【感想ご紹介】
◆スコットランドの海辺の小さな村の、4人の青年たちの群像劇。9歳、19歳、29歳の間を行きつ戻りつ、回想しながら物語が進んで行きます。繊細な青年たちの切ない物語です。スコットランドの人たちの話ですが、私たち日本人にも共感できる普遍的なものがあるようです。
◆一幕二幕それぞれが1時間程度の為スッキリと見やすく、役者さんたちの掛け合いのテンポもよくて集中して観ることができました。また劇中劇が現実とリンクした瞬間の演出も見事。グイグイと物語の世界観に引き込まれました。
◆ラストの演出がとても美しく、ぼーっと舞台に見とれてしまいました。また音楽がとても効果的で、自分もまるで風がそよぐ海沿いにいるような心地良さを感じました。
◆脚本が「原作通り」で、日本になじみがない部分も多いのに違和感なく作り上げられた傑作。4人の若手俳優が、現実と物語の二軸を緊張感たっぷりに表現する物語。翻訳ものにありがちなオーバーな言い回しをまったく感じさせない、等身大のセリフで9歳から29歳までを演じ分ける俳優陣、素晴らしいの一言。ラストに待ってるいろんな「爆発」に、すべてが緩和されて後味の清々しい作品に仕上げている演出も見事な作品。
◆スコットランドの戯曲がベースということで、少し暗い空と暗い海を思わせる田舎町の閉鎖された空気とそこに生きる少年たちの思い出。明るくはない話ですがとても空気感が好きな話でした。美しくて切ない話だったと思います。
◆戯曲が面白いです。4人のキャラクターのうち誰の目線で見るかによって感じ方が違うかもしれません。幕切れもあえて余韻を残していて、いろんな感想がありそう。2回3回見ても楽しめる作品です。対人の感情における自分で認めたくない汚い部分を全部丸出しにしている苦しいお話です。観ていてハッピーエンドでもスッキリする話でもないのに、約10年ぶりに観にきてしまいました。苦しいお話ですが、おすすめです。
◆それぞれの人物関係の変化していく様子がとてもリアルで、何度も心の奥底がヒリヒリする感じがしました。初見にはやや難しめでずっと頭をフル回転しながら観ていたため幕間に頭と気持ちを一端整理でき後半見やすくなったので、2幕構成でよかったです。観る人によって見える物語が違うように感じるなという印象で、複数回観ても新たな視点で見れそうだと思いました。
◆2012年Dステ版「淋しいマグネット」が大傑作だったので、この素晴らしい戯曲を11年振りに観劇できて幸せです!感じられる瑞々しさは自ら心身を傷つけて流れ出る血のようで、強い感情のうねりが劇場を支配していました。
◆unratoさんステージは、素晴らしいセットからすでに作品の香りが匂い立ち引き込まれる。4人の俳優が9歳、19歳、29歳を行き来することに全く違和感は感じさせず、4人の個性のバランス感や表現力に魅了され、ラストの15分は圧巻。あぁ、舞台ってこれがあるから来てるんだよなぁという満足感を頂いて、胸いっぱいになりました。素晴らしい舞台を本当にありがとうございました!!
◆幼なじみ4人の9,19,29歳の瞬間がどれもどことなく共感出来て、歳を重ねる毎に思うようにならなくなっていくことが見ていて苦しくなりました。劇中で描かれる物語の世界が美しく哀しくてとても良かった。
◆2023年4月6日(木)~16日(日)、東京芸術劇場 シアターウエストにてスコットランドの劇作家・ダグラス・マックスウェルの代表作
『Our Bad Magnet』が上演されます。演出の大河内直子さんのコメントが届きました。
本作は2000年に、スコットランドのグラスゴーで初演された青春群像劇で、世界15か国以上で翻訳上演されている人気作です。今回は広田敦郎による新訳で上演します。
舞台は、海添いの小さな町。登場するのはアラン、フレイザー、ポール、ゴードンの4人の同級生たち。かつては人気観光地だったがすっかり廃れてしまったその町に、29歳になった彼らが苦い思い出を抱え集まってくる…。物語は彼らの9歳、19歳の場面を行き来しながら、4人のその時々の真実と孤独が描かれていきます。10年ごとに変わっていく関係やそれぞれが抱える口に出せない思い出たちが、29歳になった今、一気にあふれ出します。劇中劇を盛り込みながら、現実とファンタジーが交差し人生の真実を浮き彫りにしていく、切なく美しい物語です。
本公演には、多彩なジャンルの舞台で活躍する若手俳優が顔を揃えました。同級生の4人は、様々なタイプの舞台に主演する
松島庄汰、近年はミュージカルや映像にも活躍の場を広げる
木戸邑弥、ストレートプレイや2.5次元舞台に加え声優としても活動する
小西成弥、『熱海殺人事件』『文、分、異聞』などの好演も記憶に新しい文学座の
奥田一平が演じます。
圧倒的な物語と言葉の力を信じた本作は、改めて演劇の力を思い起こしてくれる美しい作品です。青春の孤独とともに生きる4人の幼馴染たち。閉塞感に追い込まれそうになる現代、それでも生きていくということを、彼らの姿を通して見つめなおしてみませんか。
【大河内直子 コメント】
「僕らは孤独で悲しみながら地上をさまよう運命なのです。」
大人になるにつれ、私たちが置き去りにしてしまって久しい蒼い時、記憶の底に沈めて久しい傷、青春の孤独と終焉ー。
ヒリヒリとした青年たちの孤独が、「寂しい」という彼らの内なる声が、現代の私たちの孤独に響いてくる。
青年たちは痛々しいほど不器用で美しい。これは青春の神話だ。
才能あふれる若き俳優たち、スタッフと共にこの青春の神話に挑みます。
【あらすじ】
舞台はスコットランド南西部の海岸添いにある小さな町、ガーヴァン。登場するのはアラン、フレイザー、ポール、ゴードンの4人の同級生たち。かつては人気観光地だったがすっかり廃れてしまったその町に、29歳になった彼らが苦い思い出を抱えながら集まってくる…。地元に残ったアラン、元リーダー格のフレイザー、ロンドンで働くポール、そして…。彼らの9歳、19歳の場面を行き来しながら、思い出たちが少しずつ明らかになっていき…。
2000年にスコットランドのグラスゴーで初演以来、世界15か国以上で上演されている人気作を新翻訳で上演。劇中劇を盛り込みながら現実とファンタジーが交差し、人生の真実を浮き彫りにしていく切なく美しい青春群像劇。
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました