ミュージカル『ボニー&クライド』@シアタークリエ
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映画『Bonnie and Clyde』/邦題「俺たちに明日はない」でも描かれた、実在のギャングカップル“ボニー&クライド”を題材に、ヒットメーカー、フランク・ワイルドホーンがジャジーなサウンドとポップなリズムで新たに創造したミュージカル『ボニー&クライド』。瀬戸山美咲さんによる新演出版での上演がいよいよ開幕!
開幕を前に、フォトコール&囲み取材が行われました。

瀬戸山美咲(上演台本・演出)、桜井玲香、柿澤勇人、矢崎広、海乃美月
【フォトコール】
2つの場面が披露されました。1つ目は、1幕より、幼馴染みの保安官テッドがスターを夢見るボニーをパーティーに誘うカフェでのお芝居からはじまり、ボニーが車の故障で立ち往生しているところにクライドが登場する二人の出会い、そこからクライドが野望を語る、名曲<残すのさ 名前を>へと繋がる場面です。(クライド:柿澤勇人さん、ボニー:桜井玲香さん、テッド:吉田広大さん、チャーリー:焙煎功一さん)

ボニー:桜井玲香さん、テッド:吉田広大さん

出会ってすぐに惹かれ合う二人

クライド:柿澤勇人さん

ボニー:桜井玲香さん
続いては、2幕より。食料品店を襲った際に警官を射殺してしまったクライドが両親を訪ねる場面から始まります。その後、追っ手から逃れ、隠れ家のボニーのもとへ。クライドとボニーは「自分の父親/母親のような人生ではなく、満足できる人生を二人でつかみとろう」と誓う。ナンバーは<満足できる人生>。(クライド:矢崎広さん、ボニー:海乃美月さん、クライドの母・カミー:安田カナさん、クライドの父・ヘンリー:広田勇二さん)

父:広田勇二さん、母:安田カナさん、クライド:矢崎広さん

クライド:矢崎広さん

ボニー:海乃美月さん
物語の序盤、終盤という違い、ナンバーのテンポ感もありますが、ワイルドな柿澤クライドと柔らかな矢崎クライドというそれぞれの色はしっかりと伝わります。
柿澤クライド登場のシーンは声のトーンやたたずまい、身のこなしのすべてが若い! そして、みなぎる自信、放っておけないヤンチャな魅力、エネルギーに満ち溢れたクライドそのもの。ガッツリ惹かれながらも「あなた、なかなか面白いじゃない」と言わんばかりの勝気な桜井ボニーと相性抜群! 一方の矢崎クライドは、両親とのやり取りの後、ふと見せる表情に宿る孤独、寂しさにドキッとさせられます。それを埋めてくれるボニーの笑顔に引き寄せられるような心情を歌う、ゆったりとしたナンバーでちょっと大人の雰囲気。そっと寄り添う海乃ボニーとの相性、こちらも抜群。そうなると気になるのが矢崎さんの<残すのさ 名前を>、柿澤さんの<満足できる人生>、もちろんそれぞれのボニーとの組み合わせも!
(1シーンを観ただけで語れない奥深さもあると思いますが、率直な印象をお伝えしました)【囲み取材】
いずれのシーンも絵になる二人を印象付けたフォトコールに続いて行われた囲み取材では、カンパニーの雰囲気、作品の魅力、互いを見ているからこその分析力、素のみなさんの魅力があふれます。語る言葉を持つみなさんのコメントに観劇がますます楽しみに!
──みなさんのイチオシのシーンは?柿澤さん)
僕のイチオシは、クライドがバスタブの中でウクレレを弾きながらボニーへの愛を歌うシーン。そもそもお風呂で楽器を演奏すること自体ご法度、しかも逃走中に隠れ家に潜んでいるから本当はあまり音も立ててはいけないのに、そんなことはお構いなしにラブソングを熱唱します(笑)。型にはまらない二人を象徴しているシーンだと思います。
矢崎さん)
クライドとボニーの喧嘩かな(笑)。「Wキャスト、組み合わせが変わると~」って、本当によく聞く言葉ですが、今回、本当に違うんですよ!! しょっちゅう喧嘩をする二人の、いろんな喧嘩が見どころです。
桜井さん)
クライドと兄のバック、ボニーの幼馴染テッドの3人がそれぞれの思いを歌う大ナンバーです。物語後半、世界を、地獄を作ってやるぜ!という盛り上がるナンバーが本当にカッコよくて「あっ!ボニクラだ!」と気持ちが上がるんです!

柿澤さん:でもあのシーンにボニーいないじゃん(笑)。“ボニクラ”では……

桜井さん:そうだね……(笑)
矢崎さん:でもそこが好きなシーンなんだよね。
桜井さん)
稽古場ではじめてそのシーンを見たとき、女性陣は「カッコイイ!!」ってなったんです!
(これには海乃さん、瀬戸山さんも強く同意されていました!!)
海乃さん)
1幕も2幕もラストシーンがとても印象的だと感じています。1幕はボニーとクライドが突き進んでいく爽快感があり、2幕はボロボロになってもとにかく生きるボニーとクライド、二人の世界を繊細に描く、まったく違う2つのラストが見どころになっていると思います。
──瀬戸山さん曰く、それぞれの組み合わせが一番よく見える方法を話し合いながら作り上げたという本作。稽古で印象的だったことは。矢崎さん)
瀬戸山さんの演出を受け、改めて関係性を考えるというスイッチが入りました。玲香ちゃん、海ちゃんとちゃんと向き合ってお稽古をしてきたので、それぞれとの“ボニー&クライド”になっていると思います。
柿澤さん)
セット模型を使って舞台の説明されたときの瀬戸山さんの幸せそうなお顔が忘れられません。本当に演劇がお好きなんだなって。僕らの芝居もセットもすべて愛してくだいましたし、そんな瀬戸山さんの穏やかさが波及して温かいカンパニーになりました。みんなが委縮せず、今日まで取り組んでこられたことを感謝しています。
海乃さん)
「クライドとボニーの体温を一緒にしたい」という瀬戸山さんの言葉が、私の中で腑に落ちたんです。相手によって変えなくては、違いをしっかりと見せなくてはと力が入っていたのが、お二人それぞれの体温に寄り添うことで生まれるものを大切にしようと、役作りが定まりました。
桜井さん)
劇中でも言い争いになる“ボニー&クライド”なのか“クライド&ボニー”なのか問題(笑)。私は「先にボニーなんだ!」という気持ちが強くなり過ぎ、瀬戸山さんから「クライドとの恋が生まれていないですよ」と言われるようになってしまい……。あと舞台で毎回キレていると、私自身もキレ癖がついているような気がして(笑)。

柿澤さん:稽古終盤、「もうわかんないっ!」って稽古場でもちょっとキレてたよね(笑)。
桜井さん:瀬戸山さんにも……すごく甘えさせていただきました。
柿澤さん:あんな玲香、はじめて見た(笑)。

矢崎さん:そうなんだ。そういう方なのかと思っていました(笑)
桜井さん:(役のせいなので)次にお会いしたらまた全然違うと思います!
矢崎さん:それはそれで戸惑う(笑)
桜井さん)
ただのヒロインではないボニー。クライドをしのぐような勢いを残しつつ、ちゃんとクライドに可愛いなと思ってもらえるようなボニーにしたいと思います。
──ボニーから見た2人のクライドの印象。桜井さん)
柿澤さんは“めっちゃカッキー”。勢いが本当にすごくて、必死について行かないとどんどん置いていかれるので好きになってもらいたくて頑張ろう!ってなります。
矢崎さんは包容力がすごい。うまい言葉が見つからないのですが、なにをやっても受け止めてくれて、笑わせてくれる……なんだろうお父さんみたいな。海ちゃん、あとは頼みます!

矢崎さん:アハハハハ!

