開幕レポート、
ACT1レポートに続いて……
ここからは、ACT1でのリッチな質感で黒を基調としゴールドの装飾が施された衣裳から、ガラリとイメージを変えて白を基調とする眩いほどの輝きをもつドレスやスーツにチェンジして始まった帝国劇場 CONCERT『THE BEST New HISTORY COMING』ACT2をレポートしたします。
帝劇で上演された全53作品のミュージカルのうち25作品の楽曲が披露されたACT1、まだまだ28作品が控えます! 長い歴史のなか、ロジャース&ハマースタインやコール・ポーターの名作も数多く上演されてきた帝劇ならではのクラシカルな雰囲気を持つ楽曲たちの登場です。

『シカゴ ミュージカル・ボードビル』より
生田絵梨花さん 昆夏美さん

『キス・ミー,ケイト』より
甲斐翔真さん 平野綾さん
海外の名作だけではありません、帝劇発のオリジナルミュージカルも大切な歴史、あらためてその多彩さ、多様さに驚かされます。『ローマの休日』『風と共に去りぬ』『十二夜』など名作のミュージカル化や、演出家ジョン・ケアードさんや、ミヒャエル・クンツェさんとシルヴェスター・リーヴァイさんの巨匠コンビ、フランスを代表するミュージカル作曲家ドーヴ・アチアさんなど海外のクリエイターとの創作、さらには『歌麿』『SPY×FAMILY』『SHINKANSEN ☆ RX SHIROH』などで国内の才能とのコラボレーションも果たしました。そして2000年に帝国劇場にて『MILLENNIUM SHOCK』として初演して以来、大人気公演となった『SHOCK』。2005年より『Endless SHOCK』と改題し、堂本光一さんが作・構成・演出・主演を務める現帝劇を代表する作品からも楽曲が披露されました。
この日限りのスペシャルな組み合わせでの歌唱に心躍るメドレーコーナー! ここまでもあらゆる楽曲をまるで持ち歌のように軽やかに歌い上げる小野田龍之介さん、会見では「ずっと中堅俳優と言われ続けている」と笑いを誘う一幕もありましたが、初帝劇は16歳のときとのこと。そこからキャリアを積んで、今は『レ・ミゼラブル』でジャベールを演じる。その道筋こそが帝劇の歴史ですね。歌唱でもトークでも確かな実力を備えているからこその“中堅”扱いです。それをこのコンサートでも確信するのでした。

『Endless SHOCK』より
小野田龍之介さん

『SHINKANSEN ☆ RX SHIROH』より
宮野真守さん 三浦宏規さん
ここからはそれぞれの作品に出演されたキャストによる歌唱です。
『レ・ミゼラブル』新演出版の初演、『モーツァルト!』の旧演出・新演出をまたいでの出演など、節目に立ち会うことも多い平野綾さんは『レディ・ベス』世界初演にも出演。歌唱を通して、少女のような可憐さと女王としての凛々しさが蘇ります。

『レディ・ベス』より
平野 綾さん
歌唱というだけでなく、そのパフォーマンスで帝劇を“ジョジョ”の世界に変えたのは宮野真守さん。『王家の紋章』『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』など帝劇の挑戦に携わってきた宮野さんはまさに“帝劇新世代俳優”のお一人でしょう。MCでも才能を遺憾なく発揮し客席を大いに盛り上げます!

『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』より
宮野真守さん
『王家の紋章』『笑う男』のビッグナンバーを歌い上げたのは浦井健治さん。浦井さんは、ソロはもちろん、デュエットやカルテットでも多数歌唱されました。相手に寄り添う表現力が素敵だなと改めて感じます。またMCでは、客席からは見えないスタッフへのねぎらいの言葉を口にされたり、レジェンドゲストに敬意を表したり、そんなところも浦井さんらしいですね。

『王家の紋章』より
浦井健治さん
いよいよACT2も最後のタームへ! 『ミス・サイゴン』のビッグナンバーを響かせたのは佐藤隆紀さん!

『ミス・サイゴン』より
佐藤隆紀さん
『レ・ミゼラブル』ではコゼット、エポニーヌ、ファンテーヌと演じる生田絵梨花さんは帝劇を「常に目標を与えてくれ、成長を見守ってくれる劇場」と語ります。『モーツァルト!』からの楽曲では、それまでとはまた違う表情を見せ、歌声を聴かせてくれました。ほかにもクラシカルな楽曲もしっかりと自分の表現に落とし込む、生田さんのこれからの挑戦にも期待が膨らみました。

『モーツァルト!』より
生田絵梨花さん
「女優涼風真世を作り上げてくれたのが帝劇。帝劇、ありがとう」と劇場に向けて感謝の言葉を投げかけた涼風さん(その声がまたとてもとても素敵)。劇場を包み込むような豊かな歌声、チャーミングなMCを披露し、最後にはこちら『エリザベート』の楽曲を力強く、気髙く、歌ってくださいました。

『エリザベート』より
涼風真世さん

『エリザベート』より
涼風真世さん 井上芳雄さん
『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『マリー・アントワネット』で意志の強いヒロインを演じ、歌ってきた昆夏美さん。真っ直ぐ前を見つめて訴えかける姿、その歌声で大きな劇場の空気を支配する、改めて表現力に圧倒されました。それと同時に、『ダンス オブ ヴァンパイア』の楽曲でのノリノリで目一杯表現を楽しむ姿も印象的!

『ミス・サイゴン』より
昆夏美さん

『レ・ミゼラブル』より<民衆の歌>
井上さんの「では皆様、新しい帝国劇場でお会いしましょう」という言葉とともに、フィナーレはやっぱりこの曲『レ・ミゼラブル』より<民衆の歌>です。背景には帝劇の様々な景色が映し出され、せりも上がり、全キャストが心を一つにして届ける<民衆の歌>。「砦の向こうに新しい世界」明日を、未来を歌う歌でコンサートは締めくくられました。
そして最後になりましたが、歌唱だけでなくMCやゲストの紹介でも大活躍の井上芳雄さん。『ルドルフ ザ・ラスト・キス』『ミー&マイガール』『二都物語』『三銃士』『モーツァルト!』『ナイツ・テイル -騎士物語-』『エリザベート』(披露順)、さらに『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』『ミス・サイゴン』『ガイズ&ドールズ』などなど本当にたくさんの作品で帝劇に立ってきた、帝劇が似合う俳優さんです。このコンサートを通して、帝劇の大きな節目を背負って立つにふさわしい卓越したスキル、その裏にある日々の鍛錬はもちろん、やっぱり根底にある井上さんのミュージカルへの愛情の大きさ、深さというものを強く感じました。公演は2月28日まで続きます。劇場で、配信で、ライブビューイングで至福のひとときを楽しみましょう!
続いては、開幕記念会見レポートです!
【会見レポート】
初日から一夜明け、全日程出演のレギュラーキャストによる開幕記念会見が行われました。
出席されたのは井上芳雄さん、浦井健治さん、小野田龍之介さん、甲斐翔真さん、佐藤隆紀さん(LE VELVETS)、島田歌穂さん、三浦宏規さん、宮野真守さんです。コメントをご紹介いたします。

「芳雄さんが穏やかに見守ってくれている稽古場だからこそ、自由に楽しくやれた」という佐藤さんの言葉、会見での和やかさからもしっかりと伝わりました!そしてそれを経てのあの素晴らしいコンサートだということも!
浦井さん)
初日終演後、東宝の偉い方が涙を流しながら「現帝劇がなくなるのは悲しいけれど、次に向かう気持ちでまた挑んでいきたい」とご挨拶くださいました。その言葉に、改めてスタッフさんたちの存在の尊さを感じました。
宮野さん)
錚々たるみなさんが出演しているなか、僕は比較的新参者、帝劇新世代俳優41歳です(笑)。歴史的な瞬間、格式のある劇場に立てることを光栄に思います。そして、そこでコール&レスポンスをするという伝説を残したのではないかと思っております。演出家からもお墨付きを得たのでここからもどんどんコンサート盛り上げていきたいと思っております。

“世代”についてはちょいちょい小競り合い⁉︎も(笑)
小野田さん)
ただただ胸アツです。ミュージカル史、演劇史の大きな区切りのコンサート、日々、キャスト、ゲスト、オーケストラ、スタッフと思いを噛みしめ、そしてお客様と思いを分かち合いながら楽しくしっかりと務めていきたいと思います。
なぜか僕はずっーと中堅俳優と呼ばれ、新世代俳優と呼ばれたことがない(笑)! まだまだ33歳、若手俳優で頑張っています!
三浦さん)
セットもお衣裳も音楽も共演者のみなさんも、もう、すべてが豪華すぎて! 出演しながらも袖からお客さんとして観て、1ファンとしてこのコンサートを楽しんでいます。(超豪華キャストが揃う)稽古場では、すみっこで消えそうになっていました(笑)。
甲斐さん)
新世代俳優の……、(すかさず入った井上さんからの自分で言うんだ(笑)のツッコミに)回収しておこうかなと思いまして(笑)。このコンサートには歴史ある作品の初演キャストの方々もたくさん出演されています。この後、20年、30年、40年経ったときに、僕がみなさんのような存在になれているのかと考えると、背筋が伸びる気持ちです。まずは新帝劇になったときも第一線で活動できているように、これからも頑張ります。
佐藤さん)
帝国劇場はミュージカルのイメージが強かったのですが、それ以前にはお芝居が上演されていたことを知るシーンもあり、改めて帝劇の歴史の奥深さを感じることができるコンサートです。そのなかで、ずっと歌でやってきた僕が、最後の最後で帝劇0番で踊りを踊るという(笑)。ビックリするくらい練習したので、その姿も楽しんでいただきたいと思います。
島田さん)
このコンサートを通して知らなかった帝劇をたくさん知ることができました。コンサートの後半では、今の帝劇から次の帝劇へという演出もあり、私はそこで毎回ウルウルしてしまうんです。とにかく感謝を込めて、そして未来への希望を胸に頑張りたいと思います。
井上さん)
ミュージカル界で活動していても意外と共演してなかった方もいます。このコンサートを通じて出会ったり、そんなみんなの絆が生まれたり、最後の公演でもどんどん新しい思い出はできるんだと感じています。僕や浦井くんあたりがちょうど中間管理職的ポジション、上にも下にも気は使いまくりでしたが(笑)、いい稽古場でした!
帝劇のすべてが愛おしくなるような毎日。僕たちはこうしてプログラムごとにゲストをお迎えしながらしっかりと帝劇とのお別れができるありがたい立場にいますが、今回、いらっしゃれないけれど帝劇に強い思いをもってくださっている方もたくさんいると思います。
劇場にご来場のみなさんとはともに分かち合い、そうでなくても配信やライブミューイング、特別番組などございます。これは日本の演劇界にとって、寂しいけれど大きな節目でもあります。最後まで感謝の気持ちを込めながらみんなで帝劇を愛し尽くし、抱きしめ尽くしてお別れしたいと思っております。28日まで、気持ちを一つにして楽しみましょう。
【プログラムA セットリスト】
ACT1
オリジナルソング<THE 帝劇>(井上芳雄、キャスト全員 / 作曲:甲斐正人、歌詞原案:山田和也、歌詞協力:上田一豪)
『天使にラブソングを~シスター・アクト~』(森公美子、女性キャスト全員)
『1789 -バスティーユの恋人たち-』(佐藤隆紀、三浦宏規、宮野真守)
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』(甲斐翔真)
『ミス・サイゴン』(小野田龍之介、昆夏美)
『ガイズ&ドールズ』(浦井健治、平野綾)
『ルドルフ ザ・ラスト・キス』(井上芳雄、生田絵梨花)
『マイ・フェア・レディ』(島田歌穂)
『王様と私』(三浦宏規、涼風真世)
『ミー&マイガール』(キャスト全員)
<帝劇メドレー1>
『ピピン』(生田絵梨花)
『スウィーニィ・トッド -フリート街の奇妙な床屋-』(小野田龍之介)
『パイレート・クイーン』(昆夏美)
『キャンディード』(森公美子)
『二都物語』(井上芳雄)
『三銃士』(男性キャスト全員)
『イーストウィックの魔女たち』(島田歌穂、涼風真世、森公美子)
『笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-』(浦井健治)
『サウンド・オブ・ミュージック』(生田絵梨花)
『レベッカ』(平野綾)
『ニューヨークに行きたい!!』(シンガーズ、アンサンブル)
『ビューティフル』(森公美子)
『ジャージー・ボーイズ』(浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、宮野真守)
『モーツァルト!』(井上芳雄)
『レ・ミゼラブル』(島田歌穂)
『ダンス オブ ヴァンパイア』(キャスト全員)
ACT2
<帝劇メドレー2>
『心を繋ぐ6ペンス』(小野田龍之介)
『シー・ラヴズ・ミー』(三浦宏規)
『チャーリー・ガール』(宮野真守)
『回転木馬』(涼風真世)
『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』(浦井健治)
『パナマ・ハッティー』(佐藤隆紀)
『オリバー!』(島田歌穂)
『シカゴ ミュージカル・ボードビル』(生田絵梨花、昆夏美)
『キス・ミー,ケイト』(甲斐翔真、平野綾)
『エニシング・ゴーズ』(森公美子)
<ゲストコーナー1>
『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』<砂に刻む歌>(鹿賀丈史)
『レ・ミゼラブル』<スターズ> (鹿賀丈史)
『屋根の上のヴァイオリン弾き』(シンガーズ、アンサンブル)
『ラ・マンチャの男』 <見果てぬ夢> (松たか子)
<帝劇オリジナルミュージカルメドレー>
『スカーレット 風と共に去りぬ』(甲斐翔真)
『ローマの休日』(佐藤隆紀、涼風真世)
『Endless SHOCK』(小野田龍之介)
『風と共に去りぬ』(森公美子)
『十二夜』(生田絵梨花)
『歌麿』(シンガーズ、アンサンブル)
『SHINKANSEN ☆ RX SHIROH』(三浦宏規、宮野真守)
『ナイツ・テイル -騎士物語-』(井上芳雄、浦井健治)
『SPY×FAMILY』(島田歌穂)
『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』(浦井健治)
『マリー・アントワネット』(昆夏美)
『レディ・ベス』(平野綾)
『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』(宮野真守)
『王家の紋章』(浦井健治)
<ゲストコーナー2
『サウンド・オブ・ミュージック』「サウンド・オブ・ミュージック」(大地真央)
『マイ・フェア・レディ』「マイ・フェア・レディ」メドレー(大地真央、浦井健治)
『チャーリーとチョコレート工場』(小野田龍之介、涼風真世、キャスト全員)
『エリザベート』(井上芳雄、浦井健治)
『ミス・サイゴン』(佐藤隆紀、甲斐翔真、三浦宏規、宮野真守)
『モーツァルト!』(生田絵梨花)
『モーツァルト!』(森公美子)
『エリザベート』(井上芳雄、涼風真世)
『ミス・サイゴン』(昆夏美)
『レ・ミゼラブル』<民衆の歌>(キャスト全員)
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人