こまつ座『連鎖街のひとびと』開幕!舞台写真と感想で綴る観劇レポート!



こまつ座『連鎖街のひとびと』、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演中!

「昭和二十年 旧満州国 大連市
取り残された劇作家たちに課せられた使命は
通訳将校歓迎会の台本作り
しくじればシベリア送りの状況下
時間も食事も何もかもが足りない中で
生み出されたのは起死回生の逆転劇」





井上ひさしが描く、たくましく愛おしい“連鎖街のひとびと”の二日間。

物語の舞台となるのは連鎖街の今西ホテル。新劇の劇作家・塩見利英(高橋和也さん)、大衆演劇の劇作家・片倉研介(千葉哲也さん)、そしてホテルの従業員、中国人ボーイ長の陳鎮中(加納幸和さん)とホテルオーナーの今西練吉(鍛治直人さん)──彼らを取り巻く環境は過酷ながら、目下「30分の劇を作る/作らせる」ことに四苦八苦している。そこにやってくる若き作曲家の石谷一彦(西川大貴さん)とピアニストの崔明林(朴勝哲さん)、元俳優の役人・市川新太郎(石橋徹郎さん)、ハルビン喜歌劇団のスターのハルビン・ジェニィ(霧矢大夢さん)らを巻き込んで物語は進みます。

ドタバタコメディ、会話劇、音楽劇、人情芝居と多面的に芝居の面白さを詰め込みながら、陳さんや崔さんの何気ないひと言や、今西さんがもってくる報せからも大連、満州の現実を浮かび上がらせるのはやっぱり井上作品。泣いて笑って考えて思いをはせて……初演から演出を担う鵜山仁さんが2023年に作り上げた『連鎖街のひとびと』をご覧になったおけぴ会員のみなさんから届いた感想(♪)を舞台写真(撮影:宮川舞子)とともにご紹介して参ります。



大衆演劇の劇作家・片倉研介(千葉哲也さん)と新劇の劇作家・塩見利英(高橋和也さん)


二人の劇作家とボーイ長の陳鎮中(加納幸和さん)とホテルオーナーの今西練吉(鍛治直人さん)のドタバタ劇に客席も沸きます

♪井上ひさしさんの戯曲×鵜山さんの演出は、いつも言葉の力、演劇の力に圧倒されます。語る人がいなくなれば風化してしまうかもしれない戦後史を、豊かに面白く描き上げる井上ひさしさんの筆の力と、奥行きを持ちつつ軽妙に立ち上げる鵜山さんの演出、そして色とりどりに咲き乱れる実力派揃いの俳優陣。観がいのある、そして心に実りをもたらす、素敵な作品です。

♪本当におもしろかった!!演劇の温かさ、優しさ、希望が詰まっていた良作でした。戦後の大連の地で置かれたシビアな状況下の中でも、作家2人をはじめ、どこかのほほんとしたキャラクター達がテンポよく進んでいく調子が良かったです。高橋さん演じる新劇作家は、風貌や知識ともに井上ひさし先生が舞台上にいるようで粋な存在でした。

♪役者さんが全員うまい。セリフも歌も動きも、軽妙でおかしく、クスッと笑ったり爆笑したりの2時間半でした。そしてやっぱり脚本がすごい。クセはあっても悪人が出ない全員のコラボレーションと、冒頭とラストで全員が少し成長している、こんな脚本は井上ひさしならではだと思います。

♪満州という国の哀しさ、当時の日本の愚かさなどを振り返りながらも、演劇の素晴らしさや文化芸術が人間の心を何時も支えてくれるのだということを教えてくれる作品でした。



元俳優の市川新太郎(石橋徹郎さん)、ハルビン喜歌劇団のスターのハルビン・ジェニィ(霧矢大夢さん)も加わって……


若き作曲家の石谷一彦(西川大貴さん)とピアニストの崔明林(朴勝哲さん)、二人の音楽家の登場が物語を、より一層、色彩豊かにします

♪自分たちが受けている理不尽な状況だけでなく、自分たちがしてきたことはどうなのかも言及している。楽しいお芝居のなかに、突きつけられるものがあり、作者はこれが言いたくて書いているんだろうなと、改めて感じた。

♪終戦直後の満州での話ということで、もっと辛いシーンが多いかと思っていましたが、こんなに笑えるとは。市川新太郎役石橋さんのロシア人の名前についてのアレコレがとても楽しかった!シベリア行きかもという不安、恐怖、国への怒りも交えつつ、芝居を作っていく過程がなんとも面白く、作曲家一彦への優しさに溢れていて登場人物全員が主役のように魅力的でした。

♪笑えるストプレで全体的にオススメなんですが、あえて言うと、ピアノの音と歌とでの感情表現が秀逸で最高でした。原稿をめぐるドタバタ表現もとても面白いので、あそこは目が4つ欲しくなるくらい色々観たいところが多いです。

♪千葉さんと加納さんの軽妙なやり取りが面白すぎ!そこに実直な高橋さんが加わって最高! みなさんの確かな演技が役と俳優の境目を感じさせないくらい“その人”がそこに生きている! ずっと見ていたくなります。



濃密な2日間にはこんな一幕も! バラライカ演奏!