矢崎さん:なんかありがとうございます(笑)
海乃さん)
頼まれました(笑)。柿澤さんのクライドは、とにかくワイルドで、生きているエネルギーがスゴイ。一瞬で恋に落ちる、一目惚れできるオーラと熱量を持っているクライド。フォトコールの最初のシーン、自然にリアルに演じることができます。矢崎さんのクライドは繊細。ボニーの一瞬一瞬を絶対に見逃さない。常に見てくださっていると感じる、温かい気持ちが生まれるクライドです。要所要所でのユーモアのセンスも光るコミカルと、そこからぐっと振り切る真剣なお芝居のシリアス、心の振り幅が広いクライドです。
──では、2人のボニーは? 柿澤さん)
玲香が、これまでとは違う、型にはまらないアウトローカップルのボニーとして、稽古場で、悩みながら未知の領域に踏み出そうとする姿は美しくカッコよかった。はじめて見る玲香の顔がたくさんあります。僕もそのエネルギーに一緒に乗っていければと思います。海ちゃんは、宝塚歌劇団退団後初めての作品で、最初は戸惑いもあったかと思いますが、もともと持っているエネルギーや精神性からなにがあっても食らいつく、しがみつく強い意志を感じました。海ちゃんファンの方も、はじめましての方も、海乃美月という俳優にびっくりすると思います。
矢崎さん)
稽古前、僕は玲香ちゃんはダークサイド、海ちゃんはライトサイドが似合うと思っていました。それが稽古で逆転しました。玲香ちゃんは繊細でキュートなハートの持ち主。そのなかでコミカルな芝居の作り方で僕たちは気が合って、そんなライトサイドからボニーに挑んでいる。その姿で、僕も頑張らなきゃと思わせてくれます。海ちゃんは、宝塚の華やかなイメージがまずあったのですが、ある日、ヘアスタイルをガラリと変えた。そこからバチンとスイッチが入ったよね。もともと真面目でストイックな方が、それを突き抜けるとぐんとダークサイドにいくんです。触ったら怪我をしそうなくらいの、止められない勢いに、稽古後半では「この女優さん怖ぇ」ってちょっと思うくらいでした(笑)。
──最後にひと言ずつ頂戴します。瀬戸山さん)
この作品は大恐慌時代のアメリカが舞台。シビアな現実や育った環境から飛び出したい、羽ばたきたいと思っているボニーやクライド、周りの人たちの生きるエネルギーを楽しんでいただける作品です。空を夢見る籠の中の鳥のように、人の夢は誰にも制御できない、それを現実に変えていこうとする力を止めることもできないのです。
そしてワイルドホーンさんの音楽がとにかく強くて、私たちをぐいぐい引っ張ってくれます。お客様もその音楽に乗って最後まで、遠くまで、ボニーやクライドと一緒に旅をしていただければと思います。
海乃さん)
シアタークリエはとても素敵な劇場、舞台上で行われていることがすごく近く感じられると、私自身、舞台稽古を客席で観て思いました。繊細な部分も伝わるし、エネルギーも直に感じることができる。お客様に楽しんでいただける『ボニー&クライド』をお届けできるように精一杯務めます。
桜井さん)
言葉による表現力が乏しくなるぐらい、ハートだけで生きている。そういうお芝居、歌に取り組めるこの作品がとても楽しいです。この楽しさが伝わったらいいなと思います。身近な話になっていると思いますので、ぜひスカッと、ホロッとしてください。
矢崎さん)
僕は、この作品を本当にかっこいいと思うんです。自由に生きたいボニーとクライドの目の前にある不自由な境遇や時代。組み合わせによって、不自由を上手く生き抜く“ボニー&クライド”だったり、壁にぶつかりぶち破っていく“ボニー&クライド”だったり、多様なチームになったと思っています。
柿澤さん)
映画の邦題は「俺たちに明日はない」ですが、この作品でのボニーとクライドは明るい明日が来ると本当に信じて生きています。暗いとか、絶望に向かっていくようなことは一切なく、彩度の高いシーンの連続に、本当にあっという間に終わってしまう。体感、一瞬です(笑)。そして二人がこの世界を変えてやる!世界に名を残してやる!と本気で信じれば信じるほど、ラストシーンの印象でコントラストを生むのだと思います。とにかく一緒に楽しんでください。劇場でお待ちしています。
ミュージカル『ボニー&クライド』は4月17日までシアタークリエにて、その後、4月25日~30日は森ノ宮ピロティホール、5月4日、5日は博多座、5月10日、11日は東海市芸術劇場大ホールにて上演です!
ミュージカル『ボニー&クライド』@シアタークリエ
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ミュージカル『ボニー&クライド』製作発表レポートミュージカル『ボニー&クライド』柿澤勇人さんインタビュー
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人