ピアニスト大貫祐一郎さんのプロデュース企画「まつりシリーズ」第二弾、オオヌキ 秋のバンドまつり『RUNO(ルノ)』が開催されました!
大きな拍手に迎えらえて、まずステージに登場したのは大貫さん。
ピアノの前に座り弾き始めたのは、
春のショパンまつりでも披露したショパンの♪革命です。あの日の興奮が蘇るとともに、「あれ、ショパンまつり再び?」と少々の戸惑いが漂う会場。
そこにドラムの則竹裕之さんとベースの寺尾陽介さんが登場。すると♪革命は♪KAKUMEIへと変貌!ドラマティックなバンドアレンジで聴く♪KAKUMEI、新鮮です! こうして観客は春から秋へ、心地よく誘われるのでした。
ここで大貫さんよりRUNOメンバーの紹介です。
長年ジャズ・フュージョン界を牽引してきた則竹さんと大貫さんの出会いは平原綾香さんのコンサート、互いにサポートメンバーとして参加するようになり、ずっと「バンドを組みたいね」との思いを共有されてきたお二人。念願かなってのRUNOだという言葉にこちらも嬉しくなります。そして則竹さんが語る大貫さんのすごさは「毎回、演奏が違う」。今もツアー中の平原綾香さんのステージでも、その日の空気に巧みにアジャストしていく演奏に「ミュージシャンはかくあるべき」と思われるとのことです。
一方、ベースの寺尾さんと大貫さんが会うのはこれが3度目というフレッシュな競演!ジャズ演奏に加えてミュージカルにも参加され、最近では『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』でも演奏されていた寺尾さんは、大貫さんもレギュラー出演されているラジオ「井上芳雄 by MYSELF」のリスナーでもあるそうです。「話術もすごいですよね」との感想に観客は大いに頷くのでした。
お話される声の穏やかさや尽きることのない音楽談義の熱量、そして演奏になると攻めながら調和する感性。ほんわかした人柄、波長が似ているお三方が生み出す音楽に酔いしれるひとときは続きます。
今回のまつりの選曲のテーマは好きなアーティスト。大貫さんの好きが詰まっています!
続いてはラテンの風を感じさせるミシェル・カミロの♪Pra Voce、ミュージカルナンバーからフランク・ワイルドホーンの♪Someone Like You(『ジキル&ハイド』より)、シルベスター・リーヴァイの♪最後のダンス(『エリザベート』より)の2曲。♪最後のダンスはなんとファンクアレンジというスペシャル版です! キャラクターの情感を歌い上げるナンバーをボーカルなしでどう表現するのかという疑問もたれた方もいらっしゃるでしょう。でも、まさにそれが目の前で実現したのです。ピアノ、コントラバス、パーカッションが歌う!歌う!歌う! ここで改めてご紹介したいのが、バンド名のRUNO(ルノ)、ちょっと聞きなれない単語ですがフィンランド語で詩(うた)を表します。各ミュージシャンが歌うように演奏し、ヴォーカルゲストが詩を歌う──これが今回のライブのコンセプト。看板に偽りなしでございます!
