ミュージカル『フランケンシュタイン』@東京建物 Brillia HALL
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古典の名作「フランケンシュタイン」を大胆なストーリー解釈と流麗かつメロディアス、そして壮大な音楽でミュージカル化した『フランケンシュタイン』。2017年の日本初演、2020年の再演に続き、2025年に待望の再々演を迎えます。メインキャスト全員が一人二役を演じるというトリッキーな作劇も魅力の本作で、生命創造の研究に没頭する若き天才科学者ビクター・フランケンシュタインとギャンブル闘技場を営む悪党ジャックを演じる小林亮太さんと、ビクターの理解者で無二の親友となるアンリ・デュプレとビクターによって生み出された名もなき創造物 怪物を演じる加藤和樹さん。
(ともにWキャスト)新キャストの小林さんと日本初演より演じ続ける加藤さんの“『フランケンシュタイン』愛”があふれる対談をお届けします。
【互いに願っていた再共演】
──2023年のミュージカル 『キングアーサー』での共演※1も記憶に新しいお二人ですが、改めてお二人の出会いについてお聞かせください。小林亮太さん)
僕が中学生のころに体験入学したボイストレーニングの学校に和樹さんの写真が貼ってあり、そのときに「同じ地元、愛知出身で活躍されている先輩なんだ」と認識しました。僕にとってはそれが出会いです(笑)。
加藤和樹さん)
そこに通っていたわけでもないんだけど(笑)。僕ら地元が本当に近いんです、隣の区なんだよね。
小林さん)
はい。そして昨年、『キングアーサー』で初めて共演させていただいてからは、本当によき兄貴として日々助けていただいています。
和樹さんはいつも場を和ませてくれるとてもチャーミングな先輩です。すぐに笑かそうとしてきて、ときどき「え?今ですか?」というときもあります。でも、いざ稽古となると背中で見せてくれるものが大きく、たくさんの刺激をくれる頼れる先輩です。
加藤さん)
僕のほうは、舞台『鬼滅の刃』の炭治郎役や『ヒロステ』
※2の爆豪勝己役など、いろんなところで目にしていたので共演前から亮太くんの存在は知っていました。そこから実際に共演してみると、殺陣の技術など俳優として身体が利くところが素晴らしく。あと、芝居に取り組む姿勢にどこかベテランの風格が漂うというか(笑)。変な言い方ですが、若者っぽくない落ち着きがあったんです。
※1『キングアーサー』では小林さんはアーサー王の側近ガウェイン、加藤さんはアーサー王と敵対するメレアガンを演じられました
※2ヒロステ:「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 最高のヒーロー小林さん)
全然そんなことないです! ガウェインは騎士決闘の場を取り仕切る役どころだったこともあり、錚々たる先輩俳優を前に、あの場の長(おさ)としてどう存在するかを毎日考えて過ごしていました。内心は、「どうしたらいいんだ!」とずっと必死でした。
加藤さん)
とんでもなく落ち着いていて、すごいなと思って見ていたよ。
小林さん)
ありがとうございます! もしかしたら今回のほうがワチャワチャした僕になるかもしれません。ジャックのキャラクターもそうですし、稽古場には(島)太星くんもいるので(笑)。
加藤さん)
そうなるかもしれないね(笑)。
──それから年月を経て、『フランケンシュタイン』で再共演されます。加藤さん)
いつかまた一緒に芝居をしたいと思っていましたが、予想より早くその機会が訪れたことを嬉しく思います。それも今回は彼と芝居でしっかりと絡むことができるので、僕自身すごくテンションが上がっています。
小林さん)
僕のほうこそ、和樹さんとまたご一緒できることを光栄に思います。ビクターとアンリという関係なので、和樹さんの胸をお借りする気持ちで遠慮なくぶつかっていきたいと思います。和樹さんがいてくれて本当によかったと思っています。実は今年の年始も、愛知でほかの俳優も含めてですが一緒に初詣に行かせてもらったり、東京でもご自宅で手作りラーメンをごちそうになったり。お母さんのような存在です(笑)。
──お稽古が始まる前ではありますが、現時点でどんなビクターとアンリになりそうですか。加藤さん)
もちろん中川(晃教)さんとはタイプも全然違いますし、なんとなく彼だったら寡黙で真面目なビクターになりそうだなというイメージはあるのですが、果たしてどんな解釈してくるのか? そして、稽古を重ねていくことで彼のビクターがどう変化していくのか、そこで自分がアンリとして対峙したときにどんな感情がわくのか。今から、すごく楽しみにしています。
小林さん)
僕は、日本初演や再演の映像や韓国で公演を拝見してのイメージになりますが、ビクターは不器用な人だなと思います。そこには彼の生い立ちも影響しているのですが、言葉がひとつ足りなくて伝えきれなかったり、うまく立ち回ることができなかったり。それでも、落ちていくときも懸命にもがき、葛藤し、なんとか一歩這い上がろうとするビクターの生き様は好きです。どんなに落ちてもめげない心は僕自身も持っていたいと思いますし、その意味では今の段階では自分と近いところもあると思っています。原作小説も読み、稽古までにビクターという人物を読み解くヒントを集めていきたいと思っています。アンリとの関係性については、和樹さんと太星くんではまったく違うので、本当にどうなるんだろうってワクワクしています。
加藤さん)
ビクターの2人もタイプが違うけど、こっちも相当違うだろうから稽古が大変かもしれないね(笑)。
小林さん)
今までの『フランケンシュタイン』にない“色”にはなると思うのでお客様にも楽しみにしていただければと思います(笑)。
【韓国での観劇は刺激いっぱい】
──韓国で『フランケンシュタイン』をご覧になったそうですね。どのような印象を受けましたか。加藤さん)
最高でした。今年、韓国では10周年記念公演として4人のビクターとアンリで比較的長期間の公演をしていました。僕は7公演観劇し、全キャストを観ることができました。
──夢のキャストコンプリートですね!! いろんな組み合わせでご覧になった感想は。加藤さん)
まず歌声が素晴らしいのはもちろんですが、すべてにおいてクオリティが上がっていると感じました。また、いろんな俳優で観たことで、こういうアプローチ、演じ方があるんだという新たな発見がありました。我々が韓国カンパニーからもらったたくさんの刺激を持ち帰り、ここから板垣さんのもとでどう芝居を突き詰めていくのか、日本カンパニーの良さをさらに磨いていきたいと思っています。韓国での観劇によって日本での上演がますます楽しみになりました。
小林さん)
僕は韓国でミュージカルを観ることも、韓国に行くことも初めてでした。初渡韓で不安もありましたが、なんと和樹さんがソウルの空港まで迎えに来てくれて、そこからも至れり尽くせりでした。韓国でもやっぱり和樹さんは母でした。
韓国ミュージカルについては、これまでにも「すごい」と聞いてはいたのですが、それを自分の目で見て、身体で感じてきました。『フランケンシュタイン』という壮大な作品が持つ、とてつもないエネルギーはもちろん、真っ赤に燃えさかる炎のなかにある繊細さも印象的でした。僕は2組のキャストで観ることができましたが、同じビクターでも印象が違って見えるところもあり、ここまで振れ幅があってもいいということは、自分が演じるうえでも参考になりました。あとはもう8月に観てから、ずっと「早く稽古がしたい!」と思っています。
加藤さん)
確かに!あれを観ちゃうと稽古をしたくなるよね。
──韓国では10周年、様々な俳優によって上演され続けている作品。いろんなタイプを許容する強度のある作品ということですね。加藤さん)
だからこそそれぞれの俳優がもっている色を出せる、そして新しいチャレンジができるんです。日本でも、これからもいろんな俳優がトライして、受け継がれ上演され続ける韓国創作ミュージカルになって欲しいと願っています。そのためには、まずは我々が今回の公演をしっかりと務めることが大事だと思っています。
【『フランケンシュタイン』への愛】
──観劇していてもすごくカロリーを消費したように感じる本作、実際に1公演終えたときはどのような状態に?加藤さん)
疲労感はもちろんありますが、どこかやり遂げたという清々しさがあるんです。それは物語の終わり方もあると思うので、もしかしたらビクターのほうがしんどいかもしれないね。
小林さん)
僕自身、まだどうなるのかはわかりませんが、今はとにかくこれまで演じてこられた中川さん、和樹さんをはじめ、柿澤(勇人)さんや(小西)遼生さんという歴代の素晴らしいビクターやアンリのみなさんとの並びに恥じないように、僕と太星くんで頑張らなくては!と思っています。
──会見でも、お二人の『フランケンシュタイン』愛の深さを感じるコメントの数々でした。加藤さん)
僕自身、誰よりもこの作品のファンだと自負しています。そして亮太くんとも、こうして作品への思いを共有できていることは、これから始まる稽古でも大きな意味をもつと思っています。
小林さん)
出演が決まったとき、誰よりも先に和樹さんがご自身が使われていた楽譜を貸してくださいました。和樹さんが育んできた愛を分けてもらったような感じです。愛をもらうとやっぱりその愛に応えたい、そこから僕も自分なりに『フランケンシュタイン』愛を育んでいます。この作品は俳優だけでなく、お客様の熱意もすごいと思うので、それにしっかりとお応えしたいと思っています。
──お二人が会見で好きな台詞、シーンで挙げていたのが、怪物が2幕で言う「お前たち人間こそが怪物だ」(小林さん)とアンリがビクターに向けて言う「笑ってよ」(加藤さん)です。そして「お前たち人間こそが怪物だ」と言われた後にビクターの楽曲♪〈後悔〉があり、「笑ってよ」に続くのはアンリの♪〈君の夢の中で〉 です。お二人は本作の芝居と音楽・歌の関係性についてどうとらえていらっしゃいますか。加藤さん)
「笑ってよ」からの♪〈君の夢の中で〉、これほどまでに芝居に寄り添った楽曲の導入はないですよね。よくミュージカルは突然音楽が始まって……なんて言われますが、この作品においてはキャラクターの感情の流れから自然にメロディが派生しているような楽曲揃いです。その違和感のなさがこの作品の魅力のひとつだと考えています。
──会見では「笑ってよ」という言葉だけで、感極まるご様子でした。加藤さん)
あの台詞を発するときの感情や情景、全部覚えているので、ついついこみ上げてきちゃうんです(笑)。でも、今回は一度それを忘れまっさらな状態から新しいものを作っていきたいと思っています。芝居は一人で作るものではないので、新キャストたちともキャッチボールしながら2025年版の芝居を見つけていきたいと思います。
小林さん)
この1年、『フランケンシュタイン』楽曲と向き合ってきましたが、数あるビッグナンバーのなかでも、あの流れからの♪ 〈後悔 〉は僕の中でとても印象深い一曲です。好きというとちょっと軽々しく聞こえるかもしれませんが、悲劇性ゆえの美しさも感じます。でもまだあの言葉を言われたときにどんな感情が生まれるのかは未知の領域です。
また♪〈後悔〉という楽曲では、「誰がこの痛みを知るのか」と言って自分と向き合い、そのバックでボレロのようなリズムが刻まれて、それに後押しされるように展開していく。その流れが好きなんです。ほかにも気持ちに繊細に寄り添ってくれる楽曲ばかりで、自分が歌う曲ではないですが、♪〈君の夢の中で〉を聞くと、僕、泣くんです。稽古前からこれで大丈夫なのかって(笑)。
加藤さん)
わかるよ!わかるよ!
──お稽古前の新キャストさんですが、一度演じていらっしゃいますか?というほどの知識と分析ですね。小林さん)
和樹さんにいろんなことを教えていただいたおかげです。
加藤さん)
彼は、本当に努力家なんです。すごく勉強熱心!
──お二人のビクターとアンリがどんな景色を観るのか、そしてそれを観劇するのが楽しみです。また、先ほどからのお話にもあるように同郷のお二人、5月には地元・愛知公演もありますね。小林さん)
愛知芸劇ですよね!
加藤さん)
そうだよ!
小林さん)
愛知芸術劇場の大ホールに立つのは初めてなんです。まさか自分があの舞台に立てる日が来るなんて!
加藤さん)
愛知芸劇は大きいよ!客席を見上げると果てしない(笑)。今回は東京建物 Brillia HALLから始まって、愛知、水戸、兵庫公演とあるからね。みんなでいろんな景色を観られるね。
小林さん)
すごく楽しみです!
──では、最後にここから始まる稽古、本番に向けて、お互いにエールを!加藤さん)
とにかく楽しもうぜ!ということしかないですね。あとは本当に刺激的な日々になると思いますし、やっぱり稽古ではかなり疲労すると思うので、ちゃんと食べようね(笑)。
小林さん)
いつも作っていただいてばかりなので、今度は稽古休みに僕がなにか作って和樹さんに食べてもらいたいなと考えているんです。実際、稽古休みにその体力が残っているかはわからないですが(笑)。そして、僕にとってこうして和樹さんが「楽しもうぜ!」と言ってくださることが、なによりの支え、励みになります。楽しいモノづくりの時間になればと思っています。
加藤さん)
なんか、まだ稽古も始まってもないのに。今から既に終わるのがちょっと寂しいもん(笑)。これだけ情熱を傾けられる作品に巡り会えることもなかなかないので、力の限り頑張ろう!
小林亮太 ヘアメイク:田中宏昌(アルール) スタイリスト:石橋修一
加藤和樹 ヘアメイク:瀬戸口清香 スタイリスト:立山功
ミュージカル『フランケンシュタイン』@東京建物 Brillia HALL
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おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人