「SPY×FAMILY」がミュージカルに!まずは大人気原作のご紹介から。
「SPY×FAMILY」はシリーズ累計発行部数2,900万部突破の超人気コミック。
「スパイ&超能力者&殺し屋が互いの秘密を抱えたまま仮初めの家族になる」というユニークな設定と個性的で魅力的なキャラクターたち、シリアスとコメディが絶妙にブレンドされた世界観、巧妙なセリフ回しとアクションとギャグを織り交ぜたストーリーテリング等により、連載開始直後から閲覧数・コメント数・発行部数における「少年ジャンプ+」最高記録を次々と更新し、読者の圧倒的な支持を獲得。2022年4月には、テレビアニメ化され、欧米圏・アジア圏での放送及び配信の世界展開もスタート、国内外を問わず一大旋風を巻き起こしている作品です。
上演決定、
メインキャストの発表、
全メインキャスト扮装ビジュアル解禁、
製作発表会見、
アーニャ役の決定、
アーニャお披露目ミニ会見、
遠藤達哉先生書下ろし「初ミュージカル化 お祝いイラスト」お披露目……と発表の度に大反響を呼んだミュージカル『SPY×FAMILY』がついに開幕いたしました(
初日会見レポ)。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
本記事では、初日に先立って行われたゲネプロ(ロイド・フォージャー:鈴木拡樹さん、ヨル・フォージャー:唯月ふうかさん、アーニャ・フォージャー:増田梨沙さん、ユーリ・ブライア:瀧澤翼さん)をレポートいたします。
スパイアクション&ホームコメディと聞いて、その2つが両立するのだろうか?と思われる方もいらっしゃるでしょう、それが……両立するのです!
世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた東西冷戦時代。
敵対する東国<オスタニア>と西国<ウェスタリス>の間で保たれる仮初めの平和。その裏で何度も危機を回避させてきたのが西国の情報局対東課〈WISE(ワイズ)〉所属の凄腕スパイ・コードネーム〈黄昏(たそがれ)〉。
次なる極秘任務は、その名もオペレーション〈梟(ストリクス)〉。
東西平和を脅かす危険人物、東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入し、デズモンドに接触せよ”というもの。
任務遂行のため、<黄昏>は精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族……《娘》と《妻》を探す。
そして見つけた《娘》候補のアーニャは心を読むことができる超能力者、《妻》候補のヨルは〈いばら姫〉のコードネームをもつ殺し屋という裏の顔を持っていたが、3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。この仮初めの家族に世界の平和は託されたのだった……。
この壮大かつユニークな物語が舞台上で繰り広げられるのです!
まずは〈黄昏〉の通常任務。ジャズのリズムに乗せて華麗に国家間の危機を回避する様子がテンポよく描かれます。完璧な仕事ぶりに、おお!〈黄昏〉がそこにいる! の興奮。演じるのは
鈴木拡樹さん!(森崎ウィンさんとのWキャストです)

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
そこに
朝夏まなとさん演じる黄昏の上官
シルヴィア・シャーウッドが登場、挨拶はもちろん「こんにちはあるいはこんばんは」。コスチュームの着こなしから佇まいまで、
〈鋼鉄の淑女(フルメタル・レディ)〉のカッコよさ全開! 「家族?妻と娘?」……オペレーション〈梟〉の無茶ぶりもシルヴィアならアリ!

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
こうして〈黄昏〉はロイド・フォージャーとしての仮初めの日常を送ることになるのです。〈黄昏〉ベースのロイドという二層構造、鈴木さんの、立ち姿の角度からスーツの襟に手をかける仕草のタイミングといった見せ方はもちろん、内面に至るまでの高いキャラクター再現度にテンションアップ! 心の声に切れ者感と動揺の緩急も絶妙、さらにアーニャに向けられた優しい声色も素敵です。一人の人物の中で繰り広げられる〈黄昏〉とロイドのせめぎ合いのような自問自答。完璧なスパイとして完璧に演じていたはずのロイドが徐々に人間味を増していく(スパイ的にはキャラ崩壊の危機!)、その過程もリアルにコミカルに見せる芝居巧者ぶりをいかんなく発揮されています。完璧が崩れるときがこれまたチャーミング!

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
さて、任務に戻ります。まずは≪娘≫を探す! ここで登場するのが、みんな大好きアーニャです。この日は、
池村碧彩さん、井澤美遥さん、福地美晴さん、増田梨沙さん、4人のアーニャ役から、増田さんのアーニャ。そこにいるだけで思わず笑みとカワイイ…の声が漏れてしまいます。それほどまでにアーニャ!!
「アーニャ、ぴーなつがすき~」ロイドの心を巧みに読みながらはじめる自己紹介、ちち~と呼ぶその声、キュンキュンです。観る前は、アーニャ役頑張れ~なんて見守るような気持ちをもっていたのですが、そんな心配は軽く飛び越えてくる完成度。客席で身悶えるレベルの可愛さです。「アーニャって実在したんだ……」もはやそんな感覚です。
もちろんアーニャの魅力は側にいるロイドにも影響を及ぼし、これまでに体験したことのない“子育て(アーニャとの生活)”がドライなロイドを変えていく。そこはもう“微笑ましい”の連続。しっかりと笑わせてもくれます!