まつりは続き、“ピアノトリオと言えば”のコーナーへ。
ジャズの名曲♪Donna Leeと♪Chorinhoの2曲が披露されました。即興性の高いソロパートはお三方の腕の見せどころ、聴かせどころ! 自在に音を操り、まるで会話をするかのようなセッションには観客として素直に聴き入ってしまうとともに、ステージが音楽家たちの神聖な場所のようにも感じられ、そこに入り込めないことに軽く嫉妬(笑・でも音楽は開かれています!)。また、そんな嫉妬心を抱かないように……というわけではないと思うのですが、演奏前に大貫さんが「ソロパートが終わったところで拍手」という観客も一緒にジャズを楽しむポイントもレクチャー。ソロが終わるタイミングってわかるのかなと思っていたら、ちゃんと大貫さんが誘導してくれる、まつりは親切設計です。にもかかわらず聴き入ってしまうとついつい拍手に出遅れてしまうのもご愛嬌! 自由で心地よい時間が流れます。お昼の公演を鑑賞したので、日の高いうちからこんないい気分になっていいのかしらと、今度は軽く罪悪感を抱くという勝手に大忙しな観客の心理(笑)。
そこに登場したのが、ヴォーカルゲストの遥海さんです。
会場の空気もニューヨークのおしゃれなジャズクラブから、「ここは、どこアリーナ?」というような壮大なスケールに。のびやかにアリシア・キーズの♪If I Ain’t Got Youを歌い上げます。圧巻の歌唱のあとはマイペースなMC、ここでは遥海さんもほんわか波長に。そしてカラリと明るく、ときに豪快な笑い声に会場にも笑顔があふれます。トークから伝わってくるのはとにかく音楽が好き!歌が好き!の気持ちです。大貫さんからも「素晴らしい声、表現力、そして喉」とのコメントが飛び出しました。ケアについて尋ねられた遥海さんからはちょっと意外な「耳」のお話が。声に大きな影響を与えるのが「耳」、遥海さんの耳は音をキャッチする感度が高くノイズも取り込んでしまうために耳を守ることも大切だという、興味深いお話が聞かれました。それには大貫さんも同意。この日のキーワードは「耳にやさしく」となりました。
遥海さんが大好きだというアリシア・キーズの“ポップスナンバー”に続いては、“ミュージカル”『ボディガード』にも登場するホイットニー・ヒューストンの名曲♪I Have Nothing、そして遥海さんの“オリジナル”、ご自身が出演された映画『はじまりの日』の劇中歌♪I Hear a Voiceを披露。映画出演のお話に照れる遥海さんが可愛らしく印象的でした。本当に歌唱とのギャップがキュート。また♪I Hear a Voiceは、元の楽曲の雰囲気も大事にしてお届けするということでオリジナル音源と同期させて演奏するというスペシャルバージョンでした! ポップス、ミュージカル、オリジナルと3つの異なるカテゴリーからの3曲、遥海さんとRUNOが奏でる音楽の競演、なんて幸せなのでしょう!(記事ラストには遥海さんライブ情報も!)
こうして楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。最後は大貫さんファン、まつりファンにはおなじみのミシェル・カミロの♪From Withinですが、“念願のバンドバージョン”での演奏に客席も大貫さんもテンションアップです! こうして最後の楽曲の演奏後も客席の拍手と興奮は収まることなく、一度退場されたバンドのみなさんも再登場! 事前告知のあった(親切設計なので・笑)、アンコールへ!
スーパー、ゴージャズ、ウルトラ、スペシャル……シンガー、あらゆる形容詞での呼び込みに「出にくい~笑!!」とおっしゃりながらも、遥海さんも満面の笑みで再登場。アンコールで披露されたのは、元はスティーヴィー・ワンダーの楽曲ですが、大貫さんが大好きな映画『SING/シング』でのバージョンで♪Don't You Worry 'Bout A Thing。非常に難易度が高いため、これを歌ってくれる方はいるかな……と思っていたところ、ミュージカル『ラグタイム』で遥海さんの歌声に出会い、この方なら!と「井上芳雄 by MYSELF」に遥海さんが出演されたときにオファーし、この度、実現したとのこと。その期待を超えてくる演奏と歌声、この時間がずっと続けばいいのにと思うほどの楽しさマックスのアンコールでオオヌキ秋のバンドまつり『RUNO』昼の部は幕をおろしました!
そして音楽が結ぶ縁の尊さ、音楽でのコミュニケーションのワクワク、この高揚感はまさに“まつり”だなと、夕暮れ時、一期一会の素敵な時間を反芻しながら帰路についたのでした。
またこの度、2025年5月24日、ガルバホール新宿での
大貫祐一郎サロンコンサート「オオヌキ 春のショパンまつり vol.2」開催が発表されました!
★遥海さんライブ情報★遥海『A Night To Remember Vol.3』-Church Live- Piano and Strings
ピアノ&ストリングスの教会でのワンマンライブ
生の楽器に乗せた遥海のボーカルが教会に響きわたります
2025年5月8日(木)@ルーテル市ヶ谷ホール
詳細は
オフィシャルホームページまで

まつり恒例のシールを集めるお楽しみも!!
【公演情報】
オオヌキ 秋のバンドまつり「RUNO」
2024年11月15日(金)15:00/19:00 全2回公演@KIWA TENNOZ
出演
大貫祐一郎(ピアノ&アレンジ)、則竹裕之(ドラム)、寺尾陽介(ベース)
ヴォーカルゲスト:遥海
写真提供:グランアーツ
おけぴ取材班:chiaki(文)監修:おけぴ管理人