圧倒的オーラのジェニィの芝居
ただそれだけでなく……

♪普段、ミュージカルばかりで西川さんを観たくて行きましたが、とっても楽しかったです!知らない世界を知るきっかけを与えていただき感謝です。台詞の全てに無駄がなく、そしてその台詞から、ほぼ変わらないセットでありながら様々な情景を思い浮かべることができ、展開にわくわくしながら観ました。音楽劇ということで、歌もあり、生の朴さんのピアノと西川さんが奏でるバラライカの音色も心地よかったです。

♪キャスティングが絶妙に良かったです。鍛治直人さんのとぼけ加減とか、石橋徹郎さんのちょっとイヤな奴とか。加納幸和さんは個性的な面白い中国人が素晴らしかったです。霧矢大夢さんと西川大貴くんの恋人同士もよかったです。

♪いい本、いい役者、いい演出がピッタリ合った素晴らしい作品でした!厳しい現実の中でも強く生きるひとたちをユーモラスに描いた井上ひさしさんらしい作品だと思います。楽しい音楽に彩られ、最後希望の見えるラストに涙でした。

♪ほんの2日くらいの間に、登場人物みんなが立場や妙なプライドを脱ぎ捨てて、本気でお芝居に取り組んで、自分にとって本当に大切なものに気づく物語。




♪この作品には忘れかけていた人情の機微があり、人間ってすばらしいと胸が熱くなりました。井上ひさしさんの魂が輝いていました。

♪初めてのこまつ座さん観劇でした。軽い予習での観劇となったので、時代背景から重苦しさはある程度覚悟して向かったのですが、胸にズーンとくる内容がベースにもかかわらず、予想外のストーリー展開で、演者さんの動きにグイグイと引き込まれ、思わず吹き出して笑っちゃうことも。最後は夢中になって拍手していました。

♪舞台設定の時代が終戦直後の満州ということでヘビーな内容を想像していたのですが、そんな予想に反して明るい笑いにあふれる舞台でした。ある意味バックステージもので、芝居好きにはこたえられない楽しみもありました。しかし、その背景には深く考えさせられるものが流れていて、二重にハシゴを外された彼らがその後どんな運命をたどったのかを考えると、劇場を出てからの帰路涙が出て出て困りました。

♪井上ひさし劇作あるあるが一杯つまっているお芝居。3時間以内で満州国と日本の状況をコンパクトに語りつつ、取り残された人々が一致団結してお芝居を作っていくという、ああ、先生って本当に演劇が好きで信じているんだなあと。やっぱり泣ける。泣いた。観にいけて良かった。




最後に!ジェニィ登場の場面を!

こまつ座『連鎖街のひとびと』、東京は12月3日まで紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演、その後、12月10日に東ソーアリーナ(山形)、12月22日に昌賢学園まえばしホール(群馬)、年明けには全国演鑑連 中部・北陸ブロック協議会(会員制公演)へと続きます!


<スペシャルトークショー開催>

★11月14日(火)13:00公演後 高橋和也 千葉哲也 加納幸和 西川大貴 霧矢大夢
★11月16日(木)13:00公演後 鵜山 仁(演出家)
★11月20日(月)13:00公演後 高橋和也 千葉哲也 加納幸和 鍛治直人
★11月26日(日)13:00公演後 霧矢大夢 石橋徹郎 朴 勝哲 西川大貴
※スペシャルトークショーは、開催日以外の『連鎖街のひとびと』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第ご入場を締め切らせていただくことがございます。
※出演者は都合により変更の可能性がございます。



【公演情報】
こまつ座『連鎖街のひとびと』
2023年11月9日(木)~12月3日(日)@紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
【山形公演】12月10日(日)13:00@東ソーアリーナ
【群馬公演】12月22日(金)13:00@昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)
【中部・北陸公演】2024年1月16日(火)〜 2月10日(土)全国演鑑連 中部・北陸ブロック協議会 ※会員制公演

作:井上ひさし
演出:鵜山 仁
出演:高橋和也 千葉哲也 加納幸和 鍛治直人
   西川大貴 朴 勝哲 石橋徹郎 霧矢大夢

こまつ座HP


舞台写真提供:こまつ座
おけぴ取材班:chiaki(編集・文)監修:おけぴ管理人

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