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
続いては≪妻≫となるヨルさんとの出会い。表の顔は市役所職員、裏の顔は凄腕の殺し屋。ひっそりと地味に暮らす内気、だけどちょっと天然な女性です。ヨルさんもロイドやアーニャとの生活の中で変化していくのですが、それを見ていると思わずこぶしを握り全力で応援したくなります。そんなヨルさんナンバーを切々と歌う
唯月ふうかさんの歌声が心に深くしみるとともに、ヨルさんの控えめだけど、隠し切れない戦闘能力のバランス、「言」「動」のギャップが笑いを誘います!(ヨル役は佐々木美玲さんとのWキャスト)

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
こうして仮初めの家族、フォージャー家を見ていると、嘘から出た実という言葉を思い出します。その人をその人たらしめるのはなんなのか。そんなことを考えさせるのです。ただ、そこに浸っている余裕はございません! なんと言ってもオペレーション〈梟〉遂行が第一ですから!
ということで再び任務に戻ります。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
こうして揃ったフォージャー家が挑むのは名門イーデン校の入試!
その格式を守るのは
寮長(ハウスマスター)ヘンリー・ヘンダーソン、演じるのは
鈴木壮麻さんです。「エレガンス~」と響くお声のノーブルさ、厳格さ、そしてユーモア! おひげに、佇まいまで、まさにエレガントなヘンダーソン先生です。
個性的な登場人物はほかにも!

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
〈黄昏〉の情報屋フランキーには木内健人さん。もじゃもじゃの特徴的なヘアスタイルもバッチリのフランキーの登場シーンはホッとさせるパートです。アーニャとの息の合ったやり取りも微笑ましい。

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
さらには、ヨルさんを過剰なまでに愛する弟の
ユーリ・ブライアとロイドに恋する後輩スパイの
フィオナ・フロスト、コードネーム〈夜帷(とばり)〉。真っ直ぐすぎる愛と燃え上がる嫉妬の炎、完全な独り相撲(悲しい!)が瀧澤翼さんと山口乃々華さんの振り切れた歌と芝居で再現されます。それにはどうにもこらえきれずに何度も吹き出しました(笑)!(ユーリは岡宮来夢さんとのWキャスト)

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
また、ヨルさんの同僚ドミニクやボンドマン(アーニャも大ファン)などを演じる楢木和也さんは同じく梅棒の天野一輝さんとともに振付もご担当されています。スタイリッシュなダンスにもご注目ください!

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
そして、「SPY×FAMILY」の世界を舞台上に生み出す上で大きな役割を果たしているのが全力で歌い、踊り、芝居して、さらにはアクションも!なアンサンブルのみなさん。冒頭の山野靖博さんとユーリック武蔵さんの声の圧から伝わる国家情勢の緊張感にはじまり、湊陽奈さん演じる公園で出会うチャーミングなおばあちゃんの優しさ、丹宗立峰さん、鎌田誠樹さんのクセの強い寮長たちなどなど、目が足りません!
改めて振り返ると、国家の危機もあれば、プロポーズ(壮大なラブデュエットに乗せてあの指輪エピソード!!)、家族の休日、入試の三者面談、牛(質感!!)、スケール感のおかしい(笑)ご褒美「お城で助けられごっこ」……全編原作の名シーンと言っても過言ではない贅沢な展開。そんなスリルと笑いにあふれたシーンの再現とともに、利害の一致から家族になった彼らに芽生える新しい感情、そこで育まれる3人の関係性もしっかりと再現されています。だからこそ生まれる感動。「そうそう、これが「SPY×FAMILY」だよね!」、観ている者の心の中で、原作を見たときの心のキュン、ほっこりが確かに感じられるのです!

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
また、プロローグ的に描かれるのは〈黄昏〉の幼少期の記憶。それによって強く印象付けられる彼の思いの原点「すべてはよりよき世界のために」。いろいろと楽しく脱線しつつも、作品を通してその思いは貫かれます。帰り道もメロディの乗せてその言葉が頭を巡る~。
物語の中でアーニャが起こす小さな奇跡の数々、その一つひとつがみんなを笑顔にし、そして平和を実現させる力、大きな希望につながっていく──そんな存在のアーニャ。それを見事に体現している4人のアーニャ、それを支える大人キャスト、スタッフのみなさん、そして素敵な原作に大きな拍手を!

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
ミュージカル『SPY×FAMILY』の旅はまだまだ続きます。帝国劇場では3月29日まで、その後、4月11日~16日に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール、5月3日(水)~21日の博多座での大千穐楽までみなさま存分にお楽しみください。エッセンスを丁寧に抽出し、魅力をギュギュっと凝縮した物語に一気に触れることで見える新しい「SPY×FAMILY」の世界が眼前に広がりますよ!
おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人