2016年3月にブロードウェイで上演スタート! 楽曲を手掛けたサラ・バレリスを始め、脚本、作曲、演出、振付の主要クリエイティヴを全て女性クリエイターが担当したことがブロードウェイ史上初の出来事として注目を集め、そのキュートでポップでリアルな世界観が観客の心をわしづかみに!日本では2021年に高畑充希さんの主演で初演、コロナ禍の影響もある中で大成功を収めました。そして2025年4月、日生劇場にて再演の幕が上がりました!
アメリカ南部の田舎町で、とびきりのパイを売る評判のダイナーのウェイトレス、ジェナは高畑充希さんが続投!妊娠・出産・離婚・自立・養育など、女性の人生の岐路を描くストーリー。ジェナを中心に、人間味豊かなキャラクターたちが織りなすミュージカル・コメディです。
届いたキャストコメントでは、高畑さんが「やっとお客さんと出会えて、劇場中の熱気で、日生劇場が浮き上がりそうでした」と初日の興奮を語り、森崎さんは「改めて、全世界の母たち、ありがとう」とコメントを寄せます。ソニンさんは「現代の人々に共感してもらえるポイントを大切に丁寧に造形作業をしました」と、LiLiCoさんは「このどろどろだけど清々しいパイを召し上がれ!」、観劇後に大きく頷きたくなる言葉!!コメント全文は記事後半にて↓
夫からのモラハラにもめげない“前向き”な主人公ジェナ。決して最初から最後までポジティブ一直線ではないジェナの心を高畑さんが繊細に表現。ジェナにとってのパイづくりとは、幸せとは、ストーリー展開はびっくり!なところもありますが、隣にいる誰かとして映る人物に作り上げる高畑さんの表現力は圧巻。歌唱もお芝居もシームレスにそこにいるジェナの“本当”を舞台上に立ち上げます。
そして甘くない現実のリアリティと、シュガー、バター、フラワー……天から降り注ぐ呪文のように響く歌声とともに描かれるジェナの心象風景という演出のファンタジー感のバランスがやっぱり素晴らしい!甘いパイの香りに包まれるような感覚、記憶を呼び起こします。
ジェナの主治医、ポマター医師には森崎ウィンさん。ソフトな雰囲気とぶっ飛んだ行動、そのギャップが素敵です。欲望に抗えない、でも…感情と理性の間で葛藤するポマターの見せるかわいらしさ、ジェナに呼び名を変えることをせがむも拒否されたときのちょっとすねたような表情と口調など細かなお芝居までお見逃しなく!そしてポップな楽曲が森崎さんの歌唱で心地よく耳と心に届きます。
オタクの自分を受け入れてくれる男性がこの世にいるのかと恋愛に臆病なドーンにはソニンさん。応援したくなるドーンの姿が、なかなか勇気を出せないけれど一歩を踏み出そうとする人の背中を押してくれるような、そんな可愛くてユニークなドーンです。ドーンの運命の人⁉ オギーはおばたのお兄さんが続投、加えて西村ヒロチョさんも参戦のWキャスト!拝見したおばたのお兄さんは、登場するだけで空気を変える爆発力、瞬発力は変わらず、そうそうこの勢い!!と登場が嬉しくなるオギーです。
自身の生活に困難を抱えつつも周りを元気にする姉御肌のベッキーにはLiLiCoさん。自らの人生を力強く歩む! 型破りだけど、きれいごとじゃなく生きていくということを体現するたくましく美しいベッキーです。

流れるような舞台を生み出す精鋭アンサンブルキャストの活躍も!
横暴さの中に弱さを抱えるダメ男の夫・アールには水田航生さん。スマートな水田さんのイメージを超えてくる新境地! 喧嘩するほど仲がいい?ベッキーの天敵、ぶっきらぼうな料理人のカルには田中要次さん。そして、ジェナが働くダイナーのオーナーのジョーには山西惇さん。口の悪いジョーですが、ジェナのパイの大ファン、ジェナのよき理解者。厳しくも温かいジョーの終盤のナンバーには泣かされます。
この友情は一生もの!
