11月14日、ミュージカル『OZ』日本初演開幕!ミュージカル『OZ』は小説「オズの魔法使い」をモチーフにしたK-MUSICAL、VR(仮想現実)ゲーム<OZ>を背景に、人間とゲームの中のAI(人工知能) キャラクターの友情を描いた作品。この度、日韓コラボレーションによる日本初演が開幕しました。
(以下、一部内容に触れます)舞台となるのは近未来。
すべてが完全自動化された世界で、味気ない日常よりもバーチャルリアリティーゲーム<OZ>に居心地の良さを感じるジュン。
そんなある日、<OZ>では、新シーズンであるストーリーモードがスタート。ひょんなことから無課金プレイヤーのジュンと人間のような感情と心を欲しがるAI“ブリキ”が出会い、ともにストーリーモードの完走を目指す。
ジュン役:今野大輝さん
ブリキ役:ソン・ユテク
日々のルーティーンをこなしながら淡々と暮らすジュンを演じるのは今野大輝さん。ブリキとの冒険で成長していく過程を真っ直ぐに演じます。台詞や歌はもちろん、佇まいや眼差しからも感じられるジュンの変化、自らの意思が次第に強くなっていくジュンの成長譚を確かな足取りで生きます! ブリキ役は、2023年の韓国初演から本作に出演されているソン・ユテクさん。愛嬌たっぷりのキャラクターを全身で体現。無邪気な歌声から心に沁みる歌声まで、多彩な楽曲を確かな歌唱力で届けます。今野さんとユテクさんのデュエットも美しい。
完璧じゃない2人が互いに影響を与え合いながらミッションに挑む姿は共感を呼びます。
一方、こちらは<OZ>で最上位プレイヤーになるために課金を惜しまないプレイヤーのマックス、彼の相棒となるAIはすべてのステータスがほぼ最高というボタン!
マックス役:藤岡真威人さん
ボタン役:中村浩大さん
藤岡真威人さんのマックスは登場から覇者のオーラを漂わせます。ボタン役の中村浩大さんとともに、キレキレで、お二人ともデフォルメされたようなキャラクターを違和感なく見せます。ただ、完璧に見える彼らにも隠された真実があり……それが明らかになったときに、そういうことだったのかと納得する筋の通ったお芝居だったことに気付かされます。
こちらはVRゲーム<OZ>の開発者、通称“オズの魔法使い” のバウムクーヘン。
バウムクーヘン役:波多野翔さん
プレイヤーとはまた別の立場で<OZ>に登場するバウムクーヘンには波多野翔さん。新シーズン、ストーリーモードのスタートを高らかに宣言する、最高管理者としての存在感。プレイヤーたちを見守りながら、その問いかけは自らへも投げかけているようでもあります。情とビジネス、提供者としての葛藤にシンパシーを感じることも。
ファンタジックな設定に、生きていく中で感じる居心地の悪さや大切な居場所でも格差があるなど現代社会が抱える問題も内包し、そしてそれを声高に叫ぶのではなくミュージカルのポップさで包み込む。仮想現実で浮かび上がる「人の心」の物語──出会いや冒険を経て成長したことで日常を愛おしいと思えるようになる主人公たちの姿に元気をもらいます。観終わったときに真っ先に思ったのは「優しい作品」という言葉。<OZ>から現実世界へ戻っていくジュンたちの姿と、劇場を出てちょっと元気になって家路につく自分自身が重なるような帰り道でした。
また、ジュンとブリキ、マックスとボタンという対照的な2組、ペアとしての対比だけでなくジュンとマックス、ブリキとボタンの関係性も書き込むことでより多層的なメッセージを届ける脚本、キャラクターの心情に寄り添った楽曲や効果的なリプライズといった音楽、ボックスを動かしマス目を進むようなゲームのミッションの見せ方のワクワクと人間ドラマを行き来する奥行きのある演出、色彩豊かな舞台セットなどミュージカル『OZ』には見どころ、聴きどころ、味わいどころいっぱいです。
素敵な歌とお芝居、ダンスで泣いて笑ってドキドキするミュージカル『OZ』でリフレッシュ! 公演は11月20日まで、有楽町・I’M A SHOWにて。K-MUSICALらしい観客を楽しませる工夫もたくさんありますよ!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人