【夢見る芝居】博多座 二月花形歌舞伎『新・三国志 関羽篇』『夢見る力-特別舞踊公演-』市川猿之助さん・市川團子さん取材会レポート


博多座にて上演される三代猿之助四十八撰の内『新・三国志 関羽篇』(2023年2月5日(日)~19日(日))に出演される市川猿之助さん・市川團子さんの取材会が行われました。



かつて大好評を博したスーパー歌舞伎『新・三国志』シリーズが、装いも新たに『新・三国志 関羽編』として歌舞伎座で上演されたのが今年3月のこと。この生まれ変わった『新・三国志』が2023年2月に、さらにスケールアップ! 猿之助さんによる斜め宙乗り、團子さんによる本水による大立ち廻りありのスペクタクルな要素を盛り込んで博多座で甦ります。

また、2月21日(火)には團子さんをはじめとする花形俳優たちの“夢見る力”から生まれたもうひとつの二月花形歌舞伎 市川猿之助監修『夢見る力-特別舞踊公演-』も上演!

博多座へは、猿之助さんは3年ぶり15回目の出演、團子さんは初登場となります。「博多座初出演は2000年11月スーパー歌舞伎『新・三国志』、博多と言えば三国志!」と意気込む猿之助さん、「実は福岡生まれ。その意味でも博多座に立たせていただくのがとても楽しみ」とワクワクをにじませる團子さん。2つの公演にかけるお二人の思いを伺いました。


──今年三月の歌舞伎座公演を経て、博多座での『新・三国志』上演となります。どのような構想をお持ちですか。



猿之助さん)
歌舞伎座では三部制をとるなかでの上演となり、あの長い物語を2時間強に納めなくてはなりませんでした。博多座では昼夜興行ですので、多少場面を加えますが、なるべく九州各県からお越しのお客様も帰れるように、19時ごろの終演になると思います。

演出面では、博多座さんと言えば、なんと言っても音響、舞台機構の素晴らしさです。歌舞伎座では削った本水を使った大滝の立ち廻りの場面を復活させ、斜め宙乗りもお目にかけます。歌舞伎座とは結末も変わり、原作寄りに戻すので歌舞伎座でご覧になった方も、違いを楽しんでいただけると思います。博多座の良さをフルに生かした演出で、コンパクトにお手軽にお楽しみください。

──座組について。

猿之助さん)
初演から変わらぬ美貌の笑也さんは、もはや奇跡です。また、笑也さんだけでなく猿弥さんら初演の雰囲気を知っている方がいるだけで作品に厚みが出ます。ものを作る上で彼らがいるということは、余計な時間を使わずして最大の功績をあげられるので心強い限りです。だんだん初演を知らない人が増えるなかで、非常に貴重な存在です。若手がそれを受け継いでいく橋渡し的な公演となるように、座組一丸となって博多座に乗り込んでいきたいと思います。

──團子さんも歌舞伎座に続いて、関羽の息子の関平役でご出演となります。ご自身の中で『新・三国志』はどのような位置づけでしょうか。



團子さん)
こどもの頃に映像で見て楽しんでいたおじいさまの『新・三国志』、今年三月に出演させていただきました。自分の中では“新しい(歌舞伎)”というイメージで取り組んだ方がいいと思っていましたが、実際に演じてわかったのは古典が入っていることが大事だということです。改めて、しっかりと修業がしたいと思いました。その後、いろんな演目でいろんな役を勤めさせていただいたので、その経験を糧に、さらに深化した関平を演じたいと思います。


──「三国志」の魅力について。



猿之助さん)
「三国志」は中国の大河ドラマ。事件がどんどん起こっていく、日本で言ったら「八犬伝」のようにどこを切り取っても面白い物語。だからこそいろんな形で、何度もリメイクされています。この歌舞伎の『新・三国志』について言えば、横内(謙介)先生の解釈で恋愛物語にもなっているところがポイント。「三国志」というと男の世界になってしまうのですが、それだけでない。また今回は「三国志」の世界がわかるように、冒頭に映像で解説を入れました。言葉も現代語とまではいかないまでも、テレビの時代劇くらいの言葉づかいです。初心者の方もお気軽に楽しんで頂けると思います。

團子さん)
原作の面白さはもちろん、歌舞伎の『新・三国志』の面白さは “人のつながり”だと思っています。最後、関平や孔明が一生懸命、夢を継いで走っていくような景色が浮かぶような幕切れとなっていて、そこでとても感動します。この“人のつながり”“受け継がれる思い”が魅力だと思います。

また、『新・三国志』はこどもの頃から見ている作品ですが、今、17、8歳で見ると新しい発見があります。そして、おそらくこの先、40歳で見ても新しい発見があるでしょう。その意味でも、この演目はすごいと思います。(その時々の)自分の苦労とも重ねるように、“自分を見る”ことで楽しめる作品だと感じています。


──初演では猿之助(当時、亀治郎)さんが関平を演じられました。猿之助さんの関平の印象は。



團子さん)
本当に全部好きなのですが。一番は、大滝の場面の後、最後の台詞の表現です。僕は小さいときは台詞をただワーッと言えばいいと思っていましたが、そういうものではありません。ひとつの台詞の中での抑揚、強弱をつけていくという課題にぶつかってから、より一層猿之助さんのすごさがわかりました。


──團子さんの成長をどう感じ、受け止めていますか。



猿之助さん)
かわいそうだと思うのは、成長期にコロナ禍となったこと。それによって僕らが当たり前に見ていた古典がかからなくなってしまった。團子をはじめ、若手の世代はそんな“歌舞伎ができないという非常時”と修業期間が重なってしまった。ただ、それを幸とするか不幸とするかは、この先の成長次第。舞台に立つ数が少ないというのも、考えてみれば僕らだって親の世代からしたら同じです。それでもなんとかなっている(笑)。だから彼らにもなんとか乗り越えて欲しいと思います。

──猿之助さん流の厳しくも愛のあるエールです。次の世代への思いは言葉だけにとどまらないのが猿之助さんのすごさ。続いては猿之助さん監修の『夢見る力-特別舞踊公演-』について。

猿之助さん)
若手には新作とともに古典もやってもらいたいという思い、そしてお客様には見たことのない古典をご覧いただきたいという二つの思いから企画しました。(『悪太郎』は博多座で初めての上演となります)

博多座さんには地下に素晴らしい稽古場があります。『新・三国志』終演後、まだまだ夜は長い。コロナ禍ですし、その時間、おとなしく宿にいるのなら毎日稽古をしようじゃないかと思って。終電を気にすることもない、こういう時にちゃんと稽古をする。そして千穐楽後、一日空けて(特別舞踊公演)本番、それがお客様に珍しい演目をお目にかける機会となる。我ながらナイスアイデアですよね(笑)。

團子さん)
『悪太郎』で太郎冠者を勤めます。令和三年一月、歌舞伎座での『壽 初春大歌舞伎』を拝見し、特に最後の4人の踊りが楽しかったので、出演できることを嬉しく思います。踊りだけでなく、台詞をしゃべるところなどは狂言っぽいというか。これまであまりやらせていただいたことはないので、今回そこをしっかりと勉強したいと思います。

──福岡で生まれたという團子さんの“成長”については、初舞台からどのくらい身長は伸びましたかという質問も。お顔立ちもシュッとされ、猿之助さんからは「(チラシの)この写真はほぼ詐欺だよね(笑)」との指摘には團子さんも苦笑い。

團子さん)
今、179cmです。初舞台からは40cmくらい伸びたと思います。一年前に落ち着いてきたかなと思ったのですが、半年ほど前にまた伸びて……まだ油断はできません(笑)。


──両公演のキーワード「夢見る力」について。



猿之助さん)
僕は「夢見る」とか嫌いなんです(笑)! 夢は見続けるだけじゃダメ。だから僕は「夢見る力」と書いてルビは「実現する力」、そう読み替えています。物事を実現させるにはさっき團子が言ったように人と人のつながり、和が大切。関羽を演じる上でも、孔明や孫権は力で実現させようとするのに対して、僕の関羽は人との縁、和を重んじ、それが崩れるのならば実現させなくてもいいとすら思う人物像と捉えています。それは伯父の猿翁の関羽ともまた違う僕の考えですので、初演とはお芝居のテイストも違うかもしれません。演じる俳優によって解釈が違う、それが歌舞伎の面白さ。ですので、團子がやる関平は僕のとは違う解釈になる。そうやって自分で作っていって欲しいと思います。團子は「夢見る力」についてどう思いますか。

