谷崎潤一郎の処女作に想を得た新作が英国・チャリングクロス劇場で上演決定!
日本の演劇界からオフウエストエンドへの新たな挑戦梅田芸術劇場とチャリングクロス劇場が共同で演劇作品を上演する日英プロジェクト。脚本家・兼島拓也と演出家・河井朗(ルサンチカ)が初タッグを組む新作『刺青/TATTOOER』を、チャリングクロス劇場にて上演する事が決定。日本では、英国公演に先がけ、東京・アトリエ春風舎での上演も決定しています。
原作は、清吉という評判の高い若手刺青師(ほりものし)の物語。
清吉の長年の願いは「美女の肌に己の魂を彫り込む事」であったが、理想の相手に出会えずにいた。ある日、清吉のもとにその理想の女性がやってきて...。
脚本家・兼島拓也(かねしま・たくや) コメント
谷崎が描いた、刺青を彫る人と彫られる人の間の秘匿的で閉じた関係。実はそのなかにあちこち穴が空いていて、不意に外部と繋がってしまう。作品を読み返すうちに、そんな「広がり」が垣間見えたような気がしました。刺青は単なる模様ではなく、皮膚にあいた穴から外部が流し込まれ、同時に内部が皮膚の外に漏れ出してしまう、そんな現象のことをいうのではないか。外部の侵入を許し、あるいは自己が漏れ出てしまう。その脆弱さ故に自他の境界が曖昧になる。そこに刺青の妖艶な魅力があるのではないか。
谷崎の筆に便乗し、強硬な支配/被支配関係とそれが反転する快楽に執着した先には、他者と結びついて溶け合ってしまう契機が見出されるのではないかと思っています。
演出家・河井朗(かわい・ほがら) コメント
刺青は針で皮膚を傷つけ、そこに色を入れていく行為です。傷も彩られると芸術と呼ばれます。そのひと針ひと針には、様々な思いが込められていることでしょう。決して後戻りできない瞬間の連続を委ねることができるのは信頼できるアーティストと、大切にしたい気持ちがあってこそだと思うのです。日本では秘匿を美徳と考える人がいます。日本でお会いした彫り師の方は、着物の袖からチラッと見える刺青が粋なんだと教えてくれました。それは、誇らしいからこそ自分だけのものにしたいという欲なのだと私は考えています。皆さんがこれまでの人生で獲得した『傷』に、私たちがインクを垂らすことができたらどんな絵が浮かび上がるのでしょうか。あなたの体に宿る芸術はどんな姿なのでしょうか。楽しみにしています。
◆本作の英国公演は今年10月上演予定。新進気鋭の脚本・演出家・加藤拓也氏のオリジナル作品『One Small Step』との連続上演となります。日本の若手クリエイターと英国クリエイター、日本在住の俳優と英国在住の俳優がコラボレートする本作を通して、演劇の本場・ロンドンに日本演劇界の新風を吹き込みます。梅田芸術劇場がチャリングクロス劇場で舞台作品を上演するのは、ミュージカル『VIOLET』(2019)に続き、これで3作目。兼島拓也と河井朗、2人の若手の素晴らしい才能を英国に紹介する意義深い作品です。どうぞご期待ください。
【『刺青/TATTOOER』 日本公演・英国公演情報】
脚本=兼島拓也 演出=河井朗
日本公演 会場=アトリエ春風舎
演期間=2024年9月20日(金)~9月23日(月)
英国公演 会場=チャリングクロス劇場
プレビュー=2024年10月14(月)~16日(水)/本公演=10月18日(金)~26日(土)
企画・制作・主催=梅田芸術劇場
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました