有澤樟太郎さんの主演で贈る、心に響くハートウォーミングなミュージカル『ヒーロー』、シアタークリエにて開幕!
過去にトラウマを持ちながら、アメコミ漫画家を目指す有澤樟太郎演じる主人公の“ヒーロー”が、周囲の人々との別れや交流を通して奇跡に気づいていくストーリーを数々の耳に残る楽曲に乗せて届ける、明るくパワフルな日本初演ミュージカル。開幕を前に、初日前囲み取材、公開ゲネプロが行われました。囲み取材に登場したのは、主人公ヒーロー・バトウスキー役の有澤樟太郎さん、ジェーン・フォスター役Wキャストの山下リオさん、青山なぎささんです。
──いよいよ開幕!現在の心境は。ヒーロー・バトウスキー役:有澤樟太郎さん)
(本作翻訳・訳詞・演出の上田)一豪さんとご一緒するのは3度目となります。一豪さんが本当に素晴らしくて、こう言うと媚を売っているみたいに聞こえるかもしれませんが、そういうことじゃなくて(笑)、本当に素敵な稽古場作りをしてくださいました。『ヒーロー』の舞台はアメリカのミルウォーキー、僕らにはあまり馴染みのない(劇中の)習慣や雰囲気を、一豪さんが言葉や身体、全身全霊で伝えてくれたので演じる上での不安が楽しさになりました。人の内面、人間ドラマを描くこの作品を、ぜひ多くの方に楽しんでいただきたいなと思っております。
ジェーン・フォスター役:山下リオさん)
3度目のミュージカル出演です。ジェーンのような等身大のキャラクターを演じる現代ものは初めてなので、難しさを感じるところもありましたが、有澤さんがおっしゃったように、一豪さんのもといい稽古を積み重ねてきました。楽しみつつ頑張りたいと思います!
ジェーン・フォスター役:青山なぎささん)
初ヒロイン役ということで、稽古場でも最初は緊張でガチガチでした。それをカンパニーの皆様が優しく、積極的に話しかけてくださったり、一豪さんもちょっと面白い動きを交えて教えてくださったり(笑)。そのおかげで心がほぐれて楽しくお稽古できました。このカンパニーの仲の良さも伝わるといいなと思っています。
──役どころをご紹介ください。有澤さんはその名もヒーロー役です! 有澤さん)
特別なパワーがある強い主人公のように思われますが、実際は内面的にいろんなものを抱えています。ストレスを発散するエネルギーもない、諦めている人。自己発電で行動するというより、みんなに影響されるようなところもあります。僕自身、このような“背負っている役”に挑戦してみたいと思っていましたが、その道のりを考えるとやっとここまで来られたという感じです。一豪さんにも細かくディレクションしていただきましたし、僕が作ったというよりみんなが作ってくれた“ヒーロー”です。
これまでは割と元気な役を演じることが多く、稽古場でもカンパニーを盛り上げる役回りでした。でも、今回は諦めている人。役の影響か、稽古場でも盛り上げ方がわからなくなるような感じでしたが、本当に周りのみなさんがマジで優しくて、たくさん助けていただきました。
山下さん)
10年ぶりに、故郷のミルウォーキーに帰ってきたジェーンを演じます。一度地元を離れ、そこから自分に起きた出来事を受け入れて、また戻ってくる。環境を変える決断をした瞬間の風のような強さを持っているジェーンは、ヒーローにとっても自分を押し上げてくれるような存在になるんじゃないかなと思います。
青山さん)
ジェーンは芯のしっかりした女性。過去にいろいろあっても、前向きに物事を捉えられるからこそヒーローも背中を押され、物語がポジティブになっていくのだと思います。
──MVも公開されている劇中歌♪That's My Kryptoniteにちなんで、みなさんのクリプトナイト(弱点)を教えてください。(クリプトナイト(Kryptonite)は、DCコミックスの出版するアメリカン・コミックスに登場するスーパーヒーロー「スーパーマン」の弱点として知られる架空の物質)青山さん)
私の弱点は“寒さ”。稽古場でもたぶん誰よりも温かい恰好をして、さらにカイロも貼って臨みました。
山下さん)
私は、ミュージカルですかね。(有澤さん、青山さんからの「え?」の驚きの声を受け)自分自身、映像畑の人間だと思っているところもあるので、ミュージカルはいつも大きな挑戦なんです。大変でしたが、いい稽古を重ねてきたので大丈夫! 頑張ります!
有澤さん)
僕は影響されやすいところです。それは弱点でもあり、良い所でもあるのですが。
上手くいかないとズドンとへこみ、楽しいときは舞い上がる。わかりやすいんです(笑)。30歳を前に、ちょっとは隠せる大人になりたいと思っています。
──公演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。有澤さん)
一豪さんのもと作り上げてきた『ヒーロー』、自信作です! ヒーローをはじめ、個性的なキャラクターたちですが、稽古を重ね、頑張りすぎずに、一人ひとりがミルウォーキーに生きる人間として自然体で存在できるようになりました。ヒーローとしても、救われる話になっていますし、前向きになれる作品だと思います。観てよかったなと思っていただけるように、ひと公演ずつしっかりお届けしたいと思います。ご来場をお待ちしています!
【公開ゲネプロ】
公開ゲネプロのWキャストは、ジェーン:青山なぎささん、カーク:小野塚勇人さん、ネイト:吉田日向さんです。(別日のジェーン:山下リオさん、カーク:寺⻄拓⼈さん、ネイト:⽊村来⼠さんの舞台写真も交えてお届けします)
幕開きは、ヒーロー・バトウスキーが父親と二人で暮らす家、2階のヒーローの部屋。いつもの朝から始まります。
父と営むコミックショップの店番をしながら夜はバーでバイトをするヒーローの生活。アメコミ作家の夢を諦めかけているけれど、趣味で絵を描き続けている……夢を捨てきれないヒーロー。

ヒーロー:有澤樟太郎さん
ヒーローは10年前の交通事故がきっかけで夢を諦めかけている青年。“無敵のスーパーヒーロー”とは真逆の内向的な主人公を有澤さんが繊細に演じます。少し歯がゆさも感じますが、それでも息子の才能を信じる父親をはじめとする周りの人間が後押ししたくなるヒーローの誠実さ、人間的魅力を感じさせる役作り! そしてアップテンポな楽曲でも言葉と感情がクリアーに届く。声がいい!

ジェーン:青山なぎささん
ヒーローの高校時代のガールフレンド、ジェーンを演じる青山さんは透明感あふれる歌声と真っ直ぐな眼差しが印象的。新しい一歩を踏み出そうと決意した凛々しさがあります。彼女の存在がヒーローを変えていくことに十分な説得力を持たせます。

ジェーン:山下リオさん

カーク:小野塚勇人さん
ちょっとユニークな言動が笑いを誘うムードメーカー
ヒーローを中心とする人間ドラマを描く本作、周囲の人々も個性的です。ヒーローの従兄弟で親友のカークの底抜けの明るさに、思わずヒーローも苦笑い。見ていてもどかしくなるようなヒーローと、ハイテンションでぐいぐい押してくるカーク、いいコンビです。小野塚さんは、出てきた瞬間から陽のオーラ全開! 押しの強いカークのなかにあるヒーローを思う優しさも垣間見えます。

カーク:寺⻄拓⼈さん

カーク:寺⻄拓⼈さん

カークの後押しでなんとかジェーンとディナーの約束を取り付けるヒーロー

ヒーローとジェーン:山下リオさん

スーザン:宮澤佐江さん

カーク:寺⻄拓⼈さんとスーザン
ヒーローとジェーン、カークとヒーローとジェーンの高校時代の同級生のスーザンの恋が同時に展開!
殻を破って、自分らしく生きる!スーザンを宮澤佐江さんが素敵に、豪快に⁉演じます。
ほかにもヒーローの周りには温かい人たちがたくさんいます!

アル:佐藤正宏さん ネイト:吉⽥⽇向さん テッド:⽥村良太 カイル:⻄郷 豊さん

ネイト:⽊村来⼠さん アル:佐藤正宏さん
店の常連コミックおたくの少年ネイトの吉田日向さんは芝居巧者!もちろん歌も踊りもキレのいいフレッシュな魅力を爆発。同じく常連仲間のテッドとカイル(田村良太さんと西郷豊さん)と繰り広げるおたくクイズは楽曲のポップさも相まって盛り上がります! そこから伝わるのはこのお店がいかに愛され、誰かの居場所になっているか。ヒーローとネイトの友情も見どころ!
そんな店の主は、ヒーローの父アル、演じるのは佐藤正宏さんです。息子を愛し、信じる父アルとヒーローの父子の関係もしっかりと描かれています。
ジェーンとの再会、父の思い、周囲の後押しで勇気を出して出版社に自作の漫画を送ったヒーロー! 夢も恋もいよいよ動き出した矢先、とある出来事が起き……。さあ、その先はぜひシアタークリエで見届けてください。
上田一豪さんの演出はキャラクターに輪郭をはっきりと見せつつ、戯画化一歩手前の等身大のリアルな人物として立ち上げる絶妙のさじ加減。見ていてついつい肩入れしたくなる愛すべき人々です。 いくつもの役を演じ分ける木暮真⼀郎さん、⾼倉理⼦さん、髙橋莉湖さんも歌にダンスに大活躍!さらに 漫画のページをめくるような展開の映像効果やいきなりショータイムの華やかな照明、生演奏の盛り上がりが、シアタークリエを作品世界に染め上げます!

劇場エントランスもコミックショップの設えに
劇場を後にする頃には、「奇跡はすぐそこにある──」というヒーローの亡き母の言葉がじんわりと胸に響くミュージカル『ヒーロー』は3月2日までシアタークリエにて上演です。外は寒いですが、心はほっこり温かくなりますよ!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人