大貫祐一郎サロンコンサート「オオヌキ 春のショパンまつり」レポート

2024年5月11日、ガルバホール新宿にてピアニスト大貫祐一郎さんのサロンコンサート「オオヌキ 春のショパンまつり」が開催されました。




アール・ヌーヴォー様式の曲線が印象的なデザインの素敵なホール。“フルコンのヴィンテージピアノ「ベーゼンドルファー」が皆様をお出迎え”（HPより）というフレーズの本当のすごさはわからないまでも（教養が……申し訳ないです）、サロンコンサートの響きにピッタリの雰囲気抜群の空間にワクワクとちょっと緊張。そこに颯爽と登場したのはこの日の主役、ピアニストの大貫祐一郎さん！ 「春のショパンまつり」は前々から温めていた企画であることや、なにせ「春の」とついているだけに開催時期が限定されることからなかなか実現に至らなかったこと、そして、企画の発端は駄洒落であることが(笑)明かされました。待望の開催、嬉しいですね。大貫さんもとっても嬉しそう。

セットリストは全15曲＋アンコール1曲、冒頭で「アンコールも用意してあります」とインフォメーションがあるのは大貫さんらしい親切進行！ ショパンまつりだけに、ノクターン、エチュード、ワルツ、プレリュード、マズルカとたっぷりショパン12曲。ピアノ楽曲にあまりなじみがなくても大丈夫！ 「革命」「小犬のワルツ」やあのCM曲など、どこかで耳にしたことのある楽曲が集められています。



まずは、ショパンの「ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2」と『革命』の名で知られる「エチュード 第12番 Op.10-12」という超有名楽曲2曲でスタート。エチュード（練習曲）とされながら、そこにとどまらない豊かな音楽性に圧倒されます。さらに情景が浮かぶような「小犬のワルツ」、「雨だれ」では、ぽつりぽつりと降る様子から徐々に不穏な雰囲気になり、やがて雨足が遠ざかるような移ろいを感じさせます。タイトルにはピンと来なくても最初の数音を聞けばすぐにわかるのが「24のプレリュード 第7番 イ長調 Op.28-7」、“ありがとう いいくすりです”のキャッチコピーでおなじみのあのCM曲です。誰もが知る……となると、やっぱりやらずにはいられません！コールアンドレスポンスとは違うのですが(笑)、突如、参加型コンサートに。みなさんしっかり声も出て、一体感が生まれました。なんて素敵なサロンコンサート！

ショパンたっぷりのコンサートですが、それだけではないのが“まつり”です。大貫さんのオリジナル楽曲「アナリーゼのために」は同名の人気企画のテーマソングとして誕生した楽曲ですが、「『エリーゼのために』をモチーフに作り始め、結果、モーツァルトの『トルコ行進曲』を彷彿とさせる仕上がりになった楽曲です」という不思議な誕生秘話も披露されました(笑)。また、終盤にはラフマニノフの楽曲が2曲。平原綾香さんのコンサートで挑戦する機会があってと披露されたのは「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 第2楽章」。美しい！

ラストを飾るのは大貫さんのコンサートでショパンまつりと言えばやっぱり外せない「エオリアン・ハープ」と「大洋」です！



こうして怒涛の15曲、MCをはさみながらお一人で弾き続けるというオオヌキ春のショパンまつり本編は幕を下ろします。そして、予告のあったアンコールはガラリと雰囲気を変えミシェル・カミロの「From Within」で、会場にラテンの風が吹き抜けました。

1人のピアニストと１台のピアノ、土地や時代、作曲家によってさまざまな世界を描き出すピアノという楽器の奥深さと豊かさを感じるひとときでした。また、改めて作曲家の色やそれに合わせたタッチの変化、ショパンは詩情を丁寧に紡ぐような整った音色、ラフマニノフはまるで歌うように、ラテンは独特の音階、情熱的にコード進行で聴かせる演奏を楽しむことができました。



普段はシャンソンやミュージカルの楽曲を演奏されることの多い大貫さん、クラシックに挑戦する機会をもてたこと、さらに井上芳雄さんのラジオへの出演も8年目を迎えるなど、活動の幅、世界が広がっていることへの感謝も述べられました。

帰りには「大貫祐一郎サロンコンサート ご来場記念シール台紙」とThank Youシールのお渡しも！ シールを貼る場所は3つ！次回開催への期待が膨らみます！

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写真提供：グランアーツ
おけぴ取材班：chiaki(文）監修：おけぴ管理人