ミュージカルの殿堂として愛される現・帝劇の締めくくりとなるコンサート『THE BEST New HISTORY COMING』がついに開幕。開幕はいつもワクワクするものですが、今回ばかりはちょっと違います。長年親しんできた、思い出のいっぱい詰まった帝劇とのお別れへのカウントダウンが始まったようで少し寂しさも混じったワクワク。開幕に先立って行われた、“現帝劇での最後の公開ゲネプロ”(Aプログラム)をレポートいたします。
◆建て替えのために2025年2月28日をもって休館となる現・帝国劇場(帝劇)。1966年の開場以来、この劇場で全372作品を上演してきました(再演を除く)。そのなかでミュージカルは53作品! その53作品のナンバー(全64曲)をお届けするゴージャスな構成!
まずは、コンサートの全体像(ハイライト)とAプログラムゲストパートをご紹介いたします。(ゲストパートは楽曲名まで記載、ほかはオープニングのオリジナルソング以外は作品名を記載しております)コンサートは、ソロあり、デュエットあり、キャスト全員参加の楽曲もあり、ミュージカル三昧の歌唱とキャストが帝劇の歴史や思い出を語るMCで綴られます。上演当時の写真が映し出されるので、その作品をご覧になった方は観劇の思い出がよみがえり、観たことない作品、楽曲との出会いの場にもなるでしょう。あの人がこの歌を! それは本役でも、この日限りのスペシャルな配役でも感じます。

この舞台上の盛りだくさん感、それがすべてを物語っている!
オープニングは、作詞:甲斐正人 歌詞原案:山田和也 歌詞協力:上田一豪 (敬称略)という東宝ミュージカルファンにはおなじみの、そして大変お世話になっているみなさまによるオリジナルソング<THE 帝劇>!
【Aプログラムゲストパート】
お一人目のゲストとして登場するのは鹿賀丈史さんです。『レ・ミゼラブル』日本初演でジャン・バルジャンとジャベールを演じられた鹿賀さんからは、初演当時の貴重なお話も飛び出しました。そしてゲストのお相手を務める井上芳雄さんとの会話の端々に、鹿賀さんのチャーミングなお人柄がにじみ客席もほっこりです。歌唱楽曲は、ロマンティックで心が温かくなる『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』より<砂に刻む歌>と、一転、力強く高らかに歌い上げる『レ・ミゼラブル』より<スターズ>」の2曲です。どのキャストの方にも言えることですが、一曲で世界観を作り出す歌声、舞台人としての鹿賀さんの佇まいだけでも圧倒されます。
帝劇でも長く上演されてきた『ラ・マンチャの男』、1969年の日本初演より主演を務めた松本白鸚さんのカーテンコールでのご挨拶映像のあとで登場するのは、同作にてアントニア役で出演、その後アルドンザ役も演じた松たか子さんです。井上さんとは『モーツァルト!』や『ミス・サイゴン』でもご共演されているので掛け合いも小気味よく進みます。「どの階に行っても、だれかがお芝居の稽古をしたり、準備をしたり、本番をしている帝劇が大好き」というコメントも松さんらしいです。 披露楽曲は『ラ・マンチャの男』より<見果てぬ夢>。劇中でもラストでアルドンザとして歌うこの歌、思いを繋ぐという意味でもグッとくるものがあります。また、舞台後方に映し出される映像に一礼してから歌い始めた、松さんの心意気にも胸を打たれました。
長らく使われていなかったという舞台機構、“すっぽん“からせり上がって登場したのは大地真央さん。これぞスターの華!でございます。『マイ・フェア・レディ』のような海外作品のみならず、数々のオリジナルミュージカル作品にも主演されてきた大地さん。まさに長きにわたり東宝ミュージカルをけん引されている俳優さんのお一人です。大地さんが愛おしそう劇場全体を見上げてにお話された、「舞台上だけでなくロビーも階段も帝劇のすべてに触れたいと思うほど、この建物自体に思い出も愛着もある」という言葉、俳優さんにとってもそういう場所なんだなと改めて感動。披露楽曲は、『サウンド・オブ・ミュージック』より<サウンド・オブ・ミュージック>、そしてフレディ役でご出演されていた浦井健治さんとともに『マイ・フェア・レディ』メドレー!
このコンサートのタイトルは『THE BEST New HISTORY COMING』、新帝劇への思いが込められているシーンも! 先ごろ発表された、新帝劇のイメージが舞台上に出現したり、井上さんから三浦宏規さんへバトンを繋ぐようなコンタクトがあったり、ソロ歌唱のトップバッターを甲斐翔真さんが担当されたり、帝劇の歴史を振り返るとともに未来へも繋がる構成になっているのでグッとくる、ハッとするシーンの連続です。ちょっと油断すると(もちろんリラックスしていいのですが(笑))、思いがけず涙がこぼれてしまうことも。
まだまだ公演は始まったばかりですので多弁は野暮ということで、ここからはレギュラーキャストパートを駆け足でご紹介いたします。ミュージカルファン、帝劇がホームだよという方には、作品名と写真だけでもなにを歌われたがネタバレしそうですが……。

『天使にラブソングを~シスター・アクト~』より

『1789 -バスティーユの恋人たち-』より

『ミー&マイガール』より

『ミー&マイガール』より
オールキャスト+指揮者さん+オケも盛り上がります!!
もはや作品名を書かなくとも……の域かと思いますので、ここからは作品名もご想像にお任せします。多分、正解です!
コンサートは2月28日まで、もちろん帝国劇場にて開催! さらに2月15日(土)18時公演(Aプログラム)をはじめ、一部公演の
LIVE配信や
大千穐楽のライブビューイングもございます!詳細は
こちらよりご確認ください。
ACT1レポート、
ACT2レポートへ続く!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人