2024 年12月19日、シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16-演劇-くによし組『ケレン・ヘラー』が開幕いたしました。くによし組は「異常で、日常で、シュール」をテーマに、様々な事象をコメディタッチで描き出す作風が注目され、小劇場演劇ファンの間で話題の演劇団体です。
撮影:月館森
撮影:阪野貴也
『ケレン・ヘラー』は、くによし組主宰・國吉咲貴くによしさきの作・演出により、2018年に初演されました。SNSが浸透し、刺激的なコンテンツが増えた社会で、面白いと不謹慎の境目は一体どこなのか、面白さを追求するあまり、主人公が禁断の領域に踏み込み、転がり落ちていく様を描く作品です。解散の危機に陥ったお笑い芸人が、お喋りロボットを相方に起死回生を図るという奇想天外な設定ながら、巧みなストーリー展開と俳優陣の演技が評価され、初演時には佐藤佐吉賞最優秀作品賞を受賞しました。
社会問題ともなっているSNS上での過激な表現をテーマにしながらも、懸命に生きる登場人物を、時に滑稽に、時に痛々しさも交えながらポップに、鮮明に映し出すくによし組の代表作が、初演から6年を経て、個性豊かなキャストと共に新たに立ち上がります。
撮影:月館森
撮影:月館森
撮影:月館森
作・演出:國吉咲貴コメント まさか再演するとは思ってなかった『ケレン・ヘラー』が動き出して約1年。
とうとう開幕します。
稽古初日から今日までの時間が・・もはや初演から今日までの6年すら、あっという間だったような気もします。
素晴らしいキャストさん、スタッフさんとの創作の日々は、とてもとても幸せでした。
演劇続けてきてよかったです。
たくさんの人の知恵や愛がたくさん詰まった、新しい『ケレン・ヘラー』ができました。
始まったということは、あと3日で終わってしまいます。(かなしい)
ぜひ、アフロ子ちゃんとみんなに、会いに来てください。
中井千聖コメント 初日を迎えられることがうれしいです。
模索と小さな新発見を繰り返しながら、じたばたしているうちに気がつけば今日です。緊張もありますが、座組の皆さんとお客さんとでつくられる「劇場」から、大きな力をもらえるような気がしています。あこがれのトラムの舞台に支えられて立つのはどんな感覚なのか、わくわくしています。楽しみつくしたいです。
名村辰コメント 初日の幕が開くことが、とても嬉しいです。憧れの劇場の一つでもあるシアタートラムに、國吉さんの作品で、この座組の一員として立たせていただけることを幸福に思います。
頭をたくさん使った稽古期間でしたが、本番では、脳がコントロールできないほどのスピードで心と体を回転させて、この世界に熱中できたらと思っています。お楽しみいただけたら幸いです。短い公演期間ですが、毎回新しい発見があると思うので、是非何度でも劇場へ足をお運びいただけたら嬉しいです!
大場みなみコメント あっという間に初日を迎えてしまった。過激で不謹慎、ポップで刺激的な作品を作り上げる稽古場はとっても優しく静謐な空気に満ちていて、國吉さんの器の大きさに感服しきりだった。まだまだ稽古したいと思うほど、ここに登場する人物たちが魅力的すぎる。幕が上がればたったの4日間、短いと思っていたけど、打ち上げ花火のようなアフロ子ちゃんの物語を上演するには十分な時間なのかもしれません。全員怪我なく最後まで駆け抜けられますように。
撮影:月館森
撮影:月館森
撮影:月館森
【作品紹介】
SNS上での表現の過激さが増していく現代社会のひずみを、
コメディタッチで映し出す『ケレン・ヘラー』
初演時は、「周囲が見えなくなっていく主人公目線で戯曲を執筆した」という國吉ですが、今回の上演にあたり、「主人公を過激な行動に走らせたのは何者か、盲目なのは誰なのかを新たなるテーマに据え、物語を改訂しました。コンテンツの発信者だけではなく、受け取る側の判断や反応により、時に美しいものを醜く、醜いものを美しくも変えてしまう社会や、その中で奔走する主人公の姿を描きたい」と語っています。
『ケレン・ヘラー』あらすじ
女性お笑いコンビ、“ポジティ boo”のアフロ子とケイトは、ヘレン・ケラーを題材にした不謹慎なコントが原因で活動休止に追い込まれ、価値観の違いから解散に!
ひとりぼっちになったアフロ子の前に、突如、神様さんという謎の人物が現れる。
神様さんの助言により、アフロ子はお喋りロボットのサリバンちゃんを購入して相方にすると、新生“ポジティboo”として一発逆転を試みる!
神様さんの助言に従うほど注目されていくアフロ子だったが、あるとき、自分の目と耳に不調が起きていることに気づき……
シアタートラム・ネクストジェネレーションとは
世田谷パブリックシアターでは、次代を担うアーティストの発掘と育成を目的として、2008年より「シアタートラム・ネクストジェネレーション」を実施しています。白井晃芸術監督が就任した2022年以降、節目となるvol.15 でリニューアルし、「演劇」と「フィジカル」の2ジャンルに分け、隔年での交互募集を行っています。リニューアル後、初の演劇部門のアーティストとして選出されたのが「くによし組」です。
くによし組
くによし組は、國吉咲貴が主宰する団体で2015 年に設立されました。これまでに佐藤佐吉賞(最優秀作品賞、優秀脚本賞ほか)、関西演劇祭2020(脚本賞・演出賞)などを受賞したほか、せんだい短編戯曲賞、劇作家協会新人戯曲賞、北海道戯曲賞などで最終候補に選ばれるなど、その劇作が高く評価されています。
シアタートラム・ネクストジェネレーションvol.16では、戯曲の執筆力に注目し、これからの飛躍が期待される団体として、選出いたしました。
撮影:月館森
撮影:月館森
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました