2013/03/21 「明治座 五月花形歌舞伎」制作発表レポ

一昨年、「16年ぶりに明治座に歌舞伎公演が復活!」ということで話題を呼んだ
「明治座 五月花形歌舞伎」。

今年も風薫る五月、
市川染五郎さん、片岡愛之助さん、中村勘九郎さん・七之助さんご兄弟をはじめとした
歌舞伎界を華やかに彩る注目の花形役者の皆さんが明治座に集結します!!
その制作発表会見の模様をお届けいたします。


中村七之助さん、片岡愛之助さん、市川染五郎さん、中村勘九郎さん

時代物、世話物、新歌舞伎など、歌舞伎の魅力が詰まった演目の数々。
宙乗りや本水(本物の水を使った表現)など、明治座ならではのダイナミックな演出にも注目です!




一昨年の「五月花形〜」が、明治座再開場のときに出演して以来の明治座出演だったという市川染五郎さん。
「ちょうど震災もあり、余震の中での制作発表でしたが、
そんな中で舞台ができる幸せを感じながら務めさせていただきました」


市川染五郎さん

美男美女の恋の変転を描く『与話情浮名横櫛』では与三郎役を務めます。
「三度目となる与三郎役ですが、
以前からずっとやりたいと思っていた『赤間別荘』の場が本当に楽しみです。
みなさんご存知の名作歌舞伎を、名作としてお見せできるように務めたいと思っています」

さらに、江戸から明治に変わる激動の時代の重厚なドラマが見物の
夜の部『将軍江戸を去る』では、慶喜役に挑みます。
「これもずっと憧れていた役。それも、なるべく若い歳で務めたいと願っていました。
『将軍江戸を去る』は前から大好きで、
言葉に血が滲んでいるというか、日本語の力強さを感じます。
決してあでやかで豪華絢爛というわけではありませんが、
『あの出来事があったから時代が変わったんだ』と思っていただけるような、
強いお芝居をめざしています」




歌舞伎では明治座初出演となる片岡愛之助さん。
「『与話情浮名横櫛』の多左衛門、『将軍江戸を去る』の伊勢守は初役ですので、
皆さまの足を引っ張らないようにがんばりたいと思います」


片岡愛之助さん

なんといっても注目は、本水を使った激しい立ち廻りが見られる『鯉つかみ』。
「以前に一度、永楽館で務めさせていただき、今回が二度目。
さらにパワーアップした舞台をお見せしたいと思っています。
本水を使って、鯉から鯉の精、人間に変身するところをぜひ観ていただきたいですね。
宙乗りもさせていただきます。期待していてください」




親子の奇縁や未来へつながる主従の縁を描く昼の部『実盛物語』で
実盛という大役に挑む勘九郎さん。
「以前、大阪松竹座でやらせていただいたときに父に習ったのですが、
実は、父が羽左衛門のおじさまに習っているときにも、楽屋でそれを見ていました。
(父が)声の出し方などを細かく指導されていたのを覚えていて、思い出深い作品です。
古典の時代物ですが、ファンタジーな部分もありますし、
歌舞伎初心者の方でも楽しめる作品なのではないかと思います。


中村勘九郎さん

『与話情浮名横櫛』の「見染」の金五郎と『将軍江戸を去る』の鉄太郎は初役。
「金五郎は、華やかに楽しく、染五郎さんと客席を歩きたいです。
そして、『将軍江戸を去る』の時代が僕は大好きです。
僕よりも若い世代の人たちが国を動かしていた、
江戸が終わる幕末という時代のまさに"そのとき"ですから、
熱い熱い男が演じられたらと思っています」




一昨年に16年ぶりに歌舞伎公演を行った明治座ですが、
その16年前の公演にも出演していたという七之助さん。
「『重の井子別れ』の三吉という子役でした。
一昨年は『牡丹燈籠』のお峰という難しい役をやらせていただきましたが、
今回も『与話情浮名横櫛』のお富という、
難しい役をやらせていただけることがうれしいです」


中村七之助さん

七之助さんの注目は、滲み出るような色気が印象的な『与話情浮名横櫛』の「お富」。
「とてつもない芝居。
初役でやらせていただいたときに、こんなに恐ろしい役はないなと思いました。
『見染』の場は『自分が世界一美しいんだ』と思っていないと成立しません。
玉三郎のおじさまにもそうアドバイスされました。
よく見せようとか、何か技術を見せようとか思わず、とにかく何も考えずに演じたい。
観終わったお客さまが『なんだかわからないけど、いいなあ』と思ってくだされば成功だと思っています」




実は、制作発表が行なわれた明治座近くの料亭「玄冶店 濱田家」は、
「切られ与三」「お富さん」で有名な、この『与話情浮名横櫛』の舞台となった場所。
(創業はなんと大正元年!!)
舞台に縁のある場所で、若手花形役者たちの熱のこもった舞台を楽しむという
なんとも粋な楽しみ方ができるのも今回の公演の魅力♪


幼い頃から「同じ釜の飯」的間柄(?)だからか、
4人の仲の良さが伝わってくる会見でした!

明治座や濱田家のお膝元、江戸の風情を今に残す人形町の街は、
近くに中村座や市村座があったことから、芝居町としても有名だったとか。
下町情緒の残る界隈には、江戸時代から続く伝統工芸の店や老舗の味処も多く、
瀬戸物市や人形市などでも有名。
公演の前後に、ぶらり散歩してみるのも楽しそうです。


歌舞伎の醍醐味が凝縮された演目の数々が楽しめる
明治座の「五月花形歌舞伎」。
歌舞伎を観たことがない方も、これを機に新たな世界を覗いてみてはいかがでしょうか?



<公演情報>
「明治座 五月花形歌舞伎」
2013年5月3日(金・祝)〜27日(月)
開演時間:昼の部 11時/夜の部 16時(16日夜の部のみ17:15開演)
明治座

出演:
市川染五郎
片岡愛之助
中村勘九郎
中村七之助 ほか

演目:
昼の部
一、実盛物語(さねもりものがたり)
二、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)

夜の部
一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)
二、藤娘(ふじむすめ)
三、鯉つかみ(こいつかみ)

公演公式HP



おけぴ取材班:hase(文・撮影) 監修:おけぴ管理人

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