團子さん)
「夢見る力」を僕は信じます。初演の映像の最後に流れる文章があるのですが、そこには「夢見る力というのは、夢に走っていく姿勢が一番大切だ」と書かれていました。それにとても共感しました。僕は、そのように思っています。

──公演を楽しみにされていているお客様へ

團子さん)
歌舞伎座での公演から、さらに深化して博多座のお客様に楽しんでいただけるように精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。

猿之助さん)
来年二月、状況がなるべくいい方向へ向かい、劇場にお出でいただければ世の中の一切合切を忘れていただき夢のような──それこそ劇場の中で夢を見ていただける、そんな“夢見る芝居”にするべく我々も一生懸命取り組みますので、ぜひ一人でも多くの方にご来場いただき盛り上げていただければと思います。




「素晴らしいね」と、こちらの感想が謎の何様目線になってしまうほどの分析力と実行力で俳優としてだけでなく名プロデューサーぶりも発揮する猿之助さん、真っ直ぐな眼差しで「勉強させていただく」という言葉を何度も口にされる團子さんが印象的な取材会でした。
【公演情報】
博多座 二月花形歌舞伎

羅 貫中 作「三国演義」より
横内謙介 脚本・演出
市川猿之助 演出
市川猿翁 スーパーバイザー

三代猿之助四十八撰の内
『新・三国志』
関羽篇


市川猿之助 咲き乱れる桃花の宙乗り相勤め申し候
市川團子 本水にて大滝立ち廻り
2023年2月5日~19日@博多座

関羽:市川 猿之助
張飛:市川 猿弥
劉備:市川 笑也
香溪:坂東 新悟
孫権:中村 福之助
関平:市川 團子
諸葛孔明:弘太郎改め市川 青虎
華佗:中村 梅花
司馬懿:市川 笑三郎
陸遜:市川 男女蔵
呉国太:市川 門之助

黄忠:石橋 正次
曹操:浅野 和之

<あらすじ>
 2世紀末、乱世の中国で大志をいだく三人の武将が巡り合い、ある桃園で義兄弟の契りを結ぶ。劉備、関羽、張飛である。人が飢えぬ国、人が売られぬ国、殺されぬ国をつくるのが夢と語る劉備の「夢見る力」に、関羽も張飛も感銘を受けたのである。諸葛孔明を軍師に迎えた劉備たちは蜀を治め、曹操が支配する魏、孫権の呉と天下を分かつ「天下三分の計」を実現するべく動き出す。
 大軍を率いて呉に攻め入ったのは曹操。蜀と呉は同盟を結び、魏は赤壁の闘いで大敗し曹操は深手を負ってしまう。その曹操の前に現れたのは関羽の養子である関平たちである。曹操を討ち取ろうとする関平に対して関羽はある決断を下す。呉は孫権の妹・香溪を劉備に嫁がせ同盟関係をより強固なものとしようとする。女性としての幸せを願う香溪であったが、その心を動かしたのは思いもよらぬ人物であった…。

『新・三国志』公演HP

市川猿之助監修『夢見る力-特別舞踊公演-』
2023年2月21日@博多座
お国山三 『春霞歌舞伎草紙』
中村福之助宙乗り相勤め申し候
出雲阿国:新悟
名古屋山三:中村福之助
     
猿翁十種の内 『悪太郎』
悪太郎:弘太郎改め青虎
太郎冠者:團子
修行者智蓮坊:卯瀧
伯父安木松之丞:中村福之助

『新・三国志』出演の花形歌舞伎俳優が挑む
市川猿之助監修による1日限りの特別舞踊公演!
 二月花形歌舞伎『新・三国志 関羽篇』の熱気をまとい、市川猿之助監修による特別舞踊公演が決定!演目は、出雲のお国と名古屋山三との恋を題材にした絵巻物さながらの華やかな舞踊『春霞歌舞伎草紙』と、狂言を題材にし、愛嬌とユーモアにあふれる澤瀉屋の家の芸『悪太郎』の2本立て。花形俳優たちの“夢見る力”から生まれたもう一つの『二月花形歌舞伎』にぜひご期待ください!

『夢見る力-特別舞踊公演-』公演HP

※「澤瀉屋」の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です   


おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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