(手前左・伊礼彼方さん、右・井上芳雄さん)華麗なる復讐劇が、息もつかせぬスピード感で急加速!感情を揺さぶられる激しいロック、心に切なく響くバラード、天国にいるようなコーラスの歌声。心にぐいぐい伝わってくる音楽…。
ミュージカル『ハムレット』興奮の稽古場レポをお届けします!
シェイクスピアの長い台詞劇=睡魔との闘い、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、まったく心配ご無用です。
古典の重々しさではなく、シェイクスピアのドラマチックさを存分に味わいながら、感情をロックに揺さぶられます!
観終わった後、舞台上で繰り広げられた熱いエネルギーが、胸に、頭に、身体に、ジーンと残る感覚を味わえますよ。
タイトルロールのハムレット役は、井上芳雄さん。
怒り、悲しさ、狂乱…様々な表情が見え隠れするハムレットからはほんとに目が離せません! 今までに見たことのないような井上芳雄さんの表情。ハムレットの複雑な心境にぐっときました。
こちらは心がぎゅっと締め付けられるほど愛らしいオフィーリア・昆夏美さん。狂ったオフィーリアは、誰とも目を合わさず、空を見つめ歌うのですが、昆さんの透明感と可憐さがもう切なくて切なくて…。
オフィーリアの兄レアティーズ役は伊礼彼方さん。二幕某シーンでは、かなりのハイトーンナンバーを格好良くロック! オフィーリアの手をいつまでも、愛おしそうになでる姿も心に突き刺さります。
ハムレットとレアティーズの決闘シーンのスピード感、迫力、勢いはもの凄い!! です! 奥行きのあるセットを端から端まで使ったこの場面は、何度でも観たい!
ハムレットの親友ホレーショー・成河(ソンハ)さんはハムレットを優しく見つめる、ほっとする存在。
王妃としての高貴さと、母として、女としての苦しみが共存するガートルード・涼風真世さん。どんな時も優雅で凛々しい、涼風さんにピッタリ!
徹底的に悪役なクローディアス・村井國夫さん。ハムレットと対峙するシーンは圧巻!
オフィーリアの父、ポローニアス・山路和弘さん。娘、息子、ハムレット、様々なことが頭を渦巻いているんだろうなと思わせる"渋み"が素敵です!
静かな威圧感をあたえるような、ハムレットの父親(前王)の亡霊役・阿部裕さん。どっしりとした存在感が、スピードある舞台をひきしめます。旅芸人のシーンもぜひお楽しみに!
(下の写真右手前が阿部さんです)
(左から井上芳雄さん、川口竜也さん、成河さん)
ジャズの軽快な音楽で展開する墓堀り男のシーン♪ 楽しい~っ!この日は二幕のお稽古だったのですが、演出の栗山民也さんによって、原作に基づいた各シーンの意味、登場人物の居方、存在する意味が説かれ、リアリティと様式美の程よいバランスをとりながら“伝わる芝居”が作り上げられていました。
音の響きやテンポ感などを確認しながら最適台詞に置き換えられることも。こうしてテンポのいい、気持ちよく流れる展開が生まれるんですね!
ロック、ジャズ、ポップスとこれら多彩な音楽の作り手は、チェコの天才音楽家ヤネック・レデツキー。今回は、稽古ピアノにあわせてのお稽古だったのですが、どーっぷりと音楽に陶酔できました。本番では、生バンドとのこと。
この日バンドメンバーの方もいらっしゃったのですが、皆さん若いっ! 演奏でも舞台を盛り上げてくれると思います!
原作の名台詞の数々はそのままに、古典の王道をロックに乗せて突っ走る『ハムレット』。キャラクターがしっかりと描かれ、そして音楽によって感情が自然に高揚し、切なさは増し、心を揺さぶられる作品です。
1999年にチェコで生まれ、アメリカ、韓国での上演を経て待望の日本初演。
お見逃し無く!
To be, or not to be: that is the question.
生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。
おけぴ取材班&撮影:chiaki、ayano、おけぴ管理人