耳に心地よいことばかりを言うのではなく、時には厳しさも持って関係を続ける3人の連帯。現代を生きる女性の心の機微を描くコメディ・ミュージカル『ウェイトレス』は日生劇場にて上演中です!
【キャストコメント】
「WAITRESS 」2025、
初日の幕がやっと上がりました!
やっとお客さんと出会えて、劇場中の熱気で、日生劇場が浮き上がりそうでした。
初演時はコロナ真っ只中だったので、稽古も海外のクリエイティブチームがリモートで行ってくれたり、稽古場もマスクが必須だったりと、通常の初演作品立ち上げより困難が多かったように感じます。
今回は普通に演出が受けられること、普通に共演者の顔を見ながらお芝居できること、普通にお客様の笑い声が聞けること。
全ての普通が本当に輝いて見えて、感謝の日々です。
この作品に改めて浸かってみて、メッセージ性の強さ、楽曲の素晴らしさ、キャラクターたちの愛らしさに再び感動しています。
最後までカンパニー一同、元気に走り切りたいです。
応援よろしくお願いします!
高畑充希
ようやく、4年前に観ていた世界の中でポマター医師として生きられる時が来ました。
毎回毎回新しい発見と、刺激や課題をくれる海外演出チームとこうしてご一緒できた事は大きな財産になる事間違いありません。
上演中にもっと自分のものに出来るよう日々精進していきたいと思います。
どうかウェイトレスの世界を堪能しに来てください!劇場でお待ちしております!
改めて、全世界の母たち、ありがとう。
森崎ウィン
9年前にブロードウェイで観劇して以降、必ず日本で上演すべきだと強く思っていた作品に、今回一員になる事ができて感無量です。
再演で演出家が変わり、ドーンというキャラマスコットではなく、実際に生きる女性として、自身と重なる部分を引き出して、稽古していただきました。何度か観劇した印象で脳裏にある私のイメージと戦い苦戦しましたが、現代の人々に共感してもらえるポイントを大切に丁寧に造形作業をしました。
「不安症で、潔癖症で、形ないものへの恐怖心や恋愛においても確実な理想ばかりを求める。溜めてたものが自由に解放された時の人の生き生きとする所や、好きな事には拘りを持って熱を注ぐ所。」普遍的なシーン達の中で、全ての台詞の言い方や仕草や動きに、ドーンの性格や個性や変化に共感し楽しんでいただけたら、幸いです。
ぜひ、現代を生きる女性の機微を、可愛いらしいパイの世界と、おしゃれな音楽と、リアリティある生々しい肌感で描く「ウェイトレス」を感じにいらしてください。
ソニン
初演のとき50歳でのミュージカルデビューでした。最初にベッキーに出会ったのは最高にラッキーな運命!私はベッキーが大好きで、4年ぶりに再会して、今回作品を作り上げるなかでのお稽古中により深く彼女を理解し、劇中では描かれていないけど彼女が背負う苦悩も感じ取っていただければ嬉しい。ベッキーは全然完璧な人間ではないけど友人としてはとても素敵な存在だと思います。みんなも彼女に寄り添うことが出来る様に頑張ります。正直、ベッキーがLiLiCoにどんどん入り込んで最近では充希ちゃんとソニンちゃんが近くにいて、目が合うだけで心の中に暖かいものが芽生えます。ふたりともミュージカル界の大先輩だけど、守ってあげないといけないという母性本能が毎日メラメラと燃えている。スタッフ・キャストみんなで力を合わせて作品をよりわかりやすく、ディープに、そして登場人物や素晴らしい楽曲もみんなの応援歌になるはず。
さぁ、このどろどろだけど清々しいパイを召し上がれ!
LiLiCo
舞台写真提供:東宝演劇部
おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人