑える瞬間があって、微笑ましい場面もありました。


【開幕NEWS】

いま演劇界で注目の劇作家・横山拓也が新国立劇場初登場!
25年前に自分が傷つけたかもしれない男性の面影を追う、一人の女性のこころの物語。2022/2023シーズン中に日本の劇作家の新作をお届けするシリーズ企画、【未来につなぐもの】の第二弾として、いま演劇界で注目の劇作家・横山拓也の新作をおおくりします。

作・横山拓也、演出・大澤 遊よりコメント到着!!



小島 聖、池岡亮介
撮影:田中亜紀

【作・横山拓也 コメント】

あまり見たことがないような舞台美術が建ちました。演出家と美術家のチャレンジに驚嘆します。これが奇を衒ったというわけではなく、きちんとこの劇の世界を立ち上げていて、見事なんです。こういう瞬間に立ち会わせてもらえるのも、劇作家の冥利。物語は、キャストの個性の配置が絶妙なこともあって、静謐さと賑やかさの不均衡に戸惑っているうちに、いつのまにかドラマに引き込まれていき、登場人物たちと同じ場所に立っているような気分になります。なんでしょう、この味わい。演出家・大澤遊さんが、すごく面白いものを作りましたよ。自分の戯曲でこんな感覚になった舞台ははじめてです。



小島 聖、池岡亮介
撮影:田中亜紀

【演出・大澤 遊 コメント】

25年前のことを思い出しつつ、当時を生きた人たちが今をどう生きているのかに思いを馳せながら、創作してきました。横山さんは、日常の中に潜む問題を繊細に描いています。それを俳優・スタッフの皆さんが丁寧に拾い上げ紡いでくださり、無事に開幕することができました。
ふとしたことがキッカケで急に過去が蘇り、心がざわつくことがあります。まさに登場人物の三桑もそうで、皆さんもご一緒にそんな過去と現在を旅してもらえたら嬉しいです。




和歌山県の港町を舞台に、25年前に自分が傷つけたかもしれない男性の面影を追う、一人の女性のこころの物語です。ひとのこころの内面を静かに描く、まさに横山拓也ならではの劇世界です。

演出は、新国立劇場では「こつこつプロジェクト」第一期として『スペインの戯曲』を手がけた、若手演出家・大澤遊を迎えます。彼の丁寧で繊細な演出はこの作品の奥深い魅力をあますところなく伝えてくれるでしょう。

おけぴ稽古場レポートはこちらから

ものがたり
和歌山県の港町。手書きの地図を持った女性が25年ぶりに訪れる。女性は大学時代、この港町にサークルの合宿でやってきて、たまたま寄り鯨が漂着した現場に居合わせた。まだ命のあった鯨を、誰もどうすることもできなかった。
ここは江戸時代から何度か寄り鯨があって、そのたびに町は賑わったという。漂着した鯨は"寄り神様"といわれ、肉から、内臓、油、髭まで有効に使われたと、地元の年寄りたちから聞いていた。
女性が持っている地図は、大学の同級生がつくった旅のしおりの1ページ。女性はその同級生を探しているという。彼女はかつて、自分が傷つけたかもしれないその同級生の面影を追って、旅に出たのだ。地元のサーファーの青年が、彼女と一緒に探すことを提案する。


【公演情報】
新国立劇場2022/2023シーズン 演劇『夜明けの寄り鯨』
2022年12月1日(木)~18日(日)新国立劇場 小劇場

<スタッフ>
作:横山拓也
演出:大澤 遊

<キャスト>
小島 聖 池岡亮介 小久保寿人
森川由樹 岡崎さつき 阿岐之将一
楠見 薫 荒谷清水

公演HP

☆本公演は新型コロナウイルス感染予防、拡散防止対策をとって上演いたします。
詳細:https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html
☆本公演では、耳や目に障害のあるお客様への観劇サポートをご提供いたします。
☆一部公演にて、英語字幕(手持ち型ポータブル字幕機による)を表示します。

この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました

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