KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>にて『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』開幕。
原案・構成・演出のマシュー・レントンさんからのコメント、舞台写真(撮影: 細野晋司)が届きました!おけぴ会員のみなさんからの感想とあわせてご紹介いたします。
那須凜 伊達暁 サンディ・グライアソン サム・ストップフォード エイリー・コーエン(人形遣い)
原案・構成・演出:マシュー・レントン コメントKAATの素晴らしいチームと、スコットランドを拠点に活動するアーティストたち、そして日本のアーティストたちと、この国際共同制作作品を演出できたことは大変光栄なことです。 そして、このような作品を創ることは野心的な取り組みです。 両国のプロデューサー、パフォーマー、デザイナー、ステージ・マネージャー、技術スタッフの協力なしには不可能だったでしょう。 また、村上春樹の物語から素晴らしいインスピレーションを得ることができました。この冒険は来年のスコットランド公演に続きます。そして願わくば、より沢山の方に作品を楽しんでいただきたい。
◆KAAT大スタジオの舞台上はシンプル、そこにレコードプレイヤーと長椅子がある、ただそれだけの空間。それが開演とともに魔法の空間へと変貌するのです!
心の奥底にまで届く言葉、緻密な身体表現、神秘的な空間の見せ方、そして猿……
演劇ってこんなことができるんだ!演劇だからこんなことができるんだ!
驚きが喜びとなる95分の観劇体験。
目の前で俳優の肉体によって表現されるリアルと想像力で時空を自在に行き来する浮遊感。「カイハツ」プロジェクトを経てKAATと劇団ヴァニシング・ポイントが日英国際共同制作で贈る、村上春樹原作の叶わぬ恋の物語『品川猿の告白』をお見逃しなく!
劇場の素敵がいっぱい詰まった、 本当に「より沢山の方に作品を楽しんでいただきたい」作品です。
早速観劇されたおけぴ会員のみなさんからの感想をご紹介いたします。
家納ジュンコ 那須凜 伊達暁
エリシア・ダリ 那須凜
◆久しぶりにもう一度観たいと思った。インタビューを読み、贅沢に時間をかけて2カ国で作られた舞台との事。ワールドプレミア。全てが興味深く、正に総合芸術。特に照明が美しく世界観をさらに魅力的に。そして猿のしっぽが生きているかのよう。2カ国語もストレスなくスッと入ってきた。村上春樹原作の舞台で一番面白かった。
◆村上春樹さんの原作を読んでいたので再読して臨むくらい楽しみにしていた。日英国際共同制作もマシュー・レントンさんの構成・演出に触れるのも初めて。それはかなり未体験な上に刺激的でとても面白かった。日本語と英語が入り混じり(字幕あり)場転の演出が魔法にかけられたような美しさ。猿の身体表現、表情、全てがまさに猿だった。原作ファンもさることながら、新たな試みに触れて損はないはず。
◆村上春樹原作らしい、喪失や孤独がテーマの作品。深い。役者が素晴らしく、英語と日本語のやりとりにも違和感がない。特に品川猿!身振り手振りが猿そのもので感嘆した。テンポもよく、転換も良かった。控えめに言って素晴らしい。もう一度見たいぐらい。
那須凜 アイシャ・グッドマン
◆衝撃を受けるほど良かったです。照明の使い方や演出が洗練されていて村上春樹春樹作品の幻想的な世界観を感じることができました。
日英2言語での上演ということで楽しめるか不安でしたが全く問題ありませんでした。カーテンコール3回では足りないです。95分の作品とのことですがこの短時間で3時間分の満足度でした。
◆上演時間約95分。非常にテンポがよい演出であっという間に展開していく。英語と日本語がほぼ交互に積み重なっていき、山奥の温泉と品川区がつながっていく。そして猿は猿以上に猿。原作は数年前に読んだが、あまり覚えてなかったので、ほぼ初として楽しめた。
◆猿のしっぽの動きが、とても魅力的だった。猿の言葉を補って余りある存在感だった。演出家が村上春樹を愛しているということが、こちらに伝わってきた。
那須凜 サンディ・グライアソン
伊達暁 エリシア・ダリ 田中佑弥
◆言語の垣根が限りなく低く作られた世界。どの言語を使うかが意図的に選択されていることもあったと思う。ことばが持つ力がすごく強く、そこにどうしても集中するから、削ぎ落としたような装置や照明の効果がとても適量に感じた。劇場の大きさやベンチ状の椅子も合っていた。日本人なら目に浮かべられるだろう風景から感じる湿度感があるように感じたので、これがイギリスでどんな風に受け入れられるかぜひ知りたい。
◆物語だけでなく、クローゼットのシーンなど、ヴァニシング・ポイントの代表作「インテリア」を思わせるところもある“空間の描き方”に魅了された。「品川猿」「品川猿の告白」、2つの短編を行き来しながらその2つが融合していく様が見事。英語、日本語を行き来しながら気づけば誰もが猿の言葉に耳を傾けていたことの不思議さと違和感のなさも、体験したものにしかわからない楽しさとなるだろう。
サンディ・グライアソン エイリー・コーエン(人形遣い)
サム・ストップフォード 伊達暁
サム・ストップフォード 伊達暁 サンディ・グライアソン エイリー・コーエン(人形遣い)
あらすじ
ある旅行者が日本の山奥にある寂れた旅館で、温泉の番をしている猿と出会い驚愕する。そして猿が人の言葉を話すと、さらに驚いた。背中を洗ってもらいながら会話が始まり、猿は品川猿と名乗る。その後、ホテルの客室に戻りビールとスナックを楽しみながら、猿がどのようにして「人間の言葉」を習得し、ブルックナーやリヒャルト・シュトラウスの音楽を鑑賞するようになったか、そして今、衝撃的な告白をしようとしている。一方、東京では、若い女性が自分の名前を忘れ、深刻なアイデンティティの危機に陥る。そして2つの物語が絡み合う。
『品川猿の告白』那須凜さんインタビュー
感想寄稿:おけぴ会員のみなさん 編集:chiaki
舞台写真・コメント提供:KAAT神奈川芸術劇